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九章
49話 天帝国家マーベラス2
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49話 天帝国家マーベラス2
コンタール斡旋所から中央広場を抜けて南側の高い石壁に囲まれた細い路地に入ると、そこはもう庶民が住む地域となっており縦型の同じような造りの家が立ち並んでいる。
ジャスティスが住んでいたディズドも街の少し外れに行くとこんなような建物がズラリと並んでいた事を、ジャスティス本人は思い出していた。
『平民街』と呼ばれる場所の井戸がある広場の一角に、麻布を木枠の天井に張り付けただけの簡易的なテントが所狭しと並ぶ市場に、イークによってジャスティスとウルーガは案内された。
「わぁ、色んなものがいっぱいありますねぇ!」
ジャスティスは市場を見るなり瞳を輝かせ開口一番に言った。
「おいおい。目当ては食料だろ?」
そんなジャスティスにイークは呆れ混じりに苦笑する。
「あのパン美味しそうだな。あれにするか?」
普段は物静かなウルーガまでも心なしか楽しげな雰囲気を見せており、彼はすぐそばにある屋台の籠(かご)に溢れんばかりに詰まったパンを指差した。
「え。僕もコレ食べたいです!」
ジャスティスはウルーガが示したパンを一目見て瞳を輝かせた。小ぶりのロールパンに、縦に少し切り口を入れた中に香草やスライスした豚肉を焼いて挟みこんであるそのパンは、マーベラスでは最も需要ある『ポークサンド』と呼ばれるパンで、香ばしい匂いを醸し出すパンにジャスティスの鼻腔はくすぐられて彼のお腹を瞬時に空かせたのだった。
「じゃあこれをカインの分含めて十二個くらいか?」
そう言いながらウルーガは小さな革の小袋を取り出して店主に注文をした。
「ジャスティス。お前の連れは『カイン』と言うのか?」
「あ、はい。あれ? イークさん、カインさんを知ってるんですか?」
「いや……」
イークは少し歯切れ悪そうに首を横に振った。その様子をジャスティスは不思議に思ったが特に気にする事なく、イークとはその場で別れてジャスティスとウルーガは、カインが待っているであろうベネツィ都市の南門へと急ぎ向かった。
――平民街の細い砂利道に沿って歩みを進めていくと、左手に舗装された通路と繋がりこの通路は中心街へと続いている。舗装された道の南口は、約十メートルはあるだろう丸太を並べた外壁で囲まれており、南門は石材を重ねた大きな外門となっていた。
ジャスティスとウルーガがその外門から出ると少し先に広々とした厩舎(きゅうしゃ)があり、そこには数台の荷車や馬車が置かれており、奥の小屋には立派な毛並みの馬が何頭かいるようだった。
南門は、西に続く簡素な道と『ソリッド街道』と呼ばれる南に向かう道の二つがある。カインが待っていたのは西の向かう道の方で、そこで再会した彼らはカインに言われるがまま西の道を進む事になった。
「カインさん。今からどこに向かうんですか?」
道すがらジャスティスがそう聞くと前を歩いていたカインが歩を進めながら振り返り、
「とりあえず、俺たちの『仮拠点(かりきょてん)』にいく」
言いつつ、カインはジャスティスとウルーガが買ってきたポークサンドにかぶりついた。
コンタール斡旋所から中央広場を抜けて南側の高い石壁に囲まれた細い路地に入ると、そこはもう庶民が住む地域となっており縦型の同じような造りの家が立ち並んでいる。
ジャスティスが住んでいたディズドも街の少し外れに行くとこんなような建物がズラリと並んでいた事を、ジャスティス本人は思い出していた。
『平民街』と呼ばれる場所の井戸がある広場の一角に、麻布を木枠の天井に張り付けただけの簡易的なテントが所狭しと並ぶ市場に、イークによってジャスティスとウルーガは案内された。
「わぁ、色んなものがいっぱいありますねぇ!」
ジャスティスは市場を見るなり瞳を輝かせ開口一番に言った。
「おいおい。目当ては食料だろ?」
そんなジャスティスにイークは呆れ混じりに苦笑する。
「あのパン美味しそうだな。あれにするか?」
普段は物静かなウルーガまでも心なしか楽しげな雰囲気を見せており、彼はすぐそばにある屋台の籠(かご)に溢れんばかりに詰まったパンを指差した。
「え。僕もコレ食べたいです!」
ジャスティスはウルーガが示したパンを一目見て瞳を輝かせた。小ぶりのロールパンに、縦に少し切り口を入れた中に香草やスライスした豚肉を焼いて挟みこんであるそのパンは、マーベラスでは最も需要ある『ポークサンド』と呼ばれるパンで、香ばしい匂いを醸し出すパンにジャスティスの鼻腔はくすぐられて彼のお腹を瞬時に空かせたのだった。
「じゃあこれをカインの分含めて十二個くらいか?」
そう言いながらウルーガは小さな革の小袋を取り出して店主に注文をした。
「ジャスティス。お前の連れは『カイン』と言うのか?」
「あ、はい。あれ? イークさん、カインさんを知ってるんですか?」
「いや……」
イークは少し歯切れ悪そうに首を横に振った。その様子をジャスティスは不思議に思ったが特に気にする事なく、イークとはその場で別れてジャスティスとウルーガは、カインが待っているであろうベネツィ都市の南門へと急ぎ向かった。
――平民街の細い砂利道に沿って歩みを進めていくと、左手に舗装された通路と繋がりこの通路は中心街へと続いている。舗装された道の南口は、約十メートルはあるだろう丸太を並べた外壁で囲まれており、南門は石材を重ねた大きな外門となっていた。
ジャスティスとウルーガがその外門から出ると少し先に広々とした厩舎(きゅうしゃ)があり、そこには数台の荷車や馬車が置かれており、奥の小屋には立派な毛並みの馬が何頭かいるようだった。
南門は、西に続く簡素な道と『ソリッド街道』と呼ばれる南に向かう道の二つがある。カインが待っていたのは西の向かう道の方で、そこで再会した彼らはカインに言われるがまま西の道を進む事になった。
「カインさん。今からどこに向かうんですか?」
道すがらジャスティスがそう聞くと前を歩いていたカインが歩を進めながら振り返り、
「とりあえず、俺たちの『仮拠点(かりきょてん)』にいく」
言いつつ、カインはジャスティスとウルーガが買ってきたポークサンドにかぶりついた。
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