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第一章 雑魚狩り、商人、襲撃者
第1話
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星を支配し、法則の元に循環させる秩序。
人々はそれを”精霊”と呼んだ。
しかしこの星に数多いる生命の中で、人間だけが特異な性質を持っていた。
他の生命が、名も無き意志の元にただ食物連鎖の循環を回すだけの存在であるのに対し、人間は星の法則に触れ、またあろうことかそれを意図的に行使する術を持っていた。
これを”駆霊術”と呼ぶ。
そしてそれを実現した人間固有の能力を避けては通れない。
それは、人間の誕生と同時に誕生するもう一つの魂、或いは分身。
人々はそれを”守護霊”と呼んだ。
とある風が吹く草原。そこには四人の人影がある。
その内の一人、他の三人より一回り背丈の大きな者だけが、明らかに異質な存在感を放っている。
肌が赤いのだ。
また、その瞳は何をも映していないかのように虚ろであり、表情が読み取れない。その上、頭部には毛髪ではなく炎が揺らめいている。
この存在こそが、人間をこの星の頂点へと導いた存在、”守護霊”。
それは、人間の姿をして宿主の背後に浮き上がる立体のヴィジョンである。
「くらえ!! 《ビックバンボルケーノ》!!」
一人の少年が何ごとか叫ぶと同時、彼の守護霊が手を正面にかざした。
すると頭部の炎がより強く燃え上がり、かざした手の元に突如小さな球状の炎が出現した。
生み出された炎の球は、叫んでいた少年の指差す方向に向かって突進し、対面していたもう一人の少年の左頬をかすめた後、後方の地面に着弾し草花を焼く。
「っ!!!」
攻撃された少年は、まだ熱気の残っている自身の左頬に手をやりながら、しかし逃げる様子もなく身構えて立っている。
「よくやった、”戻れ”」
「ナツ、もうやめなよ、本当下らない!」
「アキは黙ってろ。 どうだ、すげえだろ! 怪我したくなかったら「参った」と言え!」
アキと呼ばれた少女は、どうやら喧嘩をしているらしい二人の少年の仲裁に入ろうとするが、少年の怒りは収まらない。ナツと呼ばれた少年は、自身の実力を誇示するばかりである。
そして驚く事に、あれだけ異質な存在感を放っていた守護霊が、ナツの「戻れ」の言葉の後には跡形も無く消え失せていた。
守護霊とは、その姿を出現させる事と消す事が自在の存在なのである。
「全然すごくない。 こんなの十発当たっても全然効かないね!」
「言ったな!?」
「まだ続けるつもり!? ハル、あんた馬鹿じゃないの!」
ハルと呼ばれた少年は気丈に言い返す。しかし、彼は言葉で言い返すだけで、一向に自身の守護霊を出現させようとしない。
「来いっ! ”ドラグーン”!!」
ナツが叫ぶと、再度彼の守護霊が姿を現した。
しかし、”ドラグーン”とは。キラキラネームだろうか、とハルは思う。
まさしく子どもが考えたような名前である。
「次は当てる。 痛いのが嫌なら躱してみろ!!」
「”フェイド”! ”フェイド”!! ……何でだ! 何で出ないんだ!!」
再度現れた”ドラグーン”を見て、ハルは焦りを表情に出す。
「行くぞ!! 《ビックバンボルケーノ》!!」
先程同様、ドラグーンの手元に小振りな炎の球が現れる。
それが正面のハルに襲い掛かろうとした時、
───バリッ
「……行け」
それまで草原を吹き抜けていた風が、いつの間にか止んでいた。
輝きと共に、破裂音を放つ”何か”が空から飛来した。それはハルを庇い、ドラグーンが放った炎を掻き消した。
第三者の介入により、撃ち出された炎がハルを焼くことはなかった。
「……黒い…”フェイド”……?」
ハルを庇った”何か”は、炎を掻き消した後には跡形もなく姿を消していた。
ハルは自身に向けて撃ち出された炎に対し、瞬き一つしていなかった。相当な胆力である。
そのおかげか、ハルは辛うじて視界に留めた情報からその正体を推測し、呟いた。
「……ごっこに炎を持ち出すとは、随分贅沢な遊びだな。 俺も混ぜてくれよ」
黒髪に青い瞳をした青年がナツを見据え、冷たい表情で言い放つ。
状況からして、先程の”何か”を差し向けたのはこの青年であるとハルは推察する。
青年の冷たい無表情に凄まれたナツは、明らかに狼狽えていたが言葉は出てこない。
ただ沈黙だけがその場を包んでいた。
「……ごめんなさい!」
重い沈黙を破り真っ先に頭を下げたのは、喧嘩の仲裁を試みた少女、アキだった。
「さっきのはただの喧嘩で、私も止めたんですけど……。 何してんの、ほら! ナツも謝って!」
「な、なんで俺が……」
渋るナツに、更に少女が詰め寄る。
「なんで?? この人が止めてくれなかったら、ハルが大怪我してたんだよ!? ナツ、本気で当てる気だったでしょ! 信じられない!」
「わ、わかったよ。 ごめんなさい。 ついカッとなって……。 ハル、ごめんな」
「……いや、こっちこそ、ごめんなさい」
互いに謝罪し合う様子を見て、青年は溜息を吐く。
「あの、お兄さん、さっきは助けてくれてありがとうございました」
次いで、ハルは青年に礼を述べた。
「怪我はないか?」
「はい。 お陰で無傷です……」
ハルの言葉は嘘ではない。散った火花の一粒すら、降りかかっていなかった。
しかし、ハルの表情はどこか暗い。
「そうか。 怪我が無いならそれで良い」
「あ、あの、名前を聞いても良いですか?」
ハルは恐る恐るといった様子で尋ねる。
挨拶程度のつもりで少年が言った言葉を、青年は、
「……名乗る程のもんじゃない」
にべもなく断った。
名を明かさない黒髪の青年は表情を変えずそう言うと、山の方へと歩き去っていくのだった。
───数十分後、山中の切り立った崖にて。
「ケェェェェェエエエンッ!!!」
獣の咆哮が聞こえ、黒髪の青年は空を見上げる。
遥か上空から聞こえた、耳を擘くような高音の鳴き声。それが自身の生命を脅かすことを目的として接近していることを、彼は理解していた。
そして間もなく、その獣は上空より飛来する。
「キュルルルルル…」
青年と対峙した獣は、低い唸り声で威嚇する。
その姿は、まさしく巨大な猛禽類の獣。その翼は大人の背丈程もありそうだ。
「……いつものよりデカイな」
青年はこれまで、見上げる程の体躯の獣に出会った経験が無い。今回対峙した個体は、通常の倍の大きさはあろうかという巨体。そんな獣が、じわりじわりと距離を詰めてくる。
「ケェェェェエエエエエンッ!!!」
獣はもう一度叫ぶ。
それはまるで、勝利宣言のようだった。
青年は、見下ろしてくる獣を冷め切った目で見返すばかりで動こうとしない。
そんな青年に対し、遂に獣はその巨大な嘴を突き出す。
しかし、その攻撃が青年に届くことはなかった。
───バリバリッ
「……行け」
何かが弾けたような耳障りな音が響いた後、青年が呟く。
すると、隕石の如く空から黒い物体が飛来した。
その物体は、落下の勢いそのままに猛禽類の脳天を割り、その生命を奪った。
決着は一瞬であった。
つい先程まで青年の命を脅かしていた獣が、今やただの肉片となっている。
「………」
青年は背後を振り返る。
青年が立つそこは、山中の開けた空間。視線の先には崖があり、そこからは”海”が一望出来た。
その崖には、この星では珍しくない女性の名が刻まれた石が置かれている。
青年はその石を一瞥した後、何の感情も籠らない表情で獣の骸に網を掛け、それを引き摺るようにしてその場を離れた。
獣を狩った後更に数十分後、青年は街に戻り、とある建物を訪ねていた。
すると、そこに居合わせた人々の囁きが青年の耳に入る。
「……何だあのデカい”霊獣”、アイツ、一人で狩ったのか……?」
「霊獣? そんなもんガキでも狩ってるだろ」
「そうだぞ、あれくらい大した事ねぇ。 ククク。 雑魚を狩っていい気になっているとは、流石田舎もんだな。 おい、行くぞ。 俺達には俺達の仕事がある」
「あぁ。 ”アラン様”に良い報告がしたいからな」
「いや、お前ら外から来た連中は知らねぇだろうが、ありゃ普通じゃねぇぞ……」
青年の引き摺る巨大な獣の入れられた網を見て、三者三様の反応を示す。
畏怖する者、嘲笑する者、興味を示さない者、様々である。
「”霊獣”の引き取りを頼む」
ここは、”冒険者組合”。仕事を持ち込む者と、仕事を熟す者とを繋ぐ場所である。
青年は周囲の反応など意に介さず、受付嬢らしき女性に要件を伝える。
「討伐依頼の達成ですね。 お疲れ様です」
受付嬢は丁寧に対応する。
この星では、人間以外の動物を総称して”霊獣”と呼ぶ。
「見ての通り、随分デカいのが居たんだが、何か知ってるか?」
「確かに大きいですね。 でも、今の所そういった報告はありません」
「……そうか」
受付嬢は巨大な獣の骸を見ても特に表情を変える様子はない。
青年が持ち帰った霊獣は、通常より遥かに巨大な体躯をしている。
───肝の据わった女か、それとも……。
青年は心中で呟く。
この街に住む者は皆、知っている。山に住む獣など、人間にとっては取るに足らない存在であると。
だからこそ、最初から興味がないのだ。
───また、厄介な事に巻き込まれてしまいそうだ。
青年は、平穏を望む”冒険者”。
「あ、居た! お兄さん!」
そして青年の予想とはまた違った形で、彼の嫌う厄介事へと巻き込まれていく。
人々はそれを”精霊”と呼んだ。
しかしこの星に数多いる生命の中で、人間だけが特異な性質を持っていた。
他の生命が、名も無き意志の元にただ食物連鎖の循環を回すだけの存在であるのに対し、人間は星の法則に触れ、またあろうことかそれを意図的に行使する術を持っていた。
これを”駆霊術”と呼ぶ。
そしてそれを実現した人間固有の能力を避けては通れない。
それは、人間の誕生と同時に誕生するもう一つの魂、或いは分身。
人々はそれを”守護霊”と呼んだ。
とある風が吹く草原。そこには四人の人影がある。
その内の一人、他の三人より一回り背丈の大きな者だけが、明らかに異質な存在感を放っている。
肌が赤いのだ。
また、その瞳は何をも映していないかのように虚ろであり、表情が読み取れない。その上、頭部には毛髪ではなく炎が揺らめいている。
この存在こそが、人間をこの星の頂点へと導いた存在、”守護霊”。
それは、人間の姿をして宿主の背後に浮き上がる立体のヴィジョンである。
「くらえ!! 《ビックバンボルケーノ》!!」
一人の少年が何ごとか叫ぶと同時、彼の守護霊が手を正面にかざした。
すると頭部の炎がより強く燃え上がり、かざした手の元に突如小さな球状の炎が出現した。
生み出された炎の球は、叫んでいた少年の指差す方向に向かって突進し、対面していたもう一人の少年の左頬をかすめた後、後方の地面に着弾し草花を焼く。
「っ!!!」
攻撃された少年は、まだ熱気の残っている自身の左頬に手をやりながら、しかし逃げる様子もなく身構えて立っている。
「よくやった、”戻れ”」
「ナツ、もうやめなよ、本当下らない!」
「アキは黙ってろ。 どうだ、すげえだろ! 怪我したくなかったら「参った」と言え!」
アキと呼ばれた少女は、どうやら喧嘩をしているらしい二人の少年の仲裁に入ろうとするが、少年の怒りは収まらない。ナツと呼ばれた少年は、自身の実力を誇示するばかりである。
そして驚く事に、あれだけ異質な存在感を放っていた守護霊が、ナツの「戻れ」の言葉の後には跡形も無く消え失せていた。
守護霊とは、その姿を出現させる事と消す事が自在の存在なのである。
「全然すごくない。 こんなの十発当たっても全然効かないね!」
「言ったな!?」
「まだ続けるつもり!? ハル、あんた馬鹿じゃないの!」
ハルと呼ばれた少年は気丈に言い返す。しかし、彼は言葉で言い返すだけで、一向に自身の守護霊を出現させようとしない。
「来いっ! ”ドラグーン”!!」
ナツが叫ぶと、再度彼の守護霊が姿を現した。
しかし、”ドラグーン”とは。キラキラネームだろうか、とハルは思う。
まさしく子どもが考えたような名前である。
「次は当てる。 痛いのが嫌なら躱してみろ!!」
「”フェイド”! ”フェイド”!! ……何でだ! 何で出ないんだ!!」
再度現れた”ドラグーン”を見て、ハルは焦りを表情に出す。
「行くぞ!! 《ビックバンボルケーノ》!!」
先程同様、ドラグーンの手元に小振りな炎の球が現れる。
それが正面のハルに襲い掛かろうとした時、
───バリッ
「……行け」
それまで草原を吹き抜けていた風が、いつの間にか止んでいた。
輝きと共に、破裂音を放つ”何か”が空から飛来した。それはハルを庇い、ドラグーンが放った炎を掻き消した。
第三者の介入により、撃ち出された炎がハルを焼くことはなかった。
「……黒い…”フェイド”……?」
ハルを庇った”何か”は、炎を掻き消した後には跡形もなく姿を消していた。
ハルは自身に向けて撃ち出された炎に対し、瞬き一つしていなかった。相当な胆力である。
そのおかげか、ハルは辛うじて視界に留めた情報からその正体を推測し、呟いた。
「……ごっこに炎を持ち出すとは、随分贅沢な遊びだな。 俺も混ぜてくれよ」
黒髪に青い瞳をした青年がナツを見据え、冷たい表情で言い放つ。
状況からして、先程の”何か”を差し向けたのはこの青年であるとハルは推察する。
青年の冷たい無表情に凄まれたナツは、明らかに狼狽えていたが言葉は出てこない。
ただ沈黙だけがその場を包んでいた。
「……ごめんなさい!」
重い沈黙を破り真っ先に頭を下げたのは、喧嘩の仲裁を試みた少女、アキだった。
「さっきのはただの喧嘩で、私も止めたんですけど……。 何してんの、ほら! ナツも謝って!」
「な、なんで俺が……」
渋るナツに、更に少女が詰め寄る。
「なんで?? この人が止めてくれなかったら、ハルが大怪我してたんだよ!? ナツ、本気で当てる気だったでしょ! 信じられない!」
「わ、わかったよ。 ごめんなさい。 ついカッとなって……。 ハル、ごめんな」
「……いや、こっちこそ、ごめんなさい」
互いに謝罪し合う様子を見て、青年は溜息を吐く。
「あの、お兄さん、さっきは助けてくれてありがとうございました」
次いで、ハルは青年に礼を述べた。
「怪我はないか?」
「はい。 お陰で無傷です……」
ハルの言葉は嘘ではない。散った火花の一粒すら、降りかかっていなかった。
しかし、ハルの表情はどこか暗い。
「そうか。 怪我が無いならそれで良い」
「あ、あの、名前を聞いても良いですか?」
ハルは恐る恐るといった様子で尋ねる。
挨拶程度のつもりで少年が言った言葉を、青年は、
「……名乗る程のもんじゃない」
にべもなく断った。
名を明かさない黒髪の青年は表情を変えずそう言うと、山の方へと歩き去っていくのだった。
───数十分後、山中の切り立った崖にて。
「ケェェェェェエエエンッ!!!」
獣の咆哮が聞こえ、黒髪の青年は空を見上げる。
遥か上空から聞こえた、耳を擘くような高音の鳴き声。それが自身の生命を脅かすことを目的として接近していることを、彼は理解していた。
そして間もなく、その獣は上空より飛来する。
「キュルルルルル…」
青年と対峙した獣は、低い唸り声で威嚇する。
その姿は、まさしく巨大な猛禽類の獣。その翼は大人の背丈程もありそうだ。
「……いつものよりデカイな」
青年はこれまで、見上げる程の体躯の獣に出会った経験が無い。今回対峙した個体は、通常の倍の大きさはあろうかという巨体。そんな獣が、じわりじわりと距離を詰めてくる。
「ケェェェェエエエエエンッ!!!」
獣はもう一度叫ぶ。
それはまるで、勝利宣言のようだった。
青年は、見下ろしてくる獣を冷め切った目で見返すばかりで動こうとしない。
そんな青年に対し、遂に獣はその巨大な嘴を突き出す。
しかし、その攻撃が青年に届くことはなかった。
───バリバリッ
「……行け」
何かが弾けたような耳障りな音が響いた後、青年が呟く。
すると、隕石の如く空から黒い物体が飛来した。
その物体は、落下の勢いそのままに猛禽類の脳天を割り、その生命を奪った。
決着は一瞬であった。
つい先程まで青年の命を脅かしていた獣が、今やただの肉片となっている。
「………」
青年は背後を振り返る。
青年が立つそこは、山中の開けた空間。視線の先には崖があり、そこからは”海”が一望出来た。
その崖には、この星では珍しくない女性の名が刻まれた石が置かれている。
青年はその石を一瞥した後、何の感情も籠らない表情で獣の骸に網を掛け、それを引き摺るようにしてその場を離れた。
獣を狩った後更に数十分後、青年は街に戻り、とある建物を訪ねていた。
すると、そこに居合わせた人々の囁きが青年の耳に入る。
「……何だあのデカい”霊獣”、アイツ、一人で狩ったのか……?」
「霊獣? そんなもんガキでも狩ってるだろ」
「そうだぞ、あれくらい大した事ねぇ。 ククク。 雑魚を狩っていい気になっているとは、流石田舎もんだな。 おい、行くぞ。 俺達には俺達の仕事がある」
「あぁ。 ”アラン様”に良い報告がしたいからな」
「いや、お前ら外から来た連中は知らねぇだろうが、ありゃ普通じゃねぇぞ……」
青年の引き摺る巨大な獣の入れられた網を見て、三者三様の反応を示す。
畏怖する者、嘲笑する者、興味を示さない者、様々である。
「”霊獣”の引き取りを頼む」
ここは、”冒険者組合”。仕事を持ち込む者と、仕事を熟す者とを繋ぐ場所である。
青年は周囲の反応など意に介さず、受付嬢らしき女性に要件を伝える。
「討伐依頼の達成ですね。 お疲れ様です」
受付嬢は丁寧に対応する。
この星では、人間以外の動物を総称して”霊獣”と呼ぶ。
「見ての通り、随分デカいのが居たんだが、何か知ってるか?」
「確かに大きいですね。 でも、今の所そういった報告はありません」
「……そうか」
受付嬢は巨大な獣の骸を見ても特に表情を変える様子はない。
青年が持ち帰った霊獣は、通常より遥かに巨大な体躯をしている。
───肝の据わった女か、それとも……。
青年は心中で呟く。
この街に住む者は皆、知っている。山に住む獣など、人間にとっては取るに足らない存在であると。
だからこそ、最初から興味がないのだ。
───また、厄介な事に巻き込まれてしまいそうだ。
青年は、平穏を望む”冒険者”。
「あ、居た! お兄さん!」
そして青年の予想とはまた違った形で、彼の嫌う厄介事へと巻き込まれていく。
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