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さようなら、大嫌いな世界。こんにちは、新しい世界
しおりを挟む「――さようなら、大嫌いな世界」
手のひらにある大量な白い薬を口に含み、ガラスのコップに入った水を一気に煽る。
コップの傍らには一つのビンが置いてあった。そのビンには睡眠薬と言う文字が書かれていた。
その中身は空っぽで…先ほど女性が口に含んだモノがこのビンに入っていた睡眠薬と言うことがすぐに判明する。
女性はすぐに意識を失い、そして――静かに息を引き取った。
そう、自殺だ。何が嫌だったのかわからないが、この世界に絶望した女性は自らの手で生を絶ったのだ。
(ああ、これでやっと―――)
女性は真っ暗な闇の中で、安堵していた。
やっと死ねた、と。
後はこのまま消えるのみだ。辛い人生だったけど、両親には感謝している。
こんな私を生んで、育ててくれたことに。
なんて、ゆっくり眠りに付こうとしていた私に、一つの声が降ってきた。
『――ねえ、それなら、貴女の命、私に頂戴?自殺なんて勿体ないわ』
(え…?私はもう眠りたいの……)
『貴女と同時期に病で息を引き取った我が子の代わりに、生きてほしいわ。きっと、この世界は貴女に優しくしてくれるはずだから』
(この世界…?たとえ違う世界だとしても、私はどうせ拒絶されるもの…)
『いいえ、貴方はこの世界受け入れられるわ。だって、私は貴女のような綺麗な心を持った人見たことが無いから』
優しく話しかけてくる声に、閉じていた瞳を開ける。
すると、そこはさっきまでいた暗闇の中ではなく、真っ白な空間だった。
まるで神聖な場所のように感じた。
そして、声の主であろう一人の美しい女性がふわふわと浮いていた。
「…貴方は、誰なの?私の心が綺麗だなんて嘘をつくなんて……」
『いいえ、嘘ではありません。貴女は綺麗ですよ。ですから…我が子の代わりに生きてはもらえませんか?本当はもっと生きれたはずの我が子は、何者かの策により命を落としてしまいましたの…』
悲壮感を漂わせる美しい女性に、できれば何かをしてあげたいとは思う。
だけど、私なんかがその子の代わりに生きたとして…誰が喜ぶんだろうか?
どんなに考えても、私なんかが代わりになったとしても、誰も喜ばないと思う。
「出来れば貴女の願いを叶えてあげたいけど、その子を生き返すことはできないの?」
『出来ません。私が手を出せるのは、自ら命を絶った者を転生させることだけですから…。ですから、どうか…我が子の代わりに、生きてはもらえないでしょうか?そして、他の子たちも救っていただきたいのです。貴女のその綺麗な心で』
「……そこまで言うなら、やってみようかな。私にできるか分からないけど」
何よりこんな綺麗な女性のお願いを断るなんて出来ない。
このまま死んだとしても、絶対後悔の念に襲われるに決まっている。
それなら……その子の代わりに生きてみるのも有かもしれない。
『ああ…ありがとうございます!緋依さんならそう言っていただけると思っていました。お願いを聞き入れてくださったお礼と言ってはなんですが、一つだけ特別な能力を送りますので、是非活用してください』
涙を流していた女性は、私の言葉に涙を瞳浮かべながら、それは綺麗な笑みを浮かべ微笑んだ。
その笑顔が見れただけで、引き受けてよかったって思えた。
『緋依さん――この女神・シューリの望みを叶えてくださり、ありがとうございます。どうか我が子たちを救ってあげてください――』
その女性――女神・シューリの言葉を最後に、私の意識は途切れた。
「……んっ」
目を開けて真っ先に視界に入ったのは、高い天井だった。
まるでおとぎ話に出てくるお城の寝室なような広い部屋だ。
「ここは…どこかしら」
寝かされていたベッドから降りて、喉が渇いたな…と思い、どこかに水道はないかと探しに行く。
寝かされていたベッドのある部屋も広かったが、扉は2つあり、一つは洗面所と風呂場に繋がっていたから、もう一つは外に繋がっているんだろう。
洗面所で顔を洗い、両手で水を掬って喉に流す。
そして、顔を上げて映った自分の顔に、ポカンと口を開け間抜けな顔を晒してしまう。
「これが…私?」
鏡に映しだされた私は、背中まであるピンク色のゆるふわの綺麗な髪をしており、瞳は透き通るようなアクアマリンの瞳をしている。
何より顔立ちがとてつもなく整っているのだ。
まるでどこかのお話から飛び出してきたようなお姫様にしか見えない。
「これは死なせるのは惜しいわね…。ただ、私がこの身体を貰って本当に良かったのかしら」
(どうか我が子たちを救ってあげてください――って言葉も気になるのよね)
女神・シューリは私に何をさせたいのだろうか?
それは今となっては全くわからないことだが、私は私がしたいようにさせてもらおうと思う。
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