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亜流
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パンデモニア大陸の西部にある港町、要塞都市スキュラ。
かつてのパンデモニア大陸の大国の一つ、シャルルビル公国は、この街の奪還作戦を進行していた。
戦端が開かれると同時に、公国海軍の勇者部隊による海上からの極大魔法の一斉掃射により、魔王軍の軍艦が次々と轟沈していく。
その隙に精鋭兵と冒険者による別働隊が、陸路から要塞内部に侵入し、街と港の主要施設の制圧に成功すると、主力部隊が上陸を開始、街と港を制圧した。
この作戦には、ユキヒラとサイゾウも参加していた。
二人は主要施設の制圧が終わると、精鋭部隊と共に宮殿へ向かった。
宮殿は別の部隊が担当していたのだが、二人が到着したときには既に壊滅状態だった。
この街の首領と近衛兵が異常な強さを誇っていたのだ。
彼らは、漆黒の鎧とローブを纏い、顔には独特な仮面をつけていた。
サイゾウが言う。
「あれが暗黒騎士です。やつらはイサナミの心得もあります」
ユキヒラが返す。
「亜流か。それなりの修練は積んでる感じだな」
そういうと、ユキヒラは気配を消して、暗黒騎士へ突撃した。
<不知火……>
3名の近衛兵の胴が両断された。
と、同時にサイゾウが、2名の近衛兵の首を落とす。
残りは首領と3名の近衛兵。
彼らはようやく異変に気づき、体制を整える。
が、既にユキヒラの間合いの中だ。
<落葉……>
残りの近衛兵が肉片と化した。
ユキヒラは首領に矛先を向ける。
首領は剣を構える。
イサナミの一刃使い特有の構えだ。
ユキヒラも相手の技量を見定めるように剣を構える。
一瞬の間。
<蒼三日月!!>
首領は剣もろとも、両断された。
「一刃使いのくせに紅のカケラもなかったな……」
ユキヒラが呟いた。
サイゾウが返す。
「所詮は亜流。しかし見覚えのある独特な型でした」
「ニカイドウかイチカワだな」
「魔界に流れたとなると、おそらくニカイドウかと」
……
連合軍の前線基地、作戦本部。
戦端が開かれる直前、6名の暗黒騎士が作戦本部に突入してきた。
その場にいたセイゲン、ウズラ、イナミの3名は、ストークス卿を守りつつ、応戦していた。
ストークス卿が叫ぶ。
「全軍に通達、魔王軍に突撃!」
ようやく戦端が開かれた。
ウズラが言う。
「こいつら水面使いだ。
イナミとお揃い、よかったね。
水底まで使う、浅いけど」
イナミが返す。
「亜流にしてはやるわね。浅いけど。
あと、私と一緒にしないでくれる?」
前線では、両軍による極大魔法の一斉掃射が始まっていた。
セイゲン達は、暗黒騎士を、作戦本部の外へ誘導する。
セイゲンが言う。
「俺たちの足止めが狙いか。
ウズラ!」
ウズラが返す。
「余裕」
ウズラが戦いながら片手でvサインをセイゲンにむけた。
それから3名は、黙々と暗黒騎士の相手を続けていた。
その数分後。
魔王軍の前線には、次々と敵の中隊指揮官と元勇者の首を狩る影があった。
セイゲンと、イナミだ。
セイゲンが言う。
「イナミ、敵の本陣は任せた。
俺はここで狩りを続ける」
イナミが返す。
「20分でしょ?
そろそろウズラに加勢した方が良いのでは?」
セイゲンが言う。
「馬鹿、2時間だ。ウズラなら大丈夫だ。
早く行け」
「……了解」
イナミは、敵の本陣へ向かった。
……
連合軍前線、後衛部隊。
元教師・女勇者ノゾミは、呆然として戦場を眺めていた。
近接戦闘が始まった直後は前線が拮抗していたが、急に味方の前線が進み始めたのだ。
「連合軍て強いのですね」
ノゾミは、隣にいるハルカに話しかけた。
「あー、それ、イサナミの人が加勢したからだよ。
敵の中隊長と元勇者を倒してくれてるの」
「イサナミですか……。確か遠くにある島国の強国ですよね。
国内は平和そうで羨ましいなぁ。移住できたりしませんかね?」
「勇者は無理じゃないかな……とくに極大魔法使える子は。
連合国が手放さないと思うよ」
「ですよね……」
……
ウズラは、セイゲン達と同じ気配のデコイを駆使し、暗黒騎士6名を足止めしていた。
<月影……漁火……水嵐……漁火……蒼月……水底……青海波……>
ウズラは月影使いだ。
その変幻自在の戦法は、敵の撹乱に特化している。
月影流は、難解な流派であり、一刃流とは違った意味で、習得が困難な流派である。型があるようでなく、ないようである、まさに色即是空・空即是色の世界なのだ。
小一時間ほど、戦っているとセイゲン達が合流してきた。
イナミが言う。
「おまたせ!」
背後から聞こえたイナミの声に、暗黒騎士達は一瞬、驚いたような反応をした。
と、その隙をつくように、セイゲンが1名の暗黒騎士を肩から切り裂く。
<蒼月!!>
さらにできた隙を、ウズラが、一名、仕留める。
<不知火!>
イナミも追従する。
<水嵐!>
残った暗黒騎士達は、水底で回避を試みるも、イナミの水嵐の威力が強烈すぎて、凄まじい剣戟が轟き、吹き飛ばされた。
手負いになった暗黒騎士達は、その場を離脱しようとする。
イナミが追い討ちをかける。
<明鏡止水!>
イナミが1名を屠ったのものの、残りの3名は離脱に成功して逃げて行った。
「追う?」
ウズラが言った。
セイゲンが返す。
「いあ、放っておいていい。
亜流の裏は取れた。本国に報告だ。
あれは、ニカイドウの筋だな」
かつてのパンデモニア大陸の大国の一つ、シャルルビル公国は、この街の奪還作戦を進行していた。
戦端が開かれると同時に、公国海軍の勇者部隊による海上からの極大魔法の一斉掃射により、魔王軍の軍艦が次々と轟沈していく。
その隙に精鋭兵と冒険者による別働隊が、陸路から要塞内部に侵入し、街と港の主要施設の制圧に成功すると、主力部隊が上陸を開始、街と港を制圧した。
この作戦には、ユキヒラとサイゾウも参加していた。
二人は主要施設の制圧が終わると、精鋭部隊と共に宮殿へ向かった。
宮殿は別の部隊が担当していたのだが、二人が到着したときには既に壊滅状態だった。
この街の首領と近衛兵が異常な強さを誇っていたのだ。
彼らは、漆黒の鎧とローブを纏い、顔には独特な仮面をつけていた。
サイゾウが言う。
「あれが暗黒騎士です。やつらはイサナミの心得もあります」
ユキヒラが返す。
「亜流か。それなりの修練は積んでる感じだな」
そういうと、ユキヒラは気配を消して、暗黒騎士へ突撃した。
<不知火……>
3名の近衛兵の胴が両断された。
と、同時にサイゾウが、2名の近衛兵の首を落とす。
残りは首領と3名の近衛兵。
彼らはようやく異変に気づき、体制を整える。
が、既にユキヒラの間合いの中だ。
<落葉……>
残りの近衛兵が肉片と化した。
ユキヒラは首領に矛先を向ける。
首領は剣を構える。
イサナミの一刃使い特有の構えだ。
ユキヒラも相手の技量を見定めるように剣を構える。
一瞬の間。
<蒼三日月!!>
首領は剣もろとも、両断された。
「一刃使いのくせに紅のカケラもなかったな……」
ユキヒラが呟いた。
サイゾウが返す。
「所詮は亜流。しかし見覚えのある独特な型でした」
「ニカイドウかイチカワだな」
「魔界に流れたとなると、おそらくニカイドウかと」
……
連合軍の前線基地、作戦本部。
戦端が開かれる直前、6名の暗黒騎士が作戦本部に突入してきた。
その場にいたセイゲン、ウズラ、イナミの3名は、ストークス卿を守りつつ、応戦していた。
ストークス卿が叫ぶ。
「全軍に通達、魔王軍に突撃!」
ようやく戦端が開かれた。
ウズラが言う。
「こいつら水面使いだ。
イナミとお揃い、よかったね。
水底まで使う、浅いけど」
イナミが返す。
「亜流にしてはやるわね。浅いけど。
あと、私と一緒にしないでくれる?」
前線では、両軍による極大魔法の一斉掃射が始まっていた。
セイゲン達は、暗黒騎士を、作戦本部の外へ誘導する。
セイゲンが言う。
「俺たちの足止めが狙いか。
ウズラ!」
ウズラが返す。
「余裕」
ウズラが戦いながら片手でvサインをセイゲンにむけた。
それから3名は、黙々と暗黒騎士の相手を続けていた。
その数分後。
魔王軍の前線には、次々と敵の中隊指揮官と元勇者の首を狩る影があった。
セイゲンと、イナミだ。
セイゲンが言う。
「イナミ、敵の本陣は任せた。
俺はここで狩りを続ける」
イナミが返す。
「20分でしょ?
そろそろウズラに加勢した方が良いのでは?」
セイゲンが言う。
「馬鹿、2時間だ。ウズラなら大丈夫だ。
早く行け」
「……了解」
イナミは、敵の本陣へ向かった。
……
連合軍前線、後衛部隊。
元教師・女勇者ノゾミは、呆然として戦場を眺めていた。
近接戦闘が始まった直後は前線が拮抗していたが、急に味方の前線が進み始めたのだ。
「連合軍て強いのですね」
ノゾミは、隣にいるハルカに話しかけた。
「あー、それ、イサナミの人が加勢したからだよ。
敵の中隊長と元勇者を倒してくれてるの」
「イサナミですか……。確か遠くにある島国の強国ですよね。
国内は平和そうで羨ましいなぁ。移住できたりしませんかね?」
「勇者は無理じゃないかな……とくに極大魔法使える子は。
連合国が手放さないと思うよ」
「ですよね……」
……
ウズラは、セイゲン達と同じ気配のデコイを駆使し、暗黒騎士6名を足止めしていた。
<月影……漁火……水嵐……漁火……蒼月……水底……青海波……>
ウズラは月影使いだ。
その変幻自在の戦法は、敵の撹乱に特化している。
月影流は、難解な流派であり、一刃流とは違った意味で、習得が困難な流派である。型があるようでなく、ないようである、まさに色即是空・空即是色の世界なのだ。
小一時間ほど、戦っているとセイゲン達が合流してきた。
イナミが言う。
「おまたせ!」
背後から聞こえたイナミの声に、暗黒騎士達は一瞬、驚いたような反応をした。
と、その隙をつくように、セイゲンが1名の暗黒騎士を肩から切り裂く。
<蒼月!!>
さらにできた隙を、ウズラが、一名、仕留める。
<不知火!>
イナミも追従する。
<水嵐!>
残った暗黒騎士達は、水底で回避を試みるも、イナミの水嵐の威力が強烈すぎて、凄まじい剣戟が轟き、吹き飛ばされた。
手負いになった暗黒騎士達は、その場を離脱しようとする。
イナミが追い討ちをかける。
<明鏡止水!>
イナミが1名を屠ったのものの、残りの3名は離脱に成功して逃げて行った。
「追う?」
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