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バレンタインと書いて乙女の聖戦(ジハード)と読む
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「あの、高峯(たかみね)くん、今ちょっといい?」
「三井さん?いいけど」
緊張して真っ赤であろう顔をなるべく見られたくなくて、ついてきて、と短く零し足早に廊下を歩く。人目につかない階段側まで来て、ようやく高峯くんの顔を見れた。
「あ、あの、これを、受け取って欲しくて……」
「ありがと……今開けてもいい?」
こくりと頷くと、彼は水玉のマスキングテープをゆっくりと剥がし、中身を取り出す。正直、想いを込めた贈り物を目の前で開けられるのは恥ずかしいけど、受け取ってもらえたならなんでもいい。嬉しさを顔に出しつつ包みを開けた彼の第一声は、
「……なにこれ」
だった。
「え、何って、防犯ブザー。知らない?上の紐を引っ張るとね、「いや知ってるけど」」
「自分で言うのも何だけどさ、今日何の日か知ってる?」
「バレンタイン」
「そう、だから僕てっきり告白だと思ったしチョコとかクッキーだと思ったんだけど、なんで防犯ブザーなの」
「私、実は高峯くんのこと好きで」
また顔が赤くなる。声が上ずって、うまく言えない。
「ありがとう。僕も実は活発で可愛らしい三井さんのこと結構良いなって思ってて……もし良かったら僕と付き合ってくれないかな」
高峯くんも顔が赤くなる。かわいい。すごくかわいい。でも、
「ごめんそういうことじゃないの」
「え、」
「私たしかに高峯くんのこと大好きだけど、違うの恋愛的なアレっていうか「推し」なの。気づいてる?自分がどんなにかわいいか。男子にしては少し低めの163cmという身長も女子顔負けのさらさら茶髪もきゅるんと大きめの目もピアノ弾いてるちょっと上流貴族みたいなところも友達と話すときは結構男子っぽいところも全部!!!かわいい!!!」
想いの丈が溢れて止まらない。本人を前にしてずっと思ってたことを全部ぶちまけてる。引き顔もかわいいな?
「いや前チョコ好きって言ってたしお菓子渡そうかとも思ったよ?でもね、よく考えたんだけど、高峯くんって相当かわいいの。ってことはだよ?誘拐されるよね。だから絶対防犯ブザー持たせなきゃ!って。帰り道に不審者にあったら迷わず押してね!」
私がそういうと、高峯くんは徐に防犯ブザーの紐を引いて……
ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!
けたたましい音がなり、何事かと先生や生徒がこちらにくる。
「どうした!?」
「先生、こいつです」
「なんで!?私高峯くんのためを思って!」
ぎゃあぎゃあ騒いでいると、痴話喧嘩だと思ったのか「程々にしろよ」とみんな離れていく。そして、また二人きりになった。静寂。
「……ちょっと後で話聞かせて」
と言うなり高峯くんは保健室に向かった。調子悪かったのかな。
「三井さん?いいけど」
緊張して真っ赤であろう顔をなるべく見られたくなくて、ついてきて、と短く零し足早に廊下を歩く。人目につかない階段側まで来て、ようやく高峯くんの顔を見れた。
「あ、あの、これを、受け取って欲しくて……」
「ありがと……今開けてもいい?」
こくりと頷くと、彼は水玉のマスキングテープをゆっくりと剥がし、中身を取り出す。正直、想いを込めた贈り物を目の前で開けられるのは恥ずかしいけど、受け取ってもらえたならなんでもいい。嬉しさを顔に出しつつ包みを開けた彼の第一声は、
「……なにこれ」
だった。
「え、何って、防犯ブザー。知らない?上の紐を引っ張るとね、「いや知ってるけど」」
「自分で言うのも何だけどさ、今日何の日か知ってる?」
「バレンタイン」
「そう、だから僕てっきり告白だと思ったしチョコとかクッキーだと思ったんだけど、なんで防犯ブザーなの」
「私、実は高峯くんのこと好きで」
また顔が赤くなる。声が上ずって、うまく言えない。
「ありがとう。僕も実は活発で可愛らしい三井さんのこと結構良いなって思ってて……もし良かったら僕と付き合ってくれないかな」
高峯くんも顔が赤くなる。かわいい。すごくかわいい。でも、
「ごめんそういうことじゃないの」
「え、」
「私たしかに高峯くんのこと大好きだけど、違うの恋愛的なアレっていうか「推し」なの。気づいてる?自分がどんなにかわいいか。男子にしては少し低めの163cmという身長も女子顔負けのさらさら茶髪もきゅるんと大きめの目もピアノ弾いてるちょっと上流貴族みたいなところも友達と話すときは結構男子っぽいところも全部!!!かわいい!!!」
想いの丈が溢れて止まらない。本人を前にしてずっと思ってたことを全部ぶちまけてる。引き顔もかわいいな?
「いや前チョコ好きって言ってたしお菓子渡そうかとも思ったよ?でもね、よく考えたんだけど、高峯くんって相当かわいいの。ってことはだよ?誘拐されるよね。だから絶対防犯ブザー持たせなきゃ!って。帰り道に不審者にあったら迷わず押してね!」
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ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!
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