俺たちは幽霊屋敷に住んでいる

ふじのはら

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8 セーフかアウトか(R18)

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俺のベッドに時宗が寝ている。同じ布団に入るのは何度目だろう、、?
その狭いベッドで俺も時宗も仰向けになって天井をみていた。体の横に置いた2人の手の甲が触れ合っている。

「、、昨日、俺なら怖くないって言ってたの、アレ本当?」
天井を見たまま静かに言う時宗に、俺も天井を見たまま「たぶんな」と短く返す。

「アンタに触りたいって言ったらどうする?」
「ー、、良いよ」

少し間を置いて、ギシとベッドが鳴って時宗がこちらに体をむける。
スッと手が伸びて時宗の手が俺の髪の毛に触れ、そのまま耳元に降りてくる。ゆっくりと頬を辿り、そして首すじを指が這う。俺の反応を確かめるその行為に、天井を向いたままじっとしていた俺はゾクと這い上がる欲望を感じて瞳を閉じた。

手はそのままTシャツの上から胸を通過し脇腹のあたりへ来ると、シャツの裾から肌に触れる。

瞬間ビクッと体が強張る
「大丈夫。俺の手だよ、覚さん、、」
目を開けて時宗を見る。優しいけれど熱を帯びた彼の目が俺を捉えていて、相手が時宗だと俺に教える。
俺がパニックにならないように、彼の手のひらはごく軽く俺の肌の上を滑って、その指が胸の尖りを通過して甘い痺れを残す。

その一瞬の俺の反応に気付いて時宗は俺に顔を寄せてキスをする。
求めに応じて開いた唇から時宗の熱い舌が侵入して来て、俺たちはまた舌を絡め始める。
幾度となく息を継いで、長く深いキスをする。
そうしているうちに、時宗の手のひらが素肌を移動してズボンの中へ滑り込んだ。

「っっっ!!っうゎ、、時、宗?」
いつの間にか熱が集まって勃ちあがっていた俺の中心へ直に触れた時宗の手に体が硬直する。

ー取引先の会社の男に薬を飲まされて朦朧とした中で、俺は何をされたんだろうか、、わからないのが1番怖い。
こうして手で擦られただろうか、、

時宗の指が俺の中心を根本から先へ向かって撫で上げれば体はピクリと反応する。
なのに余計な事を考えた俺の頭に嫌な記憶がじわりと歩み寄って恐怖心を覚えた。
手はおれの中心を包みゆっくりと上下した。
快感が急速に広がる。
そして全く反対の恐怖心も込み上げる。

「ッ!、、時宗、、頼む。何か話せ、怖えぇ、、」
俺の手が無意識に時宗の肩を強く掴んでいた。
「覚さん、大丈夫。触ってんのは俺の手だよ。俺の顔見て。他の事考えないで。覚さんに触れたいんだ。」
耳から流れてくる言葉に、相手が時宗だと気持ちを落ち着ける。時宗の目を見る。
そう、この手はコイツの手だ

「ッは、ぁ、、時宗、、」
「うん、俺の手だよ。大丈夫」

時宗は俺を気遣って、上には覆い被さることはしない。隣りにいるから体の右側にだけ彼の重みと温かさを感じる。

俺の先から溢れた透明な雫が、時宗の親指によって先へ塗り込められる。ぬちぬちと卑猥な音をたてながら、俺を握り込む手は俺の反応の良い箇所を攻めてくる。

ーあの男の手で、俺は喘いだだろうか、、

「うぁ、、や、、めて、、」
感情がどちらに傾いているのか混乱して相手がわからなくなる。

「覚さん、、?今してるのは誰?」
「、、時宗、、っはッ、、時宗、、」
「そう、俺だよ。忘れないで」

時宗は顔を寄せて、俺の耳をレロっと舐める。首すじに舌を這わせて熱い感触を残す。
同時に透明の雫を溢れさせて吐き出したい欲望を訴える俺の中心を緩急つけて扱き続ける。けれど吐き出したい気持ちが強まれば彼の手は緩み、、おそらくわざとだと気がついた俺は思わず懇願する。

「っは、、っっ、、時宗、、もうイカして」
「うわ、、覚さん、俺耐えれるかな」
彼は俺の耳元で悩ましいため息混じりの言葉を吐くと、俺の硬くなったものを追い上げた。

「っっ、、あ、、時宗、、時宗、もう」
「いいよ、覚さん」
ちゅぷと首すじを吸われる。舌先で筋に沿って舐められる。
射精感に追い詰められて腹に力が入る。
「んんっ、、、っっっ!」
時宗の手の中に勢いよく吐き出して、俺は脱力した。

「大丈夫?ギリギリセーフ?」
「うん、セーフ、、、いや、これアウトだろ、、おまえ何てことしてんの、、」
時宗が手のひらの、俺の吐き出したものを拭きながら言うから、俺は今度は急速に恥ずかしくなった。
たかが手で扱かれただけでパニックになりかける自分も、時宗の手でいってしまった自分も猛烈に恥ずかしい。

「ちょっと部屋戻る。」急に時宗が立ち上がる。
「え、待て待て。今ひとりにすんな!」
振り向いた時宗を見て、彼の困り果てた赤い顔と、その体を見て察した。
彼も我慢の限界なのだ、、。

「あ、ごめ、、俺が、しようか?」
「、、いや、そんな急がせるつもりないから、放っておいてくれて良いから」
歩き出そうとする時宗のズボンを掴んで引き留める。
「待って、頼む。、、じ、じゃあ此処でしろよ」
「は、、マジで言ってる?」
「マジだよ。俺も恥ずかしかったし、今ひとりにされたらパニックになる」
「、、、」
だいぶ躊躇していたが、元来俺に優しい時宗はため息と共に布団に戻った。

「俺我慢できないから本当にするよ。」
不機嫌に背中を向けて言う時宗に、ゾクゾクと自分が彼を喘がせたいという男の欲求が湧き上がった。
布団の中でごそごそと自分のものを握る時宗が
「っは、はず、、羞恥プレイにも程がある、、」
そう言うから何だか愛おしくなって、俺は手を伸ばして彼のTシャツをまくりあげた。
無駄な肉のついていない白い背中を触って温度を感じる。

「っん、、覚さん、、?」
背筋に沿って滑らせる手に時宗は反応して、恥ずかしいといっていた癖に、手を動かす。
俺が背中にキスをして、湿った音を立ててレロっと舐め上げると彼はビクッと体をふるわす。
彼の手元から、くちくちと湿った音がして彼は息をあげた。
「、、時宗、、えろ、、」
「っっ、、は?、、何言ってんの、、あんたが此処でしろって、、」
言いながら自分で自分を追い立てる乱れた息遣いの時宗が無性に可愛い。

腕を回して抱きしめる。手のひらで引き締まった胸元を触り、胸の尖りを指で擦る。
「っん、、」
背中に舌を這わせ、指は尖りをくりくりと弄ぶ。
「うぁっ、覚さんっ、、」
時宗の乱れる息づかいに、記憶の中のあの男に感じたものとまるで別物の感情が俺を満たした。
問題は、行為じゃなくて、相手なのだと理解した。
もっと時宗の感じて乱れる姿をみたいと思った。

俺からの思いがけない刺激に、程なくして時宗は果てた。

「はぁ、、覚さん、あんたもうヤダ、、」
俺の前で自慰で果てた時宗もやはり恥ずかしくなったようで布団に顔を埋めたまま文句を言う。
「は??そもそもお前が手出して来たんじゃねーのかよ」
「、、、」
「いや、ごめん。今の無し。」
すぐに否定したことに時宗はクスッと笑う。

昨日、一緒に寝ない方が良いと言った時宗の提案を蹴ったのは俺だし、手を出してしまいそうだと言われて、それでも良いような返事をしたのも俺。
男として、好きな奴に手を出したい。触れたいと言う気持ちが俺にあったからそうなった。

ー、、じゃあ時宗は?どうして俺に触れたいと言った?

俺たちはまだ同居人や友だちの関係を保っているだろうか、、?
いや、アウトだな。たぶんこれ以上の事を俺たちはすぐに求めるだろう。

でもこの時も俺たちは「どうして」と聞かなかったしハッキリと気持ちを口にすることも無かった。

俺はそれを口にして関係を変えてしまったあとにトラウマが邪魔をして時宗を傷付けるのを恐れていたし、時宗には時宗のかかえる理由があったのだ。
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