大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第三章 旅の魔女

第66話 本当にもうその通りでございます

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「作るお菓子はクッキー! よーい、スタート!」

 師匠の掛け声が、キッチンに響きました。

「お弟子さん、負けませんよ!」

 僕に向かってビシッと人差し指を向けながら、そう宣言する旅人さん。

 僕たちの目の前には、バターや卵、砂糖などなど、クッキーの材料が並べられています。旅人さんは、慣れた手つきでバターを手に取り、ボウルの中へ。そして、同じボウルに砂糖を入れ、丁寧に混ぜ始めました。

「旅人さん。もしかして、料理得意なんですか?」

「はい。パ……師匠のお墨付きももらってるんですよ」

「……そうなんですね。どこかの誰かさんとは大違いです」

 僕は、精一杯のジト目を師匠に向けます。僕と目が合った師匠は、気まずそうに視線をそらしました。

「さて、僕も作り始めないとですね」

 そう呟いて、僕も調理を開始しました。

 といいますか、どうして僕はこんなことをしているのでしょうか。別に、師匠の提案を断ることだってできたはずなんですが。いつの間にか、師匠の言われるがままになってしまっています。そういえば、昔、郵便屋さんが、「弟子ちゃんは、魔女ちゃんに甘すぎるよね」と言っていましたっけ。本当にもうその通りでございます。これも惚れた弱みってやつですよ。

 調理を進める僕と旅人さん。普段、僕ばかりが使うキッチン。今日、そこには、いつもとは全く違う雰囲気が漂っていました。
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