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二章
三十五話
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目的地に到着した。洒落た喫茶店だ。モダンを意識しているのか、少々古くさい木製の扉が印象的だ。この時間帯にも関わらず、かなりお客さんも入っている。
しかし、この店の真価は外見ではなく多様なメニューにある。
岸本は先に来ていた。口を半開きにしながら、年季のはいっていそうなランタンを見つめている。
「来たか、柿市よ」
「ああ」
岸本の向かいに座る。二人用の席だ。
新しい携帯を見たいと岸本が言い出したので、ポケットから取り出して渡した。岸本はパカパカと携帯を開いたり閉じたりしていた。色に関する賛辞が贈られ、携帯が俺に返却される。
「ライムグリーンとはなかなかいいセンスだのう、柿市よ」
「ありがとう」
岸本に褒められても釈然としないが、一応礼だけは述べておく。
「で、何を頼むのだ。ここのカフェなら、何を頼んでもハズレはないぞ」
岸本がメニューを差し出してきた。
ここのカフェが人気である理由。それはメニューの多様性にある。普通のカフェにもあるようなナポリタンに、美味しいコーヒー。そしてラーメン。店主が元々中華料理屋を営んでいたことから、この独特なお品書きが生まれたそうだ。
「じゃあ、コーヒーとケーキで」
注文するとすぐに、イチゴの乗ったショートケーキと芳醇な薫り漂うブラックコーヒーが運ばれてきた。
「で、話とはなんだ」
コーヒーを一口口に含み、尋ねる。
「板垣さんの件だが」
岸本は苦いコーヒーが飲めない。彼はカフェラテを飲み、些か緊張した口調で告げる。
「倒れているところを見付かった。幸い命に別状はないそうだ」
「そうか」
ひとまず保護されただけ安心だ。
「それにしても岸本、よく知っているな」
「尊が教えてくれた。柿市が言っておった男とやらも、警察が捜索中なのだ」
続けて岸本は「進展があったら教えてもらえるぞ」と言い、俺の携帯電話を指した。電話帳を確認すると、新たに「佐久間尊」の連絡先が追加されていた。先ほど岸本に携帯電話を貸した時、勝手に電話帳に佐久間を登録されたらしい。
「カッコつけたかったのか?」
「失敬な。身どもは粋な男なのだ。ガンジーの死に際のようにな」
岸本は、カッコをつけてカフェラテのコップを回してみせた。
「あ、あともうひとつあったのだ。板垣の入院先も、特別に教えてもらった」
思い出したように彼は病院名を口にする。俺は驚いて、コーヒーをこぼしそうになった。
奇遇にも、板垣の入院先は母と同じ病院だったのだ。
しかし、この店の真価は外見ではなく多様なメニューにある。
岸本は先に来ていた。口を半開きにしながら、年季のはいっていそうなランタンを見つめている。
「来たか、柿市よ」
「ああ」
岸本の向かいに座る。二人用の席だ。
新しい携帯を見たいと岸本が言い出したので、ポケットから取り出して渡した。岸本はパカパカと携帯を開いたり閉じたりしていた。色に関する賛辞が贈られ、携帯が俺に返却される。
「ライムグリーンとはなかなかいいセンスだのう、柿市よ」
「ありがとう」
岸本に褒められても釈然としないが、一応礼だけは述べておく。
「で、何を頼むのだ。ここのカフェなら、何を頼んでもハズレはないぞ」
岸本がメニューを差し出してきた。
ここのカフェが人気である理由。それはメニューの多様性にある。普通のカフェにもあるようなナポリタンに、美味しいコーヒー。そしてラーメン。店主が元々中華料理屋を営んでいたことから、この独特なお品書きが生まれたそうだ。
「じゃあ、コーヒーとケーキで」
注文するとすぐに、イチゴの乗ったショートケーキと芳醇な薫り漂うブラックコーヒーが運ばれてきた。
「で、話とはなんだ」
コーヒーを一口口に含み、尋ねる。
「板垣さんの件だが」
岸本は苦いコーヒーが飲めない。彼はカフェラテを飲み、些か緊張した口調で告げる。
「倒れているところを見付かった。幸い命に別状はないそうだ」
「そうか」
ひとまず保護されただけ安心だ。
「それにしても岸本、よく知っているな」
「尊が教えてくれた。柿市が言っておった男とやらも、警察が捜索中なのだ」
続けて岸本は「進展があったら教えてもらえるぞ」と言い、俺の携帯電話を指した。電話帳を確認すると、新たに「佐久間尊」の連絡先が追加されていた。先ほど岸本に携帯電話を貸した時、勝手に電話帳に佐久間を登録されたらしい。
「カッコつけたかったのか?」
「失敬な。身どもは粋な男なのだ。ガンジーの死に際のようにな」
岸本は、カッコをつけてカフェラテのコップを回してみせた。
「あ、あともうひとつあったのだ。板垣の入院先も、特別に教えてもらった」
思い出したように彼は病院名を口にする。俺は驚いて、コーヒーをこぼしそうになった。
奇遇にも、板垣の入院先は母と同じ病院だったのだ。
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