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コヨタ

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第12話 連休明け

第12話・1 告げられたリルの真実

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 朝の陽差しが、龍調査機関の白い壁に柔らかく反射していた。
 連休を終えたその日、施設はすっかり元通りの姿を取り戻している。

 復旧された天井の照明、磨き上げられた廊下の床。まるで、何事も無かったかのような静けさ──。

 だが、その奥では、既に多くの職員が慌ただしく動き始めていた。

「資料庫、開放確認。3番通路、機材移動、完了です」

「情シス班、9時半に会議室B集合との通達入りましたー!」

「えっ今日から!? いやいや、まだ休みボケしてるって~」

「でも何かこう……動いてる方が落ち着くよな~こういうのって」

 小走りの靴音と、飛び交う声。
 活気と疲労と少しの不安、全部が入り混じった朝の空気。
 それでも職員たちの表情は、どこか生き生きとしていた。

 戦場を知る者として、日常が戻る度に思い出すのだ。

 生きて帰ったのだと。

 そんな朝の喧騒の中、廊下の奥から、ゆったりと歩くふたりの姿が現れた。

 白衣の裾を翻しながら気怠げに歩く長身の青年──薊野セセラ。

 その横には、アッシュグレー色のふわふわお下げを揺らす小さな所長──シエリの姿もある。

「……おかえりなさい、所長! 薊野さんも……っ!」

「わっ、ほんとに戻ってきた……マジで無事だったんですね!」

「連休明け早々、顔が見られるなんて縁起いいな~……って、うおお!? 薊野さん今日もカッコよすぎませんか!?」

 職員たちが次々と立ち止まり、深々と頭を下げたり、目を輝かせたりして通り過ぎていく。
 何気無い会話に見せかけて、チラッと視線を送る者もいれば、遠巻きに“推しの復帰”を噛み締める者も。

「フフ……人気者だな、セセラ」

「連休ボケが治らないって言ってた奴らが、急にシャキッとしてきた気がするぜ」

 シエリの口元がくすりと綻ぶ。

「ま、俺がいないとこの施設、空気死ぬしなぁ?」

 セセラは肩をすくめながらも、その表情はどこか柔らかい。

「所長と薊野さんが帰ってきたってだけで、みんなちょっと元気になれるんですよ!」

 そんな声が、後ろから小さく聞こえてきて、セセラは照れたように鼻を鳴らした。

「……ちゃんと働けよ~、お前ら」

 いつもの調子で軽口を叩きつつも、その足取りはどこか誇らしげ。

 活気ある機関の一角。
 ふたりは人波が途切れた廊下を歩きながら、セセラはふと足を止める。

「……先生、今日はちょっと行く所あんだけど、できれば一緒に来てほしくて」

 歩調を緩めて振り向くセセラに、シエリは首を傾げた。

「ん? 珍しいね」

「まあ……礼を言いたい奴がいてさ。先生も一緒に来てくれたら、そいつも安心すると思う」

「……ふうん?」

 シエリは小さく笑ったあと、いつも通りの軽やかな口調で返す。

「ああ、構わないよ。ちょうど、街の空気でも吸いたい気分だった」


 ◇


 そして、数時間後──。

 静かな街の一角にある、小さなカフェの前。
 通りを行き交う人の流れを横目に、セセラとシエリが並んで立っていた。

「ここで待ち合わせ?」

「そう。……来るって連絡は来てる」

「礼を言いたい相手って、あの時の?」

「新生龍事件。あいつの助言が無かったら、今頃どうなってたかわからなかったからな。ちゃんと、正式に礼を言っときたくて」

「ふぅん……優しいんだね、セセラ」

「やめてくれよ、照れるだろ」

 そんなやり取りを交わすふたりの前に、やがて見慣れた細身の人影が現れた。

「おまたせ~!」

 ひょいと手を挙げて近づいてくるのは、黒のキャスケットを深く被り、赤い長髪をうなじの位置でゆるく結んだ男。

 龍調査機関元・研究員──ジキルだ。

 相変わらず黒いサングラスに隠された目元からは表情を読み取れないが、その口元には柔らかな笑みが浮かんでいる。

「……って、あれ? シエリさんもいるじゃないですか!」

 思いがけない同席に、ジキルは足を止めて驚いたように声を上げた。

「こんにちは。いやあ……なんだか、身が引き締まりますね。まさか所長ご本人とお会いするとは……」

 ぺこりと頭を下げたジキルに、シエリもにこやかに答える。

「こんにちは。……こうして会うのは久しぶりだね。今回は、セセラの頼みで同行しただけなんだけど……礼を言いたいということで」

「……そんな、恐縮ですよ」

 サングラスの奥の目が細まり、気まずそうに頬を掻くジキル。
 それでも、その声にはどこかあたたかさが滲んでいた。


 ◇


「いやぁ~、薊野くんに礼を言われるなんてねぇ。もう、それだけで今日来た甲斐があるってもんですよ」

 ジキルはカフェの屋外にある席につくなり、ふわふわのフォームミルクがたっぷり乗ったコーヒーを両手で持って嬉しそうに笑っている。

「あの時の助言がなけりゃ、今頃施設ごと吹っ飛んでたかもしれねえんだ。……本当に、助かった」

 セセラがまっすぐにそう言うと、ジキルは「やだな~照れるな~」と、サングラスを上げずに小さく仰け反ってみせた。

「おい、ちゃんと聞けよ」

「聞いてるって~。でもアレ、たいしたことじゃないからね? ちょっと龍の波動を見て、あ、これ来るなって思っただけで」

「……そのちょっとがこっちは命取りなんだよ」

 苦笑しながらそう返すセセラに、シエリもくすくすと笑っていた。

「でも、相変わらずなんだね。昔からでだいたいわかってしまうタイプだった」

「いやいや、所長さんの前ではお恥ずかしい……。オレなんてただの野良研究者ですよ、今は」

「ふうん? ……野良の割には、やけに精度が高かったが」

「やだなぁ、褒めても何も出ませんよ? ……あっ、ミルク多めのなら少しわけられますけど」

「いらないよ」「いらねえよ」

 ふたりにハモって返されて、ジキルは「えぇ~っ」と本気でしょんぼりした顔をした。

 一瞬の静寂──。

 通りの風がパラソルを揺らす。

 ジキルはそれを見上げながら、ふと真顔になった……かと思えば。

「ところで薊野くん」

「ん?」

「例の子たち──レイラちゃんと、リルくん。あの後、大丈夫だった?」

「…………」

 返答に一瞬だけを置くセセラを見て、ジキルは「あ、気まずかったらいいよ! 今のナシで!」と慌てて両手をぶんぶん振った。

「いや、別に……なんだその反応」

「だってぇ……薊野くん、めっちゃ怖い顔するときあるから……」

「子どもかよ」

 そんな他愛ないやり取りを黙って見ていたシエリ。ジキルは肩をすぼめて小さくなっていた。

「まあ……ふたりとも無事だったよ。詳しいことは、また俺のレポートで読んでくれ」

「ふむふむ! ではそのレポート、今度ぜひ見せてくださいな。コーヒーと引き換えってことで」

「物々交換か」

 気づけば、空は少しだけ茜色を帯び始めていた。
 街のざわめきが遠くに沈んでいく中、3人の会話はどこまでも穏やかに続いていた。

「あら、もうこんな時間か」

 あっという間に過ぎてしまった時間に気がつくシエリ。

「すまん、私だけ先に失礼させてもらうよ。休み明けはやることが多くてね……セセラはこのままいていいからね」

 シエリが席を立つとき、ジキルもにこやかに立ち上がり、深々と頭を下げた。

「今日はわざわざ、ありがとうございました。……本当に、オレなんかに」

「『なんか』じゃないさ。……謙遜するな」

「また、いつか……龍について語り合いましょう。きっと、もっと面白くなりますよ」

「ああ。…………また」

 そう言って、くるりと背を向けたシエリは、日が傾きかけた街の中へと溶けるように歩き出した。

 その背中を見送りながら、セセラは小さく呟く。

「……ほんと、あんた相変わらず何考えてるかわかんねぇ奴だな」

「でも、シエリさん楽しそうだったじゃん。久しぶりに話せて良かったよ」

「……そう見えたか? それを言うならあんたもな」

「オレも?」

「ああ。まるで、普通の研究者みたいだったよ」

 その一言に、ジキルはほんの僅かに表情を和らげた。


 ◇


 しばらくして、カフェを出てすぐの、裏通りの静かな路地。
 話が弾んでいたふたりはまだ別れていなかった。

 ──しかし。

「…………」

 セセラは少し、別件で思い詰めていたことがある。

 ただ、聞いていいものか、ずっと決心がつかないことだった。

 でも──そろそろ聞かなくてはいけない。

 そんな気がした。

「…………」

 セセラは意を決して、少し重く感じる唇を開く。

「……なぁ、ジキルさん。また少し、話がある」

「ん? オレになんか?」

 ジキルはサングラスを外さないまま、首を傾げる。
 その笑顔は、いつも通りの朗らかさを保っていた。

 人気ひとけの無い場所に立ち止まると、セセラは振り返らずに低く言葉を落とす。

「……リルの、体のことだ」

 ジキルの笑みが──。

「…………」

 ぴたりと止まった。

「…………」

 数秒の沈黙。

「……最近、あいつの龍化の進行が早い……。何か、知らないか?」

 セセラは顎を引いたまま、拳を強く握っていた。

「……どうしたの急に」

「あいつには龍の力を封じられた痕跡がある。しかも、不自然に精巧な……あんな処置、機関の技術じゃ追いつかねえ」

「ふーん……」

 少し置いて、ジキルが続ける。

「鋭いな、薊野くん。さすが現場上がりってとこ?」

「……まさか」

「え? うん。オレがやったんだよ。あの子に“封印処置”をしたのは、オレ」

 あまりにも、あっさりと。
 
 日常会話のように、ジキルは事実を口にした。

「……!?」

 振り返るセセラ。

「…………ッ……?」

 見開いた目。

「…………『オレ』が、……?」

 喉が何かを叫ぼうとしているのに、声が出ない。

「……は……っ……」

「正確に言えば、封じ込める方法を探してたら、実験台になってくれたって感じかな」

「……はあ……!?」

「オレがそうしたわけじゃない……いや、結果的にはそうした、か」

「お、い……あんた、……それ、本気で言ってんのか……?」

「本気もなにも。見ればわかるだろ、あの痕跡。あれはな龍封印。オレが手を下さなければ、あの特異な存在は生まれず機関の発展に繋がらなかった。……違うかな?」

「ッ!! ふざけんな……ふざけんなよジキルさん……あいつがどれだけ……!」

 ──息が詰まる。
 心臓が、嫌な汗を噴き出すように脈打っている。
 指先が震える。

 それでもジキルは、笑顔のまま。

「薊野くん、命を救うってのは、いつだって命を切り捨てることと紙一重なんだよ」

「黙れ…………黙れよッ……!」

「……でも、あの子には、言わないであげてほしい。覚えてないってことは、きっとそれが彼にとっての救いだから」

「……ッ、テメェは……!」

「オレのこと、イカれてるって思った?」

「っ……当然だろ……!」

 ジキルは静かに、目を細めて続けた。

「……だったら、ちょうどいい。“イカれた人間のしたこと”って思ってくれれば。そうすれば、君も少しはラクになる」

 言葉の温度は、やけに穏やかで──。
 それが、逆に恐ろしかった。

「……もうこんな時間か。それじゃあ、またね」

 背を向けるジキル。
 ゆったりとした足取りで去っていくその背中は、まるで何事も無かったかのようだった。

 セセラは、ひとり取り残された路地で──。

「…………ッ……」

 唇を噛みしめ、必死に呼吸を整えていた。

 握った拳の中で、指先が痛いほどに震えている。

(……なにが、『言わないであげて』だ……)

 だがその優しさが、ジキルの真意なのだとしたら。

 一番、壊れているのは──。

 もしかしたら、リルじゃなくて。

 ジキル自身かもしれない。


 ◇


 あのあと、セセラは何も言わずに自宅に戻った。
 夜の部屋で、資料も広げず、ベッドにも入らず、ただ椅子に座っていた。

(……俺が、聞かなきゃよかったのか?)

(知らないままでいれば、あいつらのことを……もっと、素直に見られたのに……)

 手元には、今朝入っていたリルの診断レポートのコピー。

 再生能力の異常な活性、未知の細胞構造。
 医療班の誰もが「龍と融合している」と言う。

 だが、それがだと知った今。

 その文字が、すべてに見えた。

「……クソが……」

 乱暴に髪をグシャッとかき乱す。

 自分は正義を掲げる資格なんて、無かったのかもしれない。
 ジキルのような、何も背負わない狂気が、誰かを守ってしまうのだとしたら。


 ◇


 翌日。
 昼下がりの龍調査機関。

 ラウンジよりも小さな休憩スペースにて、リルは窓際の席で煙草をふかしていた。

 火をつけたばかりの煙草の先が、少しだけ揺れる。

(コーヒー、買い忘れた)

 まだ十分に残っている煙草をそっと灰皿に置き、足早に自販機へと向かう。

 そこへ、セセラが通りがかった。

「おう、薊野さん。おつかれ」

 リルが無造作に声をかける。
 特に深い意味も無く、いつものように。

 しかし──。

「……あ、ああ……おつかれ」

 セセラの返事は、明らかにがあった。

 目も合わせず、足を止めることもなく、そのまま通り過ぎていく。

「……?」

 リルはその背中を赤い瞳でしばらくじっと見つめると、自販機のボタンに指を伸ばし缶コーヒーを取り出した。

(……なんだ、今の)

 休憩室に戻っても違和感は拭えなかったが。

(……ま、いっか。休み明けでピリついてんだろ)

 ゆっくりと息を吐き、煙を宙に泳がせる。
 ほんの一瞬だけ、自分の中の何かがザラついた気がした。

 ──その頃会議室では、戦闘班のブリーフィングが行われていた。

「では、今回の出動対象はこちらになります」

 大型モニターの前、戦闘班の統括が次々に案件を提示していく。
 地図、龍波動の検知データ、救助要請、だがどれも比較的低リスク。

「今回は回復期間ということで、高難度の任務は見送ります。班ごとに軽度の異常調査と、周辺地域の警戒任務に分散対応します」

「え、また雑魚掃除っスか?」

「まあ、しばらくはな。全員、連休ボケもあるだろ」

 そのやり取りに、班の数名が笑い声を漏らす。

 その中に、セセラの姿は無かった。



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