10 / 11
反撃
しおりを挟む
王国の冒険者達は、各地で暗躍しているサキュバス達の討伐に大忙しになっていた。王国の領主や兵士たちを操り、遊牧民族の北上を支援していることが判明したからだ。
しかし、戦端が開かれてしまった以上、多少の誤解を解いたところで戦争は止まらない。
拠点を持たない遊牧民族ならば尚更だ。
勇者級の実力を持つ遊牧民族のカリスマ達を倒さない限り彼らは止まらないのだ。
そこから先は冒険者ではなく、勇者と兵士達の領域だ。
とはいえ、兵力が絶望的に不足していた。
魔王軍が猛攻を開始したのだ。
王国軍は、前線に足止めされてしまっていた。
……
ιは、応援を要請するため、εの元に来ていた。
魔王軍のサキュバスが都市国家を煽動し、現地のサキュバス達の弾圧を始めたからだ。街のサキュバス達はこぞって移動民族の元に避難していた。
しかし、弾圧の矛先は移動民族にも向けられていた。
現在は、各地に点在していたサキュバスの移動民族が一箇所に集結しつつある状況だ。
εは、ιの案内で、移動民族の元へ急行した。
……
ネームド・リッチ・レオナルド・リーウェイは、古戦場各地にいる、ネームドの亡者達を召集した。
彼らは王国の黎明期に死を賭して戦いぬいた太古の英雄達だ。
古戦場に犇く、名も無き亡者達までもが、隊列を組んで、リーウェイ卿達の巣の前に集結した。
リーウェイ卿達の巣には、古い玉座がある。
それは王国が勃興する遥か以前の最初の王の玉座だ。
ローウェン卿とリーウェイ卿は、その玉座の主に忠誠を誓い、死後も守り続けてきたのだ。
「悠久の猛者達よ、戦いの時が来た。
我らが王の末裔に未曾有の危機が到来したのだ。
思い出せ、我らが夢の跡を。
奮い起こせ、我らに滾る熱き想いを。
喰らい尽くせ、我らが敵の魂を」
……
フォールクヴェール=アスタークは、若い勇者達を率いて、遊牧民族のカリスマ達と対峙していた。
敵味方入り乱れ、混沌と化した戦場の中で、フォールクヴェールは異彩を放ち、敵のカリスマ達の闘争本能を釘付けにしていた。
これ以上の北上は許されない。
敵のカリスマ達はフォールクヴェールとほぼ同格。
数の上でも質の上でも、形勢は圧倒的に不利な状況下での背水の陣だった。
フォールクヴェールは、これまでにない危機に瀕しているもかかわらず、自らの勇者の魂が滾る感覚に高揚していた。
彼の闘気は、あきらめかけていた若い勇者達にも伝わっていた。
勇者とは何か?
その答えが目の前にいた。
自分たちは何者か?
そうだ、自分たちも勇者なのだ。
勇者フォールクヴェール=アスタークは圧倒的に不利な状況でも、己の限界を超えて獅子奮迅の活躍を成していたのだ。
若い勇者たちは、彼に感化され、己の限界を超え始める。
皆、滾る魂の鼓動を感じ、高揚した。
怖いもの知らずの遊牧民族達は、目の前の狂戦士達に戦慄する。
圧倒的に有利なはずのこの状況で、足止めされるどころか、押されて始めていたのだ。
奴らに負けていられない。
戦士達の魂の鼓動が、化学反応した。
遊牧民族達も、自らを奮い立たせ、狂戦士達へ向かって行った。
……
εの指示の元、移動民族のサキュバス達は協力して、都市国家一つをまるごと囲むの巨大な魔法陣を描いていた。
そして、皆で魔力を注ぎ、詠唱する。
「「「咲き誇れ魂のメメント・モリ、ヴァニタス・ヴァニタートゥム!!!」」」
彼女達は、都市国家を浄化して回った。
その後には、黒こげになった魔王軍のサキュバス達が町中に倒れていた。
……
フォールクヴェールと若い勇者達は、すでに満身創痍だった。
今の状態で、遊牧民族達を足止めできていることすら奇跡だった。
敵の数が多すぎるのだ。
戦線も徐々に押され始めていた。
その時、いくつもの巨大な魔法陣が至る所に出現する。
その中から出てきたのは、〝死〟だった。
亡者の軍勢が、遊牧民族に向かって押し寄せてきたのだ。
デスナイト達が束になって敵のカリスマ達を屠り、
リッチ達はネクロマンシーを使い、敵味方関係なく死体を再生する。
亡者の数は瞬く間に膨れ上がった。
戦場は、あっという間に亡者で塗り潰されてしまったのだ。
そして、各々が魔法陣に包まれ、去っていった。
それは、短時間の出来事だった。
そこには、死体すら残っていなかった。
取り残されたフォールクヴェールと若い勇者達は、呆然と立ち尽くしていた。
彼らは我に帰ると、慌てて、魔王軍との前線へ転移していった。
……
フォールクヴェールと若い勇者達が前線に復帰した時、一度下がった防衛線は、すでに巻き返されたあとだった。
古戦場にいるはずのネームドのデスナイトとリッチの集団が、加勢に訪れたのだ。
彼らは、フォールクヴェール達が復帰するのを見届けると、古戦場へ帰って行った。
……
魔界では、サキュバス・クイーンの会合が開かれていた。
「私たち、結局、負けたのかしら?」
「それはないわよ。
王国は大打撃を受けてかなり疲弊しているもの。
シャマールだって、遊牧民族の兵力はほぼ壊滅してるしね。
しかも、魔王様の正規兵達は健在でしょ?」
「でも、サキュバス達は相当数が狩られてしまったわね……」
「まぁ、そうね。しばらく大きな作戦は実行できないわね」
「シャマールのサキュバス達が結束するとは思わなかったわ。
見くびり過ぎていたわね。
烏合の衆かと思っていたけど、今回の件で、一致団結しちゃった感じだし……」
「それもこれもεの仕業よね」
「「「はぁー……」」」
「とりあえず、サキュバスの勢力を立て直しましょう。
これだけの実績を挙げたわけだし、魔王様にもご納得いただけるでしょう」
「では、そういうことで」
「「「ごきげんよう」」」
しかし、戦端が開かれてしまった以上、多少の誤解を解いたところで戦争は止まらない。
拠点を持たない遊牧民族ならば尚更だ。
勇者級の実力を持つ遊牧民族のカリスマ達を倒さない限り彼らは止まらないのだ。
そこから先は冒険者ではなく、勇者と兵士達の領域だ。
とはいえ、兵力が絶望的に不足していた。
魔王軍が猛攻を開始したのだ。
王国軍は、前線に足止めされてしまっていた。
……
ιは、応援を要請するため、εの元に来ていた。
魔王軍のサキュバスが都市国家を煽動し、現地のサキュバス達の弾圧を始めたからだ。街のサキュバス達はこぞって移動民族の元に避難していた。
しかし、弾圧の矛先は移動民族にも向けられていた。
現在は、各地に点在していたサキュバスの移動民族が一箇所に集結しつつある状況だ。
εは、ιの案内で、移動民族の元へ急行した。
……
ネームド・リッチ・レオナルド・リーウェイは、古戦場各地にいる、ネームドの亡者達を召集した。
彼らは王国の黎明期に死を賭して戦いぬいた太古の英雄達だ。
古戦場に犇く、名も無き亡者達までもが、隊列を組んで、リーウェイ卿達の巣の前に集結した。
リーウェイ卿達の巣には、古い玉座がある。
それは王国が勃興する遥か以前の最初の王の玉座だ。
ローウェン卿とリーウェイ卿は、その玉座の主に忠誠を誓い、死後も守り続けてきたのだ。
「悠久の猛者達よ、戦いの時が来た。
我らが王の末裔に未曾有の危機が到来したのだ。
思い出せ、我らが夢の跡を。
奮い起こせ、我らに滾る熱き想いを。
喰らい尽くせ、我らが敵の魂を」
……
フォールクヴェール=アスタークは、若い勇者達を率いて、遊牧民族のカリスマ達と対峙していた。
敵味方入り乱れ、混沌と化した戦場の中で、フォールクヴェールは異彩を放ち、敵のカリスマ達の闘争本能を釘付けにしていた。
これ以上の北上は許されない。
敵のカリスマ達はフォールクヴェールとほぼ同格。
数の上でも質の上でも、形勢は圧倒的に不利な状況下での背水の陣だった。
フォールクヴェールは、これまでにない危機に瀕しているもかかわらず、自らの勇者の魂が滾る感覚に高揚していた。
彼の闘気は、あきらめかけていた若い勇者達にも伝わっていた。
勇者とは何か?
その答えが目の前にいた。
自分たちは何者か?
そうだ、自分たちも勇者なのだ。
勇者フォールクヴェール=アスタークは圧倒的に不利な状況でも、己の限界を超えて獅子奮迅の活躍を成していたのだ。
若い勇者たちは、彼に感化され、己の限界を超え始める。
皆、滾る魂の鼓動を感じ、高揚した。
怖いもの知らずの遊牧民族達は、目の前の狂戦士達に戦慄する。
圧倒的に有利なはずのこの状況で、足止めされるどころか、押されて始めていたのだ。
奴らに負けていられない。
戦士達の魂の鼓動が、化学反応した。
遊牧民族達も、自らを奮い立たせ、狂戦士達へ向かって行った。
……
εの指示の元、移動民族のサキュバス達は協力して、都市国家一つをまるごと囲むの巨大な魔法陣を描いていた。
そして、皆で魔力を注ぎ、詠唱する。
「「「咲き誇れ魂のメメント・モリ、ヴァニタス・ヴァニタートゥム!!!」」」
彼女達は、都市国家を浄化して回った。
その後には、黒こげになった魔王軍のサキュバス達が町中に倒れていた。
……
フォールクヴェールと若い勇者達は、すでに満身創痍だった。
今の状態で、遊牧民族達を足止めできていることすら奇跡だった。
敵の数が多すぎるのだ。
戦線も徐々に押され始めていた。
その時、いくつもの巨大な魔法陣が至る所に出現する。
その中から出てきたのは、〝死〟だった。
亡者の軍勢が、遊牧民族に向かって押し寄せてきたのだ。
デスナイト達が束になって敵のカリスマ達を屠り、
リッチ達はネクロマンシーを使い、敵味方関係なく死体を再生する。
亡者の数は瞬く間に膨れ上がった。
戦場は、あっという間に亡者で塗り潰されてしまったのだ。
そして、各々が魔法陣に包まれ、去っていった。
それは、短時間の出来事だった。
そこには、死体すら残っていなかった。
取り残されたフォールクヴェールと若い勇者達は、呆然と立ち尽くしていた。
彼らは我に帰ると、慌てて、魔王軍との前線へ転移していった。
……
フォールクヴェールと若い勇者達が前線に復帰した時、一度下がった防衛線は、すでに巻き返されたあとだった。
古戦場にいるはずのネームドのデスナイトとリッチの集団が、加勢に訪れたのだ。
彼らは、フォールクヴェール達が復帰するのを見届けると、古戦場へ帰って行った。
……
魔界では、サキュバス・クイーンの会合が開かれていた。
「私たち、結局、負けたのかしら?」
「それはないわよ。
王国は大打撃を受けてかなり疲弊しているもの。
シャマールだって、遊牧民族の兵力はほぼ壊滅してるしね。
しかも、魔王様の正規兵達は健在でしょ?」
「でも、サキュバス達は相当数が狩られてしまったわね……」
「まぁ、そうね。しばらく大きな作戦は実行できないわね」
「シャマールのサキュバス達が結束するとは思わなかったわ。
見くびり過ぎていたわね。
烏合の衆かと思っていたけど、今回の件で、一致団結しちゃった感じだし……」
「それもこれもεの仕業よね」
「「「はぁー……」」」
「とりあえず、サキュバスの勢力を立て直しましょう。
これだけの実績を挙げたわけだし、魔王様にもご納得いただけるでしょう」
「では、そういうことで」
「「「ごきげんよう」」」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる