79 / 92
05-Chorus
077話-公演準備!
しおりを挟む
「お疲れ様です!」
宿へと戻った俺は、まず全員を部屋へと集め会議をする事にした。
いつものメンバーに加え、ヴァルも隣へと座らせる。
「ユキ、会議だなんて初めてよね?」
寝起きのアイリスが未だにトロンとした目を擦りながら訪ねると、ハンナとヘレスもうんうんと頷いている。
「昨日陛下から一つお願いされたことがあったから、それの共有。それとこのヴァルの組織についての話かな」
まず陛下からの依頼である道化商会と言う犯罪者集団……ではなく狂信者集団と呼ぶべきものたちについての状況を説明した。
「へぇ……あいつらがねぇ」
「少し前、クルジュナが見つけ次第潰してたんだが、まだ居たんだな」
「ちょっとサイラス。あれは仕事だったから……」
クルジュナが珍しく焦り気味にサイラスの肩をペチペチと叩いて喋るのを止めようとしているようだが、サイラスは気にせず話し続ける。
「ユキ、俺たちが戦争終了後、一番最初に受けた暗殺仕事が道化商会のとある幹部の暗殺だったんだ」
「そうだったんだ……でも、今回は少し事情が変わっているらしい。何処にどれだけ居るかも判らない奴らの捜索。これには俺が作った幻影と、ヴァルの組織に依頼をしようと思う」
前国王を崇拝する団体が奴らに合流したのか、最初から奴らのメンバーだったのかは分からない。
規模も居場所も不明。
国軍が捜査できないような場所を捜査する。
そんな暗闇の中でどこかに落ちているコインを見つけるようなことを俺たちだけでやるのは到底不可能だ。
まだツクモさんたちが見えないので、とりあえずヴァルに自己紹介をしてもらおうと、隣に座ったままのヴァルを立たせる。
「ども、何でも屋『ルミノックス』のヴァレンシアと言います。よろしくお願いします」
「『ルミノックス』……って、帝国の……?」
「あぁ……カムイの奴の……」
「あぁ、あのずっこけ傭兵団かぁ……私何人か射殺したわよ」
「まぁ俺たちに被害がないならいいんじゃない?」
アイナとケレスはキョトンとしていたが、サイラスとクルジュナがボソボソと小声で不穏な会話を始めた。
「サイラス、クルジュナ……なんだか不穏な会話なんだけど……」
サイラスの説明によると、戦争中にサイラスとクルジュナのペアがが『ルミノックス』の部隊が一戦やりやったことがあったらしい。
それにしても『ずっこけ傭兵団』とは不名誉な呼び方をされるツクモさんの組織は大丈夫なのだろうか。
「あん時のクルジュナは無表情で敵を淡々と撃ち抜く子供だったんだよなぁ……隣でいた俺がちょっと恐怖したほどだ」
「ちょ、サイラス……む、昔のことはもう……言わないでよ……」
(無表情で淡々と弓で射るクルジュナ……)
残念ながら氷のような無表情な顔で敵を射抜き続けている姿を容易に想像できてしまうのが怖い。
しかも戦争中ということは、クルジュナが今の俺より小さい頃の話だろう。
「ね、ねぇユキ、私後ろから撃たれたりしない?」
「死んでないなら俺が治せるから」
「おかしいよねっ!? おかしくないっ? どーして撃たれる前提なのさ! 座長なら止めてよぉー、ほらすっごいゴミを見るような目で見てくるんだけどあの子」
ヴァルが俺の背中へと隠れるが、人を指差すのはやめておけと言いたい。
ついでにサイラスとクルジュナには、ヴァルは『ルミノックス』には入ったばかりだということも併せて伝えておいた。
「それよりツクモさんまだ来ないのかな」
「まだ来ないというか、今頃宿のベッドの下で泣いているんじゃない? ユキがあんなことするから」
「いちいち火に油を……まぁいいか、とりあえず『荒野の星』から『ルミノックス』に正式な依頼をしたい。目標は道化商会のメンバーの捜索と逮捕。俺たちに連絡でもいいよ。前金で五百であとは成功報酬でどう?」
エイミーにお願いして、ヴァルたちへの依頼内容を羊皮紙に書いていってもらう。
魔技のおかげもあり、文字は読めるようになったが未だに文字を書けないのだ。
自分のサインだけはなんとか書けるようになったので、エイミーに渡された羊皮紙にサインを書いて丸めヴァルへと手渡す。
「隊長も問題ないって言ってたし私は大丈夫。むしろ良すぎる条件なんだけどいいの?」
「俺たちがそれに全力を尽くすと、街のみんなを笑顔にするっていう表の仕事が出来なくなるからね」
なにはともあれ『荒野の星』の方針が決まったところで、全員でこの先の予定を考える。
「とりあえずどうしよっか。このまま首都の周囲からあたってみる?」
せっかくエイスティン国の首都に居ることだし、国内の情報を仕入れるならここが一番集まりそうだ。
「でもユキ、この街なら国軍でなんとかなると思うよ。何しろお膝元だし」
「確かにクルジュナの言う通りだなぁ……」
そりゃそうかと納得してしまう。
俺たちは国軍が居ると不自然な場所の調査ということを考えるともっと田舎とか、そういう感じのほうが良い気がする。
「あ、でもせっかく首都に来たんだし歌の披露してみたいかも」
「そういえばそうだったね」
『荒野の星』の公演はアペンドの街で生き残った皆を励ますためにやったのが最後だ。
その前にやったローシアの街での公演は最後の一回が例の伯爵のせいで中止になった。
アイナとエイミーはせっかくの機会だし、歌を披露してみたいという。
確かにそれも良い考えだなと思い、皆から前回エイスティンでやった公演内容を教えてもらうと基本的にローシアでやっていたのと同じだった。
今回はそれに歌を追加する形になるだろう。
「ふむ、では俺はクルジュナとアイリス、俺と一緒に情報屋を回るか?」
「良いけど、サイラスが動くと目立たない?」
「なぁに、いつもの感じでなんとかなるだろうよ」
サイラスとクルジュナは馴染みの情報屋が何人かいるらしく、公演の告知ついでに回ってくれるらしい。
「じゃ、今回はハンナたちにも動いてもらおうかな」
「それじゃあ、私も買い物ついでに噂集めだね」
アイリスとヘレス、ハンナは本屋巡りをしながら知り合いの情報通に聞き込みをしてくれるそうだ。
リーチェは食材仕入れのついでに井戸端会議からの情報集めと、いつも情報収集のときはこういうパターンらしい。
「悪いんだけれど、ユキはお城へ広場の利用申請お願いできる?」
「わかった。アイナとエイミーも来てもらって良い?」
「はーい」
残った俺とアイナ、エイミーはお城へ行って舞台をするため広場の利用申請。
これはある程度お金を払い許可をもらうらしいのだが、国の方から警備のための兵士を出してくれるらしい。
「前回もアイナが行ってくれたから、ユキはサインだけすれば良いはずだ」
「了解。じゃあ、さっと行こうか」
「あ、ユキ……」
一旦解散と言うところでヴァルに引き止められた。
「あの……私も……」
珍しくもじもじとした様子で言い淀むヴァルを見て、ヴァルの言いたいことを思い出した。
「あ、ごめん忘れるところだった。アイナ、エイミー、ケレス……あとリーチェもお願いがあるんだけど」
「どうしたの?」
「はいはーい」
「んー? 私も?」
「四人とヴァルを加えた五人で一曲披露してほしいんだ」
「えっ?」
「ヴァルも入るの? 歌えるの?」
「わっ、私は無理だよぉ……歌なんて恥ずかしい……」
「今回は『荒野の星』では初めて正式な歌の披露になるんだ。そこで俺はこの五人で歌ってほしいと思ってる」
アイナとエイミー、ケレスは旅の間もかなり練習をしてきたし、ヴァルに至っては元の歌を知っているのだ。
あとはもう一人メンバーが入ってもらえればパート分けもかなり楽に出来るのだ。
クルジュナやアイリスやハンナ、ヘレスでも良いのだが、俺はリーチェにお願いしたいと思った。
ぶっちゃけ見た目も可愛いと言うこともあるが、料理の間にいつもアイナたちの練習している歌を口ずさんでいること、もっとみんなの役に立ちたいとこぼしていたことを考えると、今回は彼女にお願いしたいのだ。
(そう考えると、クルジュナとアイリスでの ペアってのもアリだな)
「うぅ……座長命令?」
「あまりこう言い方はしたくないけど、今回は座長命令。リーチェに一翼を任せたい」
「う――…………わ、わかった……がっ、頑張ってみる」
リーチェは自分の両耳を引っ張って目を隠すようにしながらも了承してくれた。
「アイナとエイミーは前回から練習している歌もお願いね。五人で歌う歌はヴァルから教えてもらう」
「へっ? わっ、私っ?」
「ん? 自信がないの?」
「べっ、べつにそんなわけ……ほら、ユキたちの舞台なのに部外者の私が口出しするなんて……」
ヴァルがギュッと胸元で両手を握り、いつもの遠慮のない感じはどうしたと言いたいほどの気遅れた声。
「私はいいわよ。ユキが良いなら」
「私も大丈夫よヴァル」
「変な歌じゃないでしょうね? ユキに恥かかせないなら、任されてる以上全力でやるわよ」
「わっ、私っ、初めてだからゆっくり教えてほしーな……」
アイナ、エイミー、ケレスにリーチェは問題なさそうなのでこのまま行こう。
今日申請して明日の午前中に告知。
明日の午後と明後日の二回公演という感じでどうだろうか。
「じゃ、あまり練習時間取れないから城から戻ったらすぐに練習しよう。ヴァルとリーチェは一旦いつもの服でいいよね」
流石に今からは間に合わないだろうから、明日の公演はチグハグな衣装になってしまうが仕方がない。
「ではみんな、よろしくお願いします! ヴァルは一旦ツクモさんに報告しといてね」
俺が締めくくり、全員で行動開始となった。
俺とアイナ、エイミーは城へ。
クルジュナとサイラスは情報屋。
アイリスとハンナ、ヘレスは本屋、リーチェは買い物へ行きつつ情報収集。
ヴァルはツクモさんへ報告。
いつもの大道芸のほうはクルジュナに仕切りをお願いし、解散となった。
宿へと戻った俺は、まず全員を部屋へと集め会議をする事にした。
いつものメンバーに加え、ヴァルも隣へと座らせる。
「ユキ、会議だなんて初めてよね?」
寝起きのアイリスが未だにトロンとした目を擦りながら訪ねると、ハンナとヘレスもうんうんと頷いている。
「昨日陛下から一つお願いされたことがあったから、それの共有。それとこのヴァルの組織についての話かな」
まず陛下からの依頼である道化商会と言う犯罪者集団……ではなく狂信者集団と呼ぶべきものたちについての状況を説明した。
「へぇ……あいつらがねぇ」
「少し前、クルジュナが見つけ次第潰してたんだが、まだ居たんだな」
「ちょっとサイラス。あれは仕事だったから……」
クルジュナが珍しく焦り気味にサイラスの肩をペチペチと叩いて喋るのを止めようとしているようだが、サイラスは気にせず話し続ける。
「ユキ、俺たちが戦争終了後、一番最初に受けた暗殺仕事が道化商会のとある幹部の暗殺だったんだ」
「そうだったんだ……でも、今回は少し事情が変わっているらしい。何処にどれだけ居るかも判らない奴らの捜索。これには俺が作った幻影と、ヴァルの組織に依頼をしようと思う」
前国王を崇拝する団体が奴らに合流したのか、最初から奴らのメンバーだったのかは分からない。
規模も居場所も不明。
国軍が捜査できないような場所を捜査する。
そんな暗闇の中でどこかに落ちているコインを見つけるようなことを俺たちだけでやるのは到底不可能だ。
まだツクモさんたちが見えないので、とりあえずヴァルに自己紹介をしてもらおうと、隣に座ったままのヴァルを立たせる。
「ども、何でも屋『ルミノックス』のヴァレンシアと言います。よろしくお願いします」
「『ルミノックス』……って、帝国の……?」
「あぁ……カムイの奴の……」
「あぁ、あのずっこけ傭兵団かぁ……私何人か射殺したわよ」
「まぁ俺たちに被害がないならいいんじゃない?」
アイナとケレスはキョトンとしていたが、サイラスとクルジュナがボソボソと小声で不穏な会話を始めた。
「サイラス、クルジュナ……なんだか不穏な会話なんだけど……」
サイラスの説明によると、戦争中にサイラスとクルジュナのペアがが『ルミノックス』の部隊が一戦やりやったことがあったらしい。
それにしても『ずっこけ傭兵団』とは不名誉な呼び方をされるツクモさんの組織は大丈夫なのだろうか。
「あん時のクルジュナは無表情で敵を淡々と撃ち抜く子供だったんだよなぁ……隣でいた俺がちょっと恐怖したほどだ」
「ちょ、サイラス……む、昔のことはもう……言わないでよ……」
(無表情で淡々と弓で射るクルジュナ……)
残念ながら氷のような無表情な顔で敵を射抜き続けている姿を容易に想像できてしまうのが怖い。
しかも戦争中ということは、クルジュナが今の俺より小さい頃の話だろう。
「ね、ねぇユキ、私後ろから撃たれたりしない?」
「死んでないなら俺が治せるから」
「おかしいよねっ!? おかしくないっ? どーして撃たれる前提なのさ! 座長なら止めてよぉー、ほらすっごいゴミを見るような目で見てくるんだけどあの子」
ヴァルが俺の背中へと隠れるが、人を指差すのはやめておけと言いたい。
ついでにサイラスとクルジュナには、ヴァルは『ルミノックス』には入ったばかりだということも併せて伝えておいた。
「それよりツクモさんまだ来ないのかな」
「まだ来ないというか、今頃宿のベッドの下で泣いているんじゃない? ユキがあんなことするから」
「いちいち火に油を……まぁいいか、とりあえず『荒野の星』から『ルミノックス』に正式な依頼をしたい。目標は道化商会のメンバーの捜索と逮捕。俺たちに連絡でもいいよ。前金で五百であとは成功報酬でどう?」
エイミーにお願いして、ヴァルたちへの依頼内容を羊皮紙に書いていってもらう。
魔技のおかげもあり、文字は読めるようになったが未だに文字を書けないのだ。
自分のサインだけはなんとか書けるようになったので、エイミーに渡された羊皮紙にサインを書いて丸めヴァルへと手渡す。
「隊長も問題ないって言ってたし私は大丈夫。むしろ良すぎる条件なんだけどいいの?」
「俺たちがそれに全力を尽くすと、街のみんなを笑顔にするっていう表の仕事が出来なくなるからね」
なにはともあれ『荒野の星』の方針が決まったところで、全員でこの先の予定を考える。
「とりあえずどうしよっか。このまま首都の周囲からあたってみる?」
せっかくエイスティン国の首都に居ることだし、国内の情報を仕入れるならここが一番集まりそうだ。
「でもユキ、この街なら国軍でなんとかなると思うよ。何しろお膝元だし」
「確かにクルジュナの言う通りだなぁ……」
そりゃそうかと納得してしまう。
俺たちは国軍が居ると不自然な場所の調査ということを考えるともっと田舎とか、そういう感じのほうが良い気がする。
「あ、でもせっかく首都に来たんだし歌の披露してみたいかも」
「そういえばそうだったね」
『荒野の星』の公演はアペンドの街で生き残った皆を励ますためにやったのが最後だ。
その前にやったローシアの街での公演は最後の一回が例の伯爵のせいで中止になった。
アイナとエイミーはせっかくの機会だし、歌を披露してみたいという。
確かにそれも良い考えだなと思い、皆から前回エイスティンでやった公演内容を教えてもらうと基本的にローシアでやっていたのと同じだった。
今回はそれに歌を追加する形になるだろう。
「ふむ、では俺はクルジュナとアイリス、俺と一緒に情報屋を回るか?」
「良いけど、サイラスが動くと目立たない?」
「なぁに、いつもの感じでなんとかなるだろうよ」
サイラスとクルジュナは馴染みの情報屋が何人かいるらしく、公演の告知ついでに回ってくれるらしい。
「じゃ、今回はハンナたちにも動いてもらおうかな」
「それじゃあ、私も買い物ついでに噂集めだね」
アイリスとヘレス、ハンナは本屋巡りをしながら知り合いの情報通に聞き込みをしてくれるそうだ。
リーチェは食材仕入れのついでに井戸端会議からの情報集めと、いつも情報収集のときはこういうパターンらしい。
「悪いんだけれど、ユキはお城へ広場の利用申請お願いできる?」
「わかった。アイナとエイミーも来てもらって良い?」
「はーい」
残った俺とアイナ、エイミーはお城へ行って舞台をするため広場の利用申請。
これはある程度お金を払い許可をもらうらしいのだが、国の方から警備のための兵士を出してくれるらしい。
「前回もアイナが行ってくれたから、ユキはサインだけすれば良いはずだ」
「了解。じゃあ、さっと行こうか」
「あ、ユキ……」
一旦解散と言うところでヴァルに引き止められた。
「あの……私も……」
珍しくもじもじとした様子で言い淀むヴァルを見て、ヴァルの言いたいことを思い出した。
「あ、ごめん忘れるところだった。アイナ、エイミー、ケレス……あとリーチェもお願いがあるんだけど」
「どうしたの?」
「はいはーい」
「んー? 私も?」
「四人とヴァルを加えた五人で一曲披露してほしいんだ」
「えっ?」
「ヴァルも入るの? 歌えるの?」
「わっ、私は無理だよぉ……歌なんて恥ずかしい……」
「今回は『荒野の星』では初めて正式な歌の披露になるんだ。そこで俺はこの五人で歌ってほしいと思ってる」
アイナとエイミー、ケレスは旅の間もかなり練習をしてきたし、ヴァルに至っては元の歌を知っているのだ。
あとはもう一人メンバーが入ってもらえればパート分けもかなり楽に出来るのだ。
クルジュナやアイリスやハンナ、ヘレスでも良いのだが、俺はリーチェにお願いしたいと思った。
ぶっちゃけ見た目も可愛いと言うこともあるが、料理の間にいつもアイナたちの練習している歌を口ずさんでいること、もっとみんなの役に立ちたいとこぼしていたことを考えると、今回は彼女にお願いしたいのだ。
(そう考えると、クルジュナとアイリスでの ペアってのもアリだな)
「うぅ……座長命令?」
「あまりこう言い方はしたくないけど、今回は座長命令。リーチェに一翼を任せたい」
「う――…………わ、わかった……がっ、頑張ってみる」
リーチェは自分の両耳を引っ張って目を隠すようにしながらも了承してくれた。
「アイナとエイミーは前回から練習している歌もお願いね。五人で歌う歌はヴァルから教えてもらう」
「へっ? わっ、私っ?」
「ん? 自信がないの?」
「べっ、べつにそんなわけ……ほら、ユキたちの舞台なのに部外者の私が口出しするなんて……」
ヴァルがギュッと胸元で両手を握り、いつもの遠慮のない感じはどうしたと言いたいほどの気遅れた声。
「私はいいわよ。ユキが良いなら」
「私も大丈夫よヴァル」
「変な歌じゃないでしょうね? ユキに恥かかせないなら、任されてる以上全力でやるわよ」
「わっ、私っ、初めてだからゆっくり教えてほしーな……」
アイナ、エイミー、ケレスにリーチェは問題なさそうなのでこのまま行こう。
今日申請して明日の午前中に告知。
明日の午後と明後日の二回公演という感じでどうだろうか。
「じゃ、あまり練習時間取れないから城から戻ったらすぐに練習しよう。ヴァルとリーチェは一旦いつもの服でいいよね」
流石に今からは間に合わないだろうから、明日の公演はチグハグな衣装になってしまうが仕方がない。
「ではみんな、よろしくお願いします! ヴァルは一旦ツクモさんに報告しといてね」
俺が締めくくり、全員で行動開始となった。
俺とアイナ、エイミーは城へ。
クルジュナとサイラスは情報屋。
アイリスとハンナ、ヘレスは本屋、リーチェは買い物へ行きつつ情報収集。
ヴァルはツクモさんへ報告。
いつもの大道芸のほうはクルジュナに仕切りをお願いし、解散となった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる