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第二章 失恋
7:本当のキャサリン
不慣れな初めての社交の場に、2人の疲労はとにかく著しかった。
そのためリリカとキャサリンは、たった1時間程で会場を後にしたのだった……
帰りの馬車で、2人は一言も発しなかった。
多くの男性に声を変えられて疲れ切ったキャサリンは、じっと目を閉じている。
そんな”しん”とした空気の中でリリカは、先程耳に飛び込んで来た言葉の数々が、耳の奥でこだましていた。
『なんて華奢で可愛らしい人なの』
『吸い込まれそうな真っ白な肌で羨ましい』
というような、予想していた通りのキャサリンへの羨望の囁きは数多くあった。
しかし、それよりもリリカの耳にこびり付いているのは、リリカへの罵倒だった。
『一緒にいる人が見事な引き立て役になっているわね』
『デカいデブが邪魔で見えない』
『デブが邪魔をしやがった、お前に話し掛けているのではないというのに』
(陰口は陰で言って欲しい)
そうリリカは思った。
リリカにも聞こえる声の大きさで、わざと言われているようにリリカは感じた。
リリカは、リチャードに似て太り易い体質なのと食べることが大好きなこと、またストレスを感じると食に走ってしまうこと……などの要因が絡み合って、すっかりぽっちゃり体型が定着している。
これ以上は太らないように〝ぽっちゃり〟に留めているのは、リリカの悪あがきである。
「……どうせデブですよ」
「お姉様、それで良いの?」
リリカの呟きを耳で拾ったキャサリンは、バッと目を開けて、キッと険しい顔でリリカを見て言う。
「えっ? 良いも何も、仕方のないことじゃない」
「仕方のないことですって? 何がどう、仕方がないのよ!」
キャサリンの可愛い顔が少し歪んだ。
(キャサリンは怒っていても可愛いのね)
そんなことを思いながらも、リリカは何故キャサリンが怒っているのかわからない。
「キャサリンとは、生まれ持ったものが違うのよ。仕方がないじゃない」
「先天的なことは仕方のないことだわ。でも、後天的なことは決して仕方のないことではないわ!!!」
ムキになって言うキャサリンに、リリカは苦笑いで首をひねる。
「どうしてキャサリンが怒るの?」
「お姉様がいつも逃げてばかりで、現実と向き合わないからイライラするのよ!」
「えっ……」
「お母様のことも、ウィリアム様のこともよ!」
「キャサリン……?」
「ウィリアム様のこと、本当にもう良いの? 私なら、もう一度話をしに行くわ! 惨めでも良いじゃない! もう一度話して、それでも駄目なら諦めて次へ進んだら良いじゃない! まだ納得していないのでしょう?」
「……」
なにも言えずに、ポカンと口を開けてキャサリンを見ているリリカに、キャサリンは大きな溜め息をつく。
「もう知らない! いつまでも私の護衛でいれば良いわ!」
キャサリンは、プイッと拗ねたように顔を背けてしまった。
(もう一度ウィリアム様に会いに行く……?)
リリカは、キャサリンの本当の性格に衝撃を受けつつも、言われた内容はズッシリと胸に重く残った。
こうしてリリカの社交界デビューは、キャサリンの護衛係で終わったのだった……
そのためリリカとキャサリンは、たった1時間程で会場を後にしたのだった……
帰りの馬車で、2人は一言も発しなかった。
多くの男性に声を変えられて疲れ切ったキャサリンは、じっと目を閉じている。
そんな”しん”とした空気の中でリリカは、先程耳に飛び込んで来た言葉の数々が、耳の奥でこだましていた。
『なんて華奢で可愛らしい人なの』
『吸い込まれそうな真っ白な肌で羨ましい』
というような、予想していた通りのキャサリンへの羨望の囁きは数多くあった。
しかし、それよりもリリカの耳にこびり付いているのは、リリカへの罵倒だった。
『一緒にいる人が見事な引き立て役になっているわね』
『デカいデブが邪魔で見えない』
『デブが邪魔をしやがった、お前に話し掛けているのではないというのに』
(陰口は陰で言って欲しい)
そうリリカは思った。
リリカにも聞こえる声の大きさで、わざと言われているようにリリカは感じた。
リリカは、リチャードに似て太り易い体質なのと食べることが大好きなこと、またストレスを感じると食に走ってしまうこと……などの要因が絡み合って、すっかりぽっちゃり体型が定着している。
これ以上は太らないように〝ぽっちゃり〟に留めているのは、リリカの悪あがきである。
「……どうせデブですよ」
「お姉様、それで良いの?」
リリカの呟きを耳で拾ったキャサリンは、バッと目を開けて、キッと険しい顔でリリカを見て言う。
「えっ? 良いも何も、仕方のないことじゃない」
「仕方のないことですって? 何がどう、仕方がないのよ!」
キャサリンの可愛い顔が少し歪んだ。
(キャサリンは怒っていても可愛いのね)
そんなことを思いながらも、リリカは何故キャサリンが怒っているのかわからない。
「キャサリンとは、生まれ持ったものが違うのよ。仕方がないじゃない」
「先天的なことは仕方のないことだわ。でも、後天的なことは決して仕方のないことではないわ!!!」
ムキになって言うキャサリンに、リリカは苦笑いで首をひねる。
「どうしてキャサリンが怒るの?」
「お姉様がいつも逃げてばかりで、現実と向き合わないからイライラするのよ!」
「えっ……」
「お母様のことも、ウィリアム様のこともよ!」
「キャサリン……?」
「ウィリアム様のこと、本当にもう良いの? 私なら、もう一度話をしに行くわ! 惨めでも良いじゃない! もう一度話して、それでも駄目なら諦めて次へ進んだら良いじゃない! まだ納得していないのでしょう?」
「……」
なにも言えずに、ポカンと口を開けてキャサリンを見ているリリカに、キャサリンは大きな溜め息をつく。
「もう知らない! いつまでも私の護衛でいれば良いわ!」
キャサリンは、プイッと拗ねたように顔を背けてしまった。
(もう一度ウィリアム様に会いに行く……?)
リリカは、キャサリンの本当の性格に衝撃を受けつつも、言われた内容はズッシリと胸に重く残った。
こうしてリリカの社交界デビューは、キャサリンの護衛係で終わったのだった……
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