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第一章:果物屋の看板娘とその幼馴染
⑬ホットミルク
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「何でここに?」
心底わからないと言う顔で、カトリーヌはポツリと言う。
「はっ? カトリーヌがあんな所にいて、あんな様子で急に一人で帰って行くからだろう? 放っておける訳がないだろ!」
「……すぐに追って来なかったじゃない」
「一緒にいた人に挨拶だけしてすぐに後を追ったさ! けどカトリーヌは昔から足だけは早いからな! 酔っ払いの俺にはすぐに追いつけなかったぞ!!!」
酔っているからか走って暑いからなのか、ローイの頬が少し赤い気がした。そして瞳には、戸惑いの色がある。
「凄く飲んでいたものね。……楽しそうに、たくさん……。……邪魔をしてごめん」
「そんなことは良いからっ! 取り敢えず家に帰ろう! 送るから!」
もう逃がさないと言うように、ローイはカトリーヌの腕を掴んで歩き始める。
半歩前を歩くローイの後ろ姿が少し怒っている様に感じて、カトリーヌは何も言えずに黙って後をついて行った。
涙のやんだカトリーヌは、複雑な気持ちだった。
しかし、嬉しさが滲んでいることは隠せなかった。
(後を追って来てくれた……)
カトリーヌが思ったのはそれだけで、あとは家につくまで何も考えることは出来なかった。
ただ、自分の腕を掴んでいるローイの手を”ジッ”と見ながら付いて行く。
(コート上からなのに、私の腕を一周しっかりと握っているわ……大きい手……)
カトリーヌの家についたのは日付がかわってからだった。
約4時間前までジッと座って窓の外を見ていたテーブルに、今はローイが座っている。
大量飲酒後に走ったせいで、ぐったりしている……
疲れた表情のローイに対し、カトリーヌは冷静さを取り戻し毅然とした表情だ。
(ローイはちゃんと私を心配してくれた。後を追って来てくれた)
その事実が、カトリーヌとローイが今まで着実に育んで来た、幼馴染としての関係性を実感させた。
「夜に隣町……しかも酒場へ一人で行くなんて、一体何を考えているんだよ!」
「酒場に行くだなんて思っていなかったもの……」
「俺をつけたのか?」
ローイの真顔にカトリーヌは一瞬怯む。
(”ローイに想い人が居たら私はただの幼馴染に徹する”って決めていたものね。白黒ついたわ。ゲームセットよ、カトリーヌ)
カトリーヌは”グッ”と奥歯を噛み締めた後、ニッコリと笑顔をローイへ向けた。
「ただの興味心よ。たまたま出て行くローイが見えたから! まさかあんな現場が見られるとは思わなかったわ!」
カトリーヌは、ただの幼馴染を揶揄う風に"ニヤッ"と笑って見せた。
ローイは不服そうな顔をしている。
「……あんなって……」
カトリーヌは、ホットミルクをローイの前に置いた。
「コーヒーじゃないのか?」
「たくさんお酒を飲んでいたじゃない。この夜はもう、カフェインはやめといたら?」
「子供扱いして……」
少し”ムッ”とした顔をしているローイの前に、カトリーヌも腰をおとす。
「私もホットミルクよ」
カトリーヌは自分のカップの中身をローイへ見せた。
「カトリーヌはお子様だからな」
その言葉に、カトリーヌは苦笑いする。
「……そうね」
カトリーヌは、その通りだと思ったのだ。
幼馴染に恋愛感情を抱いていることを自覚した途端、普通に接することが出来なくなるなんて。
更に、相手に不快な想いをさせてしまうような感じの悪い態度をとってしまうなんて。
「本当に、私は子供だわ」
カトリーヌは自分に言い聞かせるように言う。
「……どうかしたのか? そういえば、昨日うちに来た理由を聞いていなかったな」
カトリーヌは目の前のローイを見上げる。
心配そうな表情をしている。
「……実は、母の病気を治してくれたのは、魔女様なの」
カトリーヌはふと、言いたくなった。
確かめたかったのかもしれない。
「えっ……」
驚いた顔をしているローイへ、カトリーヌはことの経緯を勝手につらつらと話した。
ずっと一緒に成長してきた、カトリーヌの知っている幼馴染のローイならきっと、受け入れてくれるはずだ。
心底わからないと言う顔で、カトリーヌはポツリと言う。
「はっ? カトリーヌがあんな所にいて、あんな様子で急に一人で帰って行くからだろう? 放っておける訳がないだろ!」
「……すぐに追って来なかったじゃない」
「一緒にいた人に挨拶だけしてすぐに後を追ったさ! けどカトリーヌは昔から足だけは早いからな! 酔っ払いの俺にはすぐに追いつけなかったぞ!!!」
酔っているからか走って暑いからなのか、ローイの頬が少し赤い気がした。そして瞳には、戸惑いの色がある。
「凄く飲んでいたものね。……楽しそうに、たくさん……。……邪魔をしてごめん」
「そんなことは良いからっ! 取り敢えず家に帰ろう! 送るから!」
もう逃がさないと言うように、ローイはカトリーヌの腕を掴んで歩き始める。
半歩前を歩くローイの後ろ姿が少し怒っている様に感じて、カトリーヌは何も言えずに黙って後をついて行った。
涙のやんだカトリーヌは、複雑な気持ちだった。
しかし、嬉しさが滲んでいることは隠せなかった。
(後を追って来てくれた……)
カトリーヌが思ったのはそれだけで、あとは家につくまで何も考えることは出来なかった。
ただ、自分の腕を掴んでいるローイの手を”ジッ”と見ながら付いて行く。
(コート上からなのに、私の腕を一周しっかりと握っているわ……大きい手……)
カトリーヌの家についたのは日付がかわってからだった。
約4時間前までジッと座って窓の外を見ていたテーブルに、今はローイが座っている。
大量飲酒後に走ったせいで、ぐったりしている……
疲れた表情のローイに対し、カトリーヌは冷静さを取り戻し毅然とした表情だ。
(ローイはちゃんと私を心配してくれた。後を追って来てくれた)
その事実が、カトリーヌとローイが今まで着実に育んで来た、幼馴染としての関係性を実感させた。
「夜に隣町……しかも酒場へ一人で行くなんて、一体何を考えているんだよ!」
「酒場に行くだなんて思っていなかったもの……」
「俺をつけたのか?」
ローイの真顔にカトリーヌは一瞬怯む。
(”ローイに想い人が居たら私はただの幼馴染に徹する”って決めていたものね。白黒ついたわ。ゲームセットよ、カトリーヌ)
カトリーヌは”グッ”と奥歯を噛み締めた後、ニッコリと笑顔をローイへ向けた。
「ただの興味心よ。たまたま出て行くローイが見えたから! まさかあんな現場が見られるとは思わなかったわ!」
カトリーヌは、ただの幼馴染を揶揄う風に"ニヤッ"と笑って見せた。
ローイは不服そうな顔をしている。
「……あんなって……」
カトリーヌは、ホットミルクをローイの前に置いた。
「コーヒーじゃないのか?」
「たくさんお酒を飲んでいたじゃない。この夜はもう、カフェインはやめといたら?」
「子供扱いして……」
少し”ムッ”とした顔をしているローイの前に、カトリーヌも腰をおとす。
「私もホットミルクよ」
カトリーヌは自分のカップの中身をローイへ見せた。
「カトリーヌはお子様だからな」
その言葉に、カトリーヌは苦笑いする。
「……そうね」
カトリーヌは、その通りだと思ったのだ。
幼馴染に恋愛感情を抱いていることを自覚した途端、普通に接することが出来なくなるなんて。
更に、相手に不快な想いをさせてしまうような感じの悪い態度をとってしまうなんて。
「本当に、私は子供だわ」
カトリーヌは自分に言い聞かせるように言う。
「……どうかしたのか? そういえば、昨日うちに来た理由を聞いていなかったな」
カトリーヌは目の前のローイを見上げる。
心配そうな表情をしている。
「……実は、母の病気を治してくれたのは、魔女様なの」
カトリーヌはふと、言いたくなった。
確かめたかったのかもしれない。
「えっ……」
驚いた顔をしているローイへ、カトリーヌはことの経緯を勝手につらつらと話した。
ずっと一緒に成長してきた、カトリーヌの知っている幼馴染のローイならきっと、受け入れてくれるはずだ。
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