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プロローグ
常識を得るために奴隷を買いました
しおりを挟む「是非、私を僕として側に置いてくださいませ」
「え?」
「いいえ、俺の方が貴女に相応しいです。是非、この俺を選んでください」
「え?え?」
「そんな奴らよりも、僕の方が使えるよ。だから、ね?」
「いや、その…私が欲しい奴隷は、女性の奴隷なんだよね」
気まずそうに視線を逸らしながら目的を告げると、男たちはポカーンと口を開けたまま呆然とした表情を見せた。
「え、ここには男の奴隷しかいないんですが……」
「え!?」
今私の周りにいるのは、見た目麗しい男たちばかり。そして、今この場所にいる男性全員奴隷なのだ。
何故こんな場所にいるのかと言うと…ナイスバディな神様とやらに、異世界に転移させられたのだ。
つまり、この世界は私の知っている地球では無い。
一人で転移させられた私は、1週間程一人で過ごしていたが、この世界の常識が全くない私は、この世界でどう生きていけば良いのか分からないのだ。
だから、この世界で容認されている奴隷という存在を買いに来たわけである。
貴族や王族になると奴隷を買う人が多いらしい。
まぁ、この世界では…奴隷の数が多い=ステータスみたいな感じらしい。
私は、常識を教えてもらいたくて奴隷を買いに来たわけなのだ。
そして冒頭に戻る。
「ここって、女性の奴隷いないの?」
「ええ、残念ながら。ここは男奴隷専門店ですから」
先頭に立っていた美麗な男性が苦笑いを漏らしながら、そう告げた。
奴隷って文字だけ見て入ったから…まさか男専門店だとは思わなかった。
「えっと…じゃあ、間違えました」
ペコリと頭を下げて、身体の向きを変えたが。
「いやいや。そう言わずに、少しは僕らにも興味持ってよ、ね?」
「えっ……」
腕を掴まれて引き止められてしまい、それは出来なかった。
「女性の奴隷より、私の方が役立ちますよ」
目を細めて、ニッコリとそれは完璧な笑みを浮かべた。
(うっ、眩しいっ!)
私がさっさとここから出ようとしたのには、理由がある。
それは、ここにいる男の奴隷たちが綺麗すぎるからである。
眩しすぎて、目が痛い…。
平凡な私とは釣り合いもしないほどの容姿をしているから、一刻も早くここから出たいのだ。
「僕を見て欲しいって言わない人、初めて見た。だから、ね?僕を買いなよ」
「そんなこと言われても困っちゃうかなーハハハ……」
ここで、うまく丸め込まれてしまう訳にはいかない。
何せ私は女の奴隷を買うために初買い物に来たんだから!
神様からの贈り物に、お金をたくさん貰ったのだ。
神様からの恩恵のおかげで、私は一般人から…最強(チート)になったのだから。
お金以外にも貰ったものがあるが、追々説明するとして。
今はこの状態からどう脱するかを考えた方が良さそうだ。
「ダメなの?僕がこんなに言ってるのに?」
キュルンとした瞳で、私を上目遣いで見つめてくる。
歳は私と同い年くらいかな?16歳くらいに見える。
身長が低く、上目遣いも自分の容姿を自覚した上で使っているように見える。
全て計算して、やっているんだと思う。
「俺も貴方の役に立てると思うんですが…」
見た目クールなのに、敬語で話す姿。
その上…しょんぼりと落ち込む姿はまさに子犬のようで、胸が締め付けられるように痛くなった。
「私たちを、買っては頂けませんか?」
眉をひそめて、まるで許しをこうかのように言われて、これ以上断るのは胸が痛すぎて無理だ、と折れるしかなかった。
「もー!わかった!でも、私の奴隷買うの初めてだからね!?」
「ええ、大丈夫です。私たちがしっかりとサポート致しますから」
ニコリとさっきの悲しげな表情が一変し、まるで花を咲かせたかのような笑みを私に向けたのだった。
これは…嵌められたのではないだろうか?
他の二人も、したり顔で私を見つめている。
そんな私の言葉を聞いて、ずっと壁によって控えて様子を窺っていたオーナーが声をかけてきた。
「では、どの奴隷をご所望でございますか?」
「えっと……最初に私に声をかけた3人を買います」
チラリと視線を3人に向けると、当然だといわんばかりに表情を浮かべて頷いていた。
この3人と一緒に生活していけるか不安が残るが…女に二言はない!
買うと言ったからには、最後まで面倒は見るつもりだ。
「この者たちは、少しばかり厄介な者たちでして……」
「厄介…?」
(確かにこんな買え買え言う奴隷は、ちょっと厄介かも)
「この整った容姿のおかげで、買い手は良く現れるんですが、すぐに返品されてしまいまして…。それで、最初に言っておきたいのですが、返品は不可です」
「え、返品とかあるんですか!?」
「ええ、勿論ありますよ。ですが!今回からは返品は不可にしようと考えてまして」
オーナーの必死さに、この3人には何かあるのが有り有りと分かって、言葉に詰まる。
このまま3人を買っても大丈夫なんだろうか…。不安しかないんだが。
いやいや!買うって言ったの私だし…。それに、ペットは最後まで面倒見なさいってお母さんに怒られちゃうだろうし…。
もう未来の事なんて考えても仕方ない!何か問題が起きたとしても、その時はその時考えることにする。
「大丈夫です。私が責任もって、3人の面倒を見ます!」
迷いなく、はっきりとそう宣言した。
私の言葉にオーナーはホッと安心したように息を吐き出し、一枚の紙を差し出した。
「そうですか、安心しました。そうしましたら、こちらの契約書をお読みください。同意出来ましたら、下の欄にお名前をご記入ください」
長々と綴られた文なんて読む気が起きず…読まないで名前を書いてオーナーに渡した。
その後に、3人の契約者を私に変更してもらって、お金を支払った。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
オーナーの言葉にペコリと頭を下げて、そのまま3人を引き連れて、自分の家に戻ってきた。
自宅について、ソファにボフっと倒れこむ。
「思った以上に高くてびっくり…」
ボソリとつぶやいた言葉に、今まで無言だった3人の奴隷が可笑しそうに吹き出した。
「っぷ!!アハハハ!店に来た時から面白いなーって思ったけど、想像以上に面白いね!」
「フフ…今回の主様は、飽きなさそうですね」
「俺達を見て、嫌そうなに顔を顰める人なんて、初めて見ましたよ」
「カッコイイとは思うよ!!私だって女だからね!だけど、一緒に住みたいと思わないよ!美形は観賞出来ればいいの!しかも、こんな綺麗な人と毎日一緒にいたら…女として終わりそうじゃん!!」
好き放題言われて、とてつもなくイライラした結果…ブチキレた。
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