猫と私と犬の小説家

瀧川るいか

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るかちゃんと遊ぼう

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今日はメーにメイクの邪魔をされなかった。
いつもなら邪魔してくるメーがチャチャと仲良く遠くから見てるだけだった。それはそれで少し寂しい。
「どうしたものか~」
「どした~りむ~」
「うんうん。なんでもないよ」
今日は友達と女子会。いつものカフェでケーキを食べながら女子会。るかちゃんと女子会。小学校からの付き合いでホントに親友と呼べる存在。とても可愛い。私が唯一認める可愛さ。
るかちゃんはコーヒーを飲みながらイチゴのショートケーキ。私はハーブティーを飲みながらイチゴのモンブラン。いつものカフェでダラダラと過ごしている。
「るかちゃんは最近仕事どう?」
るかちゃんは学校を卒業をしてから正社員として無事に就職して今は某会社で事務をしている。
「もう~疲れてやばい~着いていけない感じ~」
「大変だねぇ~前寝てる時に電話してごめんねぇ~」
「いいよ~。前みたいに遊びたいんだけどね~。家帰ってからも仕事の事やったりしてると疲れちゃってね~」
「社会人は大変だねぇ~」
「まぁ~仕事の事は今日は忘れよ~せっかくりむが誘ってくれたんだから~」
「うん!ありがとね~」
可愛い女子二人で溜まりに溜まった女子同士でしか言えないアレコレを吐き出す。
男の子のチャチャとメーにはわからないアレコレを吐き出す。
「るかちゃん彼氏とはどう~」
「うん!相変わらず仲良いよ~」
「いいなぁ~」
「いいなぁ~ってあんまり男に興味ないでしょ?」
「うん!今はチャチャとメーいるし」
「ペットいると彼氏出来ないよ~」
「いらないし~。チャチャとメーが彼氏みたいなもんだから~」
「りむが幸せならいいけど~」
「大丈夫だよ~私はいつでもいつまでも幸せだよ~。それに彼氏がいるって事が幸せの絶対条件だなんて誰が言ったの~?その根拠は~?化学的に証明されてる~?統計学的にどうなってる~?」
「また始まった~。はいはい。そうだね!」

「幸せの定義なんて人それぞれ!」
「幸せの定義なんて人それぞれ!」
二人の言葉が息ピッタリに合った。
「はははははは!」
「はははははは!」
笑い声もピッタリと合った。
「だねぇ~」
「そうそう~りむらしくでいいと思うよ~。実際私なんて働いてるけど頑張ってもこんなもんかぁ~って思って辞めたくなるもん」
「辞めたらダメ~三年は続けろって誰かが言ってたよ~」
「だ~か~ら~。まだ辞めれないんだよ~」
「だ~か~ら~。頑張れ~頑張り過ぎない程度に」
「ありがと!」
「うん!これからどうする?」
「せっかくだから記念に撮る?」
「あーいいねぇ!久しぶりにね!」
「じゃあ行こっか!」
「うん!」
「ちょっと待って!コレ見た?」
そう言うとるかちゃんはスマホを取り出していじり始めた。
「どした~?」
「これこれ!」
「なになに?」
るかちゃんのスマホの画面にはシール撮る機械の中で悪ふざけをしている高校生の画像が映し出されていた。
「これがどしたの?」
「なんかね~拡散されまくって噂だと退学になったとか個人名晒されたりとか凄いんだよ~。その学校のウィキペディア荒らされたり」
「えぇー!怖っ!でも最近多いよねぇ~この手の炎上。るかちゃんは大人なんだから気を付けないとねぇ~」
最近多い炎上事。
誰かに見られる意識が高い私には理解が出来ない事が多い。
家で寛いでる時以外は「あっ!可愛い!」って言われる為に備えている私には理解が出来ない。
それはネットという不特定多数に見られる場所でも変わらない。
加工しなくても可愛い私からしたら加工してるなんて思われたら腹が立つ。動いてる時とか本当に可愛いから私。
「りむも!気を付けないとだよ~って大丈夫か!なんやかんやで常識あるもんね」
「うん!常識あるし、可愛いんだよ!あっ!るかちゃんもね!」
「ありがと~りむには敵わないよ~」
「まぁ~ほんの少しだけ私の方が可愛いかな~」
「ははは!そうだそうだ!」
「ん?なんか面白いこと言った?」
「いやいや~りむが変わらない事が嬉しいだけ。じゃあ撮り行こ!」
「うん!普通に撮ろ!でも私達さぁ~可愛過ぎて炎上したりしないかなぁ~」
「はいはい。大丈夫だから!炎上しないから~二人だけの記念にすればいいだけでしょ~」
「あっ!そうだね!」
「行こ行こ!」
カフェを後にしてブリッジと呼ぶには余りにも短い橋を渡り恋人たちがぷらぷらする施設の二号館に移動した。
エスカレーターで上に行く途中に思い出した。
「聞いて聞いて~前ねぇ~エスカレーターを歩いて使うおじさんがいてねぇ~靴紐挟まれて助けを呼んでて面白かったんだよ~」
「なにそれ~?危ないじゃん!りむさぁ~なんか願った?」
「うん!コケたら面白いなぁ~と願いました!」
「やっぱり!ダメだよ~そゆとこある自覚持ちなさい!まぁ面白いけどさぁ~」
「はーい。気をつけまーす」
シールコーナーは人でいっぱい溢れているが、ここは基本女子ばかりがいる場所。男性同士はお断りの場所。
ご丁寧に大きな鏡が沢山ある。ドライヤーが置いてあったりと女子にはありがたい場所。
店内も白を基調にしている中でピンクや赤など女子向けになっているところもポイントが高い。
鏡に向かって髪の毛をセットしている女子達を見ながら心の中で思った。
みんな可愛いけど私の方が可愛い。
今日は気合入れてきたんだ。確実に私がこの空間で一番可愛い。
「やっぱり私一番可愛いでしょ!」
「どう?可愛かった?」何度も心の中で叫んだ。
「ほら~りむ行くよ~」
「うん!行こ行こ~」
そしてるかちゃんと仲良く久しぶりの女子会記念にシールを撮った。
二人だけの思い出として。

「あ~やっぱ可愛いなぁ~私。世界中の人の目の保養にアップしたほうがいいかなぁ?」
「だめだよ~りむ!誰が見るかわからないんだから~。さっき炎上の話したじゃん?まったく分からない子だねぇ~。まぁ~だからりむと居るの楽しいんだけどね。可愛いし」
「えっ?なに?最後なんて言ったの?もう一回言って!言って!何度も言って!」
「だから人間は楽しんだよって言ったの~」
「うそー?なんかちがーう」
「わかったから行くよ~」
「はーい」






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