異世界に転生したので錬金術師としてダラダラ過ごします

高坂ナツキ

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040 空間収納

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 スキル付与をした魔導具を作った翌日、師匠からもらったスクロールを手に、錬金室にこもっている。
 もらったスクロールは空間収納の魔法が転写されている……師匠がいつも所持品を収納している魔法だな。
 これがあれば、RPGやファンタジー小説でありがちなマジックバッグ、いわゆるどれだけ物品を入れても大丈夫な鞄ができるはずだ。

 というわけで、今は鞄を素材分解や再構成を駆使して作っている最中だ。魔導具にする筐体は錬金術で作らなくても大丈夫だが、錬金術で作ったほうが長持ちする。
 魔力を使って作る分、値段が跳ね上がるので普段の商品で流行らないが、自分で使う魔導具は錬金術で筐体も作るのが錬金術師のたしなみだそうだ。

「さて、どんな形で作るかな?」

 とりあえず糸を布にするところまでは終えたが、問題はどんな形にするかだ。
 鞄と一口に言っても、手提げやリュック、ベルトポーチまで形や大きさはさまざまで、用途によって便利なものは変わってくるだろう。
 それに、空間収納がどのような形で作用するのかわからない。入口の大きさのモノしか入らないのか、それとも入口の大きさを無視して収納できるのか。

「入口の大きさを無視できるなら、ベルトポーチ一択なんだけどな」

 リュックタイプは、きちんと担いでいれば盗まれる心配はないし、入れやすく出しやすいが、出入りの際にいちいち方から降ろさなければならないのが煩わしい。
 逆に手提げタイプは簡単に物を出し入れできるが、手で持ち続けるのが煩わしいし、世界に一つしかないマジックバッグとなれば盗まれやすいのがダメだろう。
 きちんと持っていれば、と思うかもしれないが、この世界は武器を携帯してても咎められないので、腕や手首を切り落として盗もうと思う人がいてもおかしくはない。

 ベルトポーチタイプは体とつなぐベルトは服で隠れることが多いし、ポーチ部分を前や横にしておけば出し入れの際も簡単で便利だ。
 ただ、どうしてもポーチ部分の大きさが制限されるので、空間収納が入口の大きさに準拠した場合には大きなものは入れられない。

「やっぱり、無難にショルダーバッグにするかな」

 片方に荷重がかかって体に悪いとは言われているが、空間収納で重さはないし斜め掛けのショルダーバッグで良いだろう。
 出し入れも楽だし、ある程度のモノを入れていても不思議に思われることも少ないだろう。

 まずは、ショルダーバッグの作成からだが、これは難しくない。もちろん前の世界で使っていたようなポケットたくさん、こぼれないようにファスナーやボタンを付けるようなら大変だ。
 だけど空間収納の魔法を付与すること、使うのが僕になること……師匠は自前で空間収納の魔法が使えるので空間魔法が付与できるか確認できれば、使う意味はないからね。
 この辺を考えれば肩に触れるベルト部分は良いものにしたいが、鞄は布で入口を覆うだけの簡単なモノで十分だろう。

「再構成」

 うんうん、だいたい想像通りの形になったな。ベルトは太めにしておいたけれど、これでも肩が痛くなったら、綿とかを使ってカバーを作るか。
 あとは無属性の魔石を鞄の外側と内側にそれぞれ魔石組込で組み込んでいく。もちろん、その間にはスキル付与で魔導具を作った時と同じ回路を書きこんである。

「うーん、不格好」

 ふた部分を閉めた状態なら普通の鞄だが、ふた部分を開けると回路が丸見えで魔導具であることが、すぐにわかってしまうな。
 師匠に見せた後は、ダミーの模様でも書き込んでみるか?

「魔法付与」

 スキル付与では成功したが、果たして魔法付与は成功するのか? なんて考える暇もなく、魔法付与で空間収納の魔法が付与できた。
 ゲームなんかだとドキドキ感がある演出が出るけれど、現実はゲームではないので一瞬で付与が終了するんだよな。
 さて問題は、本当に空間収納が発動するのか、どのくらい発動して魔法付与の効果が切れた後にどうなるかだな。

「よっと」

 まずは手近にあった鉄鉱石を入れてみるが、簡単に中に入り重さも感じない。入口の大きさよりも小さいものは当たり前だが、空間収納で異空間に収納できるな。
 次は明らかに鞄に入らない長い棒、これを横向きに入れようと……うん、入らないな。魔石が作る空間収納の魔法は鞄の入口よりも中側にあるので、入口の大きさを越えるものは入らないか。
 試しに縦に持ち直して、入らなかった棒を入れてみると中に入る……便利っちゃ便利だが、明らかに鞄の容量を無視しているし、外でこれをやったらマジックバッグだってバレバレだな。

「うん、スクロールによる魔法付与自体は成功だし便利だけど、使う場所や使い方を考えないと、かなり危険だな」
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