大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

文字の大きさ
102 / 164
第四章 戦花の魔女

第101話 お腹すいた

しおりを挟む
 名も知らないどこかの国。どこかの町。

「ううん」

 ゆっくりとベッドから体を起こす。安宿にあるボロボロのベッド。硬くて妙なにおいもする。でも、贅沢なんて言ってられない。国外追放から一か月。財布の中にあるのは、数枚の貨幣のみ。

 お金を稼ぐのには毎回苦労する。最初は、どこかで雇ってもらってとも考えたが、私の年齢は十四歳。子供を雇ってくれるところなんてそうそうない。そもそも、仮に雇われたとして、上手くそこに馴染める自信は全くない。軍にいた時のように、周りから冷たい視線を向けられたら。そう考えるだけで、震えが止まらなくなる。

 だから、私は、大通りで占い師のまねごとをしてみたり、魔法関係の物品修理をやってみたり、思いつく限りのことでお金を稼いでいた。

「お腹すいた」

 私は、鞄から昨日買ったパンを取り出す。柔らかさの欠片もないそれを口に運び、咀嚼する。味はほとんどしない。

 パンを食べ終え、私は立ち上がった。部屋から出て、鍵を閉める。鍵を宿屋のカウンターに置き、外へ。早朝の爽やかな空気が私の肺に流れ込む。目の前にある通りに、全く人は通っていない。通りに立ち並ぶ家や店。そこからも、人の気配は全く感じられない。早朝だからだろうか。それとも、この通りを、人々が忘れてしまったからだろうか。

 さて、今日は別の国に行くとしよう。昨日、警察から、子供が一人で商売をやってはいけないと警告されてしまった。次、同じようなことをしているのがばれたら、施設送りになるらしい。それだけはごめんだ。

 私は、ほうきにまたがり、上空へ。だんだんとスピードを上げながら飛んでいく。いくつもの町を通り過ぎ、見えてきたのは、巨大な門。門を通過すると、そこはもう国の外。広がるのは、短い草が無数に生えるただの平原。

 私は、ただただ無表情のまま、平原の上を進むのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜

おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
 お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。  とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。  最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。    先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?    推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕! ※じれじれ? ※ヒーローは第2話から登場。 ※5万字前後で完結予定。 ※1日1話更新。 ※noichigoさんに転載。 ※ブザービートからはじまる恋

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

軽トラ移動スーパーはじめました! 買い物・サービス難民ゼロへ! 遠くの孫より、近くの太郎!

しらかわからし
経済・企業
(あらすじ) 約10年ニートをしていた中卒の青年(主人公・25歳)の山田太郎が、過疎化に悩む町や村を軽トラで巡る移動食品店を開業しました。 自治会で出会った一人の女性の話をきっかけに、独居老人の買い物困難という社会課題に気づき、奮起します。 資金調達から事業計画、仕入れ交渉、営業ルートの構築まで、すべてを自力で乗り越えながら、地域に根ざした『御用聞き』として信頼を築いていく。 やがて、彼の誠実な仕事ぶりは地域の人々の心を動かし、事業は軌道に乗ります。 最終話では、仲間や家族、そして地域への感謝を胸に、太郎が描く未来への希望が語られる。 これは、ひとりの若者が「誰かの役に立ちたい」という思いを原動力に、人生を切り拓いていく感動の地域再生ドラマです。 基本の小説は太郎の業務日誌です。

かつて聖女は悪女と呼ばれていた

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」 この聖女、悪女よりもタチが悪い!? 悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!! 聖女が華麗にざまぁします♪ ※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨ ※ 悪女視点と聖女視点があります。 ※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪

【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ

☆ほしい
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】 魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。 ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。 「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」 不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。 甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

その付喪神、鑑定します!

陽炎氷柱
児童書・童話
『彼女の”みる目”に間違いはない』 七瀬雪乃は、骨董品が大好きな女の子。でも、生まれたときから”物”に宿る付喪神の存在を見ることができたせいで、小学校ではいじめられていた。付喪神は大好きだけど、普通の友達も欲しい雪乃は遠い私立中学校に入ることに。 今度こそ普通に生活をしようと決めたのに、入学目前でトラブルに巻き込まれて”力”を使ってしまった。しかもよりによって助けた男の子たちが御曹司で学校の有名人! 普通の生活を送りたい雪乃はこれ以上関わりたくなかったのに、彼らに学校で呼び出されてしまう。 「俺たちが信頼できるのは君しかいない」って、私の”力”で大切な物を探すの!?

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

処理中です...