猫と私と犬の小説家

瀧川るいか

文字の大きさ
上 下
48 / 50

可愛いは努力なんだ

しおりを挟む
両性愛、バイセクシュアリティは、男性にも女性にも見られる、異性・同性にかかわらずいずれの性の人に対しても、美的な憧れや情緒的・精神的な魅惑、あるいは性的・肉体的な欲望を抱きうる性的指向をいう語。また、全ての性別の人に対する性的、恋愛的指向を意味することもあり、これは厳密には全性愛と呼ばれる。

可愛い私は可愛いものや綺麗なものが好き。
そこに男の人とか女の子とか関係ない。
女性に恋する事もある。
憧れる事もある。普通な事だ。
私にとって「愛してる」という言葉は世の中に存在する可愛いとか綺麗とか美しいとか愛すべき全てに向けられる言葉だ。

男の人が男の人を好きになる。別に変な事じゃない。
友達に、そんな男の人もいるが別に気にならない。
女の子が女の子を好きになる。別に変な事じゃない。
人が人に抱く感情は人それぞれだ。別に変な事じゃない。
私は人が好きなんだ。
一緒にいて居心地のいい人は好き。一緒にいて居心地の悪い人は嫌い。。
女の子にドキドキする事もある。
女の子の持つ可愛いや綺麗にときめくんだ。
だって私は女の子だから。

ナンパされた時の答え方。
「私、男の人に興味ないので」
これは使い勝手が良い殺し文句ではなくて、一瞬で目の前の人類を嫌いなったから言う言葉。
可愛いを軽く見られたくない。
可愛い女の子を軽く見ないで欲しい。
可愛いは努力なんだ。可愛いは大変なんだ。
それを分からない人は軽々しく近寄らないで欲しい。
可愛く在るのは男の人に喜ばれる為ではなく、私自身の為なんだ。

だから、可愛いに女の子にときめくんだ。
可愛いという結果の過程にある努力にときめくんだ。
何もしないで可愛いなんて有り得ない。
努力あっての可愛さなんだ。

徒然草の一部に書いてあった。
「狂った人の真似」と言って国道を走れば、そのまま狂人になる。「悪党の真似」と言って人を殺せば、ただの悪党だ。良い馬は、良い馬の真似をして駿馬になる。聖人を真似れば聖人の仲間入りが出来る。冗談でも賢人の道を進めば、もはや賢人と呼んでも過言ではない。

ブスの真似をすると、ただのブスになる。
可愛い人の真似をすれば、可愛い人の仲間入りが出来る。
冗談でも可愛い道を進めば、もはや可愛い人と呼ばれても過言ではない。
可愛いの真似事は可愛いんだ。

そんな事を考えながら、目の前でケーキを食べる友達のるかちゃんを見ている。恋とかじゃなく。
可愛いるかちゃんが好き。人として。

「おーい!りむ~どしたー?」
「えっ?うんうん。なんでもない」
ケーキを食べている可愛いるかちゃんに夢中でボーっとしていた。
「そっ!ならいいけど~」
「今日のるかちゃん前より可愛いなぁ~って」
私は可愛い人には普通に可愛いと言ってしまう。
当たり前の事は、ついつい言ってしまう。冗談では絶対に言わない。
「なにそれ~」
「事実を言ってるだけ~」
「ははははは」
「まぁ~私も負けてないけど」
「それ言いたいだけでしょ~」
「違うの!元気になってくれて良かったなぁ~って」
「うん!りむのお陰で元気だよ。いっぱい話聞いてくれてありがとね~」
「だって友達だもん!当たり前だよ~」
るかちゃんは男と別れて可愛くなった気がする。
モヤモヤした気持ちとかないと人は可愛く綺麗になるんだ。
表情も明るくなった。決して前が暗かったとかではない。
「そういえば~電話の人ってあれ誰?」
「わんころ」
「変な人?」
「うん。変な人」
「気を付けな~男なんてろくでもないのばっかだから~」
「うん。でも、わんころはあんまり人に興味無いからいいよ~」
「どゆこと?」
「そんな気がするだけ~特に害ないし、アレは」
「アレって~まぁいいけど」
「まぁ~悪い人間じゃないから。最近はモーニングコール頼んでるけど、忘れる事無くしてくれるし」
「なにそれ?謎過ぎ~仕事してるんだよね?その人」
「あ~してるしてる。職場行ったら普通に働いてたし。寧ろ、アレは働き過ぎだなぁ~。そんな人間だよ。アレは」
「そ~。まぁ~男だから気を付けなよ~」
「あ~全く興味無いから大丈夫!ペットみたいなもんだから~アレは」
「ははは」
「ははは」
そんな会話をしながらニコニコ笑い、色々と吹っ切れたるかちゃんは可愛く見えた。
散々、泣いていた。散々、愚痴を聞いた。その後、散々笑った。そして今日は久しぶりの女子会。
いつもの場所で、いつものを食べてるだけ。
でも、今日のるかちゃんは可愛く見えた。
そんな姿を見ると、私も今より可愛くなりたいと思う。
これからも一緒に可愛くなりたい。だって友達だから。
素敵な内側は抑えきれずに外側に溢れ出る。
あざとい可愛さなんて要らない。
私が好きなのは内側から溢れ出る可愛さ。
媚を売る可愛さなんて可愛さじゃない。
「るかちゃん元気そうで嬉しいなぁ~」
そんな事を死ぬ程伝えた久しぶりの女子会。
「おーい!りむ~帰るよ~」
「また家来る?」
「行く行く!チャチャちゃんとメーちゃんにも会いたいし~」
「じゃあ~家行こ~」
「行こ~」
お店を出て、バス停でバスを待つ間にるかちゃんに対する愛が爆発した。どうしても言いたくなった。
「るかちゃん!愛してる!」
「急にどした?」
「なんでもな~い。まぁ~これからも宜しくね~」
「はいはい。分かったから~バス来たよ」
「乗る乗る~」
そうしてバスに乗り込み、るかちゃんと仲良く家に向かった。





しおりを挟む

処理中です...