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獣王との戦い
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「攻撃を途絶えさせないで、サリスは杖を媒介にしなければ大技を使えない!」
シン達の参戦により、攻勢はさらに強まる事となっている。
シンとエルリック、ユナの連携は隙なく交代でサリスに傷を与え続け、アイナ達の遠距離攻撃はシン達の交代の瞬間を見極め、的確にサリスの反撃を封じていた。
「小賢しい!」
行動の自由を奪われ続け、反撃すら許されないサリスは、精神的負荷を大きくかけられていた。
手に持つ世界樹の杖を離しこそしないものの、サリスが神技を発動しようとする瞬間、ミアリスに妨害されここまで一度も技を使用させてもらえない。
各神について、勝つ為に対策を講じていたミアリスは、サリスの行動を完全に把握している。
数々の挑発により、頭に血が昇っているサリスは、大技を繰り出しこの状況を抜け出す事しか考えてられなくなっているのだ。
ミアリスがこの場に現れてから挑発を続けていたのはこの為である。
単純であり、戦闘慣れしていないサリスは大規模な神技を使用すれば勝てると考えている。
それが使えない状況になる事など想定していないのだ。
「ふむ、なんとか持ち直したようだの」
「ああ、ミアリスを呼んだのは正解だったね」
シン達が優勢に戦いを続けている事にノアとティナは安心したように会話をする。
ミアリスの招集は懸念していた事もあったが、今の所唯一神の介入もなく、ミアリスも問題なく戦いを続けている。
「サリスはこのままやられ続けるかな?」
現状、優勢に進めてはいるが、敵は神であるサリスだ。
ノアは世界分断前から関わりの薄いサリスが相手である事も不安であった。
手の内を読めたミアリスと違い、何か隠し持った力があるかもしれないからだ。
「妾もノアと同じだの、サリスの事は良く知らん」
サリスに関して情報を持っていないのはティナも同じ事だった。
かつてサリスと友好的な関係を築いていたのは、海の神ウリスだけであり、その他の者にとってサリスは不気味な存在でもあるのだ。
「クラウが来ると思うかい?」
最大の懸念は唯一神クラウ・ディアスの介入である。
ノアの姉である唯一神がこの場に現れるのであればサリスと決着をつけるどころではなくってしまう。
ノアはまだ、無の世界と砂の世界しか掌握していない。
唯一神に抵抗する力は、今のノアにはないのだ。
「わからん、だが感知している事は間違いないないの。今介入してこんと言う事は、問題ないと考えていいやもしれんの」
「ティナは気楽でいいね、ボクは心配で仕方ないというのに」
「妾は神ではないからの、誰がこの世界を支配する事になろうと、妾は妾の好きなように生きる。この世で1番自由な者、それが魔王だぞ」
「それをボクの前でそれを言うかい? まあ、君からしたら誰が支配しようと言う事を聞かないだろうしね」
ノア達の会話は続く中、シン達とサリスの戦いは、未だ決着はついていない。
シンやユナ、エルリックは確実にサリスの肉体を削っていたが、重傷を与えるには至らず、アイナ達の魔術なども、分厚い肉に阻まれ内面にまでダメージが届かないのだ。
サリスに反撃は許していないが、決定打を与えられない状況は、シン達にも負担を与える。
サリスに反撃の隙を与えない為、一部の隙も与えてはならず、たえず攻め続ける。
一瞬の誤差も許されず、完璧な連携を要求されるこの戦いは、サリス以上にシン達の精神力を削っているのだ。
「まだ、届かないか」
「肉が邪魔ね、あれのせいで刃が食い止められるわ」
サリスの体に纏わりつく肉塊は、ユナやエルリックの刃の侵入を拒む。
シンの大鎌による消失は、効果を発揮しているが、その消し去る量は通常よりも大幅に少ない。
普段なら触れた物全てを消失させるところが、サリスの肉体は、最初に触れた部分までしか消し飛ばす事が出来ないのだ。
その為、ユナ達と同じくほとんど大鎌で斬っている状態であり、刃は表面斬るにとどまり、斬り裂くには至らない。
無理に斬り裂こうと深くまで斬り込めば、ユナとアイナのように武器を絡め取られてしまう。
「契があれば、もうちょっと行けそうなんだけど」
ナナが創造した刀も悪くはないのだが、皇龍刀”契”と比べると数段見劣りする。
事実、サリスの肉体を深くまで斬り込めたのは皇龍刀と蒼紅蓮であり、今のユナは刃を肉体に阻まれ皮膚を裂いているだけに等しい状況だ。
蹴りや柄でなどの打撃技を繰り出してもいるが、柔らかい肉は衝撃を分散し、無効化される。
シンやユナの膂力を持ってしてもサリスに有効な打撃を与えられないのだ。
「趣向を変えてみるか」
シンは武器としていた虚無の大鎌の形状を変化させる。
イメージするのは、先端から円錐になるよう尖らせたランスである。
貫く事一点のみを求め、変化させた漆黒のランスを持ち、苦痛に呻くサリスに向かう。
「うっがぁ!」
貫通力のみを追い求めたランスは、サリスの左脇腹を貫き通す。
これまでの攻撃のように分厚い肉に阻まれる感触とは違う。
確実にサリスの体内の臓器を傷つけ、その痛みに耐えかねたサリスは、これまでで最大の呻き声を上げた。
「ちっ、抜けねぇ!」
シンのランスは、抜けやすいよう形状を考慮したつもりであったが、サリスの肉体はそのランスすら絡め取る。
「面倒だな」
引き抜く事が困難と判断したシンは、ランスを腕輪の形状に戻す事で強制的に引き抜くが、それでは時間の無駄がある。
一連の動きを止める訳にはいかない、攻撃後すぐに離脱しなければアイナ達の魔術をシンも受ける事になってしまうのだ。
「貴様ぁ、私の体に傷を!」
シンに体を貫かれたサリスは、初めてよろめきを見せる。
「ようやく、まともにくらったわね」
「ああ、でも何度も使えないな」
「形状変化は、消費が激しいからね。慣れてないと、多用するのは難しいよ」
ユナと入れ替わるように、エルリックがシンの元へ戻ってくる。
形状変化を使用するエルリックは、その負担の大きさを知っている。
大鎌以外への形状変化は、体力を通常よりも大幅に消費する。
長期戦が予想されるサリスとの戦いでは、あまり多用出来る技ではない。
こうして、入れ替わって攻撃する事により、体力の消費を遅らせているが、それにも限度がある。
神と対峙するのは、それだけでも負荷が大きいのだ。
それに加え、サリスは異常なほどの耐久力を持つ。
シン達は、普段よりも倍以上の速さで消耗していた。
「でも、今の一撃は大きいぞ」
「そうだね、これでサリスも、もっと動きづらくなったはずだ」
致命傷を与えるに至らなかったが、シン達は初めて有効打を与える事に成功する。
シンの与えた傷により、サリスの動きはこれまで以上に愚鈍なものとなる。
「おいおい、神様がふらついて大丈夫なのか?」
息を荒くし、苦しむサリスをシンはここぞとばかりに挑発をする。
「はぁ、はぁ、煩い、黙れ!」
神である事に高いプライドを持つサリスは、これを無視する事が出来ない。
こうして怒鳴る事もサリスが疲労する原因でもある。
声を荒げる事は、想像以上に消耗するのだ。
これまで攻撃を受け続けている事、ミアリスとシンによる挑発よるサリスの疲労は大きい。
もともと動く事すら億劫と感じていたサリスは、長時間戦い続ける事に慣れていない。
それに加えてのシンの一撃は戦況を大きく変化させる。
出口の見えない戦いが、シンの行動により変化が訪れた。
シン達の参戦により、攻勢はさらに強まる事となっている。
シンとエルリック、ユナの連携は隙なく交代でサリスに傷を与え続け、アイナ達の遠距離攻撃はシン達の交代の瞬間を見極め、的確にサリスの反撃を封じていた。
「小賢しい!」
行動の自由を奪われ続け、反撃すら許されないサリスは、精神的負荷を大きくかけられていた。
手に持つ世界樹の杖を離しこそしないものの、サリスが神技を発動しようとする瞬間、ミアリスに妨害されここまで一度も技を使用させてもらえない。
各神について、勝つ為に対策を講じていたミアリスは、サリスの行動を完全に把握している。
数々の挑発により、頭に血が昇っているサリスは、大技を繰り出しこの状況を抜け出す事しか考えてられなくなっているのだ。
ミアリスがこの場に現れてから挑発を続けていたのはこの為である。
単純であり、戦闘慣れしていないサリスは大規模な神技を使用すれば勝てると考えている。
それが使えない状況になる事など想定していないのだ。
「ふむ、なんとか持ち直したようだの」
「ああ、ミアリスを呼んだのは正解だったね」
シン達が優勢に戦いを続けている事にノアとティナは安心したように会話をする。
ミアリスの招集は懸念していた事もあったが、今の所唯一神の介入もなく、ミアリスも問題なく戦いを続けている。
「サリスはこのままやられ続けるかな?」
現状、優勢に進めてはいるが、敵は神であるサリスだ。
ノアは世界分断前から関わりの薄いサリスが相手である事も不安であった。
手の内を読めたミアリスと違い、何か隠し持った力があるかもしれないからだ。
「妾もノアと同じだの、サリスの事は良く知らん」
サリスに関して情報を持っていないのはティナも同じ事だった。
かつてサリスと友好的な関係を築いていたのは、海の神ウリスだけであり、その他の者にとってサリスは不気味な存在でもあるのだ。
「クラウが来ると思うかい?」
最大の懸念は唯一神クラウ・ディアスの介入である。
ノアの姉である唯一神がこの場に現れるのであればサリスと決着をつけるどころではなくってしまう。
ノアはまだ、無の世界と砂の世界しか掌握していない。
唯一神に抵抗する力は、今のノアにはないのだ。
「わからん、だが感知している事は間違いないないの。今介入してこんと言う事は、問題ないと考えていいやもしれんの」
「ティナは気楽でいいね、ボクは心配で仕方ないというのに」
「妾は神ではないからの、誰がこの世界を支配する事になろうと、妾は妾の好きなように生きる。この世で1番自由な者、それが魔王だぞ」
「それをボクの前でそれを言うかい? まあ、君からしたら誰が支配しようと言う事を聞かないだろうしね」
ノア達の会話は続く中、シン達とサリスの戦いは、未だ決着はついていない。
シンやユナ、エルリックは確実にサリスの肉体を削っていたが、重傷を与えるには至らず、アイナ達の魔術なども、分厚い肉に阻まれ内面にまでダメージが届かないのだ。
サリスに反撃は許していないが、決定打を与えられない状況は、シン達にも負担を与える。
サリスに反撃の隙を与えない為、一部の隙も与えてはならず、たえず攻め続ける。
一瞬の誤差も許されず、完璧な連携を要求されるこの戦いは、サリス以上にシン達の精神力を削っているのだ。
「まだ、届かないか」
「肉が邪魔ね、あれのせいで刃が食い止められるわ」
サリスの体に纏わりつく肉塊は、ユナやエルリックの刃の侵入を拒む。
シンの大鎌による消失は、効果を発揮しているが、その消し去る量は通常よりも大幅に少ない。
普段なら触れた物全てを消失させるところが、サリスの肉体は、最初に触れた部分までしか消し飛ばす事が出来ないのだ。
その為、ユナ達と同じくほとんど大鎌で斬っている状態であり、刃は表面斬るにとどまり、斬り裂くには至らない。
無理に斬り裂こうと深くまで斬り込めば、ユナとアイナのように武器を絡め取られてしまう。
「契があれば、もうちょっと行けそうなんだけど」
ナナが創造した刀も悪くはないのだが、皇龍刀”契”と比べると数段見劣りする。
事実、サリスの肉体を深くまで斬り込めたのは皇龍刀と蒼紅蓮であり、今のユナは刃を肉体に阻まれ皮膚を裂いているだけに等しい状況だ。
蹴りや柄でなどの打撃技を繰り出してもいるが、柔らかい肉は衝撃を分散し、無効化される。
シンやユナの膂力を持ってしてもサリスに有効な打撃を与えられないのだ。
「趣向を変えてみるか」
シンは武器としていた虚無の大鎌の形状を変化させる。
イメージするのは、先端から円錐になるよう尖らせたランスである。
貫く事一点のみを求め、変化させた漆黒のランスを持ち、苦痛に呻くサリスに向かう。
「うっがぁ!」
貫通力のみを追い求めたランスは、サリスの左脇腹を貫き通す。
これまでの攻撃のように分厚い肉に阻まれる感触とは違う。
確実にサリスの体内の臓器を傷つけ、その痛みに耐えかねたサリスは、これまでで最大の呻き声を上げた。
「ちっ、抜けねぇ!」
シンのランスは、抜けやすいよう形状を考慮したつもりであったが、サリスの肉体はそのランスすら絡め取る。
「面倒だな」
引き抜く事が困難と判断したシンは、ランスを腕輪の形状に戻す事で強制的に引き抜くが、それでは時間の無駄がある。
一連の動きを止める訳にはいかない、攻撃後すぐに離脱しなければアイナ達の魔術をシンも受ける事になってしまうのだ。
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ユナと入れ替わるように、エルリックがシンの元へ戻ってくる。
形状変化を使用するエルリックは、その負担の大きさを知っている。
大鎌以外への形状変化は、体力を通常よりも大幅に消費する。
長期戦が予想されるサリスとの戦いでは、あまり多用出来る技ではない。
こうして、入れ替わって攻撃する事により、体力の消費を遅らせているが、それにも限度がある。
神と対峙するのは、それだけでも負荷が大きいのだ。
それに加え、サリスは異常なほどの耐久力を持つ。
シン達は、普段よりも倍以上の速さで消耗していた。
「でも、今の一撃は大きいぞ」
「そうだね、これでサリスも、もっと動きづらくなったはずだ」
致命傷を与えるに至らなかったが、シン達は初めて有効打を与える事に成功する。
シンの与えた傷により、サリスの動きはこれまで以上に愚鈍なものとなる。
「おいおい、神様がふらついて大丈夫なのか?」
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「はぁ、はぁ、煩い、黙れ!」
神である事に高いプライドを持つサリスは、これを無視する事が出来ない。
こうして怒鳴る事もサリスが疲労する原因でもある。
声を荒げる事は、想像以上に消耗するのだ。
これまで攻撃を受け続けている事、ミアリスとシンによる挑発よるサリスの疲労は大きい。
もともと動く事すら億劫と感じていたサリスは、長時間戦い続ける事に慣れていない。
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