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第五十九話
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「ミラ様、準備できました」
「ふふっ、ようやくね」
入って来たのは白髪と赤髪の二人。一人は以前会ったご令嬢。もう一人は名前は知らないが、いつも彼女の後ろを三人で歩いていた内の一人だった。
「でも遅かったじゃない。何をしてたの?」
「リオン殿下に偽の情報を……何も情報を与えなければ、ここが一番初めに疑われますから」
「そう……まぁいいわ。それで、伝えた場所は?」
「隣国の近くまでは掴んだ……そう伝えてきました」
「ふふっ、これでようやくアリシアを亡き者にできるのね……ふふっ、あはは!」
狂ったように笑い出す彼女を横目に、私は先程の会話の内容を考える。ここは一番疑われる場所だと言っていた。ならば学園?
違う、彼女は私を殺そうとしている。そうなれば、学園は誰かに見られたり、邪魔される可能性がある。ならば家……?
――まさかね。自宅で犯罪を犯そうとするのはあまりにも愚かすぎる。
私が彼女に狙われていることは学園では有名な話になっている。つまり、私が行方不明になれば真っ先に疑われるのは彼女になる。
そうなれば、家を家探しすることになる。私は既にリオン様と婚約者になった。王族の婚約者がいなくなり、疑われる人物がいるのであれば、探さないはずがない。
――そんなことを、この人がわかっていないはずがない。
白髪の彼女を見ていると、彼女は私に見られていることに気づき、微笑みかけてくる。
そんな彼女の様子に唖然としてしまう。彼女はこの状況を危険だと思っていないように見える。
それは、自分だけは助かると思っているのか、バレることはないと高を括っているのか、それともこの状況が既に彼女にとって理想的なのか。
いくら考えても答えは出てこない。とりあえず今は時間を稼がないと……。
「……どうしてリオン様を裏切ったのですか?」
「裏切ったと言われるのは心外ですね。先に裏切ったのはリオン殿下ですのに……」
「どういう意味ですか?」
「聞いていらっしゃらないのでしょう? 貴方様とよく一緒にいるリリア様、彼女の家と一緒に潰れそうになった家の名前を」
「それは……」
「ああ、私ではありませんよ。隣の赤髪の彼女、ディーです。我が家も助けようとと思ったのですが、力及ばす……。そんな時に手助けをしてくれたのがミラ様でした。友人を助けてくれた人の願いを叶えたいと思うのはおかしなことでしょうか? 例えそれが殿下を裏切る行為だとしても、殿下は助けてくれませんでしたし……」
リオン様が助けなかった? 違う、リオン様はそのような方ではない。さらには彼女たちはリオン様が監視役を頼んだ人たち。そんな人たちをリオン様が放置するはずがない。
――それに、彼女の発言に引っかかる部分があります。
まず監視役を頼んだ彼女たちは三人とも伯爵家、それも他よりも裕福な家を選んだことを聞いています。そんな家が婚約をダシに事業の援助を頼むでしょうか? それも男爵家に……。
そしてもう一つ、彼女は助けようと思ったが、力及ばすと言いました。伯爵家ができないことをどうして男爵家のミラ様が助ける事ができるのでしょうか?
私の予想ですが、それは無理だと思います。それに、ミラ様が自主的に彼女たちを助けるような方には見えません。つまり、今まで話していた事は全部嘘……。
「貴方はどうして助けられなかったのですか?」
「伯爵家といっても何でもできる訳ではないのです」
「そうですか。ではミラ様。助けた家の名前を教えてもらってもよろしいですか? 私、実はリリから話をいていたのですよ。リオン様からは聞いてはいませんが……。教えていただけますか? ミラ様」
「そ、それは……な、何であんたにそんなことを話さないといけないのよ!」
これで確定……でしょうか。彼女たちが言っていることは全て嘘。リオン様を裏切ってもいない。
もう一度彼女を見ると、彼女は微笑みながら頷いた。
「ふふっ、ようやくね」
入って来たのは白髪と赤髪の二人。一人は以前会ったご令嬢。もう一人は名前は知らないが、いつも彼女の後ろを三人で歩いていた内の一人だった。
「でも遅かったじゃない。何をしてたの?」
「リオン殿下に偽の情報を……何も情報を与えなければ、ここが一番初めに疑われますから」
「そう……まぁいいわ。それで、伝えた場所は?」
「隣国の近くまでは掴んだ……そう伝えてきました」
「ふふっ、これでようやくアリシアを亡き者にできるのね……ふふっ、あはは!」
狂ったように笑い出す彼女を横目に、私は先程の会話の内容を考える。ここは一番疑われる場所だと言っていた。ならば学園?
違う、彼女は私を殺そうとしている。そうなれば、学園は誰かに見られたり、邪魔される可能性がある。ならば家……?
――まさかね。自宅で犯罪を犯そうとするのはあまりにも愚かすぎる。
私が彼女に狙われていることは学園では有名な話になっている。つまり、私が行方不明になれば真っ先に疑われるのは彼女になる。
そうなれば、家を家探しすることになる。私は既にリオン様と婚約者になった。王族の婚約者がいなくなり、疑われる人物がいるのであれば、探さないはずがない。
――そんなことを、この人がわかっていないはずがない。
白髪の彼女を見ていると、彼女は私に見られていることに気づき、微笑みかけてくる。
そんな彼女の様子に唖然としてしまう。彼女はこの状況を危険だと思っていないように見える。
それは、自分だけは助かると思っているのか、バレることはないと高を括っているのか、それともこの状況が既に彼女にとって理想的なのか。
いくら考えても答えは出てこない。とりあえず今は時間を稼がないと……。
「……どうしてリオン様を裏切ったのですか?」
「裏切ったと言われるのは心外ですね。先に裏切ったのはリオン殿下ですのに……」
「どういう意味ですか?」
「聞いていらっしゃらないのでしょう? 貴方様とよく一緒にいるリリア様、彼女の家と一緒に潰れそうになった家の名前を」
「それは……」
「ああ、私ではありませんよ。隣の赤髪の彼女、ディーです。我が家も助けようとと思ったのですが、力及ばす……。そんな時に手助けをしてくれたのがミラ様でした。友人を助けてくれた人の願いを叶えたいと思うのはおかしなことでしょうか? 例えそれが殿下を裏切る行為だとしても、殿下は助けてくれませんでしたし……」
リオン様が助けなかった? 違う、リオン様はそのような方ではない。さらには彼女たちはリオン様が監視役を頼んだ人たち。そんな人たちをリオン様が放置するはずがない。
――それに、彼女の発言に引っかかる部分があります。
まず監視役を頼んだ彼女たちは三人とも伯爵家、それも他よりも裕福な家を選んだことを聞いています。そんな家が婚約をダシに事業の援助を頼むでしょうか? それも男爵家に……。
そしてもう一つ、彼女は助けようと思ったが、力及ばすと言いました。伯爵家ができないことをどうして男爵家のミラ様が助ける事ができるのでしょうか?
私の予想ですが、それは無理だと思います。それに、ミラ様が自主的に彼女たちを助けるような方には見えません。つまり、今まで話していた事は全部嘘……。
「貴方はどうして助けられなかったのですか?」
「伯爵家といっても何でもできる訳ではないのです」
「そうですか。ではミラ様。助けた家の名前を教えてもらってもよろしいですか? 私、実はリリから話をいていたのですよ。リオン様からは聞いてはいませんが……。教えていただけますか? ミラ様」
「そ、それは……な、何であんたにそんなことを話さないといけないのよ!」
これで確定……でしょうか。彼女たちが言っていることは全て嘘。リオン様を裏切ってもいない。
もう一度彼女を見ると、彼女は微笑みながら頷いた。
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