大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第二章 郵便屋さん

第47話 誰かを幸せにする力があるんだよ

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「ぼ、僕ですか!?」

「弟子ちゃんは、いつも笑顔で接してくれるし、優しい言葉もかけてくれる。ボクがからかっても、嫌ったりしないで、仕事を手伝ってくれる。弟子ちゃんと一緒にいると、ボク、疲れを忘れちゃうんだ」

 郵便屋さんの口から次々と紡がれる言葉。森の魔女の弟子ではなく、僕自身を褒めてくれる言葉。そんな言葉の波に、僕は圧倒されてしまっていました。嬉しさと、驚きと、恥ずかしさと。たくさんの感情が入り混じり、僕の心を支配します。

「弟子ちゃんには、そんな、誰かを幸せにする力があるんだよ」

「誰かを、幸せに……」

「そう。もちろん、ボクだけじゃない。魔女ちゃんも同じ。前にも言ったよね」

「……あ」

 僕の脳裏によみがえる記憶。以前、仕事を受けて役所へ赴く道中、偶然会った郵便屋さんとの会話。

『……ボクは長年、魔女ちゃんと関わりを持っているけど、魔女ちゃんにとって、今が一番幸せなんだろうね』

『そうなんですか?』

『うん。間違いないよ。弟子ちゃんのおかげかな』

 あの時は、単に、そうだったらいいなくらいの感想しか抱きませんでした。ですが、もし本当に、そんな力を僕が持っているのだとしたら。魔法ではないけれど、魔法と同じくらい特別な力があるのだとしたら。

「まあ、要するに、弟子ちゃんには弟子ちゃんの長所があるってこと。魔女ちゃんと自分を比べるのもいいけど、自分らしさを見つけることも大事。そうじゃないと、ずっと辛いままだよ」

 郵便屋さんは、真剣な表情で僕に語りかけます。その言葉一つ一つには、確かな重みがありました。重くて、重くて。そして、どこか温かくて。

「……郵便屋さん」

「なに?」

「ありがとうございます」

 僕は、郵便屋さんに向かってペコリと頭を下げました。

 何がどう解決したわけでもありません。僕が師匠と対等でない事実は変わっていませんし、僕が師匠に告白できる立場でないことも変わりません。

 ですが、僕の心が、ほんの少しだけ軽くなったことは事実です。

「僕、普段から、師匠と対等じゃない、自分には何の力もないって落ち込むことが多かったんですよね。でも、今、少しだけ自信が持てました。だから、ありがとうございます」

「ふふ。どういたしまして」

 郵便屋さんは、そう言って優しく微笑むのでした。
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