捨てたいキミ、拾いたい僕。

ふじのはら

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十二話 ワケ

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「にしても、川原いると思ってなかった」
「だろうね。すげぇ揉めてたじゃん。大丈夫?」
「中学ん時の先輩なんだよね。つーか、ヤバいとこ見られたね、、」
「まあ、、」
「、、何も聞かんの?」
「え、聞いて良いやつ?」
「あー、、、」
オレの視線の先で今度は和倉が黙った。
黒い前髪が風に揺れて、逡巡する瞳がちらと見えた。
聞きたいことがあるのはもちろんだ。ツッコミどころしかないような場面を見てしまったんだから、むしろ何も聞かない方が不自然なくらいだ。

「和倉、、オレがもし死んだらさ、、」
「は!?なに言って、ー」
彼は驚いてオレの顔を見た。
「もし死んだらさ、、、もしも和倉が他人に知られたくないけど1人で抱えるにはしんどいって事があるんだったら、それオレが墓まで持ってってやるよ」
和倉の驚いた表情は今度はみるみるうちに泣きそうな子供のような顔に変わる。

賑やかな目立つグループで何不自由なく高校生活を謳歌しているように見える和倉が、実は孤独感や虚しさを抱えていることをオレは知っている。、、というより、オレはそういう和倉の方と先に知り合ったんだ。

「さっきの先輩、、と、、やったんだ、、1年のとき、、、」
「、、やった?って?」
「セックス」
「は?え、、そ、うなんだ、、へぇ、、そっか、、」
「軽蔑しても良いよ」
「、、なんで?」
「え、“何で”ってヤった理由?そんなん、ー」
「じゃなくて。何で“軽蔑して良い”とか言うかなって。」
「いや、だって男同士なんて気持ち悪いじゃん。関わりたくないでしょ」
「あー、うーん、、どうだろ、、。すごい驚きはしたけど、、男女だろうが男同士だろうがオレとは別世界なんだよな。オレはそんな経験出来ないからさ。、、まぁ、双方が望んでて死ぬ危険が無いなら良いんじゃねーの。」

この思春期にヤっただのなんだの言って悩めるのもオレから言わせりゃ羨ましいくらいだ。
まぁ、それは本人にとったら生きてられないくらいの事だったのかもしれないから言葉にする事はないけれど、、。
オレの言葉に和倉は小さく「ふぅん。」といったきり黙った。けど暫くして、、
「あっっ!!」
大きな声をあげて急にオレを振り返った。
「っぅえ、何!?」
「川原、誤解すんな。ぅわ、やば、、。」
「いや、なに?何かオレ誤解してる?」
「あの、あの時の、、川原の家行った時の。オレおまえの発作にパニクって、キ、、、」
言いながら赤い顔をして目を泳がせる。
「あぁ、あれね。」

「あれは、そういう意味じゃない!その、、川原に変な気持ってるとかじゃないから!なんつーか、説明出来ないけど、誤解すんな!」
「あはは、わかったって。それも一緒に墓まで持ってってやるから落ち着けって」
「はぁ、ビビった。やべーなオレ。」

和倉とオレは苦笑混じりに笑い合った。
今思い返せば、いつ死ぬかわからないオレと、大きな秘密を抱える和倉は何となくお互いの重荷を分け合っていたのだ。
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