ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

文字の大きさ
83 / 259
リインカーネーション

LiViNG iN A BOX#6

しおりを挟む
────ルフィリア(人狼ルガルルーノ種、英知の湖ミーミル守人もりと、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)


 さて、恒例の自己診断データの回収です。

「ククリさん、失礼しますね」

「いらっしゃい。データこれね」

「ありがとうございます」

「いろいろ気になっていることがあるので、
 ご相談させていただいてもよろしいですか?」

「うん。でも、君の恋愛相談の力にはなれそうにないよ?」

「わかってますよー。ククリさんの恋愛偏差値の低さは知ってますから」

「相談終了。おつかれさまー」

「冗談ですよ。邪険にしないでくださいよ」

「で、なに? 相談内容は」 

「和声干渉と干渉防御のことですが、
 なぜ今までここまで重要な技能をご指導いただけなかったのでしょうか?」

「それは、指導できるレベルに到達している人材がいなかったからだよ。
 人材面では歴史が長い分ガルダーガ族がダントツに恵まれてるよね。
 ルーノ族は、ガルダーガ族からみるとまだヨチヨチ歩きのようなものだし」

「そういうことだったのですね」

「でも、3人も優秀な人材が揃ったんだ。それは誇っていいと思う。
 指導もかなり楽になったでしょ?」

「はい、おかげさまで。
 しかも、ククリさんと似た指導ができるから、
 周りの目がかわりましたよ。ますますモテちゃいますね」

「それはよかったね、他の二人も似た感じなのかな?」

「はい、二人とも私と同じ感想ですよ。特にルカはすごく自信がついたようです。訓練最終日の後、いろいろと話をきいてみたら『呪詛の大天才』という周りの期待がプレッシャーになっていたみたいですね」

「なまじ幼少のころからもてはやされちゃうと、そのあと壁にぶつかった時に必要以上にハンデを背負うのかもしれないね。とくに呪詛のシャーマンの素養を持った人材はすくないから、必要以上に注目されちゃったのだろうね。その点ではルナディアは浄化のシャーマンの道にすすんで、ラッキーだったのかも。でも、そのせいで、自分の才能に気付けなくて自信を持てなかったみたいだけどね。ルフィリアはお母さんという手本がいた分、バランス良く成長できた気がするよ。でも、そのかわりに母親にかわって家族の面倒をみたり、宮廷勤めで忙しかったりいろいろ大変だったでしょ?」

「……そうですね。でも、ようやく3人で同じスタートラインに立てた気がして嬉しいです」

「それはよかった。ルフィリアも心置きなくお嫁にいけそうだね」

「セクハラはやめてください!」

「えー、そろそろ本気で考えた方がいいよ? ルーインさんに会うと、いつもその話ばかりだよ。まいっちゃう、なんとかしてよ」

「結ばれるのに何万年もかかった人には言われたくないですね」

「あはは、たしかにそのとうりだね。納得できる相手を探しなよ」

「ええ、もちろんです。
 ところで次の質問ですが、和声干渉と干渉防御を指導できる子の見分け方がわかりません。
 なにか違いがあるのでしょうか?」

「特殊言語の素養がないと無理だし、自身の調律について正しい認識ができないと自己調律をできないから、教えても身につかないね。見込みがありそうだけど判断が難しい子がいたら、一度調律を崩して自己調律できるかたしかめてみるといいよ。時間切れになるようなら。まだ修練が足りてない証拠だよ」

「そういえば、ルカでも最初はギリギリセーフでしたしね。だと、しばらくは難しそうですね。基礎訓練を少し増やしてみましょうかね」

「先に特殊言語の法術式を全て習得させておく方がいいとおもうよ、特殊言語の基礎理論を頭と体でしっかり身につけていないとその先には進めないと思った方がいい。和声干渉と干渉防御はその先の応用編だから、その際に、能力が足りない子に基礎訓練を強化させるのが合理的だと思う」

「そこまで育てるのってかなり大変ですよ? でもたしかにそうですよね……。
 ルーノ族が人材不足だと周囲から指摘されてきたのがようやく理解できました。頑張らないといけませんね」

「まぁね。そうでないと簡単にラフィノスに置いていかれちゃうよ」

「確かに。ラフィノスは人手は少ないけど、人材は優秀ですよね。これから増えてゆくとルーノ族がバカにされちゃいますね。みんなで盛り上げないといけませんね。ゼディーさんにまで心配されるくらいだから、ほんとうに情けない気持ちでいっぱいですよ」

「あはは、他の質問はあるの?」

「はい、ここからがいちばん伺いたいことなのです。
 ロクシーさま、どうしてヴェルキエーレの指導をする気になったのでしょう?
 最初は門前払いだったのでしょ?
 みんな基礎練習で能力底上げしても、短期間すぎますよね?」

「ああ。それね。
 ルカティアの訓練を見学してて、試しにクラウの調律崩してみたら簡単に崩れちゃったから、驚いたらしい。オーバーロードは正しい調律以外では発声できないから、調律が崩れるって概念が存在しないんだ。なので、あまりにも是弱な生物に生まれた娘が心配になって、自分がなんとかしないといけないって思ったみたい。完全言語は私の手には負えないからね」

「そういうことだったのですね。でもロクシーさま調律崩す時、何もしてませんよね? なのに皆んなことごとく調律が崩れていましたけど、どうしてですか?」

「一言だけ小さく囁いてるよ?」

「それで調律を崩せちゃうのですか?」

「だから、心配になったのだろうね」

「でも、それ干渉防御できる余裕ないですよね?」

「道のりは遠いね。いまはルカティアの時と一緒で、ひたすら自己調律の練習だけしてる。ルシーニアの話だと、完全言語の和声干渉は干渉防御よりはるかに難しいらしいから、いまのヴェルキエーレのレベルでは無理らしい。とにかく基礎の底上げを訓練させるしかないみたい。
 ティフォーニアにもそのことを話して、時間を調整してもらって、短時間だけどニーヴェルング鉱床で全員を対象にスパルタ訓練をやってもらってるらしい。そのうちルーテシアやルークやゼディーまで心配して時間の都合をつけてくれるかもしれないね」

「それは良かったというか、ヴェルキエーレってまだまだそこまで未成熟だったのですね。驚きました。あれだけ強力な種族なのに……」

「歴史がない種族だからどうしてもそうなるよね。一番実感してるのは本人たちだろうね。最近は、いつも自分の不甲斐なさに悔し泣きしてるくらいだしね」

「そうですね……いつも泣きながら頑張ってましたね」

「一時はどうなるかとおもったけど、良い方向に収束してくれたみたいだから、私は安心したよ。ヴェルキエーレについては眺めてるだけでいいから、楽でいい。私は彼女たちを思いっきり甘やかせるから、すごく嬉しい」

「では、これからは私たちも甘やかしていただけるのでしょうか?」

「残念ながら、指導しないといけないことは、まだたくさんあるよ。
 お師匠様に教わったことは皆んな教えるつもりだから、覚悟してね」

「あらー、そうなのですか。それは、たのしみですね。
 でも、エッチなことはしないでくださいね」

「しないよ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

え……全て私のせいですか?

#Daki-Makura
ファンタジー
ある国の王太子は、婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。それが幸せなどない未来へ続いているとは知らずに。 ※AI校正を使用させていただいています。 ※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。 ※誤字脱字失礼

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな
恋愛
生まれ変われたら…転生できたら…。 なんて思ったりもしていました…あの頃は。 まさかこんな人生終盤で前世を思い出すなんて!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」 世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。 ”人類”と”魔族” 生存圏を争って日夜争いを続けている。 しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。 トレジャーハンターその名はラルフ。 夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。 そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く 欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、 世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。

処理中です...