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第三章 旅の魔女

第81話 とある魔女?

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「って、もうこんな時間!」

 旅人さんは、壁にかけてある時計を見て、焦ったようにそう言いました。時計の針は、十八時を指し示しています。いつの間にか、かなりの時間が経っていたようです。

「旅人さんは、これからどうするんですか?」

「一応、町で宿をとっているので、今からそこに戻ろうかと。明日の朝には、また次の国へ向けて出発します」

「そうなんですね」

 旅人というのも、案外忙しいんですね。できれば、もっともっといろんな話を聞きたかったところですが。まあ、自分の都合を旅人さんに押し付けてしまうのも嫌ですし。一年後の楽しみということにしておきましょう。

「じゃあ、私はそろそろ……あ!」

 椅子から立ち上がったところで、旅人さんは、何かを思い出したように声をあげました。

「どうしたんですか?」

「いえ。実は、森の魔女さんに聞きたいことがあったんです」

「……え? 私?」

 突然の指名に、師匠が驚いたようにそう言いました。

 といいますか、師匠。その手に持っているお菓子の包み紙は何ですか? まさか、僕と旅人さんが話している最中、こっそり戸棚から……。

「えっと……何かな?」

「私、とある魔女さんを探してまして。森の魔女さんなら、その魔女さんのこと、ご存じかなと思ったんです」

「とある魔女? 誰のこと?」

 師匠の質問に、旅人さんは、目をキラキラと輝かせながらこう答えました。

「『戦花の魔女』さんです!」
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