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森の世界
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「これが、シーナさんの像ですか」
ユナ達陽動組はシンからの報告が入り、撤退をした。
世界樹の都市ユグンの端にある1つの広場にてシン達、そして獄炎鳥となったメリィの姿もある。
人の何倍もの大きさのあったメリィだが今はナナの肩に乗れるほどの大きさに変化していた。
シンとロイズ、アルファスがユーギリア城より持ち出したのは、木製のシーナそっくりな像であった。
色はもちろん茶色い色をしているが、その大きさは本物のシーナと変わらない大きさだった。
瞳にあたる場所は水色に輝いており、異質さを感じされる。
「この中にシーナが入ってるのか?」
像を持ち出してみたのはいいものの、ここにシーナの精神が封印されているとは思えない。
だがユーギリア城をくまなく捜索したが 、他にそれしき物はなかった。
「やっぱりこの眼が怪しいよな」
水色に輝く瞳は時折揺らめいているように見える。
他はどう見ても木で出来ており、唯一違う瞳部分にシン達は注目していた。
「取り出してみるか?」
ゆっくりとロイズはシーナの像に近付き吸引闇虫の力を使おうとする。
吸引闇虫の力で瞳部分のみを取り出すつもりだ」
「うおっ!」
ロイズが瞳に触れる直前にバチッと音がなり突然の出来事にロイズは後ずさりしてしまう。
瞳に向けていた右手から黒い煙を出し、吸引闇虫が焼かれているようだった。
「仕掛けがあるな、おそらくこの水色の奴がシーナの精神で間違いない」
防御する仕組みがあるという事は、この水色の瞳がシーナの精神と見て間違いない。
だがロイズの反応を見る限りかなり強力な反撃が仕組まれている。
「やはり獣王が何かをしているな、それがわからなければ取り出せないのだろう」
エルリックの視線は厳しい。
ようやくシーナを取り戻す可能性が出て来たと思った所で躓いてしまったのだ。
「ふと、思ったのですが」
しばらくの沈黙の後、リリアナが声をあげる。
シン達から続きを促されるとリリアナが話を始める。
「何故、獣王は月に1度世界樹に行くのでしょう?」
リリアナの疑問は獣王の行動に対するものだった。
獣王の行動の真意をリリアナは探ろうとしている。
「山の神に会いに行くんじゃないのか?」
世界樹の頂上で山の神サリスに会う事が出来るのはシン達も知っている事だ。
獣王も森の世界の王として、月に1度位は神に接触してもおかしくはない。
「ですが、シーナさんは試練を突破していません。獣王は100階層まで行けるはずがありません」
「獣王になったのはシーナだが獣王は別なんじゃないか?確か3代前の獣王は試練を突破してたと聞いたぞ」
リリアナの言葉をシンはすぐに否定した。
シーナ自身は世界樹の試練を30階層で止まっているが、前の獣王が試練を突破していると前に聞いている。
シーナの体を使っている獣王が先代以前の獣王と同一の人物ならば、試練は突破されていると考えていい。
「いや、獣王様なら試練を突破しなくても最上階に行ける」
シン達の会話にロイズが入り込み、その発言にメリィとアルファスも同意する。
世界樹に獣王とお供の警備兵が同行するが、世界樹に向かうのは獣王1人との事だ。
「3代前の獣王様は、獣王選定の前に世界樹の試練を突破していると記述されている。だから獣王様はどの代でも世界樹の頂上に行ける」
「けど、リリアナさんの言う通りに確かに不思議だな」
ロイズが話し終えるとアルファスがリリアナの疑問に同意した。
獣王が世界樹の頂上に行ける事でなく別の事に疑問を持ったようだ。
「獣王様は世界樹に行かなくともサリス様にお会い出来る。何故、わざわざユーギリア城から出て世界樹の頂上まで行くのかわからない」
アルファスの言葉にシン達は確かにと同意をする。
普段ユーギリア城の自室からほとんど姿を現さない獣王が、わざわざ月に1度世界樹に行く理由が不明だ。
「世界樹の頂上に、何かがある。もしくは行かなくてはならない理由があると考えるのが妥当ですわね」
アルファスの言葉の後にリリアナが自身の考えを答える。
リリアナは世界樹の頂上で何かがあると結論を出していた。
「獣王は世界樹の頂上でわざわざサリスに会う必要はありません。ならば獣王は世界樹の頂上で何かをする必要があります。月に1度と言うのも引っかかります」
山の神サリスに獣王が世界樹で会う必要はない。
その事にリリアナは注目し、思考する。
「世界樹の頂上に行けばわかるのか?」
リリアナの言葉にシンはそう考えた。
世界樹の頂上に何があるか確かめる為にはそこに行くしかない。
「わたくしの予想なのですが」
「何だ?」
リリアナは何かの答えをすぐに出していた。
その言葉に全員が注目する。
「獣王レオル・フリードは精神を他者の体に移し替えます。そんな技を聞いた事はありません。もしかすると精神の定着に制限があるのかもしれません。月に1度、世界樹の頂上に行く事で精神が離れるのを防いでいるかもしれません」
リリアナが考えたのは月に1度、レオル・フリードの精神を獣王となった者の体に定着させる為、世界樹の頂上でその儀式のようなものをしているという事だ。
「けど、シーナがレオル・フリードに体を乗っ取られたのはユーギリア城での任命式の時だろ?ならそこでまた精神の定着をするんじゃないのか?」
シンの言う通りにシーナがレオル・フリードになったのは任命式の後だ。
シン達の奪った像もユーギリア城にあったものだ。
それこそ世界樹の頂上に行く必要はないように思える。
「なら、答えは出たじゃない」
今まで沈黙していたユナが声を出す。
答えは出た、その言葉に全員がユナに注目した。
「世界樹に行かなきゃならないなら、獣王を世界樹に行かせなきゃ良いのよ」
ユナの提案は単純だが、良い案だ。
獣王を世界樹に行かせない。
それが出来ればもしかしたらシーナが戻ってくるかもしれない。
「いや、それは不可能だ。世界樹の転移魔法陣は獣王の自室にもあった」
アルファスがシーナの像を探していた時に獣王の自室にも侵入している。
その時に転移魔法陣を発見していた。
「なら、何で今回はその転移魔法陣から行かなかったのよ?」
ユナは当然の疑問を言う。
自室にもあるならばわざわざ外に出る必要はない。
「それはわからないな。だが先代の獣王様も自室から世界樹に行く時と外から行く時があった。だが外から行くのは年に1度ぐらいだ」
アルファスの言葉通りなら次に獣王が外の転移魔法陣を使うのは1年後だ。
「世界樹を攻略した方が早いか?」
1年あるならば世界樹の試練の突破を目指した方が良いのかもしれない。
シンが言う事は全員が同意するが、世界樹の試練はまだ30階層から進めておらず、そこからの突破の方法も検討が付いていない。
「ロイズの能力でシーナの精神を取り出せない。それに獣王をシーナの体から引き剥がす事も出来ないか?」
「獣王、強い」
シンの言葉にナナが反応した。
実際に獣王と対峙したナナがその戦いの事を話した。
ナナの感覚ではまだ獣王は氷狼の力に馴染んでおらず、今後はさらに強さを増すと感じていた。
「やはり、世界樹の攻略を優先するしかありませんわね」
獣王との対峙は危険、世界樹への妨害もほぼ不可能と考えたリリアナは世界樹の攻略を最優先と考える。
シーナの事を救いたいが、シン達には山の証の他にまだ4つの世界を回らなくてはならない。
現状、山の証の入手とシーナの救出は世界樹の攻略以外に不可能だ。
「俺に、少し考えがある」
そんな中でシンが別の意見を言おうとする。
今度は全員の視線がシンへと向けられた。
「前に宿屋で桃色の髪の奴らに会ったのを覚えてるか?」
「ええ、Sランク冒険者の方々ですわね」
宿屋にて実際に会話をしているリリアナはシンの言う人物達の姿をすぐに思い出す。
だが何故ここで出て来るのかがわからない。
「俺はあの時に桃色の髪の女の子に獣王に付いて話をされた事がある。その時は獣王の事を聞こうと思ったんだが、ちょうど話を中断されたから出来なかったけどな」
桃色の髪の女性の仲間がシンとの会話を終わられた為、その続きを話す事は出来なかったがその女性なら何かを知っている可能性がある。
「あのSランク冒険者達に会いに行くのですね?」
シンの言葉にリリアナが続いた。
この話の中で選択肢は他にはない。
「どこに居るか知ってるの?」
シンとリリアナの会話の後、ユナが続きを促す。
「Sランク冒険者なら居場所は1つ、【氷の世界アイシア】だ」
7つの世界で最も過酷とされる2つの世界の内の1つ。
まだ世界が1つだった時造られた、世界最古の歴史の眠る極寒の世界への旅が始まろうとしている。
ユナ達陽動組はシンからの報告が入り、撤退をした。
世界樹の都市ユグンの端にある1つの広場にてシン達、そして獄炎鳥となったメリィの姿もある。
人の何倍もの大きさのあったメリィだが今はナナの肩に乗れるほどの大きさに変化していた。
シンとロイズ、アルファスがユーギリア城より持ち出したのは、木製のシーナそっくりな像であった。
色はもちろん茶色い色をしているが、その大きさは本物のシーナと変わらない大きさだった。
瞳にあたる場所は水色に輝いており、異質さを感じされる。
「この中にシーナが入ってるのか?」
像を持ち出してみたのはいいものの、ここにシーナの精神が封印されているとは思えない。
だがユーギリア城をくまなく捜索したが 、他にそれしき物はなかった。
「やっぱりこの眼が怪しいよな」
水色に輝く瞳は時折揺らめいているように見える。
他はどう見ても木で出来ており、唯一違う瞳部分にシン達は注目していた。
「取り出してみるか?」
ゆっくりとロイズはシーナの像に近付き吸引闇虫の力を使おうとする。
吸引闇虫の力で瞳部分のみを取り出すつもりだ」
「うおっ!」
ロイズが瞳に触れる直前にバチッと音がなり突然の出来事にロイズは後ずさりしてしまう。
瞳に向けていた右手から黒い煙を出し、吸引闇虫が焼かれているようだった。
「仕掛けがあるな、おそらくこの水色の奴がシーナの精神で間違いない」
防御する仕組みがあるという事は、この水色の瞳がシーナの精神と見て間違いない。
だがロイズの反応を見る限りかなり強力な反撃が仕組まれている。
「やはり獣王が何かをしているな、それがわからなければ取り出せないのだろう」
エルリックの視線は厳しい。
ようやくシーナを取り戻す可能性が出て来たと思った所で躓いてしまったのだ。
「ふと、思ったのですが」
しばらくの沈黙の後、リリアナが声をあげる。
シン達から続きを促されるとリリアナが話を始める。
「何故、獣王は月に1度世界樹に行くのでしょう?」
リリアナの疑問は獣王の行動に対するものだった。
獣王の行動の真意をリリアナは探ろうとしている。
「山の神に会いに行くんじゃないのか?」
世界樹の頂上で山の神サリスに会う事が出来るのはシン達も知っている事だ。
獣王も森の世界の王として、月に1度位は神に接触してもおかしくはない。
「ですが、シーナさんは試練を突破していません。獣王は100階層まで行けるはずがありません」
「獣王になったのはシーナだが獣王は別なんじゃないか?確か3代前の獣王は試練を突破してたと聞いたぞ」
リリアナの言葉をシンはすぐに否定した。
シーナ自身は世界樹の試練を30階層で止まっているが、前の獣王が試練を突破していると前に聞いている。
シーナの体を使っている獣王が先代以前の獣王と同一の人物ならば、試練は突破されていると考えていい。
「いや、獣王様なら試練を突破しなくても最上階に行ける」
シン達の会話にロイズが入り込み、その発言にメリィとアルファスも同意する。
世界樹に獣王とお供の警備兵が同行するが、世界樹に向かうのは獣王1人との事だ。
「3代前の獣王様は、獣王選定の前に世界樹の試練を突破していると記述されている。だから獣王様はどの代でも世界樹の頂上に行ける」
「けど、リリアナさんの言う通りに確かに不思議だな」
ロイズが話し終えるとアルファスがリリアナの疑問に同意した。
獣王が世界樹の頂上に行ける事でなく別の事に疑問を持ったようだ。
「獣王様は世界樹に行かなくともサリス様にお会い出来る。何故、わざわざユーギリア城から出て世界樹の頂上まで行くのかわからない」
アルファスの言葉にシン達は確かにと同意をする。
普段ユーギリア城の自室からほとんど姿を現さない獣王が、わざわざ月に1度世界樹に行く理由が不明だ。
「世界樹の頂上に、何かがある。もしくは行かなくてはならない理由があると考えるのが妥当ですわね」
アルファスの言葉の後にリリアナが自身の考えを答える。
リリアナは世界樹の頂上で何かがあると結論を出していた。
「獣王は世界樹の頂上でわざわざサリスに会う必要はありません。ならば獣王は世界樹の頂上で何かをする必要があります。月に1度と言うのも引っかかります」
山の神サリスに獣王が世界樹で会う必要はない。
その事にリリアナは注目し、思考する。
「世界樹の頂上に行けばわかるのか?」
リリアナの言葉にシンはそう考えた。
世界樹の頂上に何があるか確かめる為にはそこに行くしかない。
「わたくしの予想なのですが」
「何だ?」
リリアナは何かの答えをすぐに出していた。
その言葉に全員が注目する。
「獣王レオル・フリードは精神を他者の体に移し替えます。そんな技を聞いた事はありません。もしかすると精神の定着に制限があるのかもしれません。月に1度、世界樹の頂上に行く事で精神が離れるのを防いでいるかもしれません」
リリアナが考えたのは月に1度、レオル・フリードの精神を獣王となった者の体に定着させる為、世界樹の頂上でその儀式のようなものをしているという事だ。
「けど、シーナがレオル・フリードに体を乗っ取られたのはユーギリア城での任命式の時だろ?ならそこでまた精神の定着をするんじゃないのか?」
シンの言う通りにシーナがレオル・フリードになったのは任命式の後だ。
シン達の奪った像もユーギリア城にあったものだ。
それこそ世界樹の頂上に行く必要はないように思える。
「なら、答えは出たじゃない」
今まで沈黙していたユナが声を出す。
答えは出た、その言葉に全員がユナに注目した。
「世界樹に行かなきゃならないなら、獣王を世界樹に行かせなきゃ良いのよ」
ユナの提案は単純だが、良い案だ。
獣王を世界樹に行かせない。
それが出来ればもしかしたらシーナが戻ってくるかもしれない。
「いや、それは不可能だ。世界樹の転移魔法陣は獣王の自室にもあった」
アルファスがシーナの像を探していた時に獣王の自室にも侵入している。
その時に転移魔法陣を発見していた。
「なら、何で今回はその転移魔法陣から行かなかったのよ?」
ユナは当然の疑問を言う。
自室にもあるならばわざわざ外に出る必要はない。
「それはわからないな。だが先代の獣王様も自室から世界樹に行く時と外から行く時があった。だが外から行くのは年に1度ぐらいだ」
アルファスの言葉通りなら次に獣王が外の転移魔法陣を使うのは1年後だ。
「世界樹を攻略した方が早いか?」
1年あるならば世界樹の試練の突破を目指した方が良いのかもしれない。
シンが言う事は全員が同意するが、世界樹の試練はまだ30階層から進めておらず、そこからの突破の方法も検討が付いていない。
「ロイズの能力でシーナの精神を取り出せない。それに獣王をシーナの体から引き剥がす事も出来ないか?」
「獣王、強い」
シンの言葉にナナが反応した。
実際に獣王と対峙したナナがその戦いの事を話した。
ナナの感覚ではまだ獣王は氷狼の力に馴染んでおらず、今後はさらに強さを増すと感じていた。
「やはり、世界樹の攻略を優先するしかありませんわね」
獣王との対峙は危険、世界樹への妨害もほぼ不可能と考えたリリアナは世界樹の攻略を最優先と考える。
シーナの事を救いたいが、シン達には山の証の他にまだ4つの世界を回らなくてはならない。
現状、山の証の入手とシーナの救出は世界樹の攻略以外に不可能だ。
「俺に、少し考えがある」
そんな中でシンが別の意見を言おうとする。
今度は全員の視線がシンへと向けられた。
「前に宿屋で桃色の髪の奴らに会ったのを覚えてるか?」
「ええ、Sランク冒険者の方々ですわね」
宿屋にて実際に会話をしているリリアナはシンの言う人物達の姿をすぐに思い出す。
だが何故ここで出て来るのかがわからない。
「俺はあの時に桃色の髪の女の子に獣王に付いて話をされた事がある。その時は獣王の事を聞こうと思ったんだが、ちょうど話を中断されたから出来なかったけどな」
桃色の髪の女性の仲間がシンとの会話を終わられた為、その続きを話す事は出来なかったがその女性なら何かを知っている可能性がある。
「あのSランク冒険者達に会いに行くのですね?」
シンの言葉にリリアナが続いた。
この話の中で選択肢は他にはない。
「どこに居るか知ってるの?」
シンとリリアナの会話の後、ユナが続きを促す。
「Sランク冒険者なら居場所は1つ、【氷の世界アイシア】だ」
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