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五章【リアルな続きを】※R18含む
3 ご希望のデレを。(最終話)
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『“イケメンすぎるBL漫画家”で話題の九条先生ですが、同じ男性から好かれて困った、なんてことも経験あるんじゃないですか?』
頭の悪そうなインタビュアーの質問に、九条ゆいは一瞬冷めた視線を送る。
『、、男性だからとか女性だからとかそういう感覚はないですね。』
『あ、もしかして九条先生はやはりBL漫画家なだけに男性同士の恋愛に寛大なんでしょうか?』
『寛大?えっと、、そもそも僕にとっては男同士でも女同士でも差はないです。誰かを好きになって側にいたい、触れたい、特別になりたいって気持ちはどの性別も一緒じゃないですか?想う事に誰かの寛大さなんて必要ないと思いますよ。』
九条ゆいの丁寧だがどこか淡白な物言いに、相手の男は『そうですね』と作り笑いを浮かべてポリポリと鼻の頭をかいた。
『あ、で、では最後に。九条先生の作品のファンの方は男同士の恋愛に萌える所謂“腐女子、腐男子”という方々ですが、、そのファンの皆さんにとってはイケメンすぎる作者の九条先生ももしかすると、、なんて期待の声があるようですが、何かファンの方にメッセージありますか?』
『僕は専ら物語を生み出す方の立場なので、僕自身にそういう期待があるとしたらちょっと戸惑ってしまいますが、、そうですね、好きになった相手がたまたま同性だったっていうだけのことなので無いとは言い切れませんね。僕の漫画の主人公達と同じです。』
そこで初めてマスクに隠れていない綺麗な目が微笑む。この動画を見てこの瞳に撃ち抜かれた人がどれほどいるだろうか、、。
まぁ九条ゆいのファンは、彼が他の男と恋愛関係にあるのを妄想する方が刺激的だろう。
それは本当は“妄想”なんかではないけれど、、。
「その人は俺の彼氏ですっ!」
スマホの画面に向かって言い切ると、すぐ後ろのソファに寝そべっていたハヤトさんが「お、どうした、病んでるのか?」と笑う。
「その動画何回観てんだよ?イトが愛想なくて相手が不憫なやつ」
ハヤトさんの言う通り、2ヶ月ほども前の動画を俺は未だに繰り返し観ている。
まぁ格好いいんだから仕方がない。
「相手の人がちょっと偏見持ってる感じだよね。宮城さん愛想無いどころか、若干ムッとしてるもん。でもその愛想笑いしないところがらしいんだよな~」
「その無愛想な男が自分にだけデレるから最高!とか思ってるだろ?ざんねーん、俺にもデレるんだよなぁ」
ハヤトさんがわざと含みのある言い方をしてニヤニヤと笑う。
「はぁっ!?思ってない!、、いや、思ってるけど!ハヤトさんに対するデレと俺に対するデレは違うと思う!」
その時ガチャリと、リビングに面する洋室のドアが開いて、マスクと眼鏡姿の宮城さんが入って来た。
「誰がデレる話してんの?」
「お、お疲れ。蒼くんがまたイトの動画観てて、無愛想がたまらなくイイ!とか言うんだよ。自分にだけデレるのがー」
「わあぁ!ハヤトさんっ!」
慌ててハヤトさんの口を押さえて封じる。寝そべったままのハヤトさんがニッコリと微笑んでみせた。
けど俺の手はすぐに宮城さんの手に掴まれてハヤトさんの口元から引き離されてしまう。彼は俺の隣にかがむと、「じゃあ、ご希望のデレを。」そう言って指でマスクを下げると、ちゅっと俺にキスをした。
「は、、ハヤトさんのまえ、、」
「大丈夫。ハヤトこっち見てないから」
何故かクールに微笑む宮城さんに、ハヤトさんを振り返ればわざとらしく目を閉じている。
「いやいやいや、今目つぶったじゃん!何言って、んんっ!」
俺が顔を赤くして抗議しているのに全く構わずに宮城さんはもう一度キスをした。今度は後頭部に手をまわし、あろうことか舌を侵入させる。
くぐもった俺の抗議の声も全く気にせず、舌を舐め上げ、甘噛みすると口蓋を舌先でそっとなぞる。一瞬下半身にズキと心地よい刺激が走った。
宮城さんはなおも官能的にクチュと舌を絡ませる。
ーうぅ、ハヤトさんがすぐ横にいるのに変な声出そう!それに勃ちそう!反応するな、俺の下半身、、あ、やばい、、やばいかも、、
自分の下半身と闘っていると、宮城さんはふいに離れた。
「も、もう!宮城さん何してんの!」
「あーやば、しんど、、さっきまでセックスシーン描いてたんだよ。キミたちいなかったら直ぐにでも抜きたいよ」
そんな似合わないことを言って俺を赤面させ、ハヤトさんを笑わせた。
ハヤトさんは昔のように宮城さんと二人三脚で歩いている感じはもう無い。今では仲の良い幼馴染だ。けれど性的な垣根が低いところは昔と変わっておらず、悔しいことに僕はどこか敵わない。
恐ろしくて深くは聞けないが、高校生の時には恋愛感情を全くぬきにして、2人で抜き合ったこともあるとか、、それにハヤトさんの冗談だとは思うけれどハヤトさんとロンさんがモデルで絡んだ時にエスカレートしたことがあって、宮城さんがそれを見ながら1人でしたとか、、
そういう意味では、俺よりもずっと早くからハヤトさんは宮城さんのそういう姿を見てきた事になる。
ー、、けど、どういうワケか、嫉妬のようなものは浮かんでこない。
ハヤトさんと宮城さんは決して恋愛感情を抱かない兄弟のような、、もしかすると兄弟よりも強い絆で結ばれた関係だから。
それに俺も高校生だった頃、ハヤトさんには抜いてもらったりキスしたりしたのだ。その行為がハヤトさんにとって、仲のいい友人にハグするくらいの意味合いしかないこともよく分かっている。宮城さんもそれをわかっているからか全く気にしていないようだ。
俺は酒を飲みながら、宮城さんとハヤトさんが漫画の話をするのを微笑ましく思いながら聞いていた。
思い出の、“小鳥遊と穂積”の最終回から半年近くが経っている。
俺が宮城さんとハヤトさんに出会ってからもう3年が経った事になるのだ。
3年間にいろいろな事があった。
宮城さんとハヤトさんの問題や、俺と音羽の問題、ハヤトさんとロンさんのことや、俺と宮城さんのいろんなこと、、。俺の受験に宮城さんとハヤトさんの休学。それぞれ大変な事辛い事も経験してきた。
そんな風にいろんな事があったのに、未だにこうして3人で笑い合える。
今は2人と同じようにお酒を飲んでいる俺は、やっぱりそれが堪らなく嬉しいのだ。
「蒼くん飲み過ぎないで。」
隣から宮城さんが新しい缶を渡してくれながら言う。
「うん、大丈夫。」
「いやいや、蒼くんよりイトだろ。おまえすぐ寝るじゃん。」
「いやぁ、ハヤト泊まるのに悪いけど、俺今日ホント欲求不満なワケ。」
「はぁ!?おまえもしかして、俺が泊まるのにやろうとしてんのかよ!?」
「してる」
「はぁ!?信じらんねぇ!」
文句を言うハヤトさんと、仕方ないだろと肩を竦める宮城さん。
違う話題に逸れてはまた戻る2人の話を、時々口を挟みながらにこやかに聞く俺。
「今日の仕事の9割絡みの描写だった。そんな日に限っておまえが来るとか」
「いや、まぁそれは普通に同情するけど。」
「だろ?だから今日はお前に気を遣ってる場合じゃー」
「いやいや、勘弁しろよ。気まずいだろーよ。おまえがそのつもりなら乱入するからな?全裸でちんこ勃てて乱入してやる」
「は!?絶対やめろよ!?」
「いつか3人でするって昔約束しただろ?」
「ばーか、1年以上前の話だろ。時効なんだよ」
「え!!時効!?蒼くん、どうなの!?」
酔っ払いの2人がくだらない応酬をして、俺の方を向く。見た目は出会った頃より少し大人っぽくなった2人が揃ってこちらを見ている。
「ふはは」
「え、聞いてた?何で笑ってんの?」
「はは、平和で嬉しいなぁって」
ヘラッと笑う俺に一瞬キョトンとした2人は、俺の前に2人より酒の空き缶が多い事にギョッとした。
「いつの間にこんな飲んでんの?蒼くん?ぅわ」
空き缶を片付けようとする宮城さんの手を掴む。
「宮城さん、俺平和で嬉しいです。宮城さんが笑っててくれて。宮城さん、大好き」
「あー、はは、蒼くん酔ってるじゃん。よしよし、俺は蒼くんが喜んでくれるのが嬉しいよ。ー俺も、大好きだよ」
そう言って宮城さんは俺の頭をふわりと撫でた。
以前とは違って、俺に惜しみなく分かりやすい愛情を注いでくれる宮城さんの姿に、ハヤトさんは苦笑してるだろう。ーでも宮城さんが幸せでいることを何よりも望んでいるのもハヤトさんだ。
俺はそのままソファに寄りかかってウトウトし始める。この刺激的で何でもない日常がずっと続けば良いと願いながら、気持ち良く遠のいていく意識の中で、宮城さんとハヤトさんの声を聞いていた。
「寝ちゃったじゃん。残念だったねイト」
「心配ないよ。蒼くんは俺と違ってあとでちゃんと目覚めるし。」
「蒼くん、少し幼くなったよな。イトがちゃんと甘やかしてるからだろ?」
「かわいいだろ?あれで攻めキャラだってんだからたまんないよな」
「おまえも遠慮なく惚気るようになったしな。変わったよな、2人とも。肩の力抜けたって言うか。あの1年は無駄じゃなかったってことか。」
「だと良いけどな。」
「あ、そういえばイト、新連載どうなった?今日会議で決まるって言ってたろ?」
「あー、、それな、、」
「良い案出なかったのか?」
「いや。ただ次の作品、、3人の絡みがあるんだよなぁ」
「おお!」
宮城さんが苦笑混じりのため息をついたのに対して、ハヤトさんは対照的にパッと顔を輝かせた。
そして同時に言ったのだ。
「蒼くんには見せられないよ」
「絶対蒼くんに見せようぜ」
眠りに落ちかけている俺の心の中で笑いがもれる。
この2人といるかぎり、俺にはこれからも刺激的で平和な物語が約束されている気がした。
(完)
頭の悪そうなインタビュアーの質問に、九条ゆいは一瞬冷めた視線を送る。
『、、男性だからとか女性だからとかそういう感覚はないですね。』
『あ、もしかして九条先生はやはりBL漫画家なだけに男性同士の恋愛に寛大なんでしょうか?』
『寛大?えっと、、そもそも僕にとっては男同士でも女同士でも差はないです。誰かを好きになって側にいたい、触れたい、特別になりたいって気持ちはどの性別も一緒じゃないですか?想う事に誰かの寛大さなんて必要ないと思いますよ。』
九条ゆいの丁寧だがどこか淡白な物言いに、相手の男は『そうですね』と作り笑いを浮かべてポリポリと鼻の頭をかいた。
『あ、で、では最後に。九条先生の作品のファンの方は男同士の恋愛に萌える所謂“腐女子、腐男子”という方々ですが、、そのファンの皆さんにとってはイケメンすぎる作者の九条先生ももしかすると、、なんて期待の声があるようですが、何かファンの方にメッセージありますか?』
『僕は専ら物語を生み出す方の立場なので、僕自身にそういう期待があるとしたらちょっと戸惑ってしまいますが、、そうですね、好きになった相手がたまたま同性だったっていうだけのことなので無いとは言い切れませんね。僕の漫画の主人公達と同じです。』
そこで初めてマスクに隠れていない綺麗な目が微笑む。この動画を見てこの瞳に撃ち抜かれた人がどれほどいるだろうか、、。
まぁ九条ゆいのファンは、彼が他の男と恋愛関係にあるのを妄想する方が刺激的だろう。
それは本当は“妄想”なんかではないけれど、、。
「その人は俺の彼氏ですっ!」
スマホの画面に向かって言い切ると、すぐ後ろのソファに寝そべっていたハヤトさんが「お、どうした、病んでるのか?」と笑う。
「その動画何回観てんだよ?イトが愛想なくて相手が不憫なやつ」
ハヤトさんの言う通り、2ヶ月ほども前の動画を俺は未だに繰り返し観ている。
まぁ格好いいんだから仕方がない。
「相手の人がちょっと偏見持ってる感じだよね。宮城さん愛想無いどころか、若干ムッとしてるもん。でもその愛想笑いしないところがらしいんだよな~」
「その無愛想な男が自分にだけデレるから最高!とか思ってるだろ?ざんねーん、俺にもデレるんだよなぁ」
ハヤトさんがわざと含みのある言い方をしてニヤニヤと笑う。
「はぁっ!?思ってない!、、いや、思ってるけど!ハヤトさんに対するデレと俺に対するデレは違うと思う!」
その時ガチャリと、リビングに面する洋室のドアが開いて、マスクと眼鏡姿の宮城さんが入って来た。
「誰がデレる話してんの?」
「お、お疲れ。蒼くんがまたイトの動画観てて、無愛想がたまらなくイイ!とか言うんだよ。自分にだけデレるのがー」
「わあぁ!ハヤトさんっ!」
慌ててハヤトさんの口を押さえて封じる。寝そべったままのハヤトさんがニッコリと微笑んでみせた。
けど俺の手はすぐに宮城さんの手に掴まれてハヤトさんの口元から引き離されてしまう。彼は俺の隣にかがむと、「じゃあ、ご希望のデレを。」そう言って指でマスクを下げると、ちゅっと俺にキスをした。
「は、、ハヤトさんのまえ、、」
「大丈夫。ハヤトこっち見てないから」
何故かクールに微笑む宮城さんに、ハヤトさんを振り返ればわざとらしく目を閉じている。
「いやいやいや、今目つぶったじゃん!何言って、んんっ!」
俺が顔を赤くして抗議しているのに全く構わずに宮城さんはもう一度キスをした。今度は後頭部に手をまわし、あろうことか舌を侵入させる。
くぐもった俺の抗議の声も全く気にせず、舌を舐め上げ、甘噛みすると口蓋を舌先でそっとなぞる。一瞬下半身にズキと心地よい刺激が走った。
宮城さんはなおも官能的にクチュと舌を絡ませる。
ーうぅ、ハヤトさんがすぐ横にいるのに変な声出そう!それに勃ちそう!反応するな、俺の下半身、、あ、やばい、、やばいかも、、
自分の下半身と闘っていると、宮城さんはふいに離れた。
「も、もう!宮城さん何してんの!」
「あーやば、しんど、、さっきまでセックスシーン描いてたんだよ。キミたちいなかったら直ぐにでも抜きたいよ」
そんな似合わないことを言って俺を赤面させ、ハヤトさんを笑わせた。
ハヤトさんは昔のように宮城さんと二人三脚で歩いている感じはもう無い。今では仲の良い幼馴染だ。けれど性的な垣根が低いところは昔と変わっておらず、悔しいことに僕はどこか敵わない。
恐ろしくて深くは聞けないが、高校生の時には恋愛感情を全くぬきにして、2人で抜き合ったこともあるとか、、それにハヤトさんの冗談だとは思うけれどハヤトさんとロンさんがモデルで絡んだ時にエスカレートしたことがあって、宮城さんがそれを見ながら1人でしたとか、、
そういう意味では、俺よりもずっと早くからハヤトさんは宮城さんのそういう姿を見てきた事になる。
ー、、けど、どういうワケか、嫉妬のようなものは浮かんでこない。
ハヤトさんと宮城さんは決して恋愛感情を抱かない兄弟のような、、もしかすると兄弟よりも強い絆で結ばれた関係だから。
それに俺も高校生だった頃、ハヤトさんには抜いてもらったりキスしたりしたのだ。その行為がハヤトさんにとって、仲のいい友人にハグするくらいの意味合いしかないこともよく分かっている。宮城さんもそれをわかっているからか全く気にしていないようだ。
俺は酒を飲みながら、宮城さんとハヤトさんが漫画の話をするのを微笑ましく思いながら聞いていた。
思い出の、“小鳥遊と穂積”の最終回から半年近くが経っている。
俺が宮城さんとハヤトさんに出会ってからもう3年が経った事になるのだ。
3年間にいろいろな事があった。
宮城さんとハヤトさんの問題や、俺と音羽の問題、ハヤトさんとロンさんのことや、俺と宮城さんのいろんなこと、、。俺の受験に宮城さんとハヤトさんの休学。それぞれ大変な事辛い事も経験してきた。
そんな風にいろんな事があったのに、未だにこうして3人で笑い合える。
今は2人と同じようにお酒を飲んでいる俺は、やっぱりそれが堪らなく嬉しいのだ。
「蒼くん飲み過ぎないで。」
隣から宮城さんが新しい缶を渡してくれながら言う。
「うん、大丈夫。」
「いやいや、蒼くんよりイトだろ。おまえすぐ寝るじゃん。」
「いやぁ、ハヤト泊まるのに悪いけど、俺今日ホント欲求不満なワケ。」
「はぁ!?おまえもしかして、俺が泊まるのにやろうとしてんのかよ!?」
「してる」
「はぁ!?信じらんねぇ!」
文句を言うハヤトさんと、仕方ないだろと肩を竦める宮城さん。
違う話題に逸れてはまた戻る2人の話を、時々口を挟みながらにこやかに聞く俺。
「今日の仕事の9割絡みの描写だった。そんな日に限っておまえが来るとか」
「いや、まぁそれは普通に同情するけど。」
「だろ?だから今日はお前に気を遣ってる場合じゃー」
「いやいや、勘弁しろよ。気まずいだろーよ。おまえがそのつもりなら乱入するからな?全裸でちんこ勃てて乱入してやる」
「は!?絶対やめろよ!?」
「いつか3人でするって昔約束しただろ?」
「ばーか、1年以上前の話だろ。時効なんだよ」
「え!!時効!?蒼くん、どうなの!?」
酔っ払いの2人がくだらない応酬をして、俺の方を向く。見た目は出会った頃より少し大人っぽくなった2人が揃ってこちらを見ている。
「ふはは」
「え、聞いてた?何で笑ってんの?」
「はは、平和で嬉しいなぁって」
ヘラッと笑う俺に一瞬キョトンとした2人は、俺の前に2人より酒の空き缶が多い事にギョッとした。
「いつの間にこんな飲んでんの?蒼くん?ぅわ」
空き缶を片付けようとする宮城さんの手を掴む。
「宮城さん、俺平和で嬉しいです。宮城さんが笑っててくれて。宮城さん、大好き」
「あー、はは、蒼くん酔ってるじゃん。よしよし、俺は蒼くんが喜んでくれるのが嬉しいよ。ー俺も、大好きだよ」
そう言って宮城さんは俺の頭をふわりと撫でた。
以前とは違って、俺に惜しみなく分かりやすい愛情を注いでくれる宮城さんの姿に、ハヤトさんは苦笑してるだろう。ーでも宮城さんが幸せでいることを何よりも望んでいるのもハヤトさんだ。
俺はそのままソファに寄りかかってウトウトし始める。この刺激的で何でもない日常がずっと続けば良いと願いながら、気持ち良く遠のいていく意識の中で、宮城さんとハヤトさんの声を聞いていた。
「寝ちゃったじゃん。残念だったねイト」
「心配ないよ。蒼くんは俺と違ってあとでちゃんと目覚めるし。」
「蒼くん、少し幼くなったよな。イトがちゃんと甘やかしてるからだろ?」
「かわいいだろ?あれで攻めキャラだってんだからたまんないよな」
「おまえも遠慮なく惚気るようになったしな。変わったよな、2人とも。肩の力抜けたって言うか。あの1年は無駄じゃなかったってことか。」
「だと良いけどな。」
「あ、そういえばイト、新連載どうなった?今日会議で決まるって言ってたろ?」
「あー、、それな、、」
「良い案出なかったのか?」
「いや。ただ次の作品、、3人の絡みがあるんだよなぁ」
「おお!」
宮城さんが苦笑混じりのため息をついたのに対して、ハヤトさんは対照的にパッと顔を輝かせた。
そして同時に言ったのだ。
「蒼くんには見せられないよ」
「絶対蒼くんに見せようぜ」
眠りに落ちかけている俺の心の中で笑いがもれる。
この2人といるかぎり、俺にはこれからも刺激的で平和な物語が約束されている気がした。
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