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要塞都市ルーク。
ガラテイン達は、多大な被害を出しながらも敵の精鋭を蹴散らし、正門の制御室の制圧に成功した。
ガラテインが正門前の様子を伺うと、先ほどまでは誰もいなかったはずの場所に敵が陣取っているのが見えた。
開門すれば敵が増える。
しかし、制圧している拠点はここしかない。
正門以外は敵の勢力下だ。
どちらにしろ時間をかければ他の門から敵が流入してくる。
ガラテインは、開門して正門を強行突破することにした。
「正門を開くぞ。
勇者達は、極大魔法で、正門の外にいる敵を一掃してくれ。
突撃してゼディーへ離脱しろ」
後衛の勇者達が詠唱を始めるのを確認すると、ガラテインは開門させた。
開門と同時に、複数の極大魔法が正門前の敵をなぎ払う。
「いまだ、いぞげ!」
勇者、冒険者、正規兵達は残った馬に相乗りし、正門を駆け抜けた。
ガラテインは、一人制御室に立てこもり、跳ね橋をあげ、正門を閉じると、皆が防御結界の外まで逃げ延びるのを待った。
敵が制御室に雪崩れ込んでくる。
ガラテインは、死体を盾にしつつ、応戦する。
元勇者たちも向かってきた。
ガラテインは、極大魔法を放ち、足止めする。
元勇者の剣士が飛び込んできた。
ガラテインは、攻撃をいなすと、喉元を切り裂いた。
次の剣士が切り掛かってきたので、死体を盾にぶちかます。
死体に剣を突き立て、貫通させて、敵に突き刺す。
剣を引き抜き、新手を両断する。
しばらく元勇者達との攻防が続き、ガラテインは満身創痍になっていた。
と、制御室の前が一瞬静かになった。
「ガラテイン、よく耐えた。開門してくれ。作戦を再開しよう」
ユキヒラの声だった。
ガラテインが外の様子を見ると、精鋭部隊が増援部隊と合流し、正門前で待機していた。ガラテインは、急いで開門した。
味方が正門を抜けて突入してきた。
正門を抜けたのを確認すると、防御結界を張り、正門を閉じた。
味方の正規兵、冒険者、勇者達が、正門の制御室前を固める。
ガラテインは制御室から出て状況を確認する。
残りの兵士達は周辺の魔物の討伐に当たっていた。
元勇者はすでにユキヒラが始末していた。
そして、ひと段落つくと、ユキヒラは、兵士達を率いて、他の制御施設の制圧に向かった。
……
敵の増援部隊が到着し、ルークを攻撃し始めたが、主要施設の守備は万全であり、街の防御結界を解除できずに、敵は攻めあぐねていた。
ユキヒラと冒険者達は、城壁の上から、敵を牽制し侵入者を最低限に抑えた。
4時間ほど持ち堪えると、味方の主力部隊が到着し、敵と結界の外で激突、撃退に成功した。その後、味方の主力部隊がルークに入城して、作戦完了となった。
勇者は、12名にまで減っていた。
2人は寝返った元勇者に殺され、2人は味方の足を引っ張ったため冒険者に殺され、4人は寝返って、ユキヒラに殺された。
皆一様に満身創痍だったが、戦士の面構えになっていた。
……
パンデモニアの前線が強固なものになると、大陸を離れていた冒険者や住人が戻り始め、街に活気が出てきた。
冒険者ギルドには大量の依頼があるので、冒険者たちは大忙しだった。
ユキヒラはゼディーの街を拠点に活動していた。
冒険者ギルドで掲示板を眺めていたら、ギルド長のエクシアにつかまり応接室で世間話に付き合わされていた。
ユキヒラが質問する。
「ヒューマノイドの国家が複数あったはずだが、結局どうなるのだ?」
「今は連合国として一致団結していますね。ただ、領土が広がれば、いくつかの国家は独立を主張するでしょう」
「国境線をどうするかで揉めそうだな」
「ですね、ほとんど貢献していない大国もありますので……。
別の大陸で国力を温存して、準備を整えてから、機を見て上陸するつもりなのだとおもいます。別の港町を拠点にして独自の領土を確保する計画なのでしょう。
ところでイサナミは今後も関与する予定はないのでしょうか?」
「イサナミは他国の政治や領土の拡大に興味がないからな。攻められれば、返り討ちにして、敵の本拠地を潰しに行くだろうが、過去に何度かそれをやって以降、魔界がイサナミに干渉してくることは無くなったな」
「強国はうらやましいです。増援要請の件、どうにかなりませんかね?」
「俺には何の権限もない。個人的に来ているだけだ。イサナミは損得では動かない。特に、今後、国境線問題やら何やらで足の引っ張り合いを始めそうな国なら、なおさら協力なんてしないだろうな。ちゃんと足並み揃えてからお願いしてみたらどうだ?」
「耳の痛い話です……。個人的に来てくださる方にあてはありませんか?」
「そんな奴がいればとっくに連れてきている」
「ですよね……」
……
一方その頃、ユーフィリアの港に四人の人影があった。
若い女性が二人、初老で細身の男性が一人、中年の大男が一人だ。
女の名はイナミとウズラ、初老の男はサイゾウ、大男はセイゲンという。
何もイサナミから来たヒューマノイドだ。
彼らはキサラギ家に付き従う、九尾衆という名の影衆の一派である。特に彼らは、ユキヒラ直属の親衛隊のような者達だ。
「ようやく着いたねー。若さま、驚くかなぁー?」
「イナミ、燥ぎ過ぎ。遊びじゃないから」
「ウズラはいちいちうるさいなぁー」
セイゲンが言う。
「とりあえず、冒険者ギルドとやらへカチコむぞ」
「セイゲンさん、物騒な言い方はやめようね……挨拶するだけだから」
イナミが引きながら言った。
ガラテイン達は、多大な被害を出しながらも敵の精鋭を蹴散らし、正門の制御室の制圧に成功した。
ガラテインが正門前の様子を伺うと、先ほどまでは誰もいなかったはずの場所に敵が陣取っているのが見えた。
開門すれば敵が増える。
しかし、制圧している拠点はここしかない。
正門以外は敵の勢力下だ。
どちらにしろ時間をかければ他の門から敵が流入してくる。
ガラテインは、開門して正門を強行突破することにした。
「正門を開くぞ。
勇者達は、極大魔法で、正門の外にいる敵を一掃してくれ。
突撃してゼディーへ離脱しろ」
後衛の勇者達が詠唱を始めるのを確認すると、ガラテインは開門させた。
開門と同時に、複数の極大魔法が正門前の敵をなぎ払う。
「いまだ、いぞげ!」
勇者、冒険者、正規兵達は残った馬に相乗りし、正門を駆け抜けた。
ガラテインは、一人制御室に立てこもり、跳ね橋をあげ、正門を閉じると、皆が防御結界の外まで逃げ延びるのを待った。
敵が制御室に雪崩れ込んでくる。
ガラテインは、死体を盾にしつつ、応戦する。
元勇者たちも向かってきた。
ガラテインは、極大魔法を放ち、足止めする。
元勇者の剣士が飛び込んできた。
ガラテインは、攻撃をいなすと、喉元を切り裂いた。
次の剣士が切り掛かってきたので、死体を盾にぶちかます。
死体に剣を突き立て、貫通させて、敵に突き刺す。
剣を引き抜き、新手を両断する。
しばらく元勇者達との攻防が続き、ガラテインは満身創痍になっていた。
と、制御室の前が一瞬静かになった。
「ガラテイン、よく耐えた。開門してくれ。作戦を再開しよう」
ユキヒラの声だった。
ガラテインが外の様子を見ると、精鋭部隊が増援部隊と合流し、正門前で待機していた。ガラテインは、急いで開門した。
味方が正門を抜けて突入してきた。
正門を抜けたのを確認すると、防御結界を張り、正門を閉じた。
味方の正規兵、冒険者、勇者達が、正門の制御室前を固める。
ガラテインは制御室から出て状況を確認する。
残りの兵士達は周辺の魔物の討伐に当たっていた。
元勇者はすでにユキヒラが始末していた。
そして、ひと段落つくと、ユキヒラは、兵士達を率いて、他の制御施設の制圧に向かった。
……
敵の増援部隊が到着し、ルークを攻撃し始めたが、主要施設の守備は万全であり、街の防御結界を解除できずに、敵は攻めあぐねていた。
ユキヒラと冒険者達は、城壁の上から、敵を牽制し侵入者を最低限に抑えた。
4時間ほど持ち堪えると、味方の主力部隊が到着し、敵と結界の外で激突、撃退に成功した。その後、味方の主力部隊がルークに入城して、作戦完了となった。
勇者は、12名にまで減っていた。
2人は寝返った元勇者に殺され、2人は味方の足を引っ張ったため冒険者に殺され、4人は寝返って、ユキヒラに殺された。
皆一様に満身創痍だったが、戦士の面構えになっていた。
……
パンデモニアの前線が強固なものになると、大陸を離れていた冒険者や住人が戻り始め、街に活気が出てきた。
冒険者ギルドには大量の依頼があるので、冒険者たちは大忙しだった。
ユキヒラはゼディーの街を拠点に活動していた。
冒険者ギルドで掲示板を眺めていたら、ギルド長のエクシアにつかまり応接室で世間話に付き合わされていた。
ユキヒラが質問する。
「ヒューマノイドの国家が複数あったはずだが、結局どうなるのだ?」
「今は連合国として一致団結していますね。ただ、領土が広がれば、いくつかの国家は独立を主張するでしょう」
「国境線をどうするかで揉めそうだな」
「ですね、ほとんど貢献していない大国もありますので……。
別の大陸で国力を温存して、準備を整えてから、機を見て上陸するつもりなのだとおもいます。別の港町を拠点にして独自の領土を確保する計画なのでしょう。
ところでイサナミは今後も関与する予定はないのでしょうか?」
「イサナミは他国の政治や領土の拡大に興味がないからな。攻められれば、返り討ちにして、敵の本拠地を潰しに行くだろうが、過去に何度かそれをやって以降、魔界がイサナミに干渉してくることは無くなったな」
「強国はうらやましいです。増援要請の件、どうにかなりませんかね?」
「俺には何の権限もない。個人的に来ているだけだ。イサナミは損得では動かない。特に、今後、国境線問題やら何やらで足の引っ張り合いを始めそうな国なら、なおさら協力なんてしないだろうな。ちゃんと足並み揃えてからお願いしてみたらどうだ?」
「耳の痛い話です……。個人的に来てくださる方にあてはありませんか?」
「そんな奴がいればとっくに連れてきている」
「ですよね……」
……
一方その頃、ユーフィリアの港に四人の人影があった。
若い女性が二人、初老で細身の男性が一人、中年の大男が一人だ。
女の名はイナミとウズラ、初老の男はサイゾウ、大男はセイゲンという。
何もイサナミから来たヒューマノイドだ。
彼らはキサラギ家に付き従う、九尾衆という名の影衆の一派である。特に彼らは、ユキヒラ直属の親衛隊のような者達だ。
「ようやく着いたねー。若さま、驚くかなぁー?」
「イナミ、燥ぎ過ぎ。遊びじゃないから」
「ウズラはいちいちうるさいなぁー」
セイゲンが言う。
「とりあえず、冒険者ギルドとやらへカチコむぞ」
「セイゲンさん、物騒な言い方はやめようね……挨拶するだけだから」
イナミが引きながら言った。
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