十六夜の先

キクイチ

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パンデモニア・オーダー

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 パンデモニア大陸、最北端の要塞都市カイン。

 宮廷の円卓には、アンカア卿を筆頭とする、〝魔界〟パンデモニアを統治する、12名の暗黒騎士、『パンデモニア・オーダー』が勢揃いしていた。

 個性的なフルフェイスのマスク、カブト、武器を除き、いずれも、統一された漆黒の鎧とローブを身にまとっている。

 パンデモニア大陸の統括機関『パンデモニア・オーダー』は、魔王直下に配属されている。
 パンデモニア・オーダーは、さらに、アッパー・オーダーとロア・オーダーに別れ、アッパー・オーダーは4名おり、他の8名に比べ、大きな権限を有している。また、ロア・オーダーは、8名おり、8名の総意がアッパー・オーダーの1名に相当する権限を持っていた。

 魔王
 ┗パンデモニア・オーダー
   ┗アッパー・オーダー
     ┣第1席、アンカア卿
     ┣第2席、ギルタブ卿
     ┣第3席、イザール卿
     ┣第4席、エニフ卿
     ┗ロア・オーダー
       ┣第5席、ミンタカ卿
       ┣第6席、シェアト卿
       ┣第7席、サビク卿
       ┣第8席、フェクダ卿
       ┣第9席、アルドラ卿
       ┣第10席、アルデラミン卿
       ┣第11席、アルジェナー卿
       ┗第12席、マルカブ卿
       (特別顧問:アルファ=ケイニス卿)
 
 特別顧問としてアルファ=ケイニス卿という暗黒騎士も、円卓に加わっていた。アルファ=ケイニスもパンデモニア・オーダー同様、漆黒の装備とローブを身にまとい、個性的なフルフェイスのマスクで顔を覆っていた。彼には議決権は与えられていなかった。あくまでもアドバイザーとしてパンデモニア・オーダーに参加しているのである。


……


 第5席ミンタカ卿が発言する。
「パンデモニアの反魔王軍にイサナミが手を貸していると聞いたが?」

 第12席マルカブ卿が返答する。
一刃ひとは流の家元いえもとが1名、冒険者として参戦していた模様です。
 先日、その配下のものが4名合流したそうです」

 第7席サビク卿が発言する。
家元いえもと……しかも一刃ひとは使いか、捨ておけんな。
 並の精鋭兵程度では話になるまい。
 対策はどうする?」

 特別顧問アルファ=ケイニス卿が口を開く。
「イサナミ使いならば、私の配下の者を差し向けましょう。
 敵わないにしても足止め程度になれば、敵の被害を増やせるでしょう」

 第3席イザール卿が発言する。
「ケイニス卿の子飼か。仕上がり具合はどの程度だ?」

 特別顧問アルファ=ケイニス卿が答える。
「火力の高い一刃ひとは使い対策を優先し、
 水面みなも使いを中心に取り揃えております。
 まだ浅いですが水底みなそこに到達している者も複数おりますので、
 その者達であれば、十六夜の先いざよいのさきでの致命傷は避けられるはずです。
 ですが、完全にとらえられた場合には即死はまぬがれません。
 こればかりは修練時間が必要になります」

 第3席イザール卿が返す。
水底みなそこか。
 短期間でよくそこまで育てたな。
 しかし惜しいな、もう少し時間を割きたいところだ。
 確実に勝てるようにするにはどれくらい必要だ?」

 特別顧問アルファ=ケイニス卿が答える。
「イサナミの最上級者相手に確実という言葉は通用致しません。
 できるだけ相性の悪い相手をぶつけて切り崩すしかないでしょう」

 第3席イザール卿が返す。
「まぁそうだな。わかった。期待している」

 特別顧問アルファ=ケイニス卿が答える。
「恐悦至極」


……


 アルファ=ケイニス卿は、要塞都市カインにある魔王軍の修練場に入った。
「アルギエバ、メラク、ジュバ、カフ、ミザール、アスピディスケ。
 出番です」

 ケイニス卿の元に、名前を呼ばれた暗黒騎士が集まる。
 
 ケイニス卿は続ける。
「みなさん、身の程をわきまえていますか?
 敵は最強の一刃ひとは使いの一人です。
 配下の影衆かげしゅう4名も生半可な腕前のはずがありません。
 確実に、みなさんよりも強いでしょう。
 そんな相手を足止めして何もできないようにしてください。
 みなさんが頑張って持ち堪えてくれた分だけ、敵をたくさん殺せます。
 それから、くれぐれも死なないようにしてください。
 みなさんを育てるのに大変な時間と労力が投入されているのです。
 わかりましたか?
 それがみなさんの仕事です。
 では、前線の部隊に合流してください。
 バンデモニア・オーダーに栄光を!」

「「「バンデモニア・オーダーに栄光を!」」」


……


 連合軍の前線基地、作戦本部。
 
 魔王軍の前線基地に増援部隊が合流しつつあり、進軍の準備を進めているとの情報が入った。
 
 すぐさま冒険者30名と勇者13名が本部に召集され、精鋭部隊と合流した。

 しかし、ユキヒラの姿はそこにはなかった。

 総指揮官ストークス卿は、ゼディーのギルド長エレノアに質問した。

「ユキヒラ殿はどうしたのだ?」

「2週間ほど前から、姿を消しています。
 何でも、パンデモニア奥地の調査に出たとかで……」

「それは困ったな。
 とは言え何者にも縛られることを嫌うイサナミの民。
 しかたあるまい」

「代わりに、セイゲン殿、ウズラ殿、イナミ殿が参戦してくださるそうです。
 そろそろ到着する頃かと思われます」

「そうか、それはよかった。
 敵の指揮官達の暗殺をお願いしよう。
 彼らが到着したら詳細説明を頼む」

「承知いたしました」


……


 女勇者ハルカは、前線部隊に戻された。
 新勇者の教育を優先して前線任務から外してもらえるかと思っていたが、
 ハルカは極大魔法の使い手なので、そう簡単にお役御免にならなかったのだ。

 ハルカの隣には、新勇者達と一緒に召喚された教師、女勇者ノゾミが憂鬱そうに立っている。彼女は、なぜか魔法適性が抜群に高く、簡単な極大魔法ならすぐに使えるようになったからだ。新勇者に先駆け、実践を経験させることに決まったのだ。運の悪い女である。ハルカは同情した。
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