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十四話 未来(最終話)
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「兄貴、ちょっと車で高校の近くまで連れて行ってくんない?」
「いいけど、、おまえ調子悪いだろ?」
「大丈夫。薬持ってる。どうしても見送りたい友だちいるんだ。」
「ーわかった。了解。」
今頃卒業式は終わっただろうか?
きっと和倉は友達と騒ぎながら写真をたくさん撮ってるだろう。誰かに告白でもされてるかもしれない。
留年までしたのに結局卒業できなかったオレの事を思い出したりしただろうか。
兄貴の車に乗って川沿いの道路まで来た。手に卒業証書の入った筒を持つ卒業生が、まだちらほらと歩いている。
川沿いの道路をゆっくり車で通過すると、1人で土手に立って川を眺めている和倉を見つけた。
「和倉ーーー!」
オレの声に和倉は驚いて振り返る。
「卒業おめでとー!」
「川原!!ありがとう!」
「頑張れよ!」
「川原こそ!!約束忘れんなよ!!」
車はゆっくりと和倉がいつか飛び降りた橋を通過する。その道から見下ろす位置の土手で和倉は大きく手を振った。
黒い髪が風になびいて、泣きそうな顔が見えた。
「和倉!約束な!!」
車の窓から身を乗り出して叫ぶオレも同じような顔をしていたに違いない。
「約束な!!」
和倉の姿が見えなくなっても、彼の声がいつまでもオレの耳に残っていた。
それがオレと和倉が交わした最後の言葉だ。友達というほどの仲じゃなかったオレたちは互いの連絡先も知らないままそれぞれの道を歩き始めたのだった。
4年後、春。
オレはハガキを机に置いてリビングへ降りた。
「朋紀、荷物まとめ終わった?」
「うん、終わった。ねぇ、母さん、机にあった同窓会のハガキ、、よくオレに来たと思わない?」
「卒業間際までは在籍していたからかもね。行くの?」
「どうだろ、、。迷ってる。」
4年前に辞めた高校の同窓会、、卒業生でもないのに、知ってるやつなんか数人しか居ないのに、オレは行こうかと迷っている。
「兄貴もうすぐ来る?」
「あと5分くらいで着くって。たまに母さん遊びにいくからね。」
「オレは一人暮らしで良いのに。」
「なに言ってんの。お金ないくせに。弘紀と住んでる間にお金貯めなさいね。」
「へーい」
母さんは平然としている様に見えた。だけど心の中はいろんな感情があっただろう。
学校を辞めて東京へ一時的に引っ越し、病院に入退院しながらこの4年間で通信制の高校を卒業した。
そうしてこの地元に母さんと帰ってきて、それと同時にオレは自立の準備として実家を出て兄貴と暮らす。
ずっと生きた心地がしなかっただろう母さんも、これからは穏やかな毎日があると良い、、。
東京にいた4年間、気分の落ちることは無数にあった。そんな時に和倉の存在がオレを支えてくれた。
知り合いというにはその存在は大きすぎ、友達と呼ぶには知らないことが多すぎる。
それでもあいつの存在がオレを支えてくれたように、オレも和倉にとってそういう存在であったら良いなんて思っている。
ーやっぱり同窓会には行ってみようか。ただ確認するだけで良い。お互い約束を守ったんだとわかるだけで、、。
外に兄貴の車が停まる音がして、少しすると玄関から兄貴と父さんの声が聞こえた。
オレは重いリュックを肩にかけてリビングを出た。リュックの横についたマスコットと一緒に、小さな紫色の御守りが跳ねるように揺れていた。
(完)
「いいけど、、おまえ調子悪いだろ?」
「大丈夫。薬持ってる。どうしても見送りたい友だちいるんだ。」
「ーわかった。了解。」
今頃卒業式は終わっただろうか?
きっと和倉は友達と騒ぎながら写真をたくさん撮ってるだろう。誰かに告白でもされてるかもしれない。
留年までしたのに結局卒業できなかったオレの事を思い出したりしただろうか。
兄貴の車に乗って川沿いの道路まで来た。手に卒業証書の入った筒を持つ卒業生が、まだちらほらと歩いている。
川沿いの道路をゆっくり車で通過すると、1人で土手に立って川を眺めている和倉を見つけた。
「和倉ーーー!」
オレの声に和倉は驚いて振り返る。
「卒業おめでとー!」
「川原!!ありがとう!」
「頑張れよ!」
「川原こそ!!約束忘れんなよ!!」
車はゆっくりと和倉がいつか飛び降りた橋を通過する。その道から見下ろす位置の土手で和倉は大きく手を振った。
黒い髪が風になびいて、泣きそうな顔が見えた。
「和倉!約束な!!」
車の窓から身を乗り出して叫ぶオレも同じような顔をしていたに違いない。
「約束な!!」
和倉の姿が見えなくなっても、彼の声がいつまでもオレの耳に残っていた。
それがオレと和倉が交わした最後の言葉だ。友達というほどの仲じゃなかったオレたちは互いの連絡先も知らないままそれぞれの道を歩き始めたのだった。
4年後、春。
オレはハガキを机に置いてリビングへ降りた。
「朋紀、荷物まとめ終わった?」
「うん、終わった。ねぇ、母さん、机にあった同窓会のハガキ、、よくオレに来たと思わない?」
「卒業間際までは在籍していたからかもね。行くの?」
「どうだろ、、。迷ってる。」
4年前に辞めた高校の同窓会、、卒業生でもないのに、知ってるやつなんか数人しか居ないのに、オレは行こうかと迷っている。
「兄貴もうすぐ来る?」
「あと5分くらいで着くって。たまに母さん遊びにいくからね。」
「オレは一人暮らしで良いのに。」
「なに言ってんの。お金ないくせに。弘紀と住んでる間にお金貯めなさいね。」
「へーい」
母さんは平然としている様に見えた。だけど心の中はいろんな感情があっただろう。
学校を辞めて東京へ一時的に引っ越し、病院に入退院しながらこの4年間で通信制の高校を卒業した。
そうしてこの地元に母さんと帰ってきて、それと同時にオレは自立の準備として実家を出て兄貴と暮らす。
ずっと生きた心地がしなかっただろう母さんも、これからは穏やかな毎日があると良い、、。
東京にいた4年間、気分の落ちることは無数にあった。そんな時に和倉の存在がオレを支えてくれた。
知り合いというにはその存在は大きすぎ、友達と呼ぶには知らないことが多すぎる。
それでもあいつの存在がオレを支えてくれたように、オレも和倉にとってそういう存在であったら良いなんて思っている。
ーやっぱり同窓会には行ってみようか。ただ確認するだけで良い。お互い約束を守ったんだとわかるだけで、、。
外に兄貴の車が停まる音がして、少しすると玄関から兄貴と父さんの声が聞こえた。
オレは重いリュックを肩にかけてリビングを出た。リュックの横についたマスコットと一緒に、小さな紫色の御守りが跳ねるように揺れていた。
(完)
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