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5話 最凶最悪のクリスマス2

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5話 最凶最悪のクリスマス2


 俺は亜希菜(あきな)の性器をこれでもかとばかりに視姦する。


(ああ……綺麗だな。さっきまで、俺のが、ここに入っていたのか)

 
 まるで極上の食べ物を前にしたように、俺は鼻息荒く自身の舌先で膣口をくるりと舐めまわした。


「ひぁ、」
 途端に腰をぴくんっと反応させる亜希菜。チロチロと舌先だけで入り口を突くようにすると、その快感により彼女の四肢が跳ね上がったりひくついたりするのを俺は上目で魅入った。

 荒々しく艶光(つやびか)りした陰毛の奥に、ひっそりと佇む赤黒い襞(ひだ)。その先はエデンの園に誘う神秘の扉。

 すべてを覆い尽くすような泉を滴らせる神秘の扉を押し開くとそこはもう本能に抗えないくらいの快楽が待っている。


 ――すげぇな。俺も、これが欲しい。

 否――俺は俺のおまんこが欲しい。

 俺のおまんこに、俺のちんぽを挿(い)れたら――


 ―…ぞくぞくぞくっ!


 そんな想像をしたら全身に電気が奔るかのように身体の中心が震えた。





「―…ぇ……。ねぇってば!」

 咎めるような声で俺は意識を取り戻した。


「……え? あ、なに?」

 数回目を瞬き顔を上げると、訝しげに眉をひそめ俺を見ている亜希菜の顔。


「……さっきから何してんのって聞いてんの!」

 少し怒った素振りを見せる亜希菜。横たえた身体を半身起こして肩から布団を被ってしまった。


「……お前の、まんこ見てただけ」
「ハァッ?!」

 正直に言えば殊更眉をしかめる亜希菜。


「だってずりーじゃん。俺だってまんこ欲しい。俺のまんこに俺のちんぽ突っ込んだらすげー気持ち良さそうじゃん」


 堰(せき)を切ったかのように自身の性癖を吐露(とろ)した次の瞬間――


 ―…バシンッ!


 その音ともに左頬に見事な平手打ちをくらった。


「さいってい!! 付き合ってらんないッ、もう無理! あんたと別れるッ! さよなら!!」

 そう早口で捲し立てて亜希菜はものすごい勢いで身支度をして俺の部屋から出ていった。



 ジンジンとする左頬の痛みを感じながら俺は天井を仰いだ。鼻で大きく溜息を吐いて、

「……また、やっちまったか」

 残された寝室で一人呟いた。




 ――今回は、一年持ったほうだろうか。

 俺の少し変わった性癖はことごとく女性に嫌悪されるらしい。

 俺はたまに、いやずっと前から、自分の『女性器』、つまりおまんこが欲しいと感じていた。そして、自分のおまんこに自分のちんぽを入れたら、男性と女性両方の快感が同時に味わえるのではないかと。


 ……変態?


 ああそうかも知れない。俺は変態なんだな。

 でも普通にセックスは気持ちいい。ただ、ごくたまに、そう言った性癖が出てしまいその度に玉砕する。


 俺もう一生このままかも知れない。


 頭の片隅で切なく呟き、今年のクリスマスは最凶最悪の年となった。
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