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11話

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「・・・!」





ミコトがマリーにそう言った瞬間、マリーの心の中である情景が鮮明にフィルターのように流れた。
 




自分が、シンデレラを、いじめぬいている。




そう。・・・私は、悪くない。



ただ美しく生まれてきただけの、シンデレラこいつが、悪い。


美醜を、みためだけで判断する、世の連中が悪い。



いや、特別に美しく私を生まなかった、お母様が。







『そうだ、そうだ。おまえは何にも悪くない。


 そう、なんにも悪くない!だからもっと、もっと、もっと醜くなれ!・・・俺たちのように』





『・・・!いや!来ないでよ!』



シンデレラ彼女の家で最初の彼女いびりをした直後に『遭遇』した、かの化け物たちが、
いつのまにか至近距離にいる。そしてそんなマリーを見やると、ニヤリと不気味に笑った。


『・・・さあ、もっと、もっと、俺たちのために、お前のいじめショーを見物させてくれよ!ほらあ!』


『・・・いや!』

この情景は、自分の心が映し出す自分の過去のできごとだとわかっていても、全身から恐怖が走った。


なぜ、あのときは、このおぞましさに、もっと気が付かなかったんだろう。







「今のあなたはとても『ブス』よ。だけど、今の心持次第で、変われるのよ!」






(私、・・・変わりたい・・・!・・・自分のために・・・!)








ぎゅっと、意を決したように、マリーがこぶしを力強く握った。



「・・・!!」




そして、ミコトが目を見張る中、自らシンデレラのもとに一目散に駆け寄ると叫んだ。






「・・・シンデレラ!




・・・・・・信じてくれなくても、許してくれなくても、今言うわ。




・・・・・私はあんたをもうこれからは、虐めたりしないから!・・・・そう、もう虐めたりしない。


神に誓うわ。


・・・・あと、そう。




・・・・・・ごめんね、・・・本当にごめん・・・なさい」







































気前のいい姉御肌な、そして、とてもさわやかな声の主がふと尋ねた。 


『・・・なあ、ゴッド。勝手にあの人間の心に反省させるように彼女自身の過去の映像を流すなんて。しかもちょっと実際より盛ってたし。あんたミコトに甘すぎないか?』





『ああ。気づいていましたか。こんにちは。副ゴッドさん』


 

さわやかにゴッドさんがこたえた。



『ミコトちゃんにも、早く一人前の神様になってもらいたい親心、ならぬ神心から、デスネ』





『へえ。あんたがデスネとか急にカタコトになるときは、必ず何かもうひとつの本音を隠してる。


 ・・・もしかしたら、神さんにも建前と本音があるの?


 あ!・・・まさか実はあんた、
 人間時代はミコトとか、今回の彼女の神試験の更生対象人間のお父ちゃんだったから、
 建前は飄々とゴッド面してるけど本心は助けたいとかそういうオチ・・・じゃあないよね?』



それにゴッドさんが即答する。


『違いますねえ。

 ・・・もしかしたら、人間時代は私、お父ちゃんという性別じゃなかったかもシレマセーンヨ♪』



『・・・!』

その彼の言葉に少しびっくりした副ゴッドさんだったが、ふう、と短い溜息をすると言った。




『まあどうでもいいけど、今はあえて読心術は使わないでいてあげるよ。じゃあね』



続く
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