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17話 もう一つの約束1
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17話 もう一つの約束1
「…もうワシ等はここにはいられないからな」
モンテロウは賊の手下達に、ゴブリンの解放を指示すると必要最低限の荷物を持ち出立間際にカインにそう言った。
「まあ、俺もそうなんだけどな」
山賊どもに捕らわれていたゴブリン達を背にし、照れ隠しに頭を掻くカイン。
「ーーワシと手下どもを助けてくれた『礼』がまだだったな」
「…お互い様じゃねぇの、そこは」
と、柄にもなく遠慮するカインだが、モンテロウは苦笑いして小さく首を横に振るう。
「ほら」
言いつつ、モンテロウは懐から何かを取り出すとカインに投げて寄越した。
「ー…ッ、アンタ…これって……?!」
モンテロウから投げ渡されたのは一つの指輪だった。それは、ペリドットの宝石が埋め込まれた【エレメンタルリング】と呼ばれる秘宝の一つ。
それを受け取りカインは目を見張る。
「『それ』が、正真正銘、理(ことわり)の指輪の一つだ」
「…え、じゃあ俺が大臣に渡したのは?」
にやりと笑うモンテロウに目を丸くするカイン。
「ありゃあ、何も価値のないただの石ころを磨いただけさ」
「……マジか」
「…あの大臣にゃあ秘宝の価値なんざ分からんよ」
「つーか。『コレ』はマジもんなのか?」
カインはモンテロウから渡された指輪を眼前で少し掲げてみた。ペリドット (橄欖(かんらん)石)が埋め込まれた指輪は、陽の光に反射しカインはそれによって眩しげに目を細める。
「…指輪の裏側に文字が刻まれているだろう」
モンテロウが静かな口調でそう言うと、カインは持っている指輪をもっと近くで見ようと顔に近付けて覗き込むように眉をしかめた。
「文字っつーか、訳分からんのが刻んであるのは分かる」
「…そうか」
眉間に皺寄せるカインに薄く笑うモンテロウ。
「何だよ。意味深だな」
「ーー大事に持っておるがいい」
「まあ、いいけどよ」
などと軽口を言い合いつつモンテロウとカインはその場で互いに別れを告げた。
カインは、捕らわれていたゴブリン達を引き連れ彼等の住処であるウェイター森林へととんぼ返りした。
そこではゴブリン達との『約束』を果たしてくれた事による盛大な宴が行われ、カインはまた一泊お世話になり、『お礼』にと、シュマテャから指輪に関する話が少しだけ聞く事が出来た。
――世界には【理(ことわり)】があり、それを象徴するエレメントが存在する。
カインが手にした、理の指輪 (エレメンタルリング)は【正義】の力を示すペリドットの宝玉が埋め込まれていると言う。内側に刻まれた文字は【失われた言語】であり、その文字形状から難読な言語としてカオスワーズとも呼ばれていた。
ゴブリン達の住処で【茣蓙(ござ)】に横たわるカインは、右の人差し指にはめた理の指輪を外し真上に掲げ眺めてみる。
「…『理の指輪』か……」
小さく呟き宝玉が見える様に指先で指輪を回転させる。それにより少し緑を帯びた黄色の宝玉はキラリと輝きを見せた。
「まあいい」
心中にわずかな引っ掛かりを覚えたカインだったが、今日は日が明ける前から行動をしていたので身体はかなり疲弊をしている。指輪をはめ直してカインの意識は睡魔へと誘(いざ)われた。
「…もうワシ等はここにはいられないからな」
モンテロウは賊の手下達に、ゴブリンの解放を指示すると必要最低限の荷物を持ち出立間際にカインにそう言った。
「まあ、俺もそうなんだけどな」
山賊どもに捕らわれていたゴブリン達を背にし、照れ隠しに頭を掻くカイン。
「ーーワシと手下どもを助けてくれた『礼』がまだだったな」
「…お互い様じゃねぇの、そこは」
と、柄にもなく遠慮するカインだが、モンテロウは苦笑いして小さく首を横に振るう。
「ほら」
言いつつ、モンテロウは懐から何かを取り出すとカインに投げて寄越した。
「ー…ッ、アンタ…これって……?!」
モンテロウから投げ渡されたのは一つの指輪だった。それは、ペリドットの宝石が埋め込まれた【エレメンタルリング】と呼ばれる秘宝の一つ。
それを受け取りカインは目を見張る。
「『それ』が、正真正銘、理(ことわり)の指輪の一つだ」
「…え、じゃあ俺が大臣に渡したのは?」
にやりと笑うモンテロウに目を丸くするカイン。
「ありゃあ、何も価値のないただの石ころを磨いただけさ」
「……マジか」
「…あの大臣にゃあ秘宝の価値なんざ分からんよ」
「つーか。『コレ』はマジもんなのか?」
カインはモンテロウから渡された指輪を眼前で少し掲げてみた。ペリドット (橄欖(かんらん)石)が埋め込まれた指輪は、陽の光に反射しカインはそれによって眩しげに目を細める。
「…指輪の裏側に文字が刻まれているだろう」
モンテロウが静かな口調でそう言うと、カインは持っている指輪をもっと近くで見ようと顔に近付けて覗き込むように眉をしかめた。
「文字っつーか、訳分からんのが刻んであるのは分かる」
「…そうか」
眉間に皺寄せるカインに薄く笑うモンテロウ。
「何だよ。意味深だな」
「ーー大事に持っておるがいい」
「まあ、いいけどよ」
などと軽口を言い合いつつモンテロウとカインはその場で互いに別れを告げた。
カインは、捕らわれていたゴブリン達を引き連れ彼等の住処であるウェイター森林へととんぼ返りした。
そこではゴブリン達との『約束』を果たしてくれた事による盛大な宴が行われ、カインはまた一泊お世話になり、『お礼』にと、シュマテャから指輪に関する話が少しだけ聞く事が出来た。
――世界には【理(ことわり)】があり、それを象徴するエレメントが存在する。
カインが手にした、理の指輪 (エレメンタルリング)は【正義】の力を示すペリドットの宝玉が埋め込まれていると言う。内側に刻まれた文字は【失われた言語】であり、その文字形状から難読な言語としてカオスワーズとも呼ばれていた。
ゴブリン達の住処で【茣蓙(ござ)】に横たわるカインは、右の人差し指にはめた理の指輪を外し真上に掲げ眺めてみる。
「…『理の指輪』か……」
小さく呟き宝玉が見える様に指先で指輪を回転させる。それにより少し緑を帯びた黄色の宝玉はキラリと輝きを見せた。
「まあいい」
心中にわずかな引っ掛かりを覚えたカインだったが、今日は日が明ける前から行動をしていたので身体はかなり疲弊をしている。指輪をはめ直してカインの意識は睡魔へと誘(いざ)われた。
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