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プロローグ
しおりを挟む「あら、シンデレラ。ここの窓の隅に、まだ埃が残ってらしてよ?
・・・明日、大事なお客様がいらっしゃるってのに何てだらしない拭き方なのかしら」
「ふふ、ほんと、あんたって、愚図なんだから。もうそこまで行くと笑っちゃうわ!
…これでもう一度拭いておくことね!」」
「…!」
先程から、彼女がたった一人で大きい屋敷の窓を丹念に拭き取った汚れを十分に吸い取ったその泥水をためて置いた桶が、今日もその姉たちによって、無残にもあたり一面にひっくり返された。
「・・・」
義理の姉マリーとテラによって、汚い言葉とともにその泥水を全身に投げつけられた彼女は、ただ俯くしかなく、黙り込む。
そんな彼女の様子を、とても快感だと言わんばかりに二人はみて笑うと言い放った。
「ふん、いい気味!・・・あんたはそのまま一生這いつくばって生きていればいいのよ、シンデレラ!」
「・・・うーん。思った以上に重症な義理のお姉ちゃんたちだ・・・。
私、合格できるかな・・・」
ゴットさんには、人間界に降りる前に、この義姉さんの二人のうち、どっちを更生対象として選ぶか、ミコトちゃんの判断で決めてでいいよと言われているが、もう、マリーさんもテラさん、どっちも嫌だと、ミコトちゃんは思った。
でも、もしかしたら、心は、真っ白で、俗にいう、ツンデレタイプかもしれない?
ゴッドさんも、人は言動も含め見かけだけじゃないって言っていたし。
そう思い直し、ミコトちゃんは、読心タイムを発動した。
(・・・ふふ、あの子って本当に惨めよね。なんで生まれてきたのかしら。なんか、ああいうのがいるから、ストレス発散できるし、私も姉さんも、他で嫌なことがあっても安心するのよね)
(ふん、あいつ、何『私は悲劇のヒロインですっ』ってツラしてて、私たちが虐めても虐めても、なんかサマになってるの?
・・・もっともっと、惨めになればいいのに。
本当に腹が立つ!)
「・・・はぁ、心も言動と一緒で、やっぱり真っ黒タイプですか・・・・・・」
そんなミコトちゃんの存在なんてつゆ知らず、相変わらずシンデレラを心と体を使って全力でいじめ続ける義姉たちの様子を、空から俯瞰してみていたミコトちゃんは、思わず頭を抱えた。
続く
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