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リオン視点11
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「本当にリーアは無事なんだろうな」
「だいじょーぶ、シュリがいるんだから平気ですって。ほんとアリシア様のことになると心配性になるんですから。殿下はどーんと構えていればいいんですよ」
能天気に話すのはリーアの居場所を掴んだという少女。まぁ、監視役をクビにされたキャティヤ嬢なのだが。
リーアがあの女に心酔している教師に連れ去られた。そんな情報を監視役を依頼していたもう一人の少女、サルディナ嬢に伝えられ、捜索隊を出そうとしていた時に彼女が満遍の笑みを浮かべてやって来た。
そんな彼女と共にリーアがいるであろう場所に向かっている途中なのだが、気になることがありすぎる。
どうしてサルディナ嬢は知らない情報をシュリ嬢が知っている。それに……どうしてこいつがそれを知っているんだ?
「あっ!今リオン殿下、どうしてこいつがサルディナが知らない事を知っているんだって思ったでしょ!」
「…………」
「ひどいっ! せめてこいつと言ったことだけは否定して欲しかったのに!」
「うるさい。早く理由を話せ」
「……本当に酷い人ですね。そんな風にするなら私にも考えが有るのですよ! 殿下の本性をアリシア様に行っちゃおっかな~」
「…………」
チラッチラッとこちらの反応をうかがうように見てくるが、揶揄っているだけということはわかるので、早く言えと言う意思を込めて睨め付ける。そろそろ、冗談に付き合っていられる場合ではない。
そんな私の様子に気がついたのだろう。観念したように仕方ないですね~と言いたげな雰囲気で話し始める。
「わかりました。わかりましたよ。だからそんな風に睨まないでください。まったく……。答えは簡単です。この誘拐を主導しているのがシュリだからです!」
「なんだと」
「だ~か~ら~、今回ミラを焚き付けたのも、アリシア様一人を狙って攫う計画を立てたのも、それを実行したのも全部シュリとその部下なんですって」
シュリ嬢が裏切った。その事が頭をよぎるが、それならば私の目の前にキャティヤ嬢がいるはずがない。もし極秘で情報を入手したのであれば、先程こやり取りはなかった……はずだ。そこまでの知性はあると信じたい。
「リオン殿下、今私のことを馬鹿にしませんでした?」
「……いや? それで、シュリ嬢の目的はなんだ?」
「今の間はなんなんですか!? ……まぁいいです。それで、シュリの目的ですが裏が取れた、いえ、裏が取れなかったからこそ実行したようです」
「取れなかったのにか?」
「シュリはミラに裏がいないと判断しました。だからこそ、問題を起こさせて捕まえる予定です」
裏が居ないのであればそれでいいだろう。だが、まだ引っかかる。毒草といい、あの不思議なお菓子といい、本当に彼女だけの問題なのか?
「不服そうですね。ですが、殿下も言っていたではないですか。彼女は今を生きていない。違う世界で私たちを見て来たような振る舞いをすると。そこで毒草のことも知ったのではないかと、私は推測します」
「……わかった。それで、シュリ嬢の計画では私はこのまま行けばいいのか?」
「はい。今頃、ミラが得意げにアリシア様に話しているでしょうから。では行きましょう!」
元気よく振り返り歩き出そうとするサルディナ嬢。真面目な時とふざけている時の起伏が激しいが、その分わかりやすくていい。
「それで? 場所はどこなんだ?」
サルディナ嬢は立ち止まって振り返る。その顔はこれからとても面白いものを見ることができると確信しているような、ニヤけ顔が我慢できないというような顔だった。
「知りたいですか~?」
「当たり前だ」
「そうですか、そうですか。では僭越ながら私がお答えいたしましょう! 今から向かう場所は――」
サルディナ嬢が言った場所は、一番想定される場所であり、私が一番ないだろうと思っていた場所だった。
「だいじょーぶ、シュリがいるんだから平気ですって。ほんとアリシア様のことになると心配性になるんですから。殿下はどーんと構えていればいいんですよ」
能天気に話すのはリーアの居場所を掴んだという少女。まぁ、監視役をクビにされたキャティヤ嬢なのだが。
リーアがあの女に心酔している教師に連れ去られた。そんな情報を監視役を依頼していたもう一人の少女、サルディナ嬢に伝えられ、捜索隊を出そうとしていた時に彼女が満遍の笑みを浮かべてやって来た。
そんな彼女と共にリーアがいるであろう場所に向かっている途中なのだが、気になることがありすぎる。
どうしてサルディナ嬢は知らない情報をシュリ嬢が知っている。それに……どうしてこいつがそれを知っているんだ?
「あっ!今リオン殿下、どうしてこいつがサルディナが知らない事を知っているんだって思ったでしょ!」
「…………」
「ひどいっ! せめてこいつと言ったことだけは否定して欲しかったのに!」
「うるさい。早く理由を話せ」
「……本当に酷い人ですね。そんな風にするなら私にも考えが有るのですよ! 殿下の本性をアリシア様に行っちゃおっかな~」
「…………」
チラッチラッとこちらの反応をうかがうように見てくるが、揶揄っているだけということはわかるので、早く言えと言う意思を込めて睨め付ける。そろそろ、冗談に付き合っていられる場合ではない。
そんな私の様子に気がついたのだろう。観念したように仕方ないですね~と言いたげな雰囲気で話し始める。
「わかりました。わかりましたよ。だからそんな風に睨まないでください。まったく……。答えは簡単です。この誘拐を主導しているのがシュリだからです!」
「なんだと」
「だ~か~ら~、今回ミラを焚き付けたのも、アリシア様一人を狙って攫う計画を立てたのも、それを実行したのも全部シュリとその部下なんですって」
シュリ嬢が裏切った。その事が頭をよぎるが、それならば私の目の前にキャティヤ嬢がいるはずがない。もし極秘で情報を入手したのであれば、先程こやり取りはなかった……はずだ。そこまでの知性はあると信じたい。
「リオン殿下、今私のことを馬鹿にしませんでした?」
「……いや? それで、シュリ嬢の目的はなんだ?」
「今の間はなんなんですか!? ……まぁいいです。それで、シュリの目的ですが裏が取れた、いえ、裏が取れなかったからこそ実行したようです」
「取れなかったのにか?」
「シュリはミラに裏がいないと判断しました。だからこそ、問題を起こさせて捕まえる予定です」
裏が居ないのであればそれでいいだろう。だが、まだ引っかかる。毒草といい、あの不思議なお菓子といい、本当に彼女だけの問題なのか?
「不服そうですね。ですが、殿下も言っていたではないですか。彼女は今を生きていない。違う世界で私たちを見て来たような振る舞いをすると。そこで毒草のことも知ったのではないかと、私は推測します」
「……わかった。それで、シュリ嬢の計画では私はこのまま行けばいいのか?」
「はい。今頃、ミラが得意げにアリシア様に話しているでしょうから。では行きましょう!」
元気よく振り返り歩き出そうとするサルディナ嬢。真面目な時とふざけている時の起伏が激しいが、その分わかりやすくていい。
「それで? 場所はどこなんだ?」
サルディナ嬢は立ち止まって振り返る。その顔はこれからとても面白いものを見ることができると確信しているような、ニヤけ顔が我慢できないというような顔だった。
「知りたいですか~?」
「当たり前だ」
「そうですか、そうですか。では僭越ながら私がお答えいたしましょう! 今から向かう場所は――」
サルディナ嬢が言った場所は、一番想定される場所であり、私が一番ないだろうと思っていた場所だった。
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