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北上
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シャルルビル公国は増援部隊と合流後、順調に軍を進め、要塞都市ステンノーを制圧。続いて、要塞都市エウリュアレー、要塞都市メドゥーサと連勝を重ね、ゴルゴーン地方を制圧することで、前線を強固なものにした。
一方、連合国は、要塞都市エリューデイル、要塞都市リエル、要塞都市ガイゼルヘルの制圧に成功したものの、要塞都市ブリュンヒルデにおいて、暗黒騎士に大苦戦し、勇者部隊の前衛が壊滅してしまった。
新勇者の指導を担当していた勇者アツヤも戦死してしまったため、ギルド長のガラテインが前衛の教官を兼務することになったのだが、アツヤの死は、新勇者達に暗い影を落としていた。最近は皆一様に元気がなくなっていた。特に前衛職の子供達は、防御能力に秀でた勇者アツヤですら生き延びられない戦場の過酷さを思い知らされていたようだった。
……
ユキヒラ達は、要塞都市エウリュアレーで、サイゾウと合流していた。
ユキヒラがサイゾウに聞く。
「で、本国はなんて言ってた?」
「龍泉が魔界に遠征するそうです」
龍泉とは、イサナミの軍隊の一つで、60名ほどの猛者の集団だ。
「これで魔王も代替わりか」
「修羅と亜流を狩り尽くすまでは止まらないでしょう」
「パンデモニアは?」
「各流派の家元が8名派遣されるそうです。各々、直属の影衆《かげしゅう》も付き従う予定です」
「俺になにか指令は出てる?」
「『好きにしろ』とのことです。派遣される家元達にも同様の指示が出ています」
「だれが来るんだ?」
「水面は、シズカ、ミズナ、シズク、
一刃は、トシヨシ、サクヤ、
月影は、ムネミツ、ムネノリ、ムネヨシです。
数日中にはユーフィリアに上陸予定です」
「トシさんとサクヤが来るのか。まぁ、そうなるか。
水面勢は、無難なところを出してきたな。
月影は、ムネヨシか。狩り尽くす気満々だな。
月影には、ついでに連合国の内通者狩りでも依頼したらどうだ?
虎目衆もついてくるのだろ?」
「あの3人にやらせると、街中が大混乱になりますよ」
「あの3人が連合国に関わるなら、放っておいても狩り始めるぞ」
「……たしかに。連合国に一報入れておきましょうか?」
「そうした方がいいな。文化が違いすぎるから」
「御意」
「それじゃ、サイゾウさんも戻ってきたし、
要塞都市カインに行くか。
連合国に一報いれるのはイナミに任せよう。
旅の準備だ」
……
ユキヒラ達は、エウリュアレーを出発すると、パイア、オルトロス、ネメアー、デルピュネーと、立て続けに、要塞都市の宮廷の暗黒騎士を屠りながら東へ進んだ。
ユーフィリアに報告にいったイナミとは、要塞都市エキドナで合流、その後は、北上し、テウメッサ近郊で野営した。
イナミはユーフィリアの冒険者ギルドで、他の家元達と鉢合わせたらしい。
ユキヒラが敵の本拠地に向かっていることを知った家元達は、影衆をユーフィリアに残して、イナミについてきてしまったのだ。
ただ、月影の家元3名は、連合国の依頼を受けユーフィリアに残り、早速、連合国の内通者狩りを始めたらしい。イナミ達が準備を整えてユーフィリアを出発するころには、街の至る所で悲鳴が上がっていたそうだ。
イサナミの協力を得た連合国は、エキドナへ侵攻。ユキヒラ達を追うようにパイア、オルトロス、ネメアー、デルピュネーを制圧したシャルルビル公国軍とエキドナで合流した。
イサナミの影衆達はシャルルビル公国軍と連合軍に別れて協力することになり、西部はシャルルビル公国軍が、東部は連合軍が攻略を続けることになった。
連合軍の内通者狩りがひと段落した月影の家元3名は、ユキヒラ達に合流するため、影衆を残して、北上した。
彼らがユキヒラ達と合流したのは、大陸の中心付近の砂漠地帯に在る要塞都市タルタロス近郊だった。
タルタロスには、修練場があり、多数の暗黒騎士がいる。
パンデモニア・オーダーの第8席フェクダ卿、第9席アルドラ卿、第10席アルデラミン卿が治める魔王軍の主要都市だ。
先行して調査したサイゾウによれば、パンデモニア・オーダーは、すでに北へ逃げたらしい。
ユキヒラ達は、タルタロスに侵入を開始した。
気配を消して、結界を通過し、そのまま、外壁にたどり着くと、皆は、黄色い砂のようなものに魔力を通し、壁面に張り付く石板のように変化させ、その上に乗り、壁沿いに滑るように石板を上昇させた。
近くの壁の上にいる暗黒騎士は、月影の家元達が瞬殺してしまった。彼らは、壁の上を走って、他の暗黒騎士の殲滅に向かう。
残りのメンバーは、要塞都市内部に降り、分散して主要施設を守護する暗黒騎士の殲滅に向かった。
宮殿前で合流し、突入開始。
修練場は、水面の家元達が、宮廷内の他の場所は月影の家元達が担当した。
残りのメンバーは、玉座の間へ向かい、暗黒騎士の首領と近衛兵と対峙した。
ユキヒラ、トシヨシ、サクヤが突撃する。
敵は極大魔法を放ってくるが、水底で受け流す。
3人はそのまま、近衛兵を両断し殲滅する。
残りのメンバーは、伏兵の処理にあたる。
トシヨシが、首領に矛先を向けると、首領が剣を構える。
ユキヒラとサクヤは、周辺に敵の気配がなくなったことを確認すると、剣を鞘に納める。
首領が、攻撃する
<蒼月!>
と、同時に、トシヨシが反撃する
<蒼月!>
首領の攻撃が相殺され、剣が折れる。
トシヨシは剣を鞘に納める。
と、首領の体が、肩から分断された。
ユキヒラが言う。
「紅が少しだけ見えたな」
トシヨシが返す。
「戦士としての才能は悪くなかった。
だが、良い師に恵まれなかったな。
魔人にも紅を持つものがいるのだな。
初めて見たよ。
さて、皆と合流して北を目指そう」
ユキヒラ達は、さらに北を目指した。
一方、連合国は、要塞都市エリューデイル、要塞都市リエル、要塞都市ガイゼルヘルの制圧に成功したものの、要塞都市ブリュンヒルデにおいて、暗黒騎士に大苦戦し、勇者部隊の前衛が壊滅してしまった。
新勇者の指導を担当していた勇者アツヤも戦死してしまったため、ギルド長のガラテインが前衛の教官を兼務することになったのだが、アツヤの死は、新勇者達に暗い影を落としていた。最近は皆一様に元気がなくなっていた。特に前衛職の子供達は、防御能力に秀でた勇者アツヤですら生き延びられない戦場の過酷さを思い知らされていたようだった。
……
ユキヒラ達は、要塞都市エウリュアレーで、サイゾウと合流していた。
ユキヒラがサイゾウに聞く。
「で、本国はなんて言ってた?」
「龍泉が魔界に遠征するそうです」
龍泉とは、イサナミの軍隊の一つで、60名ほどの猛者の集団だ。
「これで魔王も代替わりか」
「修羅と亜流を狩り尽くすまでは止まらないでしょう」
「パンデモニアは?」
「各流派の家元が8名派遣されるそうです。各々、直属の影衆《かげしゅう》も付き従う予定です」
「俺になにか指令は出てる?」
「『好きにしろ』とのことです。派遣される家元達にも同様の指示が出ています」
「だれが来るんだ?」
「水面は、シズカ、ミズナ、シズク、
一刃は、トシヨシ、サクヤ、
月影は、ムネミツ、ムネノリ、ムネヨシです。
数日中にはユーフィリアに上陸予定です」
「トシさんとサクヤが来るのか。まぁ、そうなるか。
水面勢は、無難なところを出してきたな。
月影は、ムネヨシか。狩り尽くす気満々だな。
月影には、ついでに連合国の内通者狩りでも依頼したらどうだ?
虎目衆もついてくるのだろ?」
「あの3人にやらせると、街中が大混乱になりますよ」
「あの3人が連合国に関わるなら、放っておいても狩り始めるぞ」
「……たしかに。連合国に一報入れておきましょうか?」
「そうした方がいいな。文化が違いすぎるから」
「御意」
「それじゃ、サイゾウさんも戻ってきたし、
要塞都市カインに行くか。
連合国に一報いれるのはイナミに任せよう。
旅の準備だ」
……
ユキヒラ達は、エウリュアレーを出発すると、パイア、オルトロス、ネメアー、デルピュネーと、立て続けに、要塞都市の宮廷の暗黒騎士を屠りながら東へ進んだ。
ユーフィリアに報告にいったイナミとは、要塞都市エキドナで合流、その後は、北上し、テウメッサ近郊で野営した。
イナミはユーフィリアの冒険者ギルドで、他の家元達と鉢合わせたらしい。
ユキヒラが敵の本拠地に向かっていることを知った家元達は、影衆をユーフィリアに残して、イナミについてきてしまったのだ。
ただ、月影の家元3名は、連合国の依頼を受けユーフィリアに残り、早速、連合国の内通者狩りを始めたらしい。イナミ達が準備を整えてユーフィリアを出発するころには、街の至る所で悲鳴が上がっていたそうだ。
イサナミの協力を得た連合国は、エキドナへ侵攻。ユキヒラ達を追うようにパイア、オルトロス、ネメアー、デルピュネーを制圧したシャルルビル公国軍とエキドナで合流した。
イサナミの影衆達はシャルルビル公国軍と連合軍に別れて協力することになり、西部はシャルルビル公国軍が、東部は連合軍が攻略を続けることになった。
連合軍の内通者狩りがひと段落した月影の家元3名は、ユキヒラ達に合流するため、影衆を残して、北上した。
彼らがユキヒラ達と合流したのは、大陸の中心付近の砂漠地帯に在る要塞都市タルタロス近郊だった。
タルタロスには、修練場があり、多数の暗黒騎士がいる。
パンデモニア・オーダーの第8席フェクダ卿、第9席アルドラ卿、第10席アルデラミン卿が治める魔王軍の主要都市だ。
先行して調査したサイゾウによれば、パンデモニア・オーダーは、すでに北へ逃げたらしい。
ユキヒラ達は、タルタロスに侵入を開始した。
気配を消して、結界を通過し、そのまま、外壁にたどり着くと、皆は、黄色い砂のようなものに魔力を通し、壁面に張り付く石板のように変化させ、その上に乗り、壁沿いに滑るように石板を上昇させた。
近くの壁の上にいる暗黒騎士は、月影の家元達が瞬殺してしまった。彼らは、壁の上を走って、他の暗黒騎士の殲滅に向かう。
残りのメンバーは、要塞都市内部に降り、分散して主要施設を守護する暗黒騎士の殲滅に向かった。
宮殿前で合流し、突入開始。
修練場は、水面の家元達が、宮廷内の他の場所は月影の家元達が担当した。
残りのメンバーは、玉座の間へ向かい、暗黒騎士の首領と近衛兵と対峙した。
ユキヒラ、トシヨシ、サクヤが突撃する。
敵は極大魔法を放ってくるが、水底で受け流す。
3人はそのまま、近衛兵を両断し殲滅する。
残りのメンバーは、伏兵の処理にあたる。
トシヨシが、首領に矛先を向けると、首領が剣を構える。
ユキヒラとサクヤは、周辺に敵の気配がなくなったことを確認すると、剣を鞘に納める。
首領が、攻撃する
<蒼月!>
と、同時に、トシヨシが反撃する
<蒼月!>
首領の攻撃が相殺され、剣が折れる。
トシヨシは剣を鞘に納める。
と、首領の体が、肩から分断された。
ユキヒラが言う。
「紅が少しだけ見えたな」
トシヨシが返す。
「戦士としての才能は悪くなかった。
だが、良い師に恵まれなかったな。
魔人にも紅を持つものがいるのだな。
初めて見たよ。
さて、皆と合流して北を目指そう」
ユキヒラ達は、さらに北を目指した。
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