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12話☆新メンバー
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高校に入って丸二か月が経った。大塚咲来が入部してからも2週間が経つ。やっぱり咲来はのみこみが早い。
ルールを覚えるのには少し顔をしかめていたけど、たぶん大丈夫だろう。
「激しいね、思った以上に」
意外に思ったようだった。
プロの試合はエンターテイメントでもあるので魅せる技や派手なパフォーマンスがあったりする。避ければいいのにと思うような相手の技からも逃げず、受け切った上で倒す。互いに魅せ場を作って試合を盛り上げるんだ。
でも高校プロレスは違う。実力差があれば相手は魅せ場もなく一方的な試合になって、一瞬で勝負が着くことだってある。
練習は毎回受け身から始める。
日本拳法では受け身を取ることはあまりないみたいだったけど咲来は器用にこなしていった。たった2週間だけどもうどんな体勢で落ちても大丈夫そうだ。
受け身で体が温まったら技の練習に入る。打撃、投げ技、関節技それぞれの動きを確認して、それが終わったらスパーリングだ。
「咲来、パンチは反則」
「あ、ごめん」
これまでの癖か、向かい合うとやはり突きが出てしまうみたいだ。
プロレスでは拳を使った攻撃は禁止されている。肘の先端を使った攻撃も禁止だ。
こうしてプロレスに必要な動きを咲来はみるみる吸収していく。運動神経は抜群だし、やっぱり格闘技が好きなんだ。半ば強引だったかもだけど、誘ってほんとに良かったと思った。
練習を始めて1時間半でざっと一通りできたので休憩にした。
梅雨に入ったのか最近雨が多いし気温も高い。受け身が終わった頃には2人とも結構汗をかいている。堀田先生からも練習の合間の水分補給と適度な休憩は取るように言われていた。
「教えてもらってばかりでごめんね。前田さんの練習になってないよね」
窓の外の雨を眺めながら咲来が聞いてきた。最初に会った時から比べるとだいぶ話してくれるようになった。スパーリングは遠慮なく蹴ってくるくせに、こういう気を使ってくれる良い子なんだって徐々にわかってきた。
「全っ然!相手がいるだけでめちゃくちゃ練習になるよ!咲来は動きもいいし、むしろ負けてられないって気持ちになる」
一人の時は技の練習ができなかった。そんな状態で大会に出ていたなんて、舐めてかかっているって言われてもおかしくないくらいだ。
それにほんとに咲来は強い。
打撃戦さえ避ければまだまだ私に分があるけど、これからどんどん技を覚えていくと、うかうかしてられないだろう。
「そうだ。ねぇ咲来、私にキック教えてよ。咲来のバシっと決まる蹴りが好きなんだぁ私」
「いいよ」
咲来は少し考えたけど微笑んで快諾してくれた。「でも」と言って、こう付け加えた。
「前田さんはまずは捌く方を練習した方がいいと思う」
ルールを覚えるのには少し顔をしかめていたけど、たぶん大丈夫だろう。
「激しいね、思った以上に」
意外に思ったようだった。
プロの試合はエンターテイメントでもあるので魅せる技や派手なパフォーマンスがあったりする。避ければいいのにと思うような相手の技からも逃げず、受け切った上で倒す。互いに魅せ場を作って試合を盛り上げるんだ。
でも高校プロレスは違う。実力差があれば相手は魅せ場もなく一方的な試合になって、一瞬で勝負が着くことだってある。
練習は毎回受け身から始める。
日本拳法では受け身を取ることはあまりないみたいだったけど咲来は器用にこなしていった。たった2週間だけどもうどんな体勢で落ちても大丈夫そうだ。
受け身で体が温まったら技の練習に入る。打撃、投げ技、関節技それぞれの動きを確認して、それが終わったらスパーリングだ。
「咲来、パンチは反則」
「あ、ごめん」
これまでの癖か、向かい合うとやはり突きが出てしまうみたいだ。
プロレスでは拳を使った攻撃は禁止されている。肘の先端を使った攻撃も禁止だ。
こうしてプロレスに必要な動きを咲来はみるみる吸収していく。運動神経は抜群だし、やっぱり格闘技が好きなんだ。半ば強引だったかもだけど、誘ってほんとに良かったと思った。
練習を始めて1時間半でざっと一通りできたので休憩にした。
梅雨に入ったのか最近雨が多いし気温も高い。受け身が終わった頃には2人とも結構汗をかいている。堀田先生からも練習の合間の水分補給と適度な休憩は取るように言われていた。
「教えてもらってばかりでごめんね。前田さんの練習になってないよね」
窓の外の雨を眺めながら咲来が聞いてきた。最初に会った時から比べるとだいぶ話してくれるようになった。スパーリングは遠慮なく蹴ってくるくせに、こういう気を使ってくれる良い子なんだって徐々にわかってきた。
「全っ然!相手がいるだけでめちゃくちゃ練習になるよ!咲来は動きもいいし、むしろ負けてられないって気持ちになる」
一人の時は技の練習ができなかった。そんな状態で大会に出ていたなんて、舐めてかかっているって言われてもおかしくないくらいだ。
それにほんとに咲来は強い。
打撃戦さえ避ければまだまだ私に分があるけど、これからどんどん技を覚えていくと、うかうかしてられないだろう。
「そうだ。ねぇ咲来、私にキック教えてよ。咲来のバシっと決まる蹴りが好きなんだぁ私」
「いいよ」
咲来は少し考えたけど微笑んで快諾してくれた。「でも」と言って、こう付け加えた。
「前田さんはまずは捌く方を練習した方がいいと思う」
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