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森の世界
世界樹
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「ここが世界樹の入り口よ」
シーナの集落から進み、シン達の目の前にはどこまでも続く大木と言う名の壁が立ち塞がっていた。
その壁の一部でトンネルのように開いた穴をシーナは指差していた。
「あの手前に小屋があるでしょ?そこで手続きをして入場許可を貰うの。許可証は身分証明になるから絶対に無くさないで」
シーナに連れられシン達は小屋へと進む。
すると小屋には列が出来ており並んでいるのは冒険者達である事が服装から察する事が出来る。
「お嬢さん達も世界樹を登んのか?そんなひ弱そうなのとじゃなく俺達と来たらどうだ?」
列の最後尾に並ぶと近くにいた屈強な男の集団がユナやリリアナに声をかけてきた。
だが女性陣は華麗に群がる男達を無視し列に並んでいる。
「おい、話しかけてんだから答えたらどうだ?」
無視され続けているにも関わらず男達は退く事をしない。
次第に声が荒くなって来るがユナ達も顔を背け徹底的に話を聞かない。
諦めの悪い男達に苛々しているのだろう、組まれた腕にコツコツと指を打ち付けている。
「君達、先が開いているぞ。早く先に進んでくれないか?」
「うるせぇぞ!誰だってうえぇ⁉︎」
中々進まない男達にシン達の背後から声がかけられた。
その姿を見た男達は何やら驚いたのか奇声をあげる。
「Sランクの”双蒼の烈刃”じゃねぇか⁉︎何でこんなとこに!」
シン達が振り向くとそこには6名の女性が並んでいた。
Sランク冒険者、全ての世界の冒険者達の頂点に立つ数少ない実力者達だ。
Sランクに認定された冒険者はいずれかの世界において多大な功績を残し、災害を呼ばれるレベルの危機を振り払った者のみがその地位を手に入れる事が出来る。
冒険者の集まる氷の世界でもたった4組しかいないSランクの称号を持った冒険者グループがシン達の背後に並んでいたのだ。
「ありがとうございます、困っているところを助けて頂きました。」
絡んできた男達が逃げるように先へ進んだ事でエルリックは”双蒼の烈刃”と呼ばれた女性達に感謝を述べた。
「こちらも進まずに困っていただけです、お礼は要りません」
グループのリーダーなのだろうか少し背の高い金髪の女性がエルリックの感謝に答えた。
軽く挨拶を済ませシン達はいつの間にか小屋の前まで人が居なくなっている事に気付き慌てて小屋の中へと入っていく。
「導かれし者達との運命の出会い、か。面白い」
シン達の離れた後”双蒼の烈刃”と呼ばれた女性達のうち桃色の髪をした右眼に黒い眼帯をした女性がシン達を見つめ誰にも聞こえない声で小さく呟いた。
彼女が何を想い何を呟いたのかは誰にもわかる事はない。
**
「では、こちらの紙にお名前と出身をお書き下さい」
小屋に入ったシン達は世界樹への入場許可を貰う為書類を渡され書いている所だ。
「ちょっと、あんたデゼルトの出身じゃないじゃない!」
「ちょっバカ、声が大きい」
シンの申請用紙を覗き込んで見たユナが声を上げた。
シンの出身地は偽らなくてはならなかった。
偽らなくても良いのだが素直に書いてしまえば逆に怪しまれ入場を認めてもらえない可能性がある。
他のメンバーがみな砂の世界出身の為同じ方が怪しまれないだろうと書いたのだが、それに気付いたユナが声を上げてしまった。
ユナの口を塞ぎ辺りを確認し聞かれていない事がわかったシンはユナから手を離す。
「ここで俺だけ違う場所だったら怪しまれるだろ」
シンの言葉にユナは理解を示すように首を縦に振る。
何となくシンの雰囲気から自分が間違っていると感じたのだ。
「こちらが許可証です、無くさないようにお願いいします」
問題なく受付を終了させ世界樹へのトンネルに向かう。
嘘の記述がバレてしまわないかとハラハラしていたシンだったがどこかの国の王族などが身分を隠して世界樹に来る事もあるらしくそこまで詳しく審査しないようだ。
「世界樹かぁ何かドキドキするわね!」
トンネルを歩いているとユナは楽しそうに鼻歌を歌いながら進んでいた。
憧れていた外の世界での冒険が楽しいのだろう。
「妾も世界樹の中は初めてくるからの。興味深い」
ナナに抱き抱えられているティナも初めて訪れる世界樹に興味を持っている。
30年頂点に登った者のいない世界樹は今もなお挑戦者達で溢れている。
「そういえば獣王もここにいるのか?」
ここに来るまでに何度も聞いた人物にシンは良い印象を持っていないがその住処は気になる。
「はい、これから行くユグンの中央に大きな城があります。そこに獣王様はいらっしゃいます」
獣王に会うつもりはないが居場所を知らないのは不味いだろう。
中央の城には近付かない事をシンは皆に伝えた。
「ユグンは巨大な都市です。全部回る事も出来ませんので先に宿をとりましょう。2階への転移魔法陣の近くに拠点を構えます」
シーナの言葉に頷き先へ進む。
トンネルの終わりが近づくにつれ内部は明るさを増していく。
「これが世界樹の中か」
トンネルを抜けた先は世界樹の中にできた都市を一望できる高さの場所だった。
シン達の目に映るのは全てが木を削る事で創り出された巨大な都市だ。
建物も道も街の全てが木を削り作られている。
一面に広がる茶色の都市にシン達は目を奪われていた。
「何でこんな明るいんだ?」
大木の中ならば光は入らないはずなのに空からは光が降り注いでいる。
ありえない光景にシンは疑問を持つ。
「世界樹の階層の天井部分は光陽石と言う石でで覆われています。外で光を浴びた世界樹がその光陽石にエネルギーを与えて光らせるので世界樹の中でも昼の間は明るいです」
ほとんど外と変わらない状態にこの都市はなっているのだろう。
誰がそんな仕組みにしたかは創世の話になるのでシン達にはわからないがこれなら外にいる時と変わらない生活が送れるだろう。
「早く行きましょう。移動魔法陣に近い宿が無くなってしまうかもしれません」
シーナに連れられシン達は歩き出す。
すれ違うのは世界樹の外と違い冒険者や普通の人間が多い。
シーナのように混じり者は少なく暮らしているのは相棒となった魔獣と暮らしている人達だ。
だがこのユグンの住人には違和感があった。
「なあシーナ、ここの人達は普段何してるんだ?みんな太ってる気がするんだが」
シン達の目に入るのはどれもふくよかな体型をした人間達だ。
鍛えられた冒険者達との違いは一目瞭然であり姿を見ただけでどちらかわかる。
「ここに住んでいるのは使命を果たし自由になった人達です。働く必要も無いので動く事はほとんどしません。だからああいった体型の人達が多いんです」
使命を果たし自由を得た住人は働かずただ遊び、食べ、寝る。堕落した生活を送っていたのだ。
こんな奴らの為に世界樹の外にいる人達は重労働が課されているのだ。
「何で誰も反乱しないんだ?こんな奴らの為に重税を押し付けられて差別もされてるんだぞ」
話を聞いていたエルリックは激昂している。
真面目に毎日軍人として働き続けていたエルリックにはここの人達は許せない存在なのだろう。
使命を果たし得た強力な力を守る為に使わず立場の弱い者達に労働を押し付け差別する人間達にエルリックは厳しい視線を送る。
「ああやって楽をする為に外のみんなは使命を果たそうと必死になるんです。苦しみから解放されるにはそれしか無いですから」
淡々とシーナは答えた。
この世界の住人にしかわからない事があるのだろう。
「獣王選定まではまだ日にちは沢山あります。それまでは世界樹の攻略を目指しましょう」
宿に到着し夕食を取る為食堂の席に着いたシーナは話を始める。
獣王選定までシン達のやる事は世界樹の階層を登る事だ。
「獣王選定って何をやるんだ?」
だが獣王選定の対策もしない訳にはいかない。
「毎回変わりますね。前回は代表者とパートナーでの総力戦だったそうです。パートナーは1人とは決まっていなかったので冒険者として生きていた現在の獣王様は仲間の多さで獣王の席を勝ち取ったのです」
毎回変わるのでは対策は出来ないだろう。
戦闘に関する事であればここにいるメンバーでシーナを獣王にする事は出来るが戦闘が課題とは限らない。
「ですのでまだ獣王選定の話はしなくて大丈夫です。世界樹の攻略に全力で取り組みましょう」
明日から早速2階層への挑戦を決め、シン達は休息を取る為自室へと戻る。
自室へと戻るシン達に先ほど世界樹の前で会った冒険者とすれ違う。
少し背の高い金髪の女性とガタイのいい大柄な女性、それに桃色の髪に右眼に眼帯を付けた女性と宿の廊下で再開したのだ。
「先ほどはありがとうございました。貴方がたも世界樹の挑戦に来たのですか?」
こういった場面では社交性スキルの高いリリアナとエルリックの出番だ。
リリアナはすかさず女性達へ挨拶をする。
元王女とだけあって親しくない人達との会話も慣れているのだろう。
「これはご丁寧に、私達は世界樹の攻略に来た訳ではありません。ただ来た事がなかったので観光に来たのです」
リーダーであろう金髪の女性は良い所の出だと思われるほどリリアナに合わせ丁寧な挨拶の礼を見せる。
恐らくリリアナの態度から育ちの良さを感じ取ったのだろう。
「あんた達は世界樹の攻略かい?」
女性とは思えないようなガラガラした声が大柄な女性から発せられる。
見た目と違和感のない声は力強さを感じられる。
「ええ、明日から挑戦をしようと思っていますの」
「頑張んな!」
リリアナの言葉に大柄な女性は答えるがその上から目線の言葉にユナが少しイラついたのがシンにわかった。
旅をしていたお陰でユナの感情がシンにはすぐわかるようになっていた。
「ではこれにて失礼致します」
ユナの感情をリリアナも察したのだろう。
諍いを起こす前に別れを告げ宿の部屋へと歩き出した。
「また会おう、導かれし者達よ」
すれ違いざまに今まで言葉を話さなかった桃色の髪の女性がシン達に言葉を言う。
どういう意味なのかシンは聞きたかったがリリアナに腕を引かれた為そのまま部屋へと向かった。
シーナの集落から進み、シン達の目の前にはどこまでも続く大木と言う名の壁が立ち塞がっていた。
その壁の一部でトンネルのように開いた穴をシーナは指差していた。
「あの手前に小屋があるでしょ?そこで手続きをして入場許可を貰うの。許可証は身分証明になるから絶対に無くさないで」
シーナに連れられシン達は小屋へと進む。
すると小屋には列が出来ており並んでいるのは冒険者達である事が服装から察する事が出来る。
「お嬢さん達も世界樹を登んのか?そんなひ弱そうなのとじゃなく俺達と来たらどうだ?」
列の最後尾に並ぶと近くにいた屈強な男の集団がユナやリリアナに声をかけてきた。
だが女性陣は華麗に群がる男達を無視し列に並んでいる。
「おい、話しかけてんだから答えたらどうだ?」
無視され続けているにも関わらず男達は退く事をしない。
次第に声が荒くなって来るがユナ達も顔を背け徹底的に話を聞かない。
諦めの悪い男達に苛々しているのだろう、組まれた腕にコツコツと指を打ち付けている。
「君達、先が開いているぞ。早く先に進んでくれないか?」
「うるせぇぞ!誰だってうえぇ⁉︎」
中々進まない男達にシン達の背後から声がかけられた。
その姿を見た男達は何やら驚いたのか奇声をあげる。
「Sランクの”双蒼の烈刃”じゃねぇか⁉︎何でこんなとこに!」
シン達が振り向くとそこには6名の女性が並んでいた。
Sランク冒険者、全ての世界の冒険者達の頂点に立つ数少ない実力者達だ。
Sランクに認定された冒険者はいずれかの世界において多大な功績を残し、災害を呼ばれるレベルの危機を振り払った者のみがその地位を手に入れる事が出来る。
冒険者の集まる氷の世界でもたった4組しかいないSランクの称号を持った冒険者グループがシン達の背後に並んでいたのだ。
「ありがとうございます、困っているところを助けて頂きました。」
絡んできた男達が逃げるように先へ進んだ事でエルリックは”双蒼の烈刃”と呼ばれた女性達に感謝を述べた。
「こちらも進まずに困っていただけです、お礼は要りません」
グループのリーダーなのだろうか少し背の高い金髪の女性がエルリックの感謝に答えた。
軽く挨拶を済ませシン達はいつの間にか小屋の前まで人が居なくなっている事に気付き慌てて小屋の中へと入っていく。
「導かれし者達との運命の出会い、か。面白い」
シン達の離れた後”双蒼の烈刃”と呼ばれた女性達のうち桃色の髪をした右眼に黒い眼帯をした女性がシン達を見つめ誰にも聞こえない声で小さく呟いた。
彼女が何を想い何を呟いたのかは誰にもわかる事はない。
**
「では、こちらの紙にお名前と出身をお書き下さい」
小屋に入ったシン達は世界樹への入場許可を貰う為書類を渡され書いている所だ。
「ちょっと、あんたデゼルトの出身じゃないじゃない!」
「ちょっバカ、声が大きい」
シンの申請用紙を覗き込んで見たユナが声を上げた。
シンの出身地は偽らなくてはならなかった。
偽らなくても良いのだが素直に書いてしまえば逆に怪しまれ入場を認めてもらえない可能性がある。
他のメンバーがみな砂の世界出身の為同じ方が怪しまれないだろうと書いたのだが、それに気付いたユナが声を上げてしまった。
ユナの口を塞ぎ辺りを確認し聞かれていない事がわかったシンはユナから手を離す。
「ここで俺だけ違う場所だったら怪しまれるだろ」
シンの言葉にユナは理解を示すように首を縦に振る。
何となくシンの雰囲気から自分が間違っていると感じたのだ。
「こちらが許可証です、無くさないようにお願いいします」
問題なく受付を終了させ世界樹へのトンネルに向かう。
嘘の記述がバレてしまわないかとハラハラしていたシンだったがどこかの国の王族などが身分を隠して世界樹に来る事もあるらしくそこまで詳しく審査しないようだ。
「世界樹かぁ何かドキドキするわね!」
トンネルを歩いているとユナは楽しそうに鼻歌を歌いながら進んでいた。
憧れていた外の世界での冒険が楽しいのだろう。
「妾も世界樹の中は初めてくるからの。興味深い」
ナナに抱き抱えられているティナも初めて訪れる世界樹に興味を持っている。
30年頂点に登った者のいない世界樹は今もなお挑戦者達で溢れている。
「そういえば獣王もここにいるのか?」
ここに来るまでに何度も聞いた人物にシンは良い印象を持っていないがその住処は気になる。
「はい、これから行くユグンの中央に大きな城があります。そこに獣王様はいらっしゃいます」
獣王に会うつもりはないが居場所を知らないのは不味いだろう。
中央の城には近付かない事をシンは皆に伝えた。
「ユグンは巨大な都市です。全部回る事も出来ませんので先に宿をとりましょう。2階への転移魔法陣の近くに拠点を構えます」
シーナの言葉に頷き先へ進む。
トンネルの終わりが近づくにつれ内部は明るさを増していく。
「これが世界樹の中か」
トンネルを抜けた先は世界樹の中にできた都市を一望できる高さの場所だった。
シン達の目に映るのは全てが木を削る事で創り出された巨大な都市だ。
建物も道も街の全てが木を削り作られている。
一面に広がる茶色の都市にシン達は目を奪われていた。
「何でこんな明るいんだ?」
大木の中ならば光は入らないはずなのに空からは光が降り注いでいる。
ありえない光景にシンは疑問を持つ。
「世界樹の階層の天井部分は光陽石と言う石でで覆われています。外で光を浴びた世界樹がその光陽石にエネルギーを与えて光らせるので世界樹の中でも昼の間は明るいです」
ほとんど外と変わらない状態にこの都市はなっているのだろう。
誰がそんな仕組みにしたかは創世の話になるのでシン達にはわからないがこれなら外にいる時と変わらない生活が送れるだろう。
「早く行きましょう。移動魔法陣に近い宿が無くなってしまうかもしれません」
シーナに連れられシン達は歩き出す。
すれ違うのは世界樹の外と違い冒険者や普通の人間が多い。
シーナのように混じり者は少なく暮らしているのは相棒となった魔獣と暮らしている人達だ。
だがこのユグンの住人には違和感があった。
「なあシーナ、ここの人達は普段何してるんだ?みんな太ってる気がするんだが」
シン達の目に入るのはどれもふくよかな体型をした人間達だ。
鍛えられた冒険者達との違いは一目瞭然であり姿を見ただけでどちらかわかる。
「ここに住んでいるのは使命を果たし自由になった人達です。働く必要も無いので動く事はほとんどしません。だからああいった体型の人達が多いんです」
使命を果たし自由を得た住人は働かずただ遊び、食べ、寝る。堕落した生活を送っていたのだ。
こんな奴らの為に世界樹の外にいる人達は重労働が課されているのだ。
「何で誰も反乱しないんだ?こんな奴らの為に重税を押し付けられて差別もされてるんだぞ」
話を聞いていたエルリックは激昂している。
真面目に毎日軍人として働き続けていたエルリックにはここの人達は許せない存在なのだろう。
使命を果たし得た強力な力を守る為に使わず立場の弱い者達に労働を押し付け差別する人間達にエルリックは厳しい視線を送る。
「ああやって楽をする為に外のみんなは使命を果たそうと必死になるんです。苦しみから解放されるにはそれしか無いですから」
淡々とシーナは答えた。
この世界の住人にしかわからない事があるのだろう。
「獣王選定まではまだ日にちは沢山あります。それまでは世界樹の攻略を目指しましょう」
宿に到着し夕食を取る為食堂の席に着いたシーナは話を始める。
獣王選定までシン達のやる事は世界樹の階層を登る事だ。
「獣王選定って何をやるんだ?」
だが獣王選定の対策もしない訳にはいかない。
「毎回変わりますね。前回は代表者とパートナーでの総力戦だったそうです。パートナーは1人とは決まっていなかったので冒険者として生きていた現在の獣王様は仲間の多さで獣王の席を勝ち取ったのです」
毎回変わるのでは対策は出来ないだろう。
戦闘に関する事であればここにいるメンバーでシーナを獣王にする事は出来るが戦闘が課題とは限らない。
「ですのでまだ獣王選定の話はしなくて大丈夫です。世界樹の攻略に全力で取り組みましょう」
明日から早速2階層への挑戦を決め、シン達は休息を取る為自室へと戻る。
自室へと戻るシン達に先ほど世界樹の前で会った冒険者とすれ違う。
少し背の高い金髪の女性とガタイのいい大柄な女性、それに桃色の髪に右眼に眼帯を付けた女性と宿の廊下で再開したのだ。
「先ほどはありがとうございました。貴方がたも世界樹の挑戦に来たのですか?」
こういった場面では社交性スキルの高いリリアナとエルリックの出番だ。
リリアナはすかさず女性達へ挨拶をする。
元王女とだけあって親しくない人達との会話も慣れているのだろう。
「これはご丁寧に、私達は世界樹の攻略に来た訳ではありません。ただ来た事がなかったので観光に来たのです」
リーダーであろう金髪の女性は良い所の出だと思われるほどリリアナに合わせ丁寧な挨拶の礼を見せる。
恐らくリリアナの態度から育ちの良さを感じ取ったのだろう。
「あんた達は世界樹の攻略かい?」
女性とは思えないようなガラガラした声が大柄な女性から発せられる。
見た目と違和感のない声は力強さを感じられる。
「ええ、明日から挑戦をしようと思っていますの」
「頑張んな!」
リリアナの言葉に大柄な女性は答えるがその上から目線の言葉にユナが少しイラついたのがシンにわかった。
旅をしていたお陰でユナの感情がシンにはすぐわかるようになっていた。
「ではこれにて失礼致します」
ユナの感情をリリアナも察したのだろう。
諍いを起こす前に別れを告げ宿の部屋へと歩き出した。
「また会おう、導かれし者達よ」
すれ違いざまに今まで言葉を話さなかった桃色の髪の女性がシン達に言葉を言う。
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