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後悔と興味
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「ほんと、圭ちゃんはかわいそうだよねー」
白い空間に人影が二つ、一人は明らかに日本人だとわかる容姿をしており、もう一人は全身から白い光を発しており、特徴を掴むことはできない。ただ、輪郭として人の形をしていることはわかる。
「運よく、記憶を持ったままタイムリープできたのに、助けたかった相手に覚えられていないだなんて」
「あなたは…」
「私が悪いの?君たちが望んだ通りにタイムリープさせてあげているのに?そもそも、タイムリープがなんの犠牲もなく起こるわけなんてないじゃないかな?そう思わない?雛ちゃん?」
「……」
「君は両親が亡くなり、親戚にも学校でも虐待されて、タイムリープに縋った。両親が死んだ次の日からスタートという形でね。そして君は耐えられずに自殺した」
「……」
「どうしてタイムリープの期間がそこなのか?それは君たちが希望を見出し、より一層深く絶望するために決まっているじゃないか!」
「……」
「少しでも希望を見せればそれに縋りつく。それで満たされなければもっと望む。そうだろう?」
「…悪魔」
「悪魔…ね。自分たちの行動で、満足できないことになったから、大きな力を望む。そんな人たちに何をしてもいいと、私は思うんだ。だから、今回、圭ちゃんには期待したんだ。彼はタイムリープ中でも全く別の行動を取ろうとした。それに、初めて自分のためではなく、君のために、自分を犠牲にしていいと本気で思っていたからね」
「あなたが、けいちゃんと呼ばないで…」
「今更、独占欲かい?でももう遅いよ。君は両親が亡くなったことで全てを諦めた。けいちゃんに相談することもなく、ただ全てに絶望して捨て去った。最後の望みは好きな人と両親が一緒にいることだったかな。そして、好きな人の記憶を代償にした」
「…」
「圭ちゃんが会った雛は、圭ちゃんのことが好きな記憶を無くした雛。さて、それは圭ちゃんが助けたかった雛なのかな?それとも雛の形をした別人?」
雛は黙ってしまう。圭との記憶を無くしているのであれば、知人ですらない。そんな彼が雛に対し、両親は死ぬし、雛も自殺してしまうと言ったところで変な人だと思うだけだろう。そして、そんな態度を取られた圭はより傷つくことが分かってしまう。
「全てが遅いんだよ。この牢獄に来た時点で、君はもう遅い。私はちゃんと選択肢を与えたよ?それでも過去に縋ったのは君だ。タイムリープが全て自分の都合よく起こるわけなんてないだろう?何かしらの代償は必要に決まっている、それも説明した。その上で、君は私に何を望む」
「……」
「君ができるのは、この牢獄で圭ちゃんにひどい態度をとる自分を見て、圭ちゃんが絶望しないことを望むことだけさ」
管理人は消え、真っ白な空間に雛は一人、取り残される。一人静かな空間で、雛は一人、涙を流す。
「ごめんなさい、けいちゃん…」
「さーて、圭ちゃんは、君のことを全く覚えていない雛ちゃんにどう接するのかな?諦める?それともどうにかして伝える?」
管理人は少女のようにはしゃぎながら彼、圭を覗く。
「君の望み通りの結果にならなかった時、君は次に何を望むのかな?」
彼女にとって、この牢獄は面白いものではなかった。次々とやってくるのは自分の行いを悔い、やり直したいと思う人か、自分の不幸を変えたいと思う人ばかりだった。彼女にとっては全て自業自得という言葉に当てはまるものだった。
だからこそ、彼女は人の人生で遊びだした。人に希望を見せて、絶望に突き落とした。タイムリープという存在があることを示した。そしてギリギリを見極め、より理想的なタイムリープを望むようにし、その人物の大事な記憶をここに閉じ込めるようにした。
その理由は単純なものだった。似たような理由でここに来るのなら、彼女にとって面白くなってからきてほしい。ただそれだけだった。
「君は私が見てきて、初めて他人のために自分を犠牲にしようとしていた。まあ、残念ながらその相手は君のことを忘れていたんだけどね」
「君のこれからを私は楽しみにしているよ。願わくば、もう一度私と会おうね。圭ちゃん」
白い空間に人影が二つ、一人は明らかに日本人だとわかる容姿をしており、もう一人は全身から白い光を発しており、特徴を掴むことはできない。ただ、輪郭として人の形をしていることはわかる。
「運よく、記憶を持ったままタイムリープできたのに、助けたかった相手に覚えられていないだなんて」
「あなたは…」
「私が悪いの?君たちが望んだ通りにタイムリープさせてあげているのに?そもそも、タイムリープがなんの犠牲もなく起こるわけなんてないじゃないかな?そう思わない?雛ちゃん?」
「……」
「君は両親が亡くなり、親戚にも学校でも虐待されて、タイムリープに縋った。両親が死んだ次の日からスタートという形でね。そして君は耐えられずに自殺した」
「……」
「どうしてタイムリープの期間がそこなのか?それは君たちが希望を見出し、より一層深く絶望するために決まっているじゃないか!」
「……」
「少しでも希望を見せればそれに縋りつく。それで満たされなければもっと望む。そうだろう?」
「…悪魔」
「悪魔…ね。自分たちの行動で、満足できないことになったから、大きな力を望む。そんな人たちに何をしてもいいと、私は思うんだ。だから、今回、圭ちゃんには期待したんだ。彼はタイムリープ中でも全く別の行動を取ろうとした。それに、初めて自分のためではなく、君のために、自分を犠牲にしていいと本気で思っていたからね」
「あなたが、けいちゃんと呼ばないで…」
「今更、独占欲かい?でももう遅いよ。君は両親が亡くなったことで全てを諦めた。けいちゃんに相談することもなく、ただ全てに絶望して捨て去った。最後の望みは好きな人と両親が一緒にいることだったかな。そして、好きな人の記憶を代償にした」
「…」
「圭ちゃんが会った雛は、圭ちゃんのことが好きな記憶を無くした雛。さて、それは圭ちゃんが助けたかった雛なのかな?それとも雛の形をした別人?」
雛は黙ってしまう。圭との記憶を無くしているのであれば、知人ですらない。そんな彼が雛に対し、両親は死ぬし、雛も自殺してしまうと言ったところで変な人だと思うだけだろう。そして、そんな態度を取られた圭はより傷つくことが分かってしまう。
「全てが遅いんだよ。この牢獄に来た時点で、君はもう遅い。私はちゃんと選択肢を与えたよ?それでも過去に縋ったのは君だ。タイムリープが全て自分の都合よく起こるわけなんてないだろう?何かしらの代償は必要に決まっている、それも説明した。その上で、君は私に何を望む」
「……」
「君ができるのは、この牢獄で圭ちゃんにひどい態度をとる自分を見て、圭ちゃんが絶望しないことを望むことだけさ」
管理人は消え、真っ白な空間に雛は一人、取り残される。一人静かな空間で、雛は一人、涙を流す。
「ごめんなさい、けいちゃん…」
「さーて、圭ちゃんは、君のことを全く覚えていない雛ちゃんにどう接するのかな?諦める?それともどうにかして伝える?」
管理人は少女のようにはしゃぎながら彼、圭を覗く。
「君の望み通りの結果にならなかった時、君は次に何を望むのかな?」
彼女にとって、この牢獄は面白いものではなかった。次々とやってくるのは自分の行いを悔い、やり直したいと思う人か、自分の不幸を変えたいと思う人ばかりだった。彼女にとっては全て自業自得という言葉に当てはまるものだった。
だからこそ、彼女は人の人生で遊びだした。人に希望を見せて、絶望に突き落とした。タイムリープという存在があることを示した。そしてギリギリを見極め、より理想的なタイムリープを望むようにし、その人物の大事な記憶をここに閉じ込めるようにした。
その理由は単純なものだった。似たような理由でここに来るのなら、彼女にとって面白くなってからきてほしい。ただそれだけだった。
「君は私が見てきて、初めて他人のために自分を犠牲にしようとしていた。まあ、残念ながらその相手は君のことを忘れていたんだけどね」
「君のこれからを私は楽しみにしているよ。願わくば、もう一度私と会おうね。圭ちゃん」
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