ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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LiViNG iN A BOX#6

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────ルフィリア(人狼ルガルルーノ種、英知の湖ミーミル守人もりと、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)


 さて、恒例の自己診断データの回収です。

「ククリさん、失礼しますね」

「いらっしゃい。データこれね」

「ありがとうございます」

「いろいろ気になっていることがあるので、
 ご相談させていただいてもよろしいですか?」

「うん。でも、君の恋愛相談の力にはなれそうにないよ?」

「わかってますよー。ククリさんの恋愛偏差値の低さは知ってますから」

「相談終了。おつかれさまー」

「冗談ですよ。邪険にしないでくださいよ」

「で、なに? 相談内容は」 

「和声干渉と干渉防御のことですが、
 なぜ今までここまで重要な技能をご指導いただけなかったのでしょうか?」

「それは、指導できるレベルに到達している人材がいなかったからだよ。
 人材面では歴史が長い分ガルダーガ族がダントツに恵まれてるよね。
 ルーノ族は、ガルダーガ族からみるとまだヨチヨチ歩きのようなものだし」

「そういうことだったのですね」

「でも、3人も優秀な人材が揃ったんだ。それは誇っていいと思う。
 指導もかなり楽になったでしょ?」

「はい、おかげさまで。
 しかも、ククリさんと似た指導ができるから、
 周りの目がかわりましたよ。ますますモテちゃいますね」

「それはよかったね、他の二人も似た感じなのかな?」

「はい、二人とも私と同じ感想ですよ。特にルカはすごく自信がついたようです。訓練最終日の後、いろいろと話をきいてみたら『呪詛の大天才』という周りの期待がプレッシャーになっていたみたいですね」

「なまじ幼少のころからもてはやされちゃうと、そのあと壁にぶつかった時に必要以上にハンデを背負うのかもしれないね。とくに呪詛のシャーマンの素養を持った人材はすくないから、必要以上に注目されちゃったのだろうね。その点ではルナディアは浄化のシャーマンの道にすすんで、ラッキーだったのかも。でも、そのせいで、自分の才能に気付けなくて自信を持てなかったみたいだけどね。ルフィリアはお母さんという手本がいた分、バランス良く成長できた気がするよ。でも、そのかわりに母親にかわって家族の面倒をみたり、宮廷勤めで忙しかったりいろいろ大変だったでしょ?」

「……そうですね。でも、ようやく3人で同じスタートラインに立てた気がして嬉しいです」

「それはよかった。ルフィリアも心置きなくお嫁にいけそうだね」

「セクハラはやめてください!」

「えー、そろそろ本気で考えた方がいいよ? ルーインさんに会うと、いつもその話ばかりだよ。まいっちゃう、なんとかしてよ」

「結ばれるのに何万年もかかった人には言われたくないですね」

「あはは、たしかにそのとうりだね。納得できる相手を探しなよ」

「ええ、もちろんです。
 ところで次の質問ですが、和声干渉と干渉防御を指導できる子の見分け方がわかりません。
 なにか違いがあるのでしょうか?」

「特殊言語の素養がないと無理だし、自身の調律について正しい認識ができないと自己調律をできないから、教えても身につかないね。見込みがありそうだけど判断が難しい子がいたら、一度調律を崩して自己調律できるかたしかめてみるといいよ。時間切れになるようなら。まだ修練が足りてない証拠だよ」

「そういえば、ルカでも最初はギリギリセーフでしたしね。だと、しばらくは難しそうですね。基礎訓練を少し増やしてみましょうかね」

「先に特殊言語の法術式を全て習得させておく方がいいとおもうよ、特殊言語の基礎理論を頭と体でしっかり身につけていないとその先には進めないと思った方がいい。和声干渉と干渉防御はその先の応用編だから、その際に、能力が足りない子に基礎訓練を強化させるのが合理的だと思う」

「そこまで育てるのってかなり大変ですよ? でもたしかにそうですよね……。
 ルーノ族が人材不足だと周囲から指摘されてきたのがようやく理解できました。頑張らないといけませんね」

「まぁね。そうでないと簡単にラフィノスに置いていかれちゃうよ」

「確かに。ラフィノスは人手は少ないけど、人材は優秀ですよね。これから増えてゆくとルーノ族がバカにされちゃいますね。みんなで盛り上げないといけませんね。ゼディーさんにまで心配されるくらいだから、ほんとうに情けない気持ちでいっぱいですよ」

「あはは、他の質問はあるの?」

「はい、ここからがいちばん伺いたいことなのです。
 ロクシーさま、どうしてヴェルキエーレの指導をする気になったのでしょう?
 最初は門前払いだったのでしょ?
 みんな基礎練習で能力底上げしても、短期間すぎますよね?」

「ああ。それね。
 ルカティアの訓練を見学してて、試しにクラウの調律崩してみたら簡単に崩れちゃったから、驚いたらしい。オーバーロードは正しい調律以外では発声できないから、調律が崩れるって概念が存在しないんだ。なので、あまりにも是弱な生物に生まれた娘が心配になって、自分がなんとかしないといけないって思ったみたい。完全言語は私の手には負えないからね」

「そういうことだったのですね。でもロクシーさま調律崩す時、何もしてませんよね? なのに皆んなことごとく調律が崩れていましたけど、どうしてですか?」

「一言だけ小さく囁いてるよ?」

「それで調律を崩せちゃうのですか?」

「だから、心配になったのだろうね」

「でも、それ干渉防御できる余裕ないですよね?」

「道のりは遠いね。いまはルカティアの時と一緒で、ひたすら自己調律の練習だけしてる。ルシーニアの話だと、完全言語の和声干渉は干渉防御よりはるかに難しいらしいから、いまのヴェルキエーレのレベルでは無理らしい。とにかく基礎の底上げを訓練させるしかないみたい。
 ティフォーニアにもそのことを話して、時間を調整してもらって、短時間だけどニーヴェルング鉱床で全員を対象にスパルタ訓練をやってもらってるらしい。そのうちルーテシアやルークやゼディーまで心配して時間の都合をつけてくれるかもしれないね」

「それは良かったというか、ヴェルキエーレってまだまだそこまで未成熟だったのですね。驚きました。あれだけ強力な種族なのに……」

「歴史がない種族だからどうしてもそうなるよね。一番実感してるのは本人たちだろうね。最近は、いつも自分の不甲斐なさに悔し泣きしてるくらいだしね」

「そうですね……いつも泣きながら頑張ってましたね」

「一時はどうなるかとおもったけど、良い方向に収束してくれたみたいだから、私は安心したよ。ヴェルキエーレについては眺めてるだけでいいから、楽でいい。私は彼女たちを思いっきり甘やかせるから、すごく嬉しい」

「では、これからは私たちも甘やかしていただけるのでしょうか?」

「残念ながら、指導しないといけないことは、まだたくさんあるよ。
 お師匠様に教わったことは皆んな教えるつもりだから、覚悟してね」

「あらー、そうなのですか。それは、たのしみですね。
 でも、エッチなことはしないでくださいね」

「しないよ!」
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