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入学準備編
031 残念な人材は供給過多
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「事情は分かりました。この話はなかった事にお願いします」
こちらも大陸中の国と関わりのあるアメジスト教会の庇護に入れるならば、確かにこの条件でも安い買い物なのかもしれない。
だが、私の求めているのはスローライフだ。決して権力の足がかりなどではない。
「かしこまりました」
私の返事に助祭様が、何の躊躇いもなく、返事を返す。
………あっさり引いた事に違和感を覚える。
普通に考えれば国策と言えるほどの内容だ。断られる事はありえない前提で話を進めてきているはず。
「ご安心ください。公妃殿下よりもクロムウェル様がお断りになられたら、無理に推し進める必要はないとお言葉を頂いております」
私の疑問に思った事を、助祭様に代わってご令嬢の方が答えてくれる。
あれか。
言うだけはタダって奴か。
「つまり、本当に顔合わせと様子見だけという事ですか?」
「はい。お察し頂き、ありがとうございます」
「次の話し合いで、クロムウェル様のご要望どおりの条件で、教会はお話をお引き受けする予定でございます」
お嬢様と助祭様は、最初から完全に示し合わせていたようだ。
私という人物を観察する為に。
隠し事は無駄と聞いていて、試す事も出来ると聞いていた訳か。………この辺は公爵夫人の仕業だな。そんな気がする。
この目の前のお嬢様とは、叔母と姪の関係があるのだから、当然か。
「交渉成立後に、この孤児院に、私を住まわせて頂きたいという個人的なお願いもする予定もございます」
はいはい。全部が完全に様子見だったのね。私が助祭様が一緒に住む事に対して受け入れてくれそうかも含めてね。
「………個人的な理由をお聞きしても?」
「私がとある国の貴族の庶子である疑いが出ております」
あぁ。見た目重視の広報担当様ですからね。
見た目麗しいお貴族様の庶子ってのは、十分考えられますよ。
「先のお話と同じで、教会として、1カ国の権力者と直接的な結びつきを持つ事は、他の国からの信頼に関わります」
貴族様の庶子なら政略結婚に利用されるだろうし、元助祭様という立場なら、それはとても美味しい物件なのだろう。良く分からんけど。
「それで一時的に身を潜める場所が欲しいという事ですか?」
「はい。先ほどの提案が、もし受け入れて頂いた場合も、私はこの件が落ち着くまで、身を潜める予定でした」
それで、孤児院に住みたいっていう提案を織り込んでいたのか。
うん。住みたいって理由が、てっきり教会からの篭絡要員だからだと思っていた。私の頭も随分ピンク色な思考に染まってきたな。気をつけよう。
「それは時間が解決してくれる類の問題なのですか?」
「はい。私の貴族としての婚姻適齢期が過ぎるか、私に執着している方が他に婚約者を作られるかすれば、落ち着くと思われます」
うむ。どこかの偉い貴族様に見初められて、そのエロい貴族様は、庶子の有無なんて真実を捻じ曲げる程度の力は持っているくらいなのは分かった。
確かに婚約者が出来れば、それ以降はそのエロい貴族様が何かをしようとしても、その婚約者の家が黙っていない訳か。
婚約者が出来なかった場合や、婚約者側の家の立場が弱い場合の計画も、年単位で隠れるとか、随分と気が長いと思う。未だにこの世界の常識が良く分からん。
「事情は分かりました。この国としても表立って保護は出来ないので、私と共に監視と護衛がしやすい、この孤児院をお勧めされた訳ですね」
「はい。もっと、より個人として、聖女の雫の恩恵に預かりたい思惑もございます」
この助祭様も良い性格をしているようだ。この人なら貴族社会でもやっていけるんじゃねぇ?
見た目だけで言えば、かなりの美人さんだ。
公爵家のご令嬢に見劣りはしない。………スタイルについてはノーコメントだ。
「助祭様の受け入れについては、断固としてお断り致します」
「………残念です」
最初に断ったときよりも明らかに落ち込んだ様子の助祭様は、演技で凹んでいるようには見えない。
「公妃様を拝見して、言い伝えにある聖女の雫の効果を目の当たりにしてから、良い機会だと思っていたのですが………」
この人、隠し事をしないんじゃなくって、出来ないんじゃないか?
隣に居るお嬢様はその様子を笑顔で眺めているだけだ。
つまり、ここまでは既定路線か。この国の公妃様は本当に黒いし、恐ろしいようだ。
「本日の話し合いは以上という事で宜しいでしょうか?」
相手の思惑通りの話し合いだったが、話が終わったなら早くお帰り願いたい。
正直、短い時間だったが、本気で疲れた。
後ろに控えているミルファにも、これ以上は疲れさせたくない。色んな意味で。
「はい。本日はお時間を頂き、ありがとうございます」
凹んでいる助祭様に代わってお嬢様が嬉しそうに返事をしてくれる。
「それと遅くなりましたが、本日は手土産をご用意しておりました。どうかお納め下さい」
そのお嬢様の言葉を聞いた執事が馬車までお土産を取りに行く。
今日の結果次第でお土産が変わるのか………。どれだけ周到に計画されてたんだよ。この話し合い。
「クロムウェル様が、最近は多くの本に興味があると伺っていたので、お持ちしました」
この国で暮らすのに必要な知識を集める為に、確かに本を集めていた。
この国に図書館なんてシャレたものはなかったので、前にお世話になった商会にお願いしていた事だ。
絵本はすぐに届いたが、専門的な知識の書物は、王宮や各専門機関にしかないので時間が掛かると言われていたのに………。
「受け取ると後が怖いお土産ですね」
「こちらは次回の話し合いをお受け頂く為に用意したものでございます」
一度、断られるのを見越した上で用意していたものだと言われれば、受け取らないわけにはいかない。
次回の話し合いは、私の要望を叶えてくれると言っている話し合いなのだから。
「分かりました。ありがたく受け取らせて頂きます」
溜息の1つも吐きたい気持ちで、その山積みの本を眺めて返事をする。一体これいくら掛かってるんだよ?
「お気に召して頂いたようで何よりです」
お土産のやり取りが終わり、挨拶も無事に済ませて、凹んでいる助祭様を連れてお嬢様たちも無事にお帰りになられた。
どこの国も優秀な人材不足は深刻らしい。
「ミルファ。疲れただろう。少しお茶を飲んで休むと良い」
話し合いの時間が短かったとはいえ、何度か空気が重い状況もあった。
そんな中でも最後まで立っていたミルファに気遣いをするのは当然だ。
私も疲れた。マジで疲れた。
この国の公妃様が、敵対しない範囲で最大限に私を利用出来る距離感を探っているのが分かって、本気で疲れた。
次回の話し合いが、本題だろう。
こちらは情報が少なすぎて、何を企んでいるのか予想が付かない。国を1つ相手にするのに個人の力じゃ足りないので当たり前か。
「落ち着いたかい? どうだった。初めて偉い人を見た感想は」
考え事をしている間に、私の隣に座ってお茶を飲んでいたミルファが、落ち着いたので、声を掛けてみた。
「はい。凄く綺麗な方たちでした」
なるほど。話し合いの感想込みで聞いてみたのだが、ミルファにはまだその辺のやりとりは難しいようだ………。
さて、なんと聞いたら良いのだろうか。口止めしなければいけない事があるから、いきなりその話題を口にするのは憚れる。なんとか話し合いの感想を聞いてから口止めの話を切り出したい。
「あの、クロムウェル様………」
「ん?」
「あの綺麗な助祭様が、お住まいにならなくて本当に良かったのですか?」
なんだろう? ミルファの質問から「これとこれ。どっちが私に似合う?」みたいな選択を迫られた時の空気を感じる。
「確かに、みんなの事を考えたら個人的な縁を作れる方が良いに決まっている」
数秒の間に思考を張り巡らせる為に時間稼ぎの言葉を口にする。
当然、この回答が間違っている事は分かっている。ミルファの反応を見ても、困惑しているので損得の人間関係の話ではないのは明白だ。
「………それに正直、そう言った事よりも性格を重視している。見た目は関係ない」
せっかく稼いだ数秒の間に、ベストな答えが思いつかなかった私は、複数の意味で受け取れる答えを返す。
その答えが、さらなる難題を突きつけて来る事が分かっていても、それしか返せなかった。
( さあ! 次の質問をしてくるがいい!! )
そう身構えた私の考えに反して、「そっか」という言葉と共に、年相応に笑った反応を示したミルファに、心の奥で何かが痛むのが分かる。
てっきり、「私と、どっちが好み?」みたいな事を言われるのかと思っていた。
それを言わないという事が、どういうことかと言うと、うちのミルファは全く擦れていなかった! という事だ。
………最近の自意識過剰気味な自分のピンク色なお花畑の頭に本当に嫌気がさしてくる。
誰か! 汚れている私の煩悩に制裁を!!
こちらも大陸中の国と関わりのあるアメジスト教会の庇護に入れるならば、確かにこの条件でも安い買い物なのかもしれない。
だが、私の求めているのはスローライフだ。決して権力の足がかりなどではない。
「かしこまりました」
私の返事に助祭様が、何の躊躇いもなく、返事を返す。
………あっさり引いた事に違和感を覚える。
普通に考えれば国策と言えるほどの内容だ。断られる事はありえない前提で話を進めてきているはず。
「ご安心ください。公妃殿下よりもクロムウェル様がお断りになられたら、無理に推し進める必要はないとお言葉を頂いております」
私の疑問に思った事を、助祭様に代わってご令嬢の方が答えてくれる。
あれか。
言うだけはタダって奴か。
「つまり、本当に顔合わせと様子見だけという事ですか?」
「はい。お察し頂き、ありがとうございます」
「次の話し合いで、クロムウェル様のご要望どおりの条件で、教会はお話をお引き受けする予定でございます」
お嬢様と助祭様は、最初から完全に示し合わせていたようだ。
私という人物を観察する為に。
隠し事は無駄と聞いていて、試す事も出来ると聞いていた訳か。………この辺は公爵夫人の仕業だな。そんな気がする。
この目の前のお嬢様とは、叔母と姪の関係があるのだから、当然か。
「交渉成立後に、この孤児院に、私を住まわせて頂きたいという個人的なお願いもする予定もございます」
はいはい。全部が完全に様子見だったのね。私が助祭様が一緒に住む事に対して受け入れてくれそうかも含めてね。
「………個人的な理由をお聞きしても?」
「私がとある国の貴族の庶子である疑いが出ております」
あぁ。見た目重視の広報担当様ですからね。
見た目麗しいお貴族様の庶子ってのは、十分考えられますよ。
「先のお話と同じで、教会として、1カ国の権力者と直接的な結びつきを持つ事は、他の国からの信頼に関わります」
貴族様の庶子なら政略結婚に利用されるだろうし、元助祭様という立場なら、それはとても美味しい物件なのだろう。良く分からんけど。
「それで一時的に身を潜める場所が欲しいという事ですか?」
「はい。先ほどの提案が、もし受け入れて頂いた場合も、私はこの件が落ち着くまで、身を潜める予定でした」
それで、孤児院に住みたいっていう提案を織り込んでいたのか。
うん。住みたいって理由が、てっきり教会からの篭絡要員だからだと思っていた。私の頭も随分ピンク色な思考に染まってきたな。気をつけよう。
「それは時間が解決してくれる類の問題なのですか?」
「はい。私の貴族としての婚姻適齢期が過ぎるか、私に執着している方が他に婚約者を作られるかすれば、落ち着くと思われます」
うむ。どこかの偉い貴族様に見初められて、そのエロい貴族様は、庶子の有無なんて真実を捻じ曲げる程度の力は持っているくらいなのは分かった。
確かに婚約者が出来れば、それ以降はそのエロい貴族様が何かをしようとしても、その婚約者の家が黙っていない訳か。
婚約者が出来なかった場合や、婚約者側の家の立場が弱い場合の計画も、年単位で隠れるとか、随分と気が長いと思う。未だにこの世界の常識が良く分からん。
「事情は分かりました。この国としても表立って保護は出来ないので、私と共に監視と護衛がしやすい、この孤児院をお勧めされた訳ですね」
「はい。もっと、より個人として、聖女の雫の恩恵に預かりたい思惑もございます」
この助祭様も良い性格をしているようだ。この人なら貴族社会でもやっていけるんじゃねぇ?
見た目だけで言えば、かなりの美人さんだ。
公爵家のご令嬢に見劣りはしない。………スタイルについてはノーコメントだ。
「助祭様の受け入れについては、断固としてお断り致します」
「………残念です」
最初に断ったときよりも明らかに落ち込んだ様子の助祭様は、演技で凹んでいるようには見えない。
「公妃様を拝見して、言い伝えにある聖女の雫の効果を目の当たりにしてから、良い機会だと思っていたのですが………」
この人、隠し事をしないんじゃなくって、出来ないんじゃないか?
隣に居るお嬢様はその様子を笑顔で眺めているだけだ。
つまり、ここまでは既定路線か。この国の公妃様は本当に黒いし、恐ろしいようだ。
「本日の話し合いは以上という事で宜しいでしょうか?」
相手の思惑通りの話し合いだったが、話が終わったなら早くお帰り願いたい。
正直、短い時間だったが、本気で疲れた。
後ろに控えているミルファにも、これ以上は疲れさせたくない。色んな意味で。
「はい。本日はお時間を頂き、ありがとうございます」
凹んでいる助祭様に代わってお嬢様が嬉しそうに返事をしてくれる。
「それと遅くなりましたが、本日は手土産をご用意しておりました。どうかお納め下さい」
そのお嬢様の言葉を聞いた執事が馬車までお土産を取りに行く。
今日の結果次第でお土産が変わるのか………。どれだけ周到に計画されてたんだよ。この話し合い。
「クロムウェル様が、最近は多くの本に興味があると伺っていたので、お持ちしました」
この国で暮らすのに必要な知識を集める為に、確かに本を集めていた。
この国に図書館なんてシャレたものはなかったので、前にお世話になった商会にお願いしていた事だ。
絵本はすぐに届いたが、専門的な知識の書物は、王宮や各専門機関にしかないので時間が掛かると言われていたのに………。
「受け取ると後が怖いお土産ですね」
「こちらは次回の話し合いをお受け頂く為に用意したものでございます」
一度、断られるのを見越した上で用意していたものだと言われれば、受け取らないわけにはいかない。
次回の話し合いは、私の要望を叶えてくれると言っている話し合いなのだから。
「分かりました。ありがたく受け取らせて頂きます」
溜息の1つも吐きたい気持ちで、その山積みの本を眺めて返事をする。一体これいくら掛かってるんだよ?
「お気に召して頂いたようで何よりです」
お土産のやり取りが終わり、挨拶も無事に済ませて、凹んでいる助祭様を連れてお嬢様たちも無事にお帰りになられた。
どこの国も優秀な人材不足は深刻らしい。
「ミルファ。疲れただろう。少しお茶を飲んで休むと良い」
話し合いの時間が短かったとはいえ、何度か空気が重い状況もあった。
そんな中でも最後まで立っていたミルファに気遣いをするのは当然だ。
私も疲れた。マジで疲れた。
この国の公妃様が、敵対しない範囲で最大限に私を利用出来る距離感を探っているのが分かって、本気で疲れた。
次回の話し合いが、本題だろう。
こちらは情報が少なすぎて、何を企んでいるのか予想が付かない。国を1つ相手にするのに個人の力じゃ足りないので当たり前か。
「落ち着いたかい? どうだった。初めて偉い人を見た感想は」
考え事をしている間に、私の隣に座ってお茶を飲んでいたミルファが、落ち着いたので、声を掛けてみた。
「はい。凄く綺麗な方たちでした」
なるほど。話し合いの感想込みで聞いてみたのだが、ミルファにはまだその辺のやりとりは難しいようだ………。
さて、なんと聞いたら良いのだろうか。口止めしなければいけない事があるから、いきなりその話題を口にするのは憚れる。なんとか話し合いの感想を聞いてから口止めの話を切り出したい。
「あの、クロムウェル様………」
「ん?」
「あの綺麗な助祭様が、お住まいにならなくて本当に良かったのですか?」
なんだろう? ミルファの質問から「これとこれ。どっちが私に似合う?」みたいな選択を迫られた時の空気を感じる。
「確かに、みんなの事を考えたら個人的な縁を作れる方が良いに決まっている」
数秒の間に思考を張り巡らせる為に時間稼ぎの言葉を口にする。
当然、この回答が間違っている事は分かっている。ミルファの反応を見ても、困惑しているので損得の人間関係の話ではないのは明白だ。
「………それに正直、そう言った事よりも性格を重視している。見た目は関係ない」
せっかく稼いだ数秒の間に、ベストな答えが思いつかなかった私は、複数の意味で受け取れる答えを返す。
その答えが、さらなる難題を突きつけて来る事が分かっていても、それしか返せなかった。
( さあ! 次の質問をしてくるがいい!! )
そう身構えた私の考えに反して、「そっか」という言葉と共に、年相応に笑った反応を示したミルファに、心の奥で何かが痛むのが分かる。
てっきり、「私と、どっちが好み?」みたいな事を言われるのかと思っていた。
それを言わないという事が、どういうことかと言うと、うちのミルファは全く擦れていなかった! という事だ。
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