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#11 オレはオレのまま※R18

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川原は俺の太腿を押さえたまま舌先で先の窪みをなぞった。窪みに溜まったものを掬い取るようように何度も。
「っっ」
透明の雫と彼の唾液が混ざってまるで潤滑液のようにぬるぬるだ。それが妙に期待感を高めさせていて腰が勝手に動きそうになる、、
川原は舌先でぐりぐりと尖端を攻めたかと思うと撫でるようにペロリ舐め上げ、手でゆるゆると竿を扱く。全体を口に含もうとしない焦らすような、ごく軽い動きだ。
そのあまりにじれったい動きに、自分で握りたくなってしまう。

もっと、、もっと強い快感が欲しい。

「ちょ、、と、川原、、」
「何?やめてほしい?」
口を離して川原が俺を見上げて言うから、視覚が刺激されてますます硬くなる。
「、、わざと軽くやってんだろ。俺がれるように」
「その方が受け入れやすいよね?」
「も、もうわかったから、、」
「?」
「、、もっとちゃんとしてくれ、、」
俺の切実な訴えに川原の眼差しが雄の色をたたえる。その眼差しで腰が痺れる。
「和倉は強めが好きなんだよね?」
そう言ったかと思うと不意にじゅっと吸い付くように先だけを口に含んだ。
「っん」
急な刺激に体が跳ねる。腰や下腹部からゾクゾクと欲望が迫り上がる感覚に思わず目を閉じた。

あの川原が、、いつも何かを諦めたように静かに1人でたたずんでいたあの川原が、、俺の前に膝をついてチンコを咥えている、、
俺から滲み出たものと川原の唾液で暖かく濡れた口内に包まれて、自分の感じる快感がこれはいつもの妄想じゃなく現実だと俺に教えている。

時々ゆるゆると軽く舐め上げ、時々唇で強く包んで吸い上げる。喉の奥まで含んで俺の尖端に行き止まりの狭さを堪能させる。
「それっ、、っ、、川原っ、」
うわごとのように呼んでも今度は口を離しはしなかった。
俺の反応を見ながら“ごく軽く”と“強く”を繰り返す。じれったくて強い刺激を渇望するとその通りの快感を与えられるのに、すぐにまた軽い刺激だけを与えられる、、その繰り返しだ。

「っつよ、、っぅあ」
根本近くまで含まれて、先の部分は喉の奥で狭く擦られて、、唇と手で強めに扱かれて歯を食いしばって快感に抗った。

川原の口の中やばいな、、いや、こいつ、、これ計算してやってるのか?川原は強く扱くのともどかしいほどに軽く扱くのを混ぜているけれど、決してその中間ではしてこない、、。
快感を与えられないから求める気持ちを貪欲にして、体が勝手に快感を追い求めるのだ。
腰が揺れる。
「かわ、、はら!それっ、やめ、、!」
「ん??」
俺がたまらず左手で川原の肩を掴むと、彼は舌で擦り上げながら上目遣いで俺を見上げた。
「っっは、ぁ、、やば、イキそ、、」
目が合って、また視覚からの刺激に押し上げられる。

だけどやっぱり川原は漫然とフェラをしているわけじゃなかった。彼は俺がイキたがっているのをわかっていて、親指と人差し指で輪をつくると根本をグッと押さえたのだ。
そのままいやらしい音をたてて、舌を這わせて吸い上げる。先端までくると唇で強く包んだまま喉の方までズッと含む。
「いっ、、川原、、手離して、、イキたい、、」
川原は根本をぎゅっと押さえたまま、繰り返し繰り返し追い立ててきた。
迫り上がるものを堰き止められて出口を失った俺は、天井を仰いで腰を揺らす。吐き出したくて体は勝手に動くのに出口がないものだから快感が苦痛にも似た苦しさを与えてくるのだ。

いきたい。いきたい。思い切り扱いて欲しい。それしか考えられない。頭がおかしくなりそうだ。
やばい、、このままだと射精せずにいきそうだ、、川原は、それを狙ってるのか、、?

「お願、い!かわはら!、、っイキたい、、っんっ、手、離して、」
俺は既に、フェラごときでこんなに切羽詰まるのかと笑えるほど追い詰められていた。
はやく手を離してもらえなければ本当にカライキしてしまう。

懇願した俺を川原がもう一度見上げて、俺も川原を見た。
彼の男の欲望を感じさせる目に見つめられて体が震えた。

、、やば、、いく、、

俺が限界に達して体を強ばらせた瞬間、川原は俺を締め付けていた手を離し、その手で今度は強く扱いた。
「っひっっ、い、く、、いく、、っ川原!いっ」
彼の手に強く扱かれながら、俺は本能のままに彼の喉へ腰を突き出した。
「っっ~ー!!」
2度3度とあり得ない勢いで吐き出す。
まるで射精せずにいったように深い深い快感が体を痺れさせた。

川原が口の中に受け止めたものを咳き込みながら洗面台に吐き出しうがいをするのを、俺は肩で息をしながら見ていた。

「川原、、」
「ん?」
「おまえ、、わざと?」
「わざと?、、和倉が気持ち良くなるようにってことなら、、うん、考えたけど?」
川原は少し不安そうに俺を振り返ったけれど唖然としたままの俺の顔を見て苦笑した。
「すご、、川原って頭良いの?」
「はは、何で?気持ち良かった?」
「や、やばかった、、クセになりそ、、」
「クセになっても良いけど?俺は和倉の恋人なんだから。」
俺の恥じらいや感動を軽く流しながら、川原はテキパキと俺に服を着せ髪の毛にドライヤーをかけ始める。
だけど俺に絶賛?されて、その顔はどこか嬉しそうだった。

関係あるのかないのか、あとで聞いた話では、実際川原はかなり頭が良かった。
病気のせいで家から近い高校に通っただけで、何事もなければ有名進学校に余裕で入れるレベルだそうだ。
彼のお兄さんも歯科医師だから頭の良い家系なんだろう。
とにかく、頭の良さが関係あるのか川原という男はどうしたら俺が快感に溺れるのか、どこまで踏み込むのが適切なのか、理性的によく考えて行動しているらしかった。

「あー、、和倉、俺の部屋でのんびりしてて。眠たかったらベッド使って良いから。」
「川原は?」
「俺は、シャワー入りたい。」
「ここに居ても良いか?」
人の家で1人で居るのは落ち着かない。ましてや不在だとは言っても川原は一人暮らしではないのだ。
風呂場前の洗面所で待ちたいと言う俺に川原はギョッとした。
「え、いや、、あのさ、ごめん、俺も抜きたいから、、」
サッと顔を赤くする川原の言っている意味がわかって俺も顔が熱くなる。、、だけど、、
「ごめん川原、、それでも待ちたい」
「中で1人でするけど」
「いいよ」
本当は俺がどうにかしてあげるべきなのはわかっている。俺自身だって川原に触りたい。エロい姿を見たい。、、だけど、それ以上を望まれたらと思うと、、その勇気はない。

川原は俺の顔をじっと見ていたけど、「後ろ向いてて」と言うと俺の背後で服を脱ぎ、やがてシャワーの音が聞こえてきた。
「やば、俺ガチガチ。今俺和倉しか頭に浮かばないんだけど、、良い?」
「なにそれ、おかずにする許可を求めてるわけ?」
「ふはっ、そうだよ。」
「、、良いよ。逆に俺じゃないのもなんか複雑だわ」
「あ、そっか。」

シャワーの音に混じって、一定のリズムでパシャパシャと水の跳ねる音、、川原の声を殺して息を継ぐ気配が風呂場の扉のすぐ向こうから聞こえる。
川原が俺の喘ぐ姿を思い描いて自分で扱いているかと思うと、当然俺の中心にまた熱は集まり出す。
「川原」
「な、に、、?」
「やべー、また勃っちゃった。」
「へ?あー、ちょっと待って。これ意味ないな。あ、でも待って、、一回出させて、、」
「好きなだけ出して」
お互いにチンコを勃ててクスクス笑い合う恋人同士の俺たちは、すぐ手の届く所にいるというのに扉一枚を隔てて相手のエロい姿を思い描いていた。


「ちょっといろいろお互いに整理しない?」
ベッドに寝転んだまま川原がそう提案した。
結局川原は風呂場で一回抜くと気まずそうに出てきたが、俺を連れてベッドへ行くと2人のものをあわせて川原が一緒に扱いた。
これでは性に目覚めたばかりの高校生のようだ。と、2人は自分たちに呆れたところだった。
「和倉って、女の子とはいつが最後?最近もしてた?」
「、、実際のところ、、高校からしてない。川原に言ってなかったけど、店のスタッフの琴音、、一瞬付き合ってて、でも出来なかった。」
「え、そうなんだ?あの子と、、。えっと、、男とは、、」
「してないんだって。川原が思ってるより俺受け入れられてなくて、、全部高校以来、、誰かと触れ合うことも避けてた。キスくらいなら女の子としたけど、、。」
「うん、そっか。」
「、、川原は?童貞っつてたけど、それ以外の経験はあるだろ?」
「俺は逆に、移植する前は禁忌だったんだよ。1人でするのも医者に止められるほどでさ。だから移植後、東京にいた時の彼女と少しだけ、、前も言ったけど入院中だったから大したことは経験してないよ。」

何故かお互いにホッとしていた。
いつか歩が言ったように本命童貞(処女)と真性童貞で、お互いに手探り状態と言っても良い。
「和倉、俺に無理する必要ないよ。別に最後までするだけがセックスじゃないし。さっきみたいに和倉に触れられるのが俺だけって事が結構幸せだからさ。いつか、和倉がやりたくなったらやろう。」
川原は何でもないことのように言って笑った。その笑顔にどうにかして答えたくなってしまう。
「俺、、1人でする時何度も川原で抜いた。」
「うん?はは、俺も和倉で抜くよ」
「俺も川原に触れたいって、そんなのいつだって思ってる、、その先だって川原とって、、ちゃんと心の奥では思ってる。、、だけど、、ごめんもう少し、、」
恐る恐る言葉にすると、川原は
「全然良いって。今のままだって構わない。俺は和倉だから好きなんだよ。言ったじゃん。和倉と居れる限り一生童貞でも良いよ。」
そう言って火傷した腕を気遣いながら俺を抱きしめた。

「ありがとう。川原。俺も好きだよ」
俺たちは恋人として、最後までの行為をせずに温もりと愛情を感じあっていた。

真っ直ぐで嘘のない川原の言葉や笑顔に、俺はやっぱり救われている。俺が自分を認めなくても、川原がゲイである俺を認めてくれる。
いや、、どちらでも川原にとっては同じなのだろう。川原にとっては、昔も今も俺は“和倉 誉わくら ほまれ”でしかないのだ。
彼にとって、ずっと変わらず俺は俺なのだ。

俺は左腕だけで川原を抱きしめ返した。
そうして俺たちは確かにお互いを思い合っていると実感しながら眠りに落ちていった。
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