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《┈第三部┈》第二章
《鶫実》
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訃報は予期せずわたしの耳に届いた────。
凛という女の死が告げられた。彼女は、別にわたしを苦しめた訳では無い。わたしを苦しめた人々は、時の流れで、全員死した。しかし、彼らの呪いは、わたしの心の中で、関係もない人に対する恨みとして生きている。
わたしが直接手を下したわけではない。だが、わたしが全く関係していないと言えば嘘になる。
わたしが創った死の連鎖で、彼女は死んだのだ。
その報せを聞いた時、わたしの胸に湧き上がった感情は、紛れもない喜びだった。まいた種が実った時のような感情だ。
彼女の死を悼む気持ちなど、もちろん微塵も湧き上がらない。
それはわたしにとっての小さな勝利のように感じられた。
凛や百数十人の死、葉月への憑依は、わたしの復讐への道が、また一歩進んだことを意味するのだった。
一番の成果は葉月の肉体を我がものとした瞬間であった。わたしの内奥で燃えていた炎が、彼女の体にに燃え移りやがて激しく燃え上がった。
それは、長い間燻っていた怨念が、ついにその姿を現したかのようだ。
かつてわたしを苦しめた人だけではない。全世界への復讐を違う。
わたしは外に出て、復習の矛先を定めようと、佐藤商事への入社を試みた。
まずは、佐藤商事へ向かい、就職試験に挑む。
どうやらわたしの呪いで社員が減り、人手不足だったようだ。
簡単に合格を得ると、わたしは喜びに満ち溢れた。
だがそれは、合格を得たことに対する喜びではなく、復讐の一歩がふみだせたという喜びだった。
それから一ヶ月がたち、佐藤商事の制服に身を包み、わたしは初出勤した。建物は新しく、わたしの見慣れないもので溢れていた。不安は感じたが、これも復讐のためだ。わたしはそう思い直し、廊下を歩き出した。掲示板に、たくさん紙が重なるようにはられ、磁石で止めきれなくなった紙切れが床に落ちている。
ふと拾ってみると、そこには、訃報が書いてあった。わたしはそれ以外にも、落ちている紙を拾い、順番に見てゆく。ほとんどが訃報で、それ以外の情報が見当たらない。
これは、わたしの力が絶大だという証拠だ。口から、無意識に笑みがこぼれた。
全て見終わると、仕事場に向かう。なにやら手帳のような金属質のものを皆が叩いていた。その場にいた人に、これは何かと問う。驚きを隠せない表情で、彼が言った。
────それは、パソコンというらしい。聞き覚えのない名前に、わたしは戸惑った。
その日は一日中パソコンの使い方を教わり、退勤時間となった。しかしまだ、誰も犠牲者を見つけられていないことに絶望した。わたしひとりでは、1人ずつ、犠牲を出すしかない。
凛という女の死が告げられた。彼女は、別にわたしを苦しめた訳では無い。わたしを苦しめた人々は、時の流れで、全員死した。しかし、彼らの呪いは、わたしの心の中で、関係もない人に対する恨みとして生きている。
わたしが直接手を下したわけではない。だが、わたしが全く関係していないと言えば嘘になる。
わたしが創った死の連鎖で、彼女は死んだのだ。
その報せを聞いた時、わたしの胸に湧き上がった感情は、紛れもない喜びだった。まいた種が実った時のような感情だ。
彼女の死を悼む気持ちなど、もちろん微塵も湧き上がらない。
それはわたしにとっての小さな勝利のように感じられた。
凛や百数十人の死、葉月への憑依は、わたしの復讐への道が、また一歩進んだことを意味するのだった。
一番の成果は葉月の肉体を我がものとした瞬間であった。わたしの内奥で燃えていた炎が、彼女の体にに燃え移りやがて激しく燃え上がった。
それは、長い間燻っていた怨念が、ついにその姿を現したかのようだ。
かつてわたしを苦しめた人だけではない。全世界への復讐を違う。
わたしは外に出て、復習の矛先を定めようと、佐藤商事への入社を試みた。
まずは、佐藤商事へ向かい、就職試験に挑む。
どうやらわたしの呪いで社員が減り、人手不足だったようだ。
簡単に合格を得ると、わたしは喜びに満ち溢れた。
だがそれは、合格を得たことに対する喜びではなく、復讐の一歩がふみだせたという喜びだった。
それから一ヶ月がたち、佐藤商事の制服に身を包み、わたしは初出勤した。建物は新しく、わたしの見慣れないもので溢れていた。不安は感じたが、これも復讐のためだ。わたしはそう思い直し、廊下を歩き出した。掲示板に、たくさん紙が重なるようにはられ、磁石で止めきれなくなった紙切れが床に落ちている。
ふと拾ってみると、そこには、訃報が書いてあった。わたしはそれ以外にも、落ちている紙を拾い、順番に見てゆく。ほとんどが訃報で、それ以外の情報が見当たらない。
これは、わたしの力が絶大だという証拠だ。口から、無意識に笑みがこぼれた。
全て見終わると、仕事場に向かう。なにやら手帳のような金属質のものを皆が叩いていた。その場にいた人に、これは何かと問う。驚きを隠せない表情で、彼が言った。
────それは、パソコンというらしい。聞き覚えのない名前に、わたしは戸惑った。
その日は一日中パソコンの使い方を教わり、退勤時間となった。しかしまだ、誰も犠牲者を見つけられていないことに絶望した。わたしひとりでは、1人ずつ、犠牲を出すしかない。
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