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三章【関係】※R18含む
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ベッドの中。
俺たちは真夜中にシャワーを浴びて再びベッドへ入っていた。
「宮城さん、、」
「、、んー?」
小さく呼べば気怠げな声が答える。
「手、出してごめんなさい」
「、、いいよ、、俺も頼んじゃったし、、」
「、、拘束と目隠しで何かされる気持ちわかりましたか?」
俺の言葉に、虚を突かれたように「え」と言った宮城さんは、クスクスと笑いながらこちらを見た。
「そういや途中から目的見失ってたわ」
「ふはっ、意味ない」
すぐ隣で俺を見て笑う彼の眼差しに、俺も笑いながら少し心が満たされた気がする。
宮城さんが好きだという気持ちはもう疑いようのないハッキリしたものだった。
少し前の“憧れ”なんかじゃない。最初は親しくなりたいと思った。ハヤトさんと知り合ってからは彼らの仲間になりたいと思った。そう思った時からそんなに時は経っていないのに今では宮城さんを抱きしめたい。触れたい。俺を特別な人にしてほしい。そう心から願って胸がジリジリとする。
何て欲張りなんだろう。
ハヤトさんがいたら相談出来るのに、、学校の友達には話せないこの感情をハヤトさんなら笑って聞いてくれるのに。
彼が飛行機に乗る前に言った“アイツは好奇心で動くようなやつじゃない”という言葉が今でも心に残っている。だからと言って宮城さんがどういう気持ちで最後までしたのかはわからない。やっぱり漫画を描く上で体験することが“芸の肥やし”になるからというのが近い気がする。
「どうした?」
ふと呼ばれて現実に引き戻された。
隣で寝ている宮城さんがまだこちらを見ていた。
「悩める高校生の顔してる」
「え?いや、別に、、」
今は気持ちを口に出せない。1回や2回セックスしただけで、付き合って欲しいとか自分のことどう思っているかとか、そんな事を言い出せばきっと重いと思われる、、
3歳の差はまだ若い俺と宮城さんには大きな差だ。いくら時が経っても歳の差は縮まりはしないけど、少なくとも同じ大学生になれば何かが違う気がする。だから今はまだ、、
俺の顔をじっと見ている宮城さんと視線があって、無言のまま一瞬とまる。
キシッとベッドがなって、彼は少し体を起こしこちらを見る。
「キスしても良い?」そう言った。
海辺の波にさらわれるように頭の中からいろんな考えが一気に流される。
宮城さんが俺にこんなことを言うなんて、、
「もちろんです」
俺の答えに微笑む。
ああ、ずるい。何をしても魅力的すぎる。
彼の柔らかい唇を感じながら俺は目を瞑った。
「早く大学生になりなよ」
「はい。俺絶対F大行きますから。」
「うん、待ってる。」
「おやすみ」と言って2人は眠りについた。
俺と宮城さんはこの日からセックスもキスもしていない。宮城さんが2週間ほど課題提出で殆どの時間を大学で過ごし、それが一段落ついてしばらくすると俺は高校としては遅い時季の修学旅行へ行った。
そのうちに宮城さんの漫画の仕事が急に忙しくなった。
今発売しているシリーズがテレビアニメ化されるという話があがったのだ。
アニメ化されるにあたって放送できないシーンをどうするのか、、その事でアニメの制作会社や出版社の担当と打ち合わせが相次いだ。
アニメに合わせてオリジナルグッズの製作もあるようでイラストを描き下ろしたり、同時進行でシリーズの続きを描いたり、、そんな忙しい宮城さんが家で作業する時だけ俺は雑用をしに行ったがのんびり過ごす暇は無く、慌ただしい日々の中10月になった。
季節はすっかり秋になったのだ。
「龍之介、本屋のバイト辞めたんだ?」
体育のジャージに着替えながらハチが聞く。
「辞めたっていうか受験終わったら再開すると思うけど。ハチは?」
「俺も今月いっぱい。来月から予備校通うし」
後期が近づき体育の参加がほぼ自由になった。体育なんかやっている暇があったら勉強をしたいという難関大学を目指す生徒がいるからだ。
俺やハチのように動くのが大好きなヤツらだけがバスケやバレーをする。
「俺も行こうかな。予備校。」
「え、マジ?龍之介はF大余裕あるのかと思ってたわ」
「いや普通に余裕はないから!すげー危ない訳でもないんだけど、絶っっ対受かりたいんだよ」
ハチは神谷と予備校に行くことになっている。ちなみに神谷は別の大学を受ける予定で、ついでにハチの彼女の桃ちゃんも結局F大じゃないところを志望しているようだ。
いよいよ、俺たちは受験生らしい勉強漬けの生活を送ることになる。
宮城さんの仕事が忙しいままに、俺は彼の家へ行かなくなった。書店にも行かなくなり、放課後に予備校に行くようになると宮城さんの生活圏からも遠ざかり偶然会うような可能性すらなくなってしまった。
そうして時々お互いの近況を知らせ合うくらいになり外の風が冷たくなるにつれ、宮城さんとハヤトさんと3人でご飯を食べて笑っていた頃が過ぎたんだと実感させられる。
学校と予備校の毎日が淡々と過ぎて、雪がちらつき始めやがて積もる。
クリスマス、年末年始、と勉強をして過ごした。
宮城さんの事を考えない日は無かった。
そんなある日の夜、携帯が鳴った。
「もしもし!?ハヤトさん!?」
「蒼くん?元気ー?」
呑気で明るいハヤトさんの声がした。
「ハヤトさん!!え、嬉しい!いつぶりですか!」
「久しぶり~。半年ぶりくらい?蒼くん元気?」
「蒼くんもうすぐ受験だろ?頑張れって言いたくて電話したんだ。」
「ハヤトさんは?今どこで何してるんですか?」
「俺?ロンと一緒に暮らしてるんだよ。大学は休学届け出しててさ。」
ロンさんは元々同じ市内の人ではない。ハヤトさんを空港で見送った時にはロンさんの地元に行くと言っていたけど、どうやら今はロンさんの大学のある地域にいるようだった。
「イトとは?さすがにもうモデルやってないんだろ?」
「うん、秋頃から行ってないです。宮城さんと絶対F大受かるって約束したから俺勉強ばっかりで」
「そっか、連絡はとってる?アイツ元気かな」
ハヤトさんの声は俺をあの頃へ引き戻した。いっぱい彼に聞いて欲しい事があったのだ。
「宮城さんは仕事すごく忙しくなって、忙しいのに学校も仕事も全部1人で頑張ってます。たまに“疲れたー”って連絡来ますよ」
俺の話に感慨深そうにハヤトさんは頷いて「そっか、俺たちそれぞれ自分のやるべき事頑張ってんだな」としみじみ言った。
ハヤトさんが宮城さんに連絡しないのは別にロンさんのためばかりじゃなかったんだろうと思う。きっと宮城さんが“共依存”と表現した少し苦しい関係を終わらせるためだ。
宮城さんもそれをわかっているからハヤトさんと連絡を取ろうとしない。
それぞれが自分の大切なものに1人で向き合っているのだ。
だから俺も、ハヤトさんに話を聞いてもらうのはまだ先にしよう。俺もしっかり自分のやるべき事をやらなければ、宮城さんにもハヤトさんにも追いつけはしないだろうから。
「蒼くん、俺来年度いっぱい休学するから、ちゃんと蒼くんがF大入ってればキミが2年になる時俺が3年だよ。イトは先に4年だろうけどな。」
「ハヤトさんと大学で会えるの楽しみです!」
「うん、俺も!頑張ってな!」
そう言ってハヤトさんは電話を切った。
なんだか嬉しくて涙が出そうだった。短い間しか一緒にいなかったのに、ハヤトさんはいつも優しい。本当に兄のような存在で、彼の“頑張れ”も宮城さんの“待ってる”も社交辞令ではない俺への言葉だとわかる。
頑張ろう。
F大生として、2人と同じ土俵に立つのだ。
大学生になって宮城さんにもう一度気持ちを伝えよう。
俺たちは真夜中にシャワーを浴びて再びベッドへ入っていた。
「宮城さん、、」
「、、んー?」
小さく呼べば気怠げな声が答える。
「手、出してごめんなさい」
「、、いいよ、、俺も頼んじゃったし、、」
「、、拘束と目隠しで何かされる気持ちわかりましたか?」
俺の言葉に、虚を突かれたように「え」と言った宮城さんは、クスクスと笑いながらこちらを見た。
「そういや途中から目的見失ってたわ」
「ふはっ、意味ない」
すぐ隣で俺を見て笑う彼の眼差しに、俺も笑いながら少し心が満たされた気がする。
宮城さんが好きだという気持ちはもう疑いようのないハッキリしたものだった。
少し前の“憧れ”なんかじゃない。最初は親しくなりたいと思った。ハヤトさんと知り合ってからは彼らの仲間になりたいと思った。そう思った時からそんなに時は経っていないのに今では宮城さんを抱きしめたい。触れたい。俺を特別な人にしてほしい。そう心から願って胸がジリジリとする。
何て欲張りなんだろう。
ハヤトさんがいたら相談出来るのに、、学校の友達には話せないこの感情をハヤトさんなら笑って聞いてくれるのに。
彼が飛行機に乗る前に言った“アイツは好奇心で動くようなやつじゃない”という言葉が今でも心に残っている。だからと言って宮城さんがどういう気持ちで最後までしたのかはわからない。やっぱり漫画を描く上で体験することが“芸の肥やし”になるからというのが近い気がする。
「どうした?」
ふと呼ばれて現実に引き戻された。
隣で寝ている宮城さんがまだこちらを見ていた。
「悩める高校生の顔してる」
「え?いや、別に、、」
今は気持ちを口に出せない。1回や2回セックスしただけで、付き合って欲しいとか自分のことどう思っているかとか、そんな事を言い出せばきっと重いと思われる、、
3歳の差はまだ若い俺と宮城さんには大きな差だ。いくら時が経っても歳の差は縮まりはしないけど、少なくとも同じ大学生になれば何かが違う気がする。だから今はまだ、、
俺の顔をじっと見ている宮城さんと視線があって、無言のまま一瞬とまる。
キシッとベッドがなって、彼は少し体を起こしこちらを見る。
「キスしても良い?」そう言った。
海辺の波にさらわれるように頭の中からいろんな考えが一気に流される。
宮城さんが俺にこんなことを言うなんて、、
「もちろんです」
俺の答えに微笑む。
ああ、ずるい。何をしても魅力的すぎる。
彼の柔らかい唇を感じながら俺は目を瞑った。
「早く大学生になりなよ」
「はい。俺絶対F大行きますから。」
「うん、待ってる。」
「おやすみ」と言って2人は眠りについた。
俺と宮城さんはこの日からセックスもキスもしていない。宮城さんが2週間ほど課題提出で殆どの時間を大学で過ごし、それが一段落ついてしばらくすると俺は高校としては遅い時季の修学旅行へ行った。
そのうちに宮城さんの漫画の仕事が急に忙しくなった。
今発売しているシリーズがテレビアニメ化されるという話があがったのだ。
アニメ化されるにあたって放送できないシーンをどうするのか、、その事でアニメの制作会社や出版社の担当と打ち合わせが相次いだ。
アニメに合わせてオリジナルグッズの製作もあるようでイラストを描き下ろしたり、同時進行でシリーズの続きを描いたり、、そんな忙しい宮城さんが家で作業する時だけ俺は雑用をしに行ったがのんびり過ごす暇は無く、慌ただしい日々の中10月になった。
季節はすっかり秋になったのだ。
「龍之介、本屋のバイト辞めたんだ?」
体育のジャージに着替えながらハチが聞く。
「辞めたっていうか受験終わったら再開すると思うけど。ハチは?」
「俺も今月いっぱい。来月から予備校通うし」
後期が近づき体育の参加がほぼ自由になった。体育なんかやっている暇があったら勉強をしたいという難関大学を目指す生徒がいるからだ。
俺やハチのように動くのが大好きなヤツらだけがバスケやバレーをする。
「俺も行こうかな。予備校。」
「え、マジ?龍之介はF大余裕あるのかと思ってたわ」
「いや普通に余裕はないから!すげー危ない訳でもないんだけど、絶っっ対受かりたいんだよ」
ハチは神谷と予備校に行くことになっている。ちなみに神谷は別の大学を受ける予定で、ついでにハチの彼女の桃ちゃんも結局F大じゃないところを志望しているようだ。
いよいよ、俺たちは受験生らしい勉強漬けの生活を送ることになる。
宮城さんの仕事が忙しいままに、俺は彼の家へ行かなくなった。書店にも行かなくなり、放課後に予備校に行くようになると宮城さんの生活圏からも遠ざかり偶然会うような可能性すらなくなってしまった。
そうして時々お互いの近況を知らせ合うくらいになり外の風が冷たくなるにつれ、宮城さんとハヤトさんと3人でご飯を食べて笑っていた頃が過ぎたんだと実感させられる。
学校と予備校の毎日が淡々と過ぎて、雪がちらつき始めやがて積もる。
クリスマス、年末年始、と勉強をして過ごした。
宮城さんの事を考えない日は無かった。
そんなある日の夜、携帯が鳴った。
「もしもし!?ハヤトさん!?」
「蒼くん?元気ー?」
呑気で明るいハヤトさんの声がした。
「ハヤトさん!!え、嬉しい!いつぶりですか!」
「久しぶり~。半年ぶりくらい?蒼くん元気?」
「蒼くんもうすぐ受験だろ?頑張れって言いたくて電話したんだ。」
「ハヤトさんは?今どこで何してるんですか?」
「俺?ロンと一緒に暮らしてるんだよ。大学は休学届け出しててさ。」
ロンさんは元々同じ市内の人ではない。ハヤトさんを空港で見送った時にはロンさんの地元に行くと言っていたけど、どうやら今はロンさんの大学のある地域にいるようだった。
「イトとは?さすがにもうモデルやってないんだろ?」
「うん、秋頃から行ってないです。宮城さんと絶対F大受かるって約束したから俺勉強ばっかりで」
「そっか、連絡はとってる?アイツ元気かな」
ハヤトさんの声は俺をあの頃へ引き戻した。いっぱい彼に聞いて欲しい事があったのだ。
「宮城さんは仕事すごく忙しくなって、忙しいのに学校も仕事も全部1人で頑張ってます。たまに“疲れたー”って連絡来ますよ」
俺の話に感慨深そうにハヤトさんは頷いて「そっか、俺たちそれぞれ自分のやるべき事頑張ってんだな」としみじみ言った。
ハヤトさんが宮城さんに連絡しないのは別にロンさんのためばかりじゃなかったんだろうと思う。きっと宮城さんが“共依存”と表現した少し苦しい関係を終わらせるためだ。
宮城さんもそれをわかっているからハヤトさんと連絡を取ろうとしない。
それぞれが自分の大切なものに1人で向き合っているのだ。
だから俺も、ハヤトさんに話を聞いてもらうのはまだ先にしよう。俺もしっかり自分のやるべき事をやらなければ、宮城さんにもハヤトさんにも追いつけはしないだろうから。
「蒼くん、俺来年度いっぱい休学するから、ちゃんと蒼くんがF大入ってればキミが2年になる時俺が3年だよ。イトは先に4年だろうけどな。」
「ハヤトさんと大学で会えるの楽しみです!」
「うん、俺も!頑張ってな!」
そう言ってハヤトさんは電話を切った。
なんだか嬉しくて涙が出そうだった。短い間しか一緒にいなかったのに、ハヤトさんはいつも優しい。本当に兄のような存在で、彼の“頑張れ”も宮城さんの“待ってる”も社交辞令ではない俺への言葉だとわかる。
頑張ろう。
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