123 / 259
イサナミの書
月影(つきかげ)#4
しおりを挟む
────ルフィリア(人狼ルーノ種、英知の湖の守人、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)
長かったイサナミ自治区での任務も終了し、ククリさんもニダヴェリールでの生活に本腰を入れ始めました。
短命種族と関わると、自分が一気に年をとったような感覚に陥ります。
ククリさんの気持ちがよくわかりました。
お年頃なはずなのに、気分はすっかりお婆ちゃんです。
家に帰って、父に会うと若さが戻ります。
ルナとルカも同じことをいっていました。
現在、ククリさんに公務は割り振られていません。
ウルさんから、おまえは嫁の仕事をしろとわけのわからないことを言われ、定期的にロデリク族の婦人会に拉致され、なぜか花嫁修行させられている状況です。
ロデリク族の婦人会からククリさんを独り占めするなと言われ、その圧力に屈したウルさんが、ククリさんを売ったというのが本当のところらしいですが……。
ククリさん大人気ですからね。最近は毎日のようにロデリクの女性陣に囲まれて、民族衣裳の着付けや作り方とか、編み物とか、お茶の相手とか、世間話のあいてとかそんな感じらしいです。
本人は逃げ出したくて仕方ないようですが、ウルさんの命令なので、おとなしく言うことを聞くしかないみたいですね。
私もウルさんに頼んで、ククリさんにルーノの腐人会に参加してもらうようにしましょうか?
「ククリさん。生きてます?」
「たすけてー」
「無理ですよ。ウルさんの言うことは絶対です」
「あら、だいぶ捗りましたね。編み物」
「なんで、私だけノルマあるの? ただの婦人会だよ?」
「最初、サボりまくったからでしょ? 自業自得ですよ」
「編み物とか無理だよ、生まれて初めてだよ?」
「よかったではありませんか、貴重な経験ですね」
「ルークに頼んで自動化してもらおうかな」
「完成度が高すぎてばれますよ?」
「完成度の調整機能付きってのは?」
「ウルさんに見つかって破壊されるでしょうね」
「隠しておけばいいじゃん」
「私が報告するからダメですよ」
「裏切り者ー」
「それも私の仕事ですから」
「ルフィリアは、私の味方だとおもったのにー」
「ロクシーさまの勅命ですよ? ククリさん逆らえます?」
「……それは無理」
「ルーノの腐人会に参加していただけるなら、調整しますよ?」
「……ロデリクでいいや。編み物頑張る、ノルマがなくなるまで」
「どーしてですか!」
「昔、チャンスあげたでしょ? 結局無理だったからもう誘わないでね。
ルフィリア、ところで、イサナミ自治区はどうなったの?
連絡まるで来ないよ?」
「ククリさんには伏せてますから」
「なにかあったの?」
「公務の情報は流すなと言われてますので」
「大丈夫かどうかくらい教えてよ」
「勅命を破れと?」
「ケチだねー」
「ケチでいいです。手が止まってますよ。
今日中にあと半分終わるのですか?」
「……たすけて」
「腐人会にご参加ください」
「……編み物がんばる」
長かったイサナミ自治区での任務も終了し、ククリさんもニダヴェリールでの生活に本腰を入れ始めました。
短命種族と関わると、自分が一気に年をとったような感覚に陥ります。
ククリさんの気持ちがよくわかりました。
お年頃なはずなのに、気分はすっかりお婆ちゃんです。
家に帰って、父に会うと若さが戻ります。
ルナとルカも同じことをいっていました。
現在、ククリさんに公務は割り振られていません。
ウルさんから、おまえは嫁の仕事をしろとわけのわからないことを言われ、定期的にロデリク族の婦人会に拉致され、なぜか花嫁修行させられている状況です。
ロデリク族の婦人会からククリさんを独り占めするなと言われ、その圧力に屈したウルさんが、ククリさんを売ったというのが本当のところらしいですが……。
ククリさん大人気ですからね。最近は毎日のようにロデリクの女性陣に囲まれて、民族衣裳の着付けや作り方とか、編み物とか、お茶の相手とか、世間話のあいてとかそんな感じらしいです。
本人は逃げ出したくて仕方ないようですが、ウルさんの命令なので、おとなしく言うことを聞くしかないみたいですね。
私もウルさんに頼んで、ククリさんにルーノの腐人会に参加してもらうようにしましょうか?
「ククリさん。生きてます?」
「たすけてー」
「無理ですよ。ウルさんの言うことは絶対です」
「あら、だいぶ捗りましたね。編み物」
「なんで、私だけノルマあるの? ただの婦人会だよ?」
「最初、サボりまくったからでしょ? 自業自得ですよ」
「編み物とか無理だよ、生まれて初めてだよ?」
「よかったではありませんか、貴重な経験ですね」
「ルークに頼んで自動化してもらおうかな」
「完成度が高すぎてばれますよ?」
「完成度の調整機能付きってのは?」
「ウルさんに見つかって破壊されるでしょうね」
「隠しておけばいいじゃん」
「私が報告するからダメですよ」
「裏切り者ー」
「それも私の仕事ですから」
「ルフィリアは、私の味方だとおもったのにー」
「ロクシーさまの勅命ですよ? ククリさん逆らえます?」
「……それは無理」
「ルーノの腐人会に参加していただけるなら、調整しますよ?」
「……ロデリクでいいや。編み物頑張る、ノルマがなくなるまで」
「どーしてですか!」
「昔、チャンスあげたでしょ? 結局無理だったからもう誘わないでね。
ルフィリア、ところで、イサナミ自治区はどうなったの?
連絡まるで来ないよ?」
「ククリさんには伏せてますから」
「なにかあったの?」
「公務の情報は流すなと言われてますので」
「大丈夫かどうかくらい教えてよ」
「勅命を破れと?」
「ケチだねー」
「ケチでいいです。手が止まってますよ。
今日中にあと半分終わるのですか?」
「……たすけて」
「腐人会にご参加ください」
「……編み物がんばる」
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる