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八章
44話 船は再び東へ
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44話 船は再び東へ
船上にて海獣オクタゴンを退けると大嵐は嘘のようにピタリと収まり、ジャスティスたちが乗る船は再び東へと進み出す。その日の夜は船上での『たこ焼きパーティー』と言う宴が、ジャスティスたちとその場にいた乗客に振舞われた。
ジャスティスたちを含めた乗客が寝静まった深夜過ぎ、船は再びその運行を急に停めた。
「今度は何だぁ?」
簡素なハンモック式のベッドでも伝わる急停止に、いち早く気づいたカインが目をこすりつつ半身を起こす。
「またオクタゴンの襲来か?」
ジャスティスとウルーガも異変に気付き目を覚ましたようで、
「部屋から出てみましょうか?」
ジャスティスがそう言うと、カインとウルーガは頷き合い三人揃って客室(キャビン)を出る。
船の前方部甲板に続く廊下を渡り甲板に出ると、先ほど身をもって気がついた通りに船は再び停止していた。
あたりは所々に小さな壁掛け松明(たいまつ)が備え付けてあり薄暗くではあるが一通りは見渡せた。
「……海には、何もいなそうだが」
カインは手を目の上にかざし遠くをキョロキョロと見回す。船の異変に気づいた他の乗客らもちらほらと甲板に姿を見せ始めていた。
「一体何があったんでしょう」
ジャスティスもまた月明かりにほのかに照らされた海上に目をやると、
「乗客の皆様、お騒がせして申し訳ありません!」
操舵室から船長が慌てた様子で集まった乗客にこう告げた。
「運行海路上に巨大な大渦が確認され、本船はやむを得ず航路を変えて南に舵をとります」
船長がそこまで言うと乗客たちは途端に騒ぎ始め、カインもまた大声で、
「何だって?! ファルガイアには行けないのか?!」
船長に食ってかかるように言うカインは、どことなくいつものカインらしくない感じがしてジャスティスは少し遠慮がちに上目遣いで彼を見て、
「……カ、カインさん。ちょっと落ち着いてください」
今にも船長の胸倉を掴みそうな勢いのカインと船長の間に割って入りカインを止めた。
「お、おう。わりぃ……じゃなくて!」
一旦気を鎮めたカインだったが再び船長に詰め寄り、
「おい! 本当にファルガイアに行かないのか?!」
「……は、はい。大渦はタータルネークと隣国ファルガイアに挟まれるノストウェスト海域に多数出現しており、このまま進めばこの船は渦に飲み込まれてしまいます」
船長は少したじろぎながらも確実な状況を説明した。
「クソ。……そうか……」
「……申し訳ありません」
カインが苦虫を噛み締めたように俯くと、船長はすまなさそうに頭を下げた。
「いや。あんたは悪くねぇだろ。それよりーー」
カインがそこで言葉を切ると船長は顔をあげた。
「南に行くって言ったがこの船はどこに停泊(ていはく)するんだ?」
「南東にあるマーベラスの主要港ベネツィ都市に停泊する予定です」
「……やっぱりそこしかねぇか」
船長の言葉に、カインはどこか諦めにも似た口調で呟き、一人その場をあとに客室(キャビン)に戻って行ってしまった。
ジャスティスとウルーガもお互い目を見合わせカインの後を追って行った。
船上にて海獣オクタゴンを退けると大嵐は嘘のようにピタリと収まり、ジャスティスたちが乗る船は再び東へと進み出す。その日の夜は船上での『たこ焼きパーティー』と言う宴が、ジャスティスたちとその場にいた乗客に振舞われた。
ジャスティスたちを含めた乗客が寝静まった深夜過ぎ、船は再びその運行を急に停めた。
「今度は何だぁ?」
簡素なハンモック式のベッドでも伝わる急停止に、いち早く気づいたカインが目をこすりつつ半身を起こす。
「またオクタゴンの襲来か?」
ジャスティスとウルーガも異変に気付き目を覚ましたようで、
「部屋から出てみましょうか?」
ジャスティスがそう言うと、カインとウルーガは頷き合い三人揃って客室(キャビン)を出る。
船の前方部甲板に続く廊下を渡り甲板に出ると、先ほど身をもって気がついた通りに船は再び停止していた。
あたりは所々に小さな壁掛け松明(たいまつ)が備え付けてあり薄暗くではあるが一通りは見渡せた。
「……海には、何もいなそうだが」
カインは手を目の上にかざし遠くをキョロキョロと見回す。船の異変に気づいた他の乗客らもちらほらと甲板に姿を見せ始めていた。
「一体何があったんでしょう」
ジャスティスもまた月明かりにほのかに照らされた海上に目をやると、
「乗客の皆様、お騒がせして申し訳ありません!」
操舵室から船長が慌てた様子で集まった乗客にこう告げた。
「運行海路上に巨大な大渦が確認され、本船はやむを得ず航路を変えて南に舵をとります」
船長がそこまで言うと乗客たちは途端に騒ぎ始め、カインもまた大声で、
「何だって?! ファルガイアには行けないのか?!」
船長に食ってかかるように言うカインは、どことなくいつものカインらしくない感じがしてジャスティスは少し遠慮がちに上目遣いで彼を見て、
「……カ、カインさん。ちょっと落ち着いてください」
今にも船長の胸倉を掴みそうな勢いのカインと船長の間に割って入りカインを止めた。
「お、おう。わりぃ……じゃなくて!」
一旦気を鎮めたカインだったが再び船長に詰め寄り、
「おい! 本当にファルガイアに行かないのか?!」
「……は、はい。大渦はタータルネークと隣国ファルガイアに挟まれるノストウェスト海域に多数出現しており、このまま進めばこの船は渦に飲み込まれてしまいます」
船長は少したじろぎながらも確実な状況を説明した。
「クソ。……そうか……」
「……申し訳ありません」
カインが苦虫を噛み締めたように俯くと、船長はすまなさそうに頭を下げた。
「いや。あんたは悪くねぇだろ。それよりーー」
カインがそこで言葉を切ると船長は顔をあげた。
「南に行くって言ったがこの船はどこに停泊(ていはく)するんだ?」
「南東にあるマーベラスの主要港ベネツィ都市に停泊する予定です」
「……やっぱりそこしかねぇか」
船長の言葉に、カインはどこか諦めにも似た口調で呟き、一人その場をあとに客室(キャビン)に戻って行ってしまった。
ジャスティスとウルーガもお互い目を見合わせカインの後を追って行った。
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