【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣

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第四章 会えない時間

10:ウィリアムの姉と、リリカの閃き

「実は私には、ずっとお慕いしている方がいたの。でも他の令嬢と婚約をしたと聞いて、それで私は彼を諦めるために伯爵を継ぐと申し出たの。ウィリアムに研究を続けて欲しい気持ちも、以前からずっとあったしね。折角の頭脳が勿体ないと思っていたの」

そこでウィリアム姉は、意を決した顔をしてリリカを改めて見る。

「……なのに、その男性は婚約を破棄し、私に求婚をして下さったの。私はずっと信じられずにいたのだけれど、流行病があけて、直接婚約を申し込みに来て下さったわ」

「えっ……。それは、おめでとうございます」

リリカは驚いた顔をしている。

「でもね、その男性は家業を継がなければならないの。だからその人と結婚するとなると、私は伯爵を継ぐことが出来なくなってしまうの……。 返事が出来ずに迷っていると、お父様がウィリアムに知らせてしまって……」

言いにくそうに話すウィリアム姉の話を、雲行きの悪さを感じたリリカは、渋い顔となり黙って聞いた。

「……するとウィリアムは、自分が伯爵を継ぐから嫁ぐようにと言って来てくれて……。今回の薬も開発出来たし、研究はもう良いからって……」

「えっ……」

リリカは驚きに思わず声が漏れる。

「最後の仕事のつもりで、ウィリアムは隣国へ行ったの。リリカを振り回しておいて、このようなことになって本当にごめんなさい。もし良ければ、ウィリアムとの婚姻をまた考えては貰えないかしら?」

「……しかし、ウィリアム様のお気持ちはわかりませんから……」

リリカは驚きに目を見開くも、頭は冷静だった。

(ウィリアム様は研究をやめて伯爵を継ぐですって……!?)

リリカの頭の中は、そのことで占められていた。

(そんな……せっかくずっと研究が出来ることになったのに……。いくら今回成果が出せたからって……。ウィリアム様のことだからきっと、自分のことよりもお姉様の幸せを願ったのね……)

リリカは眉を潜めて考え込んでしまう。

「いいえ、わかるわ! リリカから毎月届く手紙を、とても心待ちにしていたのよ! 研究が忙しくて研究所に泊まり込む日々でも、月初めになると手紙が届いてないかと気にしていたわ。一度リリカからの手紙をウィリアムに届けるのが遅くなったことがあるの。すると、わざわざお伺いの手紙を寄こして来たのよ?」

「っ……」

驚く話が続き言葉を詰まらせるリリカに、ウィリアム姉は優しく言う。

「ウィリアムは今も、リリカのことを想っているわ」

リリカは何も言葉が出ずに、気づくと目からハラハラと涙をこぼしていた。

(本当かしら…? 本当なら、どれほど素敵なことか……。でも私は、ウィリアム様の本当の希望を諦めないで欲しいわ……)

そこでリリカはふと、あることを思いついた。
その思いつきは、リリカにはとても素晴らしいことのように思えた……

(これならっ……!!!)

「……あのっ、伯爵様にお話があります。お会いすることは出来ますか?」








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