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タイムリープ
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圭が目を覚まし、目覚まし替わりにしていたスマホを見る。時刻は七時を示していたが、圭はもっと他のことが気になっていた。五月になるはずの日付が、昨日の一週間前である四月二十三日になっていた。
圭はスマホが壊れたのかと思い、制服に着替えている途中で気づく。もしかして、昨日の出来事は夢だったのではないかと思った。急いで部屋を飛び出し、リビングにいる母親に話しかける。
「母さん、今日は何日!」
「今日は四月二十三日だけど、どうかしたの?」
「いや、なんでもない!ありがとう!」
圭はそう言い、部屋に戻る。昨日のことは夢だったんだ。雛は死んでなんかいない。そう安心した。それから一週間、夢のように雛から連絡が来ないことに不安に感じながらも、普通に暮らしていた。そして後悔した。四月三十日、彼女の遺体が自宅で発見されたニュースが流れた。
「えっ」
ーーそんなはずはない。だってあれは夢じゃなかったのか。それなら、俺はこの一週間何を…
圭はその日、夢の時と同じように学校を休んだ。違ったのは雛の家には行かず、部屋から出なかったことぐらいだ。どうしてか雛の家に行っても無駄だと思った。
圭の感情は後悔しかなかった。もしかしたら助けられたかもしれないのに。タイムリープなどいう都合の良いものなどあるはずがないと、決めつけてしまった自分に後悔していた。
ーーもうすぐ日付が変わる時間だ。
スマホを見て、ふと思う。もう一度、この奇跡が起こらないだろうか。そんな希望に縋《すが》りつくしかなかった。そして、奇跡は起こった。スマホの日付が五月に変わる瞬間、もう一度、四月二十三日になった。
ーー起こった。奇跡は起こった。今度は絶対に間違えない。
圭の決心は固く、始発の電車に乗り、雛の家に向かった。彼女の家に着いたときにはあたりは明るくなっていた。家の標識を確認し、インターホンをならす。しばらく経っても出てくる気配がないので、一度ダメもとでドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
「お邪魔します」
ーーあのニュースが本当だとすると、おじさんとおばさんはもう亡くなってしまっている。だから、この家には雛しかいないはずだ。
「ひなー、雛いるか!俺だ。圭だー」
大きな声で彼女を呼んでみても、返事は返ってこない。圭は嫌な予想をしては、否定するということ繰り返し、家の中を隈《くま》なく探す。最後の部屋はお風呂場だった。
「雛、入るぞ」
入ったときに目がついたのは真っ赤な湯船に手を入れている雛の姿だった。圭は急いで雛の手を湯船から出すが、雛の体はとても冷たくなっていた。
ーーまた、間に合わなかった。
急いで警察に連絡をし、病院に連れて行ってもらったが、雛はすでに亡くなっていた。そのあとすぐに警察から事情聴取を受けることになったが、タイムリープのことなど言えるはずもなく、言ったところで信じてももらえるはずもない。だから、圭は雛との連絡を見せ、雛の様子を見に来たら亡くなっていたこと話すことしかできなかった。
平日に来たことに不振がられたものの、前日までは学校であり、ここから俺の学校までの距離はあるため、俺は釈放された。
家に帰り、ベッドに倒れ込む。思い出すのは雛の冷たい体のことだった。タイムリープは二回とも一週間前だった。なら、これ以上前の日には戻れない。もともと奇跡が起こった結果なのに、雛を助けることはどうやってもできない。
「じゃあ、どうして、どうしてタイムリープなんて経験させた!期待をさせた!俺を絶望に突き落としたいからか!希望に縋りつく惨めな俺を見たいからか!」
何をいってもどうしようも無い。そんなことはわかっている。けど、この理不尽な状況を嘆くことしか出来なかった。
圭はスマホが壊れたのかと思い、制服に着替えている途中で気づく。もしかして、昨日の出来事は夢だったのではないかと思った。急いで部屋を飛び出し、リビングにいる母親に話しかける。
「母さん、今日は何日!」
「今日は四月二十三日だけど、どうかしたの?」
「いや、なんでもない!ありがとう!」
圭はそう言い、部屋に戻る。昨日のことは夢だったんだ。雛は死んでなんかいない。そう安心した。それから一週間、夢のように雛から連絡が来ないことに不安に感じながらも、普通に暮らしていた。そして後悔した。四月三十日、彼女の遺体が自宅で発見されたニュースが流れた。
「えっ」
ーーそんなはずはない。だってあれは夢じゃなかったのか。それなら、俺はこの一週間何を…
圭はその日、夢の時と同じように学校を休んだ。違ったのは雛の家には行かず、部屋から出なかったことぐらいだ。どうしてか雛の家に行っても無駄だと思った。
圭の感情は後悔しかなかった。もしかしたら助けられたかもしれないのに。タイムリープなどいう都合の良いものなどあるはずがないと、決めつけてしまった自分に後悔していた。
ーーもうすぐ日付が変わる時間だ。
スマホを見て、ふと思う。もう一度、この奇跡が起こらないだろうか。そんな希望に縋《すが》りつくしかなかった。そして、奇跡は起こった。スマホの日付が五月に変わる瞬間、もう一度、四月二十三日になった。
ーー起こった。奇跡は起こった。今度は絶対に間違えない。
圭の決心は固く、始発の電車に乗り、雛の家に向かった。彼女の家に着いたときにはあたりは明るくなっていた。家の標識を確認し、インターホンをならす。しばらく経っても出てくる気配がないので、一度ダメもとでドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
「お邪魔します」
ーーあのニュースが本当だとすると、おじさんとおばさんはもう亡くなってしまっている。だから、この家には雛しかいないはずだ。
「ひなー、雛いるか!俺だ。圭だー」
大きな声で彼女を呼んでみても、返事は返ってこない。圭は嫌な予想をしては、否定するということ繰り返し、家の中を隈《くま》なく探す。最後の部屋はお風呂場だった。
「雛、入るぞ」
入ったときに目がついたのは真っ赤な湯船に手を入れている雛の姿だった。圭は急いで雛の手を湯船から出すが、雛の体はとても冷たくなっていた。
ーーまた、間に合わなかった。
急いで警察に連絡をし、病院に連れて行ってもらったが、雛はすでに亡くなっていた。そのあとすぐに警察から事情聴取を受けることになったが、タイムリープのことなど言えるはずもなく、言ったところで信じてももらえるはずもない。だから、圭は雛との連絡を見せ、雛の様子を見に来たら亡くなっていたこと話すことしかできなかった。
平日に来たことに不振がられたものの、前日までは学校であり、ここから俺の学校までの距離はあるため、俺は釈放された。
家に帰り、ベッドに倒れ込む。思い出すのは雛の冷たい体のことだった。タイムリープは二回とも一週間前だった。なら、これ以上前の日には戻れない。もともと奇跡が起こった結果なのに、雛を助けることはどうやってもできない。
「じゃあ、どうして、どうしてタイムリープなんて経験させた!期待をさせた!俺を絶望に突き落としたいからか!希望に縋りつく惨めな俺を見たいからか!」
何をいってもどうしようも無い。そんなことはわかっている。けど、この理不尽な状況を嘆くことしか出来なかった。
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