奴隷達と異常な日々

青海 兎稀

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第一章 異世界の常識

第1話 お互いを知るために、自己紹介しましょうか

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「「「………」」」

私の言葉に、3人はぽかーんとした間の抜けた顔をしていた。
まさか、こんなこと言われるとは思ってなかったんだろう。

「え、っと……」

痛い沈黙に流石に焦りを感じて、口を開くが……何て言えばいいか分からず、また口を閉ざすことになった。
そんな私の様子に、3人はそれぞれ顔を見合わせ…クスクスと笑いだしたのだ。


「ふふふ……主様に買われて良かったです。こんなに面白い方だとは思いませんでした」

「本当にな!いやー店に入ってきたときから、面白そうだとは思ったが、こんなに楽しませてくれる飼い主は初めてだな!」

「うんうん!僕、もっとお嬢様のこと知りたくなっちゃった!」

「あ、ありがとう…?」

なんだか、受け入れてもらえたらしい。
喜ぶべきなのかわからないけど…だけど、こうして一緒に住むんだから、良かったのかもしれない。
返品不可って言われてるし…。


「えっと、まずは…自己紹介しよっか!」

買った時に軽く自己紹介はしているけども、念のためもう一度しておくことにする。

「そうですね…。では、私から。リヒート・ノルフェと申します。ご覧の通り、私の種族は天使になります。勿論、治癒魔法を得意としておりますので、傷など負った時は、治して差し上げますので、いつでもお申し付けください」

優雅に胸元に手のひらを置き、頭を下げた青年。
リヒート・ノルフェは、本人が言った通り背中には、大きな純白の双翼がある。
天使と言われれば納得してしまうが…私の世界で天使なんて見たことが無いから、お店に入った時は、マジマジと見つめてしまった。
出来ることなら少しだけ…触りたいとすら思っている。
いや、そのうち絶対触らせてもうけども!

天使の特徴は、白い双翼、治癒魔法。そして、中性的な外見である。
ロングの色素の薄い金髪をゆるく三つ編みにしており、左肩に流している。
そして、頭には銀色に輝くサークレットを付けている。
ちなみに瞳の色は澄んだ青色をしている。

これだけ見たら、女性なんではないか?と疑いたくなるほどなのだ。
だが、服装は中世の貴族のような恰好をしており、どちらかと言うと男性らしい恰好をしている。
背中には、黒のマントを靡かせている。

顔だけ見たら、完全に女性であるが、全体を見ると、やっぱり男なんだということに気付く。

「私、リヒートの隣歩きたくないな…」

上から下に、舐めるように見てからボソリと呟く。
こんなに完璧な人、見たことが無いのだ。
何より、美しすぎて視界に入れるのも辛いくらいである。

「主様…そのようなこと、おっしゃらないでください。私は主様に買われて、とても幸せなんですよ?」

シュンっと眉を下げ、ウルっと目尻に涙を溜めて私を見つめてくる姿に、ウッと言葉が詰まる。
こんな美人を悲しませるのは、女として…いや、人としてどうなんだろうか。

たとえ、この仕草が狙ってやっていると分かっていても、良心が痛むのだ。

「あぅ…ご、ごめんね!?別に、一緒に住むのがイヤとかじゃないから!!リヒートと一緒に暮らせて、私も嬉しいから!!」

「…そうですか?私のこと、捨てないでくださいね?」

「も、勿論!これからよろしくね!」

リヒートの美しい顔に見つめられて、少しドギマギしながら答えた。
そんな私に対して、蕩けるような笑みを浮かべて熱い目線を注いでくる。

(そんな顔で見られると、困るんだけど…)

この顔に慣れるのは、もう少し時間が掛かりそうである。

「では、次は俺ですね。名はヴァルナ・センツォ。見ての通り堕天使です。治癒魔法は全く使えませんが、その代り攻撃に特化した魔法が得意ですので、飼い主に危害を加えようとする奴くらいなら簡単に撃退できるくらいの腕はありますので、安心してくださいね」

そう言うと、リヒートと対照的な漆黒の翼をバサリと開き、スゥっとリヒートのように優雅に頭を垂れた。

堕天使の特徴は、治癒魔法が一切使えず、攻撃魔法が得意。
漆黒の髪に、紅の瞳をしており、まるで魔族見たいな外見をしている。
髪は左側をヘアピンで留めて、右側の一房の髪にはグルグルと赤色の紐が巻きつけられている。
ちなみに紐の先には、青色の玉みたいな物がついている。

服装は、執事みたいな恰好をしていて、その恰好が様になっているから美形は得だと再確認した。
私みたいな平凡がメイド服着たら、爆笑間違いなしだろう。
つまり……そういう事である。後は察してほしい。

そして、肩から左腕には、腕に巻きつくようなツタのような刺青がある。
長袖の服を着ている為、最初は分からなかったが…契約後に見せてくれた。
この刺青が、堕天使の証拠らしい。
漆黒の翼も堕天使の証拠ではあるが、出し入れが可能なため、一目で判断するなら、刺青が早いらしい。
絶対、肩から左腕に何かしらの刺青が入っていると教えてくれた。

この知識は、使い道はないだろうな、と思いながら心の中に、しまっておくことにする。

「そんな恰好してると本当に執事みたい。ちょっとチャラいけど…」

ジーッとヴァルナを見て、改めてカッコイイなと思う。
執事の恰好をしているが、ワイシャツは第3ボタンまで開いており、ネクタイも緩々である。
しかも、首には黒のチョーカー。そして、耳には左右3個ずつピアスが付いている。
恰好だけ見れば、これぞ執事!と言った格好だが、崩された服に、アクセサリーを見ると…ホスト崩れにしか見えない。

「飼い主サマ??それはもしかして…俺の事貶してますか?」

「えっ?貶してないよ?服装崩しててもカッコイイし」

ヴァルナが頬を掻きながら、苦笑いを浮かべて言った言葉に、キョトンと首を傾げる。
貶したように聞こえたのだろうか?
これは私なりに褒めているのだけど……。

「あー……今回の飼い主サマは、天然か…。これはちょっと、厄介だなぁ」

そんな私の顔を見て、ため息を吐き出して何やらゴニョゴニョと言っていたが、私の耳には届かなかった。

「ヴァルナ?どうしたの?あ、もしかして、落ち込んでる!?えっと、別に貶してないからね!!その、どんな格好しててもヴァルナはカッコイイから!安心して!」

「別に落ち込んでないですよ。それに、奴隷なんかに気を遣わなくて大丈夫ですから」

「え、奴隷として買ったのは事実だけど…その、と、友達になりたいなーって」

「……は?」

ヴァルナの口から、気の抜けた…それでいて、どこか素の声が口から漏れ出た。

(やっぱり、ヴァルナ…素ってこれじゃないよね)

恰好からして、こんな丁寧な接し方するような人に見えないのだ。
ヴァルナに対してすごい失礼だけども。

「ヴァルナ、無理して丁寧に話さなくていいんだよ?その、今言った通り、私はみんなと友達になりたいから!」

「……ックックック、ハハハッ!!今回の飼い主サマは本当に飽きねぇな!!奴隷と友達になりたい奴なんて初めて会ったぞ!お前、サイコー!」

「ちょっ、ええ!?性格違いすぎなんだけど!?」

「…盛り上がってるところ悪いんだけど、僕の存在忘れないで欲しんですけどー!!お嬢様は、僕に興味ないのかなぁ?」

ヴァルナの変化に思わず後ずさっていたら、痺れを切らしたもう一人の男の子腕を引っ張られた。
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