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002 異世界転生……失敗?
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真っ白な空間から追い出されたかと思えば、そこは既に異世界だった。
足元は石畳が並び、目の前には土を均したかのような大きな道が見える。
石畳に沿って並ぶ建物はレンガや石で作られているようで、明らかに僕が住んでいた場所とは街並みも建築様式も違うのが見て取れる。
もちろん、異世界だと断定できるのはそこを歩く人々からも見て取れて、金や赤、あるいはピンクや緑など、元の世界では早々お目にかかれない髪色をした人々が歩いている。
道行く人の中には剣などの武器を下げている人や、鎧を着ている人もいて、否が応でも元の世界とは別の……まさに異世界にやってきたことを実感させる。
「しかし、この格好は目立たないか?」
自分の体を見下ろせば、出社前だったのでスーツ姿に手提げのカバン、道を歩いている人たちは似たような服装の人はおらず、明らかに自分が異質であることが理解できる。
「せめて上着は、カバンの中に入れておくか」
そのほかの持ち物も確認すると、腕時計は動いているが、スマホは完全に機能が停止していることがわかる。
おそらくスマホはこの世界ではオーバーテクノロジー過ぎるので、神様の判断で機能しないようにされているのだろう。
あとは財布に入れていた現金が見たこともない通貨に換えられている……紙幣は無くなり、入っているのは銅や銀、金で出来ているであろう硬貨のみ。
「現地通貨が手に入るのは助かりますけど、レートも教えてほしかったなぁ」
とりあえず、神様が教えてくれたギルド? の場所も聞きたいし、路上にある屋台で買い物がてら情報収集をしてみようか。
さすがに出社前だったから、カバンの中には昼に食べようと思っていたサンドイッチと紅茶くらいしか入ってないし……って、こっちもペットボトルじゃなくて革袋、フィルム包装じゃなくて紙で包まれているものに変わっている。
ペットボトルもフィルム包装も、この世界にはないってことね。
「すみません、こちらの果物をいただけますか?」
「なんだい、バカ丁寧だね。それだったら、大銅貨3枚だよ」
「こちらで大丈夫ですか?」
財布の中にあった銅で出来ているであろう硬貨のうち、大きい方を3枚おばちゃんに見せる。
「ああ、ピッタリだね」
「ついでにお聞きしたいのですが、この辺にギルドはありますか? 田舎から出てきたばかりで、地理に疎くて」
「なんだいなんだい、困りごとかい? この道をまっすぐ進んで盾と剣の彫り物がされてる看板の建物にあるよ」
果物を買ったから、というわけでもないだろうが、おばちゃんは愛想よくギルドの場所を教えてくれる。
だんだんと、異世界へとやってきた緊張感も解けてきたのか、周囲の風景も、よく目に入り始める。
さっきは、つい金額を聞いてしまったが、露店の屋台では商品名と価格を掲げているところも多く、この世界の識字率の高さを実感する。
それに先ほどのおばちゃんとの会話、僕は日本語を話したつもりだったけれど、齟齬もなく会話もできたし、周囲にある文字も普通に読める。
この世界の、あるいはこの国の標準語が日本語なのかと思ったけれど、よくよく目を凝らせば自分の知らない言語であることもわかり……うーん、神様が不便のないようにしてくれたのかな?
そんな風に周囲をきょろきょろ観察しながら、しばらく歩くとおばちゃんが言っていたように盾と剣が彫られている看板を出している建物が見えてきた。
周囲の建物と一緒で石造りの建物で、中の雰囲気はうかがえない……うーん、入りづらいなぁ。
とはいえ、うだうだ言っていても泊るところや、この世界の知識が手に入るわけじゃないし、行動するしかないね。
「すみません……」
断りの言葉を口にしつつ、扉を開けてみたのだけど、一気に後悔の念が押し寄せてきた。
扉の向こうに広がっていたのは場末の酒場のような雰囲気で、そこには何人かの男がテーブルを囲んでタバコを吸いつつ、酒を飲んでいる風景だった。
いかにも冒険者、という雰囲気ではあるものの、タバコも吸わなければ、酒もそこまで飲まない僕にとっては歓迎できるような雰囲気ではない。
「あっ!? なんだ、てめえ!」
一番近くに座っていたスキンヘッドの男性が、唐突に怒声を上げる。
「ああ、依頼人か? だったら、こっちに来い」
その男性の向こう側、カウンターに座っていた男性が、こちらに声をかける。いきなり怒鳴りつけてきた、スキンヘッドの男性は酔っぱらっているのか、僕がびくつく姿を見て大笑いをしている。
……うーん、神様に言われて来たところだけれど、第一印象は最悪だし、本当にここで世話になるがいいのだろうか?
「すみません、田舎から出てきたばかりで、仕事や住むところを探しているんですが」
「ああ、入会希望者か。この水晶に手を載せろ」
カウンターの男性は酒を飲んでいる他の人たちよりはとっつきやすいが、明らかに面倒だという姿勢を崩さない。
とはいえ、これがこの世界の普通である可能性もあるし、言われるがままに水晶に手を載せる。
「……ええと。……はっ! おいおい、こいつぁ、お笑い草だ。ダブルマイナーのゴミがウチに入りたいってよ!」
何やら水晶をのぞき込んでいた男性だが、唐突に顔色が変わり、建物内にいる人全員に聞こえるような大声を出し始める……ってか、ダブルマイナーってなんだ?
「おいおい、ゴミのくせに二つ星ギルドである、ウチに入ろうってのか!?」
「ってか、天職は何だよ? あ? 錬金術師と付与魔術師? 要らねー、ゴミだろゴミ!」
唐突に割って入ってきた酔っ払いたちが、何かわめいているが、僕には何が何だか。
神様……ギルドに行けって、全然うまくいかないんですが。
「おら、役立たず! てめえみたいのは、ウチには要らねえんだよ!」
「錬金術師なんてゴミ天職を捨ててから、来な!」
神様への恨み言を考えていると、唐突に酔っ払いたちに扉の外へと投げ飛ばされる。
錬金術師だということで、蔑まれていることはわかるが、ここまで言われるのかまったくわからない。
「ぐっ!」
投げ飛ばされるなんて前の世界では未経験、それに背中を強く打ったのか、まったく動けない……そうか、人って投げ飛ばされると動けなくなるもんなんだなぁ。
「そらよ! 二度と来るんじゃねえぞ!」
建物の前で痛みをこらえて動けずにいた僕に対して、酔っ払いたちはどこからか水入りの樽を持ち出して、僕にぶっかけてきた。
あまりの仕打ちに怒りよりも呆然としてしまう……どうして、こうなったんだ?
足元は石畳が並び、目の前には土を均したかのような大きな道が見える。
石畳に沿って並ぶ建物はレンガや石で作られているようで、明らかに僕が住んでいた場所とは街並みも建築様式も違うのが見て取れる。
もちろん、異世界だと断定できるのはそこを歩く人々からも見て取れて、金や赤、あるいはピンクや緑など、元の世界では早々お目にかかれない髪色をした人々が歩いている。
道行く人の中には剣などの武器を下げている人や、鎧を着ている人もいて、否が応でも元の世界とは別の……まさに異世界にやってきたことを実感させる。
「しかし、この格好は目立たないか?」
自分の体を見下ろせば、出社前だったのでスーツ姿に手提げのカバン、道を歩いている人たちは似たような服装の人はおらず、明らかに自分が異質であることが理解できる。
「せめて上着は、カバンの中に入れておくか」
そのほかの持ち物も確認すると、腕時計は動いているが、スマホは完全に機能が停止していることがわかる。
おそらくスマホはこの世界ではオーバーテクノロジー過ぎるので、神様の判断で機能しないようにされているのだろう。
あとは財布に入れていた現金が見たこともない通貨に換えられている……紙幣は無くなり、入っているのは銅や銀、金で出来ているであろう硬貨のみ。
「現地通貨が手に入るのは助かりますけど、レートも教えてほしかったなぁ」
とりあえず、神様が教えてくれたギルド? の場所も聞きたいし、路上にある屋台で買い物がてら情報収集をしてみようか。
さすがに出社前だったから、カバンの中には昼に食べようと思っていたサンドイッチと紅茶くらいしか入ってないし……って、こっちもペットボトルじゃなくて革袋、フィルム包装じゃなくて紙で包まれているものに変わっている。
ペットボトルもフィルム包装も、この世界にはないってことね。
「すみません、こちらの果物をいただけますか?」
「なんだい、バカ丁寧だね。それだったら、大銅貨3枚だよ」
「こちらで大丈夫ですか?」
財布の中にあった銅で出来ているであろう硬貨のうち、大きい方を3枚おばちゃんに見せる。
「ああ、ピッタリだね」
「ついでにお聞きしたいのですが、この辺にギルドはありますか? 田舎から出てきたばかりで、地理に疎くて」
「なんだいなんだい、困りごとかい? この道をまっすぐ進んで盾と剣の彫り物がされてる看板の建物にあるよ」
果物を買ったから、というわけでもないだろうが、おばちゃんは愛想よくギルドの場所を教えてくれる。
だんだんと、異世界へとやってきた緊張感も解けてきたのか、周囲の風景も、よく目に入り始める。
さっきは、つい金額を聞いてしまったが、露店の屋台では商品名と価格を掲げているところも多く、この世界の識字率の高さを実感する。
それに先ほどのおばちゃんとの会話、僕は日本語を話したつもりだったけれど、齟齬もなく会話もできたし、周囲にある文字も普通に読める。
この世界の、あるいはこの国の標準語が日本語なのかと思ったけれど、よくよく目を凝らせば自分の知らない言語であることもわかり……うーん、神様が不便のないようにしてくれたのかな?
そんな風に周囲をきょろきょろ観察しながら、しばらく歩くとおばちゃんが言っていたように盾と剣が彫られている看板を出している建物が見えてきた。
周囲の建物と一緒で石造りの建物で、中の雰囲気はうかがえない……うーん、入りづらいなぁ。
とはいえ、うだうだ言っていても泊るところや、この世界の知識が手に入るわけじゃないし、行動するしかないね。
「すみません……」
断りの言葉を口にしつつ、扉を開けてみたのだけど、一気に後悔の念が押し寄せてきた。
扉の向こうに広がっていたのは場末の酒場のような雰囲気で、そこには何人かの男がテーブルを囲んでタバコを吸いつつ、酒を飲んでいる風景だった。
いかにも冒険者、という雰囲気ではあるものの、タバコも吸わなければ、酒もそこまで飲まない僕にとっては歓迎できるような雰囲気ではない。
「あっ!? なんだ、てめえ!」
一番近くに座っていたスキンヘッドの男性が、唐突に怒声を上げる。
「ああ、依頼人か? だったら、こっちに来い」
その男性の向こう側、カウンターに座っていた男性が、こちらに声をかける。いきなり怒鳴りつけてきた、スキンヘッドの男性は酔っぱらっているのか、僕がびくつく姿を見て大笑いをしている。
……うーん、神様に言われて来たところだけれど、第一印象は最悪だし、本当にここで世話になるがいいのだろうか?
「すみません、田舎から出てきたばかりで、仕事や住むところを探しているんですが」
「ああ、入会希望者か。この水晶に手を載せろ」
カウンターの男性は酒を飲んでいる他の人たちよりはとっつきやすいが、明らかに面倒だという姿勢を崩さない。
とはいえ、これがこの世界の普通である可能性もあるし、言われるがままに水晶に手を載せる。
「……ええと。……はっ! おいおい、こいつぁ、お笑い草だ。ダブルマイナーのゴミがウチに入りたいってよ!」
何やら水晶をのぞき込んでいた男性だが、唐突に顔色が変わり、建物内にいる人全員に聞こえるような大声を出し始める……ってか、ダブルマイナーってなんだ?
「おいおい、ゴミのくせに二つ星ギルドである、ウチに入ろうってのか!?」
「ってか、天職は何だよ? あ? 錬金術師と付与魔術師? 要らねー、ゴミだろゴミ!」
唐突に割って入ってきた酔っ払いたちが、何かわめいているが、僕には何が何だか。
神様……ギルドに行けって、全然うまくいかないんですが。
「おら、役立たず! てめえみたいのは、ウチには要らねえんだよ!」
「錬金術師なんてゴミ天職を捨ててから、来な!」
神様への恨み言を考えていると、唐突に酔っ払いたちに扉の外へと投げ飛ばされる。
錬金術師だということで、蔑まれていることはわかるが、ここまで言われるのかまったくわからない。
「ぐっ!」
投げ飛ばされるなんて前の世界では未経験、それに背中を強く打ったのか、まったく動けない……そうか、人って投げ飛ばされると動けなくなるもんなんだなぁ。
「そらよ! 二度と来るんじゃねえぞ!」
建物の前で痛みをこらえて動けずにいた僕に対して、酔っ払いたちはどこからか水入りの樽を持ち出して、僕にぶっかけてきた。
あまりの仕打ちに怒りよりも呆然としてしまう……どうして、こうなったんだ?
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