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リインカーネーション
TiS THE VOiCE OF THE ROTTiNG CADAVER#1
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────ルフィリア(人狼ルーノ種、英知の湖の守人、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)
「これ、お土産」
ゼディーさんが、データチップをくれた。
「すわっ! もしや……」
「うん……俺にはよくわからないから内容は保証しない」
「いえいえ、助かります。あまり入手できないからすごーく助かります。
どこ産ですか?
ラフィノスやヴェルキエーレにそんな人いないだろうし、
ニブルヘイムにもいませんよね?
最近はヨトゥンヘイムルートは絶たれましたし、
今はルーノ内での自給自足で困っていたのですよ……」
「アストレア産といったところかな? ヒューマノイド」
「ああ、今、たくさん集結してるっていう。どこかの移動要塞ですか?」
「うん、シャノン学派。なんかすごい勢いで量産されてたよ」
「えええええええ!!! じゃ、さらに増えるのですか!?」
「まぁ、そうみたいだけど、そんなに貴重な人材?」
「とーぜんです! まぁ、内容次第ですが、創作意欲というのはノル=バイナリーの価値をはるかに超えますから!」
「まぁ、4名だけだから、サンプルとして特別にニダヴェリールで預かって生体データ採取してみる?」
「ぜひっ! でもよろしいのですか?」
「たくさんいるから、4名くらいは問題ないよ」
「それに、ルーノの研究所で実物の生体データを観測した方が、
技術の底上げになるだろしね。ルーノの学者はレベル低すぎるよ。
早めになんとかしたほうがいいとおもう」
「そうですよね。私も気になってます。申し訳ありません。
でも、ロクシーさま、4名の引き取り、許してくれますかね?」
「そこまで必死なら、俺から言っとく。
とりあえず、内容見てから決めたら?
って早速見てるのか……」
「これは……!!
逸材です! 荒削りですが4名とも将来性を感じます!
というか、一人、とてつもない天才がいますね。
ぜひ、ルーノにください! お願いします!」
「いいけど、あくまでも生体サンプルだから、私的利用はほどほどにね」
「はい、心得ています。ルーノの至宝にします」
「大げさだな……」
数日後、本体装置から分離された4名分の転生装置がアストレアから運び込まれて来た。
「ゼディーさん、この子たち大丈夫そうですか?」
「ああ、問題ない。健康そのものだよ。それにこの子たちは面白いな」
「ええ? ついにゼディーさんもよさが理解できるようになったのでしょうか?」
「え? ああ、そっちはまるで理解できないよ。ごめん」
「どういうことです?」
「いま、この子たち、仕事を放り出して創作に専念してるんだけど」
「おお! 素晴らしい、ほんとうにいい子達ですね……」
「……あはは。
俺が面白いっていってるのは、この子たち、1日分の課題をこなす他のヒューマノイドより、3倍から5倍くらいのスピードで深度が深くなってるんだ。
創作ってのは大したものなのかもしれないな」
「へー、やっぱりこの子達はルーノの至宝確定ですね!
通信はできないのですか?
お話をしてみたいです。どうせ事情をなにもしらないのでしょ?
不安で泣いてるかもしれませんね」
「ないこともないけど、この子たち、通信手段を知らされていないみたいだ。
連絡が全くつかない。
アストレアに着いた時には、この4名だけ予備区画に切り離されてたよ。
シャノン学派がバタバタしてせいで、浅瀬にいる新入りの面倒なんか見きれなくなったってところだろうな。
こうなるともう中から連絡を待つしかない。
データベース経由で連絡できないかなっておもったけど、
予備区画だからか外からじゃ書き込みができないようになってる。
改造するにしても装置を解体しない限り無理。
解体したら、中の子たちは即死だ。
通信方法は内部のデータベース漁れば見つけられるとおもうけど、それに気づいてくれるかどうかだろうね。
着信ログはここにたまるから、これに返信すれば、リンクできるようになるから
話せるようにもなるよ」
「わかりました。気長に待ってみます!
ところで作品はどうやれば確認できますか?」
「こっちのデータベースに溜まる」
「なるほど、おー、さらに増えてる、しかも完成度がどんどん上がってる。
ゼディーさん! 本当にありがとうございます!」
「いあ、気にするな。リシアとロクシーが苦労をかけてばかりだからな。
宮廷勤めは大変だろ? ちゃんと休暇とってるか?」
「あー……取れてないかもです」
「なら俺からロクシーに言っておこうか?」
「うーん……この子達を見守ってから休暇をとろうと思います」
「結構かかるよ。この子たちかなり浅瀬にいるからね。
先にとっておいた方がいいと思う。
1週間くらいしたら、ククリが帰ってくるから、その時がチャンスだ」
「ククリさん、もう戻られるのですか?
まだ2千年くらいは滞在するかとおもってたのに
何かあったのでしょうか?」
「ティフォーニアとルークがククリを欲しがって、正式にアストレア入りさせようとしてたらしい。それにロクシーが気づいて、ニダヴェリールに滞在させて支援するって方針に変えたんだってさ」
「複雑な恋愛事情ですよね、ククリさん。
こっちは見ていて楽しいですけど」
「あはは。まぁ、ククリは自覚ないからそれが問題をひろげてるよね。
でも、ロクシーは、はっきり言ったみたいだよ?」
「ついに告白ですか?」
「そっちじゃなくて、ルークのこと」
「でもククリさんルークさんのこと普通の友達だって信じきってますよね?」
「うん。まるで理解できなかったらしい。
それが予想できたから、ロクシーは強制送還を決めたって言ってた」
「これからが、面白そうですね」
「まぁな。どちらにしろルークの負けは最初から決まってたけどな」
「ほんとに聡明な方なのに、どうしてあそこまで残念なのでしょうか?」
「俺が知りたいよ。わかったら教えてくれる?」
「たぶん、だれも理解できない領域だとおもいます。
ククリさんの鈍感さ並に」
「ククリは劣悪な環境で育ったから、
愛情を受け入れることにトラウマがあるのかもな。
昔のティフォーニアみたいな感じだとおもう」
「へー、それは初耳です。私が聞いても良いことですか?」
「休暇の時にでも話をしてやるよ」
「じゃ、ククリさんが戻ったら休暇とってニブルヘイムに伺いますね」
「俺もその頃には時間取れるようになってるはずだから、来る前に連絡してくれ」
「はい、ありがとうございます」
……
久々の休暇を満喫し、元気いっぱいで研究所に訪れた時、転生装置の異変に気づいた。生命維持に関すること以外は研究者には触れさせないようにしていたため、誰も気づかなかったのだろう。
着信記録がたくさんたまっていたのだ。
中の子に悪いことしちいましたね。
不安だったろうな。
待望のご対面はまだ先だが、ルーノの未来を担う若き子供達とのファーストコンタクトである。
私は、通話機能を有効にして送信元へ返信してみた。
映像通話ができればいいのに、ゼディーさんにお願いしておくんだった。
「……もしもし?」
きましたわー!!
「もしもし、私はルフィリアと言います。
今の君たちの保護者みたいなものです。
あなたはミヅキかしら?」
「あ、はい、ミヅキです!
初めまして、ルフィリアさん。
あの、もし可能であれば私たちの状況を教えていただけませんか?
ずいぶん長いこと4人だけだったので、とても不安でした」
「そうよね。不安だったよね。でももう大丈夫だから、安心していいわよ。
ところで、あなたたちは今の状況についてどこまで知らされているのかしら?」
「……えーと、何も知らされていません。
ただ、目に見えて精神的な変化が現れたので、
何か体を改造されてるのかな? って思ってます。
やっぱり、そうなのでしょうか?」
「そばに、ミユキ、ハルカ、ユキヒロはいる?
この通信、皆んなに聞こえてるかしら?」
「はい、全員います。聞こえています」
「とりあえず、自己紹介をちゃんとしておくわね。
私は、ルーノ族の人狼です。
今、ニダヴェリールという、あなたたちがいた世界とは全く別の世界にいます。
あなたたちが閉じ込められている装置の直ぐ近くで話をしているの。
どこまで理解できる?」
「ユグドラシルの世界の外にある外郭世界ということですよね?
ルーノ族はニダヴェリールの人狼だということも知っています」
「素晴らしい。その通り。
私は、ニダヴェリールで宮廷第一補佐官という役職についていて、シャノン学派に隔離されていたあなたたち4名を預かり受けたものです。
最初にいったけど、いまのあなたたちの保護者みたいなものだと思ってください。
それでね、これから話すことはあなた達にとって、とてもショックなことかもしれないから、覚悟して聞いてほしいの。
心の準備はできてる?
時間が必要かしら?」
「大丈夫です、皆んな覚悟はできてます」
「よろしい。
では、話すわね。
シャノン学派は、あなたたちヒューマノイドを私たちルガルのような高次元の知的生命体に改造する研究を進めていたの。
戦闘行為を目的として設計されているから、ヒューマノイドの姿とは異なる容姿になってしまうの。
一度、この装置に投入されると、深淵の底に到達するまでは出ることができなくなるの。
無理に出そうとすると死んじゃうから出してあげたくてもだせないの。
でもね、いくつかのシャノン学派の要塞で、深淵の底に到達して出てこられた子達がいてね、その子たちの状態を調べたら、変化した容姿への違和感や嫌悪感を感じる子はまだ一人もでてないの。
たぶん、脳の構造が変化して自分の体への違和感が緩和されるのではないかって考えられてる。
ただ、あなたたち、デネブの要塞で開発されていた種族はまだ一人も深淵の底に到達していないから、どうなるかはあなたたちの先輩の状況次第なの」
「……あの」
「はい、なんでしょう?」
「かなり前から誰もいなくなったのですが、
先輩達はどこへ行ったのでしょう?
もっと深くですか?」
「理由はわからないけど、あなた達は先輩達がいる装置から、
予備装置に移されて切り離されてされていたの。
完全に孤立状態だったのよ」
「なるほど……では先輩達もニダヴェリールにいるのでしょうか?」
「ううん。他のシャノン学派の研究装置と一緒に、アストレアという都市に集められているわ」
「私たち4人だけ、ニダヴェリールにいるのですか?」
「うん、ごめんね、私が気に入っちゃって、あなた達を引き取らさせてもらったの。
その、奴隷とか改造とか目的ではなくて、ちゃんとルーノ族の一員として迎え入れるから、心配しないでほしいの」
「どうして私たち4人なのですか?」
「あなた達の創作作品を気に入ったから、ぜひルーノ族に向かい入れたいってアストレアに申し入れたの。この世界では、そういうのなかなか手に入らないから、とっても貴重なのよ。
理解できない人もおおいけど、大好きな人にとっては貴重なものなの。
安心してね、無理に書かせようってことじゃないから。
私の趣味を理解できる人が少しでも多く側にいてくれたら、嬉しいからあなた達を受け入れたかったの」
「趣味ですか?」
「うん、いろんなジャンルの本を読むのがすきなのよ。
一通り読ませてもらってるけど、みんな才能あるわよね。
とくにハルカの初期の作品は天才的だとおもうわ。
いまの作風もすてきだけど、初期の作品には劣ると思うのよね。
どうして作風かえちゃったのかしら?」
「……。ハルカと変わりますね」
「初めまして! ルフィリアさん! ハルカです。
私の作品を評価していただいてとてもうれしいです!
みんなから不評だったので、テーマに制限を設けられてしまって別のジャンルに挑戦していたんです。どうしてみんなわからないのかなーって思ってました。
やっぱり、分かる人にはわかるんですね!
ルフィリアさんて素晴らしい方ですね!
ちょっと! ミユキ、なにすんの!? まだ話してる最中だから……」
「中断しちゃってすみません。ミユキです。
話が終わらなくなりそうなので、肝心なことを先に教えていただいてよろしいですか?」
「え? あら、そうねごめんね、私ったらつい……。ハルカまたあとでお話しましょうね。ミユキの質問はなにかしら?」
「えっと、今の私たちの体ってどんな容姿に改造されてしまったのでしょうか?」
「あらそうね。ミヅキあてにデータを送るから覚悟してから見てね」
「そんなにかわってます?」
「変わってないところと大きく変わったところが極端なのよ。
ショックうけるかも……」
「誰か性別は変わりました?」
「みんな女の子のままだけど? あれ? 男の子いたの? ユキヒロのデータみたら男性って書いてあるわね。先に作品読んだから女の子だとおもってた。気づかなかった、ごめんね」
通信機越しにみんなの笑い声が聞こえた。
「これから私たちどうすればよいのでしょう?」
「とにかく底に到達しないといけないから、どんどん楽しんで創作しちゃってね。
みんな素晴らしいから期待してる、でも無理はしないでね、ちゃんと休憩取りながらやってね。
あなたの先輩達より、3倍から5倍の速さで進んでるみたいだから、そこから出るのは、創作し続けるのが一番だと思うの。
同じ趣味の子たちに販売しておいてあげるから、印税は期待していいわ。
あなた達、ここから出てきた時は人気作家になってるわよ。
私が保証する」
「あはは、ルフィリアさん面白い人ですね。
ずーっと不安だったけど、ようやくほっとできそうです。
でも、新しい自分の姿見るのは怖いかな……」
「悩み事の相談はいつでも乗るから気軽に連絡してね。近い内に私の端末にも接続してもらって、映像通話できるようにするからね。大変だろうとおもうけど、私も、ルーノ族もあなた達を全力で支援するから、家族だとおもって頼ってくれていいのよ」
「ありがとうございます。これからよろしくおねがいします。
ほかの3人もそういってます」
「はい、こちらこそよろしくね」
「それじゃ、データを送るから、本当に覚悟を決めてから見てね」
「はい」
彼女たちの生体情報を送信した。
予想どおりみんないい子達だ。
ルーノの未来も明るいわね。
でも、あの姿みたらしばらく何もできないかも……。
早めに映像通話できるようにゼディーさんにお願いしておこう。
心のケアが大変そう。
「これ、お土産」
ゼディーさんが、データチップをくれた。
「すわっ! もしや……」
「うん……俺にはよくわからないから内容は保証しない」
「いえいえ、助かります。あまり入手できないからすごーく助かります。
どこ産ですか?
ラフィノスやヴェルキエーレにそんな人いないだろうし、
ニブルヘイムにもいませんよね?
最近はヨトゥンヘイムルートは絶たれましたし、
今はルーノ内での自給自足で困っていたのですよ……」
「アストレア産といったところかな? ヒューマノイド」
「ああ、今、たくさん集結してるっていう。どこかの移動要塞ですか?」
「うん、シャノン学派。なんかすごい勢いで量産されてたよ」
「えええええええ!!! じゃ、さらに増えるのですか!?」
「まぁ、そうみたいだけど、そんなに貴重な人材?」
「とーぜんです! まぁ、内容次第ですが、創作意欲というのはノル=バイナリーの価値をはるかに超えますから!」
「まぁ、4名だけだから、サンプルとして特別にニダヴェリールで預かって生体データ採取してみる?」
「ぜひっ! でもよろしいのですか?」
「たくさんいるから、4名くらいは問題ないよ」
「それに、ルーノの研究所で実物の生体データを観測した方が、
技術の底上げになるだろしね。ルーノの学者はレベル低すぎるよ。
早めになんとかしたほうがいいとおもう」
「そうですよね。私も気になってます。申し訳ありません。
でも、ロクシーさま、4名の引き取り、許してくれますかね?」
「そこまで必死なら、俺から言っとく。
とりあえず、内容見てから決めたら?
って早速見てるのか……」
「これは……!!
逸材です! 荒削りですが4名とも将来性を感じます!
というか、一人、とてつもない天才がいますね。
ぜひ、ルーノにください! お願いします!」
「いいけど、あくまでも生体サンプルだから、私的利用はほどほどにね」
「はい、心得ています。ルーノの至宝にします」
「大げさだな……」
数日後、本体装置から分離された4名分の転生装置がアストレアから運び込まれて来た。
「ゼディーさん、この子たち大丈夫そうですか?」
「ああ、問題ない。健康そのものだよ。それにこの子たちは面白いな」
「ええ? ついにゼディーさんもよさが理解できるようになったのでしょうか?」
「え? ああ、そっちはまるで理解できないよ。ごめん」
「どういうことです?」
「いま、この子たち、仕事を放り出して創作に専念してるんだけど」
「おお! 素晴らしい、ほんとうにいい子達ですね……」
「……あはは。
俺が面白いっていってるのは、この子たち、1日分の課題をこなす他のヒューマノイドより、3倍から5倍くらいのスピードで深度が深くなってるんだ。
創作ってのは大したものなのかもしれないな」
「へー、やっぱりこの子達はルーノの至宝確定ですね!
通信はできないのですか?
お話をしてみたいです。どうせ事情をなにもしらないのでしょ?
不安で泣いてるかもしれませんね」
「ないこともないけど、この子たち、通信手段を知らされていないみたいだ。
連絡が全くつかない。
アストレアに着いた時には、この4名だけ予備区画に切り離されてたよ。
シャノン学派がバタバタしてせいで、浅瀬にいる新入りの面倒なんか見きれなくなったってところだろうな。
こうなるともう中から連絡を待つしかない。
データベース経由で連絡できないかなっておもったけど、
予備区画だからか外からじゃ書き込みができないようになってる。
改造するにしても装置を解体しない限り無理。
解体したら、中の子たちは即死だ。
通信方法は内部のデータベース漁れば見つけられるとおもうけど、それに気づいてくれるかどうかだろうね。
着信ログはここにたまるから、これに返信すれば、リンクできるようになるから
話せるようにもなるよ」
「わかりました。気長に待ってみます!
ところで作品はどうやれば確認できますか?」
「こっちのデータベースに溜まる」
「なるほど、おー、さらに増えてる、しかも完成度がどんどん上がってる。
ゼディーさん! 本当にありがとうございます!」
「いあ、気にするな。リシアとロクシーが苦労をかけてばかりだからな。
宮廷勤めは大変だろ? ちゃんと休暇とってるか?」
「あー……取れてないかもです」
「なら俺からロクシーに言っておこうか?」
「うーん……この子達を見守ってから休暇をとろうと思います」
「結構かかるよ。この子たちかなり浅瀬にいるからね。
先にとっておいた方がいいと思う。
1週間くらいしたら、ククリが帰ってくるから、その時がチャンスだ」
「ククリさん、もう戻られるのですか?
まだ2千年くらいは滞在するかとおもってたのに
何かあったのでしょうか?」
「ティフォーニアとルークがククリを欲しがって、正式にアストレア入りさせようとしてたらしい。それにロクシーが気づいて、ニダヴェリールに滞在させて支援するって方針に変えたんだってさ」
「複雑な恋愛事情ですよね、ククリさん。
こっちは見ていて楽しいですけど」
「あはは。まぁ、ククリは自覚ないからそれが問題をひろげてるよね。
でも、ロクシーは、はっきり言ったみたいだよ?」
「ついに告白ですか?」
「そっちじゃなくて、ルークのこと」
「でもククリさんルークさんのこと普通の友達だって信じきってますよね?」
「うん。まるで理解できなかったらしい。
それが予想できたから、ロクシーは強制送還を決めたって言ってた」
「これからが、面白そうですね」
「まぁな。どちらにしろルークの負けは最初から決まってたけどな」
「ほんとに聡明な方なのに、どうしてあそこまで残念なのでしょうか?」
「俺が知りたいよ。わかったら教えてくれる?」
「たぶん、だれも理解できない領域だとおもいます。
ククリさんの鈍感さ並に」
「ククリは劣悪な環境で育ったから、
愛情を受け入れることにトラウマがあるのかもな。
昔のティフォーニアみたいな感じだとおもう」
「へー、それは初耳です。私が聞いても良いことですか?」
「休暇の時にでも話をしてやるよ」
「じゃ、ククリさんが戻ったら休暇とってニブルヘイムに伺いますね」
「俺もその頃には時間取れるようになってるはずだから、来る前に連絡してくれ」
「はい、ありがとうございます」
……
久々の休暇を満喫し、元気いっぱいで研究所に訪れた時、転生装置の異変に気づいた。生命維持に関すること以外は研究者には触れさせないようにしていたため、誰も気づかなかったのだろう。
着信記録がたくさんたまっていたのだ。
中の子に悪いことしちいましたね。
不安だったろうな。
待望のご対面はまだ先だが、ルーノの未来を担う若き子供達とのファーストコンタクトである。
私は、通話機能を有効にして送信元へ返信してみた。
映像通話ができればいいのに、ゼディーさんにお願いしておくんだった。
「……もしもし?」
きましたわー!!
「もしもし、私はルフィリアと言います。
今の君たちの保護者みたいなものです。
あなたはミヅキかしら?」
「あ、はい、ミヅキです!
初めまして、ルフィリアさん。
あの、もし可能であれば私たちの状況を教えていただけませんか?
ずいぶん長いこと4人だけだったので、とても不安でした」
「そうよね。不安だったよね。でももう大丈夫だから、安心していいわよ。
ところで、あなたたちは今の状況についてどこまで知らされているのかしら?」
「……えーと、何も知らされていません。
ただ、目に見えて精神的な変化が現れたので、
何か体を改造されてるのかな? って思ってます。
やっぱり、そうなのでしょうか?」
「そばに、ミユキ、ハルカ、ユキヒロはいる?
この通信、皆んなに聞こえてるかしら?」
「はい、全員います。聞こえています」
「とりあえず、自己紹介をちゃんとしておくわね。
私は、ルーノ族の人狼です。
今、ニダヴェリールという、あなたたちがいた世界とは全く別の世界にいます。
あなたたちが閉じ込められている装置の直ぐ近くで話をしているの。
どこまで理解できる?」
「ユグドラシルの世界の外にある外郭世界ということですよね?
ルーノ族はニダヴェリールの人狼だということも知っています」
「素晴らしい。その通り。
私は、ニダヴェリールで宮廷第一補佐官という役職についていて、シャノン学派に隔離されていたあなたたち4名を預かり受けたものです。
最初にいったけど、いまのあなたたちの保護者みたいなものだと思ってください。
それでね、これから話すことはあなた達にとって、とてもショックなことかもしれないから、覚悟して聞いてほしいの。
心の準備はできてる?
時間が必要かしら?」
「大丈夫です、皆んな覚悟はできてます」
「よろしい。
では、話すわね。
シャノン学派は、あなたたちヒューマノイドを私たちルガルのような高次元の知的生命体に改造する研究を進めていたの。
戦闘行為を目的として設計されているから、ヒューマノイドの姿とは異なる容姿になってしまうの。
一度、この装置に投入されると、深淵の底に到達するまでは出ることができなくなるの。
無理に出そうとすると死んじゃうから出してあげたくてもだせないの。
でもね、いくつかのシャノン学派の要塞で、深淵の底に到達して出てこられた子達がいてね、その子たちの状態を調べたら、変化した容姿への違和感や嫌悪感を感じる子はまだ一人もでてないの。
たぶん、脳の構造が変化して自分の体への違和感が緩和されるのではないかって考えられてる。
ただ、あなたたち、デネブの要塞で開発されていた種族はまだ一人も深淵の底に到達していないから、どうなるかはあなたたちの先輩の状況次第なの」
「……あの」
「はい、なんでしょう?」
「かなり前から誰もいなくなったのですが、
先輩達はどこへ行ったのでしょう?
もっと深くですか?」
「理由はわからないけど、あなた達は先輩達がいる装置から、
予備装置に移されて切り離されてされていたの。
完全に孤立状態だったのよ」
「なるほど……では先輩達もニダヴェリールにいるのでしょうか?」
「ううん。他のシャノン学派の研究装置と一緒に、アストレアという都市に集められているわ」
「私たち4人だけ、ニダヴェリールにいるのですか?」
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その、奴隷とか改造とか目的ではなくて、ちゃんとルーノ族の一員として迎え入れるから、心配しないでほしいの」
「どうして私たち4人なのですか?」
「あなた達の創作作品を気に入ったから、ぜひルーノ族に向かい入れたいってアストレアに申し入れたの。この世界では、そういうのなかなか手に入らないから、とっても貴重なのよ。
理解できない人もおおいけど、大好きな人にとっては貴重なものなの。
安心してね、無理に書かせようってことじゃないから。
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私の作品を評価していただいてとてもうれしいです!
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やっぱり、分かる人にはわかるんですね!
ルフィリアさんて素晴らしい方ですね!
ちょっと! ミユキ、なにすんの!? まだ話してる最中だから……」
「中断しちゃってすみません。ミユキです。
話が終わらなくなりそうなので、肝心なことを先に教えていただいてよろしいですか?」
「え? あら、そうねごめんね、私ったらつい……。ハルカまたあとでお話しましょうね。ミユキの質問はなにかしら?」
「えっと、今の私たちの体ってどんな容姿に改造されてしまったのでしょうか?」
「あらそうね。ミヅキあてにデータを送るから覚悟してから見てね」
「そんなにかわってます?」
「変わってないところと大きく変わったところが極端なのよ。
ショックうけるかも……」
「誰か性別は変わりました?」
「みんな女の子のままだけど? あれ? 男の子いたの? ユキヒロのデータみたら男性って書いてあるわね。先に作品読んだから女の子だとおもってた。気づかなかった、ごめんね」
通信機越しにみんなの笑い声が聞こえた。
「これから私たちどうすればよいのでしょう?」
「とにかく底に到達しないといけないから、どんどん楽しんで創作しちゃってね。
みんな素晴らしいから期待してる、でも無理はしないでね、ちゃんと休憩取りながらやってね。
あなたの先輩達より、3倍から5倍の速さで進んでるみたいだから、そこから出るのは、創作し続けるのが一番だと思うの。
同じ趣味の子たちに販売しておいてあげるから、印税は期待していいわ。
あなた達、ここから出てきた時は人気作家になってるわよ。
私が保証する」
「あはは、ルフィリアさん面白い人ですね。
ずーっと不安だったけど、ようやくほっとできそうです。
でも、新しい自分の姿見るのは怖いかな……」
「悩み事の相談はいつでも乗るから気軽に連絡してね。近い内に私の端末にも接続してもらって、映像通話できるようにするからね。大変だろうとおもうけど、私も、ルーノ族もあなた達を全力で支援するから、家族だとおもって頼ってくれていいのよ」
「ありがとうございます。これからよろしくおねがいします。
ほかの3人もそういってます」
「はい、こちらこそよろしくね」
「それじゃ、データを送るから、本当に覚悟を決めてから見てね」
「はい」
彼女たちの生体情報を送信した。
予想どおりみんないい子達だ。
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