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15話 対峙1
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15話 対峙1
(…おいおいおいおい。どうするよ、この状況……)
拠点内が見下ろせる岩肌で身を隠しているカインは戦場と化した賊の拠点を焦りつつもただ静かに見ていた。
(俺が加勢すべきか…それとも見過ごすか…)
「ええいッ、クソがァ!!」
カインは低く呻いてその場から素早く姿を消した――
――モンテロウは、手足を大きな丸太によって縛りあげられて身動き取れないでいた。
(…カイン…。アイツは無事に逃げれただろうか……)
顔を少し俯き加減にして足元の地面をぼんやりと見つめる。その瞳は、『この先処刑される』という死の影は無く、逆に、『未来ある若者に後を託した』と言う誇らしい気持ちが露わになっている。
(アイツならきっと…上手いこと抜け出せるだろう)
俯いていた顔をふとあげるモンテロウ。自身の少し左背後に何気なく視線を送る。
モンテロウの瞳が驚いたように見開かれた。
彼の丁度背後付近にある岩壁の影。そこに身を潜めるのはカインの姿。
モンテロウは一瞬口を開きかけたが、それはカインによって遮られる。
カインはモンテロウの右隣で山賊と騎士らの戦いを呆然と眺めている【見張り】の背後に忍び寄る。途端に足元から崩れおちる見張りの騎士。
「…お前……」
「ー…シッ」
モンテロウが小さく呟くのを遮るカイン。素早く、しかし周りに気づかれないようモンテロウの拘束を解いた。そして気絶させたであろう見張りの騎士の上着を剥がし自身の身体に着込む。倒れた騎士は、可哀想だが近くの岩陰にその身を横たわらせた。
「…お前何で……」
「まあ偶然かな?」
騎士の姿に扮したカインとモンテロウは小声で会話をする。
「…とりあえず、この『賊狩り』を阻止しないとな」
「…だな」
カインとモンテロウは言いつつ互いを見つめ、にやりと笑い合った。そして同時に走り出し賊と騎士らの交戦の場へと身を投げ込んだ。
「サンポー! ワシの斧槍(ハルバード)を寄越せぇ!!」
モンテロウが巨体を動かし、サブリーダーであろうサンポーに大声で言うや否や、
「頭ァァ?!」
多少驚きはしたものの、サンポーはロウファから迫り来る槍の切っ先を避けつつ背中に背負っていた柄の短い【斧槍(ハルバード)】を二刀、モンテロウ目掛けて投げ渡した。
「メンテはしときましたぜェ!」
「流石はワシの相棒よッ!」
モンテロウは二刀のハルバードを受け取りつつサンポーの横に並び立つ。
「ー…ッ。やはり奴等と繋がっていたか…」
対峙していたサンポーがモンテロウと立ち並ぶ最中、自分の背後にある気配に勘づいたロウファは視線だけをそちらに寄越すと静かに呟いた。
「…お前さんの『幼馴染』には世話になったぜ」
赤髪の少年を真っ向から見据えるカイン。手は既に短剣(ダガー)を構えている。
「…俺とアイツはもう関係ない」
振り返り、ロウファもまたカインを見据える。
「その割には随分仲が良かったみたいだな」
「それもまた、あなたには関係が無いッ!」
「ー…ッ!」
言いつつ、繰り出されたロウファの一撃をダガーの刃で押し止めるカイン。
槍の刃と短剣の刃が擦れ合い耳障りな音をたてた。
(…おいおいおいおい。どうするよ、この状況……)
拠点内が見下ろせる岩肌で身を隠しているカインは戦場と化した賊の拠点を焦りつつもただ静かに見ていた。
(俺が加勢すべきか…それとも見過ごすか…)
「ええいッ、クソがァ!!」
カインは低く呻いてその場から素早く姿を消した――
――モンテロウは、手足を大きな丸太によって縛りあげられて身動き取れないでいた。
(…カイン…。アイツは無事に逃げれただろうか……)
顔を少し俯き加減にして足元の地面をぼんやりと見つめる。その瞳は、『この先処刑される』という死の影は無く、逆に、『未来ある若者に後を託した』と言う誇らしい気持ちが露わになっている。
(アイツならきっと…上手いこと抜け出せるだろう)
俯いていた顔をふとあげるモンテロウ。自身の少し左背後に何気なく視線を送る。
モンテロウの瞳が驚いたように見開かれた。
彼の丁度背後付近にある岩壁の影。そこに身を潜めるのはカインの姿。
モンテロウは一瞬口を開きかけたが、それはカインによって遮られる。
カインはモンテロウの右隣で山賊と騎士らの戦いを呆然と眺めている【見張り】の背後に忍び寄る。途端に足元から崩れおちる見張りの騎士。
「…お前……」
「ー…シッ」
モンテロウが小さく呟くのを遮るカイン。素早く、しかし周りに気づかれないようモンテロウの拘束を解いた。そして気絶させたであろう見張りの騎士の上着を剥がし自身の身体に着込む。倒れた騎士は、可哀想だが近くの岩陰にその身を横たわらせた。
「…お前何で……」
「まあ偶然かな?」
騎士の姿に扮したカインとモンテロウは小声で会話をする。
「…とりあえず、この『賊狩り』を阻止しないとな」
「…だな」
カインとモンテロウは言いつつ互いを見つめ、にやりと笑い合った。そして同時に走り出し賊と騎士らの交戦の場へと身を投げ込んだ。
「サンポー! ワシの斧槍(ハルバード)を寄越せぇ!!」
モンテロウが巨体を動かし、サブリーダーであろうサンポーに大声で言うや否や、
「頭ァァ?!」
多少驚きはしたものの、サンポーはロウファから迫り来る槍の切っ先を避けつつ背中に背負っていた柄の短い【斧槍(ハルバード)】を二刀、モンテロウ目掛けて投げ渡した。
「メンテはしときましたぜェ!」
「流石はワシの相棒よッ!」
モンテロウは二刀のハルバードを受け取りつつサンポーの横に並び立つ。
「ー…ッ。やはり奴等と繋がっていたか…」
対峙していたサンポーがモンテロウと立ち並ぶ最中、自分の背後にある気配に勘づいたロウファは視線だけをそちらに寄越すと静かに呟いた。
「…お前さんの『幼馴染』には世話になったぜ」
赤髪の少年を真っ向から見据えるカイン。手は既に短剣(ダガー)を構えている。
「…俺とアイツはもう関係ない」
振り返り、ロウファもまたカインを見据える。
「その割には随分仲が良かったみたいだな」
「それもまた、あなたには関係が無いッ!」
「ー…ッ!」
言いつつ、繰り出されたロウファの一撃をダガーの刃で押し止めるカイン。
槍の刃と短剣の刃が擦れ合い耳障りな音をたてた。
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